貞操観念逆転異世界で勇者パーティの性処理係やってるんだけど、仕事してたらみんな勝手に拗らせる 作:ベリーナイスメル/靴下香
貞操観念逆転世界は男にとってイージーモードな人生である。
少なくとも俺はそういう認識を持っていた。
「な、なぁカイト……今日、良い、か?」
所属しているパーティの前衛、盾役担当のアリーシャが恐る恐る今晩どう? と誘って来た。
この申し訳なさそうな、それでいて欲望を隠し切れないような、美女の赤らめ顔でメシが美味い。
そう思っていた時期が俺にもありました。
先程まで繰り広げられていた戦闘では八面六臂の大活躍だったアリーシャだ。
盾役の活躍とはすなわちモンスターたちのヘイトを多く集めたと言う事で、攻撃も沢山受けたと言う事。
それは恥ずかしがりながらも、何処か申し訳なさそうに言ってくる彼女の身体を見れば一目瞭然で。
攻撃を受けることに興奮してしまう性癖を持つ彼女だから、パーティの性処理係である俺に今晩の処理を願って至って当然の話である。
「ええ、もちろん喜んで。先の戦闘、お疲れ様でした。馬車からちゃんと見てましたよ。俺含めて皆を守ってくれてありがとうございます」
「う……あ、あぁ、当然、だよ。オレの役目は、盾、だからな。お礼を言われるようなことじゃ――」
今晩の契りを約束するためにアリーシャの差し出された手のひらへとキスを落とそうとしたら。
「ちょおっとお待ちくださいませ! このキカン穴女!」
「へ? うおぉっ!?」
同じくパーティの魔法使いである、エリアナがアリーシャの腕を引っ張って行った。
うーん、バカ力。いや、筋力強化の魔法でも使わないとアリーシャを引っ張って行くなんて出来ないだろうけどさ。さっきの戦闘で出番があんまりなかったからって、ここで魔力使わなくても。
「前回からまだ一か月も経ってはおりませんわ! カイト様のご負担をその小さい脳みそで考えてくださいまし!」
「わ、わかって、いるんだけど、よぉ……だ、だけど」
「だけども何も御座いませんわよ!」
「うぅ……」
聞こえてる、聞こえてるって。
わざわざ離れてもそんなでかい声で話してたら意味ないって。
つーか一か月しかじゃないんだよ、一か月も経ってるんだよ。
前世基準の男で考えたら三日でも満タンに溜まると言えば溜まるんだからさ。
貞操観念逆転してんだからそれと同じだと考えりゃさ、ガマンは身体に毒だって。むしろ俺が溜まってるんだって、若さゆえにさぁ。
もう十分知ってるでしょ? 貪ってたじゃん? いやそれは俺の方か?
なんで今更そんなこと言うの? 酷いです。
「カイト様はあのご性格ですからっ……! わたくしたちが望めば己を犠牲にしてでも応えてしまわれますっ! もう忘れてしまったのですかっ……!」
あの頃は良かったよね……乾く暇がないってこのことかぐへへとか言いながらハーレムを満喫してたもんなぁ。カムバックプリーズ。
若干遠い目をしてしまっていた俺に気づいたのか、アリーシャが肩を落としながら近づいてきて。
「すまん、お前のことを考えられてなかった。今日は、いいわ」
「え、えぇ……アリーシャが、そう言うのなら」
いや俺、俺な? がっくり来てるのは俺のほうな?
内心久しぶりに発散できるぜやっほいとかさ、アリーシャのデカメロンでサンドイッチワンダーランドだぜとか期待していたのにさ。
「わたくしも、申し訳ありません。先の戦いで魔力をほぼ使っておらず、冷静でしたのに」
「い、いや、全然構いません。むしろ、俺の方こそ役目も果たせないまま、気遣われるばかりで……申し訳ないです」
「とんでもございませんわ!? あ、頭をお上げくださいカイト様っ……!」
下げた顔を思わず顰めてしまう。
まったくもって余計な気遣いでお世話だよ、なんならエリアナが相手してよ、心と欲望の隙間を埋めてくれ。
綺麗なお澄まし顔がおもろ顔になるの、たまんないんだっての。
「そ、それよりお怪我はありませんか? 一本モンスターが持っていた矢が飛んでこられたと存じておりますが」
「そうだった! ほんとにすまねぇ! オレがちゃんとヘイトを全部集められなかったせいで!」
「大丈夫! 大丈夫ですから! むしろ皆の活躍を見たいからって馬車から身を乗り出してた俺が悪いんですからっ!」
過保護! 過保護すぎるっ!
まーじでゴブリンみたいなモンスターから飛んできた矢とかさ、言われるまで気づかなかったしさ!
5メートルくらい離れてたとこ通過しただけだって! 怪我なんてしようがないって!
「それなら、良かったのですが……リリアがこの場に居れば精査できましたのに、申し訳ありません」
先の安全確認をと言ってリーダーである勇者と一緒に行ってるんだもん仕方ないって。
つーか重ねてどこもケガしてないんすよ、ほんとに大丈夫だからそのマジで悔やむような顔やめて? むしろ俺の胃に穴が空くから、回復魔法で癒せる? そっちのが心配になるから。
「と、とりあえず、です。一旦先に一休みしましょう? 直ぐに、何か温かい物を淹れますから」
もう辛抱たまらん、いろんな意味でとその場から逃げ出すようにストレージにしまってる茶葉を取り出しに行くことにした。
いやマジでさ、所々装備が破けたりして見える汗ばんだ素肌とかさ、そんな状態のままで詰め寄られるとキツイんすよ。
ちゃんと理性をぷっちんさせず襲い掛からない俺を褒めて欲しいよ、誰か褒めて? 褒美は何が欲しい? 一晩どころか今なら三日位ぶっ通しでもオッケーよ?
「……はぁ、こんなことなら転生特典でスケベスキルに全振りなんてするんじゃなかった。貞操逆転世界、イージーモードとか舐めてたわ、歪みすぎ。どうしてこうなった?」
前世であり得なかったスケベワールドを期待しすぎたよね、俺は一体何に備えようとしたのか。
だって仕方ないじゃん、この世界の男でモノが勃つ――間違えた、役に立てる男が男性人口の10%程度だなんて情報、後だしにも程があるって。