貞操観念逆転異世界で勇者パーティの性処理係やってるんだけど、仕事してたらみんな勝手に拗らせる 作:ベリーナイスメル/靴下香
貞操逆転世界であってもスイッチの入ったパーティの皆は、ラッキースケベに喜ばない。
って言うのもあれだ、今回前線に来るまでの間は馬車ではなく馬に乗って来た。
当然と言うのは恥ずかしいが、俺に乗馬スキルなんてものはないから、誰かと相乗りで、手綱を握っている人にしがみつく格好になるわけだな。
で、今回のケツはエリアナ。
俺のケツは痛くなったけれど、すこぶる抱き心地が大変よろしくムラムラしていたわけだが、エリアナは顔を赤らめたりすることなく真顔で周囲を警戒してくれていた。
……やっぱさぁ、俺ってば飽きられてるんじゃね? もうちょっとこう、手心と言いますか、ね?
ともあれ、だが。
「カイト様? セーフゾーン周辺は安全、と言えますが。それも他に比べたら、と言う意味ですわ。この程度しか準備を進められず、申し訳ありません」
「い、いや。むしろ、その時間を俺が奪ってしまったようなもの、なんですよね? むしろこちらこそ申し訳ありません」
やって来たセーフゾーンには大きめのテントが一つ、その周辺を魔法結界で囲っている形の場所だった。
これを見れば申し訳なさが加速するよね、普段準備万端で用意されるセーフゾーンは二重結界だし、テントではなく、木造の簡易拠点だもん。
「……いいえ、カイト様? シアさんも言っておりましたが、カイト様に責任は御座いませんわ」
「そう、ですか?」
「ええ、わたくしの名に懸けて。誰も悪くない、と言うのが個人的な見解で落としどころですが、それでも敢えて言うのであれば、わたくしたちパーティが、カイト様の価値をまだまだ見誤っていたということでしょう」
「価値、ですか」
主に下半身的な意味で? え? だったら振るった後に言ってよ、使わせて? ぐぬぬ。
「あるいは、わたくしたち女と言う生物の過剰反応……いえ、過剰適応とも言えますか」
「どちらにせよ過剰なんですね」
「そうとしか言えませんわ。人間とは贅沢な生き物です、何が贅沢であると言えば、贅沢に慣れることで適応することで、より一層の贅沢を求めるあたりなど、特に」
「あぁ……わかるような、気もします」
俺に飽きたから一層いい男を求めちゃうとかね! や、やめろよ震える、捨てないで。
じゃなくて、なんとなくわかる話でもある。
あの集落も、俺がいると言う事に慣れてしまえば、それ以上を求めるようになるだろう、そういうことだ。
ただ、そう語るエリアナがなんとも自罰的な顔してるのはわかんない。
「何にせよ、ではありますが。未だセーフゾーンは十分な機能を果たさない可能性があります。ある上に、ここもやはりモンスター発生地点からそう遠くない位置ですから……」
「モンスターの襲撃が十分に考えられると」
「……そこを防ぐためにはカイト様の傍に護衛をつけるのが最も賢い。ですが」
「常に誰かを俺に護衛に割けるほど、余裕はない、ですか」
ゆっくりと、悔しいと顔に文字を貼り付けたエリアナが頷いた。
やだま、怖いです。
モンスターに襲われちゃったらどうなるの? 俺?
知らんのか、孕ませだ。
なんならそのままモンスターハウスに子種袋として拉致まであるぞい。
「カイト様、わたくしたちも最大限……いえ、最優先でカイト様の無事を保安致します。ですが、それはカイト様のご協力がなければ難しいこと」
「言われずとも、ですよ。エリアナ? いつでも誘って下さい。俺は、俺の役目を喜んで果たします」
「……感謝、致しますわ」
ひゅーっ! この奥ゆかしさよっ! 魔力切れ怖いもんね、いいよこいよ! いつでもバッチコイ!
「感謝なんて必要ありませんよ、嬉しいですけどね。お互いの役目と役割を、果たしましょう」
「……はいっ!」
よしよしいい感じだね! さーて、久しく使われなかったマイボーイに磨きをかけておくぞー!
マイボーイに磨きをかける、それすなわち俺自身に磨きをかけると言う事である。
「アリーシャ? この、拠点は固い場所に建てるべきではないって言うのはなんでです?」
「ん? あぁ、背水の陣を構えちまうと逃げ場がなくなる。つまり、巻き返すか、全滅するかの二択しかなくなるから、だな」
「ほほー……なるほど。だからあの集落、ハートレスが撤退先として確保されてるんですね。では、こちらは?」
「んーっと? ……あぁ、そりゃあこういう――」
ぶっちゃけた話、俺のベッド上スキルに関してはカンストしてんだわ。磨く余地がない、流石チート。
故に、こうして戦闘学の本を広げては疑問点をアリーシャに聞くと言うことになるんですね。
わからんのか、この戯けが。男の魅力は下半身だけじゃないでしょ! デカさじゃないんだよデカさじゃ。
「……ふむ。ですがそういう話なら、前線拠点と合体してしまった方が……あぁ、いや、他ならぬ俺のせい、ですね」
「うぐっ……答えにくいこと言うんじゃねぇよ……」
「気を使われるほうが辛いこともありますよ」
「はぁ。ま、そういうこったな。確かにオレたちも前線拠点を間借りするほうが色々効率が良い。補給の心配もいらねぇっちゃそうだが、補給の条件にカイトをって言われるのが目に見えてる」
むしろ本懐であるってモンなんですけどそれは。
「ですが、それで俺の身柄がモンスターに奪われるって可能性が高くなる方が問題なのでは? いえ、皆が俺を守ってくれてるのにこういうのは失礼なんでしょうけど」
「シアが言ってたろ? 女はケダモノだ、狼だ。カイトならあいつらを支えられるなんつー信頼はあるが、それ以上にカイトの取り合いって形で発展し、内輪揉めに繋がる可能性のほうがたけぇんだ」
「……はー、そういう天秤、でしたか」
なるほどね、俺ってば台風の目だね、いない方が良いのでは?
「確かに、カイトがモンスターに攫われるような事態になって、あるいは魔族に連れていかれて。万が一子作りにまで発展すりゃモンスターの大増殖に繋がる。その可能性は無視できない。できないが、カイト含めた囲われちまった男どもの奪還作戦となった時にまとまれないほうが困る。そういうことだな」
なんとも言えない表情でアリーシャは言いにくいことを言ってくれた。感謝して拝んどこ。
改めて俺はスケベチートの持ち主だ。
それをパーティの皆がどこまで理解しているかは別としてだけど、正直ヤれと言われたらそれこそ寿命で死ぬまで行為に耽ることも可能だろう。
そんな俺が魔族に捕まって、問答無用プレイされてしまえばモンスターが増える。
モンスターとは魔族と人の間に生まれるものなのだ、モンスターと人の間に生まれるのもモンスターだが。
「ままならない、ものですね」
「生存本能ってやつは怖えな、カイトと出会ってから、より強く思うよ」
「そう、なのかもしれないですね」
くだらないと俺が思うのもこの辺りなんだろう。
男を消費して種の保存を図る。
その面を強く突きつけられてしまうように感じるから、余計に。
「個人的には子種提供マシーンも悪くないけれど」
「うん?」
「いえ、何でもありませんよ。大丈夫、皆さんを信じてます。俺は何も怖くなんてありません」
「そ、そう、か……いや、照れるからそんな目で見るな、見るなって。疼いちまうだろ……!」
八つ当たりになっちゃったねテヘペロ。
何にしても、勇者シアパーティにいる以上、俺の身は安泰だ。
大人しくみんながここで踏ん張れるように努めることこそが、今回の役割で役目。
「疼かせてるんだよ、アリーシャ」
「う、ぐ……」
ほらほら仕事させて? もういい加減限界なんですよ、俺もさぁ。
一回だけ! 先っぽだけでいいから! 誰にも言わないからっ!
「に、にじりよって、くんな、よぅ」
「ふはは、いいではないかーよいではないかー……って、うん?」
いざベッドイン! しようと思ったその時に。
「二人とも! いるっ!?」
「シ、シア? どうしました?」
「モンスターの襲撃よっ! カイトは魔法陣の中に! アリーシャ、直ぐに出て!!」
「わかった!!」
……いってらっさいませー。
おのれモンスター、この恨み、いつか晴らしてやるからな、ぐぬぬ。