学マス~初星学園ドブ板戦記~   作:みちみちお

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前作でいただいた感想を踏まえ、キャラの口調や描写の練習用として作ってみました。今後の更新は未定ですが、まずは第1章(全6話)をお楽しみいただければ幸いです。

2話目は18時5分
3話目は18時10分
4話目は18時15分
5話目は18時20分
6話目は18時25分

よろしくお願いいたします。

※本作は独自解釈や脳内補完が多く含まれます。厳しいご指摘はご遠慮ください


1話 担当ゼロの新米と、すり減った観察ノート

 四月下旬の夜風が、開け放した窓からカーテンを揺らして吹き込んでくる。

 

 東京都中野区にキャンパスを構えるアイドル養成校・初星学園。その学生寮の自室で、星城大学プロデューサー科一年生の一条護(いちじょう まもる)は、デスクライトの明かりを頼りにペンを走らせていた。

 

「……ここの転調部分、もう少しブレスの間隔を空けた方が、彼女の声の伸びが活きるはずなんだよな。でも、既存の譜面通りに歌わせるなら、照明のフェードインをコンマ五秒早めて視線を誘導するか……」

 

 整理整頓されたシンプルな部屋のなかで、机の上だけは舞台演出の専門書や音楽理論のテキスト、ライブ映像の分析レポート、そして何冊もの大学ノートが山積みにされている。

 

 護はペンを置き、赤くなった目をこすりながら大きく伸びをする。洗面所の鏡をのぞけば、短めの黒髪には寝癖が残り、目の下にはうっすらと隈が浮かんでいた。

 

 入学式から、すでに数週間が経つ。

 

 初星学園には、トップアイドルを目指す「アイドル科」と、彼女たちの才能を見いだして育成・指導を行う「プロデューサー科」が存在する。学園の基本方針は、双方の生徒がタッグを組む「ペア制度」だ。契約を結んだペアには、アイドル科本棟にある専用事務所「プロデュースオフィス」が割り当てられ、共同で夢のステージを目指すことになる。

 

 しかし、四月も終わりを迎えようとしている現在、護が担当するアイドルはまだ一人もいなかった。

 

 机の端に置かれたクリアファイルの中身は、この数週間で護が徹夜して書き上げ、不採用となって突き返された『企画提案書』の束だ。

 

『熱意は分かるんだけど、一条君にはまだ実績がないからね』

 

『ごめんなさい。大事な最初のステージだから、経験のある先輩プロデューサーや、作曲のできる方にお願いしたくて……』

 

 面談を申し込んだアイドル科の生徒や、仲介に入った教員たちから返ってきた言葉が、今も頭から離れない。

 

 無理もない話だった。同じプロデューサー科の一年生を見渡せば、すでに順調なスタートを切った同期たちがいる。

 

 前評判から腕が良いと噂されていた穏やかな青年・鈴原良治は、アイドル科一年生の藤田ことねと早々に契約を決めた。

 

 真面目で責任感の強い中野仁は、スウェーデン出身の努力家・葛城リーリヤと、バレエの実績を持つ紫雲清夏の二人を同時に受け持ち、毎日熱心にレッスン場へ通っている。

 

 少しチャラいが熱血漢の佐藤健太は、名家のお嬢様である倉本千奈とミステリアスな天才少女・篠澤広の担当になり、おっとりとした木下誠二も、マイペースな元『Syng UP!!』の実力者・秦谷美鈴と理想的なペアを組んだ。

 

 上級生に目を向ければ、人気作詞作曲家でもある三年生の高瀬正人が元『Syng UP!!』のナンバーワン・月村手毬の専属プロデューサーに就き、新入生首席として注目を集める花海咲季も、三年生のエリート候補生・桐生颯太と仮タッグを組んで五月の定期公演に向けた調整に入ったという。

 

 彼らに比べて、十八歳の護には誇れるような武器が何もなかった。

 

 高瀬のようにチャート上位に食い込む楽曲を自分で作詞・作曲できるわけでもない。歌唱やダンスを専門家と同じ水準で技術指導できるスキルもない。コネもなければ、実績も知名度もゼロだ。

 

 実績がないから仕事を任せてもらえず、仕事を任せてもらえないから実績を作れない。周囲から「真面目だが要領が悪く、熱意ばかりが先行している青年」と見られていることも、護自身が一番よく分かっていた。

 

「……やっぱり、俺みたいな凡人が普通にぶつかっても、振り向いてもらえるわけないよな」

 

 護は苦笑いを浮かべ、机の中央に置かれた一冊の分厚いノートに視線を落とした。

 

 表紙の角がすり減り、びっしりと付箋が貼られた『観察ノート』だ。

 

 ページを開けば、初星学園のアイドルたちの名前と、彼女たちが日々の練習や四月の新入生歓迎ライブで見せた特徴が細かく記録されていた。歌唱時の呼吸、視線、表情、足運び、さらには緊張したときの癖まで、思い込みだけで判断しないようすべて書き留めてある。

 

 自分には、アイドルとして人を魅了する才能も、作曲家として音楽を生み出す才能もない。

 

 しかし、人間を観察し、その人が最も輝く瞬間を見抜く目だけは、絶対に誰にも負けたくなかった。

 

「俺にできないことは、できる人に頼ればいい。だけど、俺にしかできないことまで諦める理由にはならない」

 

 護は自分自身に言い聞かせるように呟いた。

 

 五月の定期公演『フレッシュアイドル公演』まで、もう時間がない。初星学園では各学期に最低一回、毎月の定期公演に出演することが義務付けられており、五月公演は多くの新入生にとって最初の大きな舞台となる。

 

「才能がないなら、勉強する。知識が足りないなら、教えてもらう。実績がないなら、一つずつ積み重ねる。俺にできることは、まだあるだろ」

 

 護は観察ノートを閉じて使い慣れたカバンにしまい込むと、翌朝の準備を整えてベッドに入った。

 

---

 

 翌朝、午前七時半。

 

 アイドル科特別棟の奥に位置する第4スタジオ『グランドステージ』には、早朝から重低音のテストノイズが響いていた。観客八百人を収容でき、最高峰の音響・照明設備と二階特別招待ブースを備えた学園最大級の多目的ホールである。

 

「おいコラァ! そこの学生! スピーカーケーブルを普通にぐるぐる巻きにするんじゃねぇ! 癖がついて断線すんだろうが、何回言わせんだ!」

 

 ステージ脇の機材搬入口で、厳しい怒鳴り声が飛んだ。

 

 首にタオルを巻き、プロデューサー科の上級生を睨みつけているのは、現場の音響(PA)を仕切る四十八歳のベテラン責任者、轟源治(とどろき げんじ)――通称「源さん」だった。

 

「す、すみません! でも俺たちは授業の実習見学で来ているだけで、こんな雑用はマニュアルには……」

 

「マニュアルだぁ!? 現場のケーブル一本満足に扱えねぇ奴が、ステージの上のアイドルを守れるわけねぇだろうが! 邪魔だ、どいてろ!」

 

 源さんの剣幕に気圧され、上級生たちが逃げるようにホールから出ていく。

 

 源さんが忌々しげに鼻を鳴らした直後だった。

 

「おはようございます、源さん! 外の搬入トラックから、マルチケーブルの予備ケースを運んできました。こちらの壁際に仮置きしてもよろしいでしょうか?」

 

 動きやすいパンツにシャツの袖をまくった護が、重たい機材ケースを抱えて小走りにやってきた。その足元には、キャンパス中を歩き回って靴底がすり減った履き慣れた靴がある。

 

「……おう、護か。今日も早えな」

 

 源さんの強面の目尻がふっと緩んだ。

 

 護は指定された場所にケースを下ろすと、上級生が放置していったスピーカーケーブルを拾い上げ、順巻きと逆巻きを交互に繰り返す「八の字巻き」で手早く束ねてみせた。

 

「ほう、八の字巻きがすっかり板についてきたじゃねぇか。先週教えた時は、まだ手つきがぎこちなかったのによ」

 

「源さんに教えていただいたおかげです。寮に帰ってから、スマホの充電ケーブルや延長コードで毎日練習しましたから」

 

「ハッ、スマホのコードで八の字巻きなんざすんじゃねぇよ、バカ野郎」

 

 源さんは笑い飛ばしながらも、感心したように頷いた。

 

 護はカバンの脇ポケットから、自動販売機で買ってきた無糖のブラック缶コーヒーを取り出し、両手で差し出す。

 

「これ、もしよろしければどうぞ。朝から回線のチェックで喉が渇いているかと思いまして」

 

「おう護、今日もブラックありがとよ。お前は本当に気が利くなぁ」

 

 源さんはプルタブを開け、ブラックコーヒーを喉に流し込んだ。

 

 プロデューサー科の学生の多くは、有名な作曲家や大物には頭を下げる一方で、現場の裏方スタッフを軽く見がちだ。だが、護は違った。担当アイドルが決まらず時間が空いているからと、二週間前から毎日グランドステージの作業に顔を出し、許可された範囲の力仕事を率先して手伝っている。

 

 しかも素人判断で専門領域に口を出したり機材に勝手に触れたりはせず、職人の技術と経験に敬意を払って学ぼうとする。頑固な源さんが護を息子のように可愛がるようになるまで、時間はかからなかった。

 

「源さん、今日の午前中はメインコンソールの立ち上げですよね? もし差し支えなければ、作業の邪魔にならない後ろの席で、イコライジングの調整を見学させていただけませんか?」

 

「ああ、構わねぇよ。ただし、俺の仕事を盗むなら、後でステージ上の照明バトンのウエイト運びを手伝ってこい。照美の奴が人手不足でボヤいてたからな」

 

「はい! 喜んで行ってきます!」

 

 護は一礼すると、ステージ中央へと駆けていった。

 

 そこでは、ショートカットの女性――三十五歳の照明チーフ兼ステージディレクター、灯里照美(あかり てるみ)が、図面を片手に若手スタッフへ指示を飛ばしていた。

 

「いいかい、五月のフレッシュ公演は新入生の初舞台が多いんだ! 立ち位置がズレても顔が暗くならないよう、フロントのエリア照明はいつもより広めにフォーカスを取っておきな!」

 

「照美姐さん、おはようございます! 源さんから、こちらで人手が要ると聞いて参りました。ウエイトの運搬ですね!」

 

「おや、一条ちゃんじゃないさ! 来てくれたのかい、大助かりだよ!」

 

「はい! ……あ、佐々木さん、おはようございます。そのパーライトの箱、半分持ちますよ。隣の高橋さんも、脚立の固定は俺が下を押さえておきますね!」

 

 護は照美だけでなく、照明チームのスタッフ一人ひとりの名前を正確に呼びながら、重い機材を受け取っていった。

 

「ありがとう一条君! いつも助かるよ!」

 

「俺みたいな下っ端の名前まで一発で覚えてくれた学生さん、一条君が初めてだよ」

 

 若手スタッフたちが笑顔で礼を言うのを、照美は腕を組んで頼もしそうに眺めた。

 

「まったく、護くんはたいした子だよ。音響と照明、大道具を合わせて三十人以上のスタッフが出入りしてるってのに、たった一週間で全員の顔と名前を覚えちまうんだからねえ」

 

「いえ、そんな大したことじゃありません。ステージは誰か一人でも欠けたら成立しない場所ですから。一緒に舞台を作るプロの方々の名前を覚えるのは、プロデューサーを目指す者として当然のことです」

 

 額に汗を浮かべ、鉄製のウエイトを運びながら護は真っすぐな目で答えた。

 

「ふふ、そういうところがアタシら職人泣かせなんだよ、一条ちゃんは」

 

 照美はタオルで護の汗を拭いてやると、PA卓から歩いてきた源さんと顔を見合わせた。

 

「ねえ源さん。こんなにも現場が分かってて、アイドルのために泥をかぶれるいい男が、まだ担当ゼロだなんて信じられるかい? アイドル科の連中は、いったいどこに目をつけてるんだか」

 

「まったくだ。マニュアルだのデータだのと抜かす三年のエリート気取りより、よっぽどプロデューサーらしいツラをしてやがる」

 

 源さんは、運搬を終えてすぐにノートを開き、ライトの照射角度をメモし始めた護の背中を見つめた。

 

「ま、見てろよ照美。ああいう不器用で諦めの悪い奴が、最後に一番デカい花火を打ち上げるもんだ。……いつの日か、護が『このアイドルのために力を貸してくれ』って俺たちに本気で頭を下げに来た時は、俺の卓(コンソール)とあんたの照明で、世界一のステージを作ってやろうじゃねぇか」

 

「違いないね! その時はアタシも、とっておきの裏技を全部仕込んでやるさ!」

 

 二人のベテラン職人が交わした言葉に、メモを取ることに夢中な護は気づいていなかった。

 

---

 

 午後の大学の講義を終えた放課後、護は再びアイドル科特別棟の廊下を歩いていた。

 

 五月の『フレッシュアイドル公演』が迫り、各スタジオからはレッスンに励むアイドルたちの声が響き渡ってくる。

 

「お疲れ様です。いつも廊下を綺麗に磨いてくださって、ありがとうございます」

 

 階段の踊り場でモップをかけていた年配の清掃員に、護は足を止めて丁寧に頭を下げた。他の生徒たちが素通りしていく中での誠実な挨拶に、清掃員は「ありがとうねえ、学生さん」と笑顔で頭を下げ返す。

 

 そのまま地下へと続く階段の手前にある大型ダンススタジオ――第1スタジオ『スターライト』の前へやってきた護は、邪魔にならないよう壁際に立ち、扉のガラス窓から中を覗き込んだ。

 

 約三百平方メートルのフロアでは、アイドル科の一年生たちが合同でフォーメーションダンスの練習に汗を流している。護はカバンから観察ノートを取り出すと、真剣な眼差しでフロアの少女たちを追い始めた。

 

(葛城さん……周囲に比べてまだステップの歩幅は小さいけれど、ターンした瞬間の指先の伸ばし方と、鏡を見る真剣な眼差しに特有の品がある。中野君が基礎体力を引き上げれば、後半のパートで一気に化けるぞ)

 

(その隣で軽く流すように踊っている紫雲さん。一見サボっているように見えるけど、体幹のブレが一切ない。重心移動が完璧だから、少ない力で誰よりも美しく見えるんだ。もし彼女が本気で跳んだら、どれだけの高さになるんだろう)

 

 ノートのページに素早く文字と図解を書き込んでいく。さらに護の視線は、スタジオの別の一角で自主練習をする少女たちへと移った。

 

(藤田さんは、カメラや人の視線を意識した瞬間の表情の切り替えが抜群に早い。自分がどう見られれば可愛いかをよく知っている。そして……新入生首席の咲季さん)

 

 護はノートの別ページを開いた。そこには、花海咲季についての膨大な観察記録がびっしりと並んでいた。

 

(今日ここにはいないけれど、昨日の第3スタジオ『プリズム』での咲季さんの動き……高い完成度なのに、なぜかサビ前の高音に入る瞬間だけ、誰かの指示を気にするように呼吸を浅く抑え込んでいた。本当はもっと、床を踏み抜くような強いビートで歌いたいはずなのに……)

 

 まだ担当ですらないアイドルたちの、本人が気づいていないかもしれない魅力と葛藤。護は時間の経過も忘れ、廊下に立ったまま観察ノートを埋め続けた。

 

 そんな護の背中を、少し離れた廊下の柱の陰から、じっと見つめる少女がいた。

 

 赤みのある茶髪を肩から胸元へとふんわりと流した、アイドル科一年生の花海佑芽(はなみ うめ)だ。身を乗り出すたびに毛先が弾むように揺れ、大きな瞳が好奇心できらきらと輝いた。

 

(おぉ~……あのプロデューサーさん、今日もあそこでノート書いてるっ!)

 

 佑芽は柱の陰で息を潜め、護の横顔を見つめていた。

 

 新入生首席として入学した姉・咲季とは対照的に、佑芽はこの春、補欠合格でギリギリ初星学園アイドル科へと滑り込んだ。お姉ちゃんの背中を追いかけ、いつか追いつき追い越したいと願って飛び込んだ学園だったが、入学から数週間が経っても、佑芽の担当に名乗りを上げるプロデューサーは現れない。

 

お姉ちゃんは三年生のエリートプロデューサーと組んで五月の定期公演に向けた練習を進めているし、同級生の手毬ちゃんやことねちゃん、リーリヤちゃん、清夏ちゃんたちも、次々とパートナーを見つけて専用事務所へ通い始めていた。持ち前の明るさで振る舞ってはいたものの、佑芽の胸の奥には「あたしだけ置いていかれちゃうのかな……」という焦りが募る。

 

そんな佑芽が、偶然この青年――一条護の姿を目にしたのは、一週間前のことだった。

 

 最初は、雨上がりの購買部の裏手で、配達員の人が落としてしまった段ボール箱の飲料を、服が汚れるのも構わずに全部拾い集める姿。

 

 次は、早朝のグランドステージで、強面の音響スタッフさんに頭を下げてケーブルの巻き方を教わり、重い機材を抱えて運ぶ姿。

 

 そしてさっきも、誰も見ていない廊下で、清掃員さんに深々と頭を下げてお礼を言っていた。

 

(他のプロデューサー科の人たちは、お姉ちゃんや手毬ちゃんみたいに成績のいいアイドルの前だけでニコニコして、スタッフの人には見向きもしないのに……。あの人、誰も見てないところでも、ずっと誰かのために走ってる)

 

 佑芽の視線が、護のすり減った靴と、ボロボロになるまで書き込まれた分厚いノートに落ちる。あそこに書かれているのが、アイドルたちの輝きを見逃すまいとする記録なのだと、佑芽はここ数日の観察で気づいていた。

 

「……名前、たしか『一条護』さん、だっけ」

 

 佑芽が小さく呟いた瞬間、元アスリートとして数々の勝負を経験してきた彼女の胸の奥が、熱く跳ねた。

 

(まだ担当のアイドルがいないって噂で聞いたけど……そんなの絶対におかしいよ! できないことをごまかさずに勉強して、誰かのために頭を下げられて、あたしたちのことを誰よりも真剣に見てくれる人が、このまま終わるわけないっ!)

 

 最初から何でもできるエリートじゃないけれど、この人なら、あたしの力になってくれそうだ。いや、絶対に学園中の誰もが驚くような大物プロデューサーになる――佑芽のアスリートとしての直感は、そう確信していた。

 

「よし……次のレッスン室へ移動しよう」

 

 廊下の向こうで、護が観察ノートを閉じ、時計を見て駆け出していく。護本人は、自分がこれほど熱心に観察されていることなど少しも気づいていない。

 

 遠ざかっていく足音を聞きながら、佑芽はふんわりとした髪を揺らし、ぱっと笑顔を咲かせた。

 

「ふっふっふ、見つけたぁ……! あたし、あの一条さんのこと、もっと知りたいかもっ!」

 

 担当ゼロの新米プロデューサーと、花海姉妹の運命が交錯する五月の『フレッシュアイドル公演』まで、あと十日あまりに迫っていた。

 

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