騎士学校首席の騎士が辺境領主に「妻を孕ませてくれ」と頼まれるまであとXXX日 作:ネイウ
ロンダンの町中を歩く事数分、領事館が見えてきた···が、とりあえず気になる事を聞いてみる。
「あの、ヴィクトル卿」
「ん?なんだい?」
「この街って男の騎士、居ます?」
「ああ、その事か、うちに男騎士は所属してないよ、君が最初だ」
「はい?」
「まあ、なんだ、領主の趣味というか、なんというか」
もしや···
「あれ、ですか?よく小説になってる悪徳の?」
「いやいや、それは無いよ、むしろ真面目でいい領主だよ」
あれ?
「真面目で良い領主ではあるんだよ、その、ちょっと気持ち悪い視線で私達を見てはいるけど···でも、手は出された事は無いからね」
「はあ···」
何か腑に落ちないけどヴィクトル卿は会話を切り上げ領主の館に招き入れてくれた
「このまま応接間まで案内するね」
と、言ったヴィクトル卿の後に続いて領主の館を歩く···歩いているが
「その、ヴィクトル卿、館内にいる警備の騎士とかメイドさんとかからの視線が···」
「慣れてくれたまえ」
おおう···スッパリ切られた、その後、騎士やメイドからの視線を受けつつ歩いていると豪奢な扉の前に着いた
「さて、着いたよ、ココが応接間だ」
そう言ってヴィクトル卿は扉をノックし
「騎士ヴィクトル、今日到着した騎士ファルケンをお連れしました」
と、声を書けると中から「入れ」と低い声が聞こえた
「おや、珍しい···」
と、小声で言ったヴィクトル卿の言葉の意味を問えないまま応接間に通される
「よく来たな、騎士ファルケン」
そこに居たのは小太りハゲの男性
「ワシが領主のグアンだ、コレからよろしく頼む」
「は、はい!」
と、見た目に騙されて面食らってしまった
「所で、ファルケン、君、酒はイケる口かな?」
「いえ、飲める歳ではありますがまだ経験した事がありません」
「そうか、いずれ君にあったワインを見繕うのも楽しいかもしれんな」
ハッハッハッと笑う領主の後ろから白い人影がゆらりとあらわれる
「貴方、騎士ファルケンは面食らっておいでです」
「む、そうなのか?親睦を深める為の小粋なトークのつもりだったのだが」
「その小粋なトークは今宵開かれるファルケン殿の歓迎会でご披露ください」
と、クスクス笑っている彼女は深窓のご令嬢の様で
「あら?」
スイっとこちらに近付き目を覗き込んでくる、その目は血の様な赤
「貴方の瞳も赤いのね、ちょっとシンパシー感じちゃうわ···」
「アリサ様」
スッとヴィクトル卿に促され離れる女性
「申し遅れました、騎士ファルケン、
「は、はい」
コレがアリサ様とのファーストコンタクトであった。
「では、少々緩いがこれで騎士ファルケンとの顔合わせも終えるとしよう、ヴィクトル」
「はっ」
「彼を宿舎へ連れていってくれ」
「分かりました、ファルケン殿こちらへ」
と促され応接間を退室する。
「さて、これから忙しくなるぞ」
「貴方、お酒は程々に、ね、ファルケンもまだ飲み慣れてないと言っていたのですし···」
という、領主夫婦の会話を後耳に聞きながら扉を閉め宿舎へと向かうのだった。