騎士学校首席の騎士が辺境領主に「妻を孕ませてくれ」と頼まれるまであとXXX日 作:ネイウ
外作業していた騎士達に挨拶しながら宿舎へと向かう、こう見るとホントに女性騎士しかいない。
そしてとある家の前でヴィクトル卿が止まる
「ここが君の宿舎だ」
「これは、豪華な家ですね、ここが宿舎ですか?」
「ああ、一応男騎士宿舎もあったんだが長らく誰も整備してなかったせいか、一ヶ月前に倒壊してしまってね···変わりに領主様の個人宅の一室を使う事になったのさ、ほら、中に入って入って」
ヴィクトル卿に促され家に足を踏み入れると、鼻腔を擽るのは仄かに感じる木の香り
「この香り、木の匂い···?」
何の木かは分からないが何やら高級そうな香りだ
「白檀の香りだね、普段は香木なんて焚かないのに···よほど君を歓迎したかったんだね」
そう言って笑顔を浮かべているヴィクトル卿に促されるまま家の中を進む
家の中は案外質素な見た目の家具が置かれている···が、リビングの机は高級そうな一枚板の天板の机だった
「こう、なんと言いますか···案外地味ですね」
ぽつりと呟いてしまう
「ハッハッ、それはそうだあくまでこっちは寝に帰ってくる家だからそんな所まで高級家具ばかりでは息も詰まるだろう」
「まあ、最近は政務が忙しい様でコチラにも帰れて無いようだけどね、執務室で机に突っ伏して寝てた時はすわ、暗殺か、と緊張が走ったもの」
「そうなんで···ん?暗殺?」
なんか物騒な言葉が聞こえたと思ったら
「あ、しまった···思わず口が滑った···」
ポリポリとバツの悪そうに頬をかくヴィクトル卿
「えーと、だな、領主様は
成金貴族、お金で爵位を買った貴族
「で、その爵位を買うまでにいくらかの家を踏み台にしてしまってソコから恨みや顰蹙を買ってるんだ」
「その家っていうのは···」
「貴族の家だよ、貴族に金を貸して利息で富を得ていたんだ」
「それは、法外な利息で···?」
「いや、詳しくは分からないがかなり良心的な利息だったようだよ、それでも首が回らなくなった家があって···」
それ以上は何も言わず口をつぐむヴィクトル卿
「その家から暗殺者が来る可能性があると···」
「逆恨みも
と、苦虫を噛み潰した様な表情をするヴィクトル卿の足がとある部屋の前で止まる
「おっと、聞き苦しい話は終わり、ココが君の部屋だよ」
ガチャリと扉を開けるとそこにはベッドに机、それにタンスそして窓があり、日当たりは良好、窓際の所に自分の荷物
「いい部屋ですね」
「そうだろう、ココは以前領主の執事が住んでいた部屋でね」
「その執事さんは···?」
「亡くなってるよ」
「え···」
「元から高齢の執事さんで、君が来る2ヶ月か3ヶ月前に天寿を全うしたんだ」
「そうなんですか···後でお墓の場所を聞いても?」
「ああ、構わないよ、君は荷解きをするといい」
そう言って後ろを向くヴィクトル卿
「私は今夜開催される君の歓迎会の準備に向かうとするよ、そうだな···日が沈んだ頃合いで私のメイドを迎えに向かわせるよ」
「分かりました」