ソードアート・オンライン~死神の背を追う蒼炎~   作:畜生ペンギン

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この度は当作品をご閲覧いただき、誠にありがとうございます。

当作品はタグにもあるように、ソードアート・オンラインのホロウ・フラグメントを題材にした、フィリアがメインヒロインの作品となります。

また、現在私が投稿中の《死神と呼ばれた剣士》の外伝でもありますが、こちらもあらすじにもあるように未読でも充分お楽しみ頂ける内容となっております。

まず、今作の第1話から物語を見ていただければと思いますので、どうぞお楽しみください。


プロローグ 名もなき剣士

俺はあの日、初めて英雄を見た。

 

血盟騎士団団長ヒースクリフと、死神と呼ばれる剣士テツヤの戦い。

 

二人が交える剣戟。

あの戦闘スタイルは、言葉じゃ表せないほどのものだった。

 

当時、攻略組ではあれど、そこまで目立った戦績を上げられず、埋もれてた俺にとって、あの人はこの世界における憧れになった。

 

だから俺は、来る日も来る日もレベリングに勤しんだ。

 

苦労の末、レベルだけで言えば俺は上位層にも食い込めるようになった。

 

だが、剣術への自信の無さや、どこか拭えない怖さを抱える俺は、まだ前線では太刀打ちできないと思い、75層攻略に手はあげなかった。

 

76層では、この恐怖にも立ち向かい、あの死神と一緒に戦う。

それを信じていた時に舞い込んだニュースは、俺にとっては信じ難いものだった。

 

───死神、戦死────

 

死神の戦死。

つまりは、英雄の戦死。

 

その知らせを聞いた俺は、攻略組達がアクティベートしたという76層に向け、駆け出した。

 

~~~~~~~~~~

 

76層にあるカフェの中。

2階にいる少女の悲痛な叫びが、1階にも響いていた。

 

「・・・・・・テツヤ君・・・・・・」

 

その名を呼ぶのは、血盟騎士団副団長、閃光のアスナ。

ここに集うのは、死神の元仲間達だった。

 

「あの野郎・・・・・・ふざけやがって・・・・・・!」

 

死神の親友、ショウはカウンター席に座りながら、行き場のない怒りをカウンターへ拳ごと叩きつけていた。

 

「ユウキは大丈夫なのかしら・・・」

 

ピンク髪の少女、リズベットが2階を見上げながらそう呟く。

 

ユウキ。

 

死神の恋人にして、ゲーム内とはいえ結婚をしていた少女は、死神の行く末を知り、1時間以上泣き叫んでいた。

 

「ヒースクリフ・・・・・・アイツだけは絶対に許さない・・・・・・!!!!」

 

拳を強く握り、現実であれば血が溢れていたであろう程の悔しさと怒りを露わにするのは、黒の剣士。

そして、この世界で唯一二刀流を背負うことを許されたキリト。

 

多数の仲間がいたが、全員の顔は強ばっていた。

 

理由は、数時間前の75層での出来事に遡る。

 

75層のボスを攻略した後、血盟騎士団団長であるヒースクリフに死神とキリトが攻撃を仕掛けるが、それが通らず、破壊不能オブジェクトと表示される。

 

ヒースクリフの正体はソードアート・オンラインの製作者である茅場晶彦であり、彼がそこで指名したのは死神。

 

死神が一騎打ちで戦えば、このゲームから生還させると約束させられたことで、死神がそれを受諾。

 

二人は一騎打ちに臨む。

 

最後の戦いともあり、皆は祈った。

 

死神の勝利を。

 

だが、そこで不可解なことが起こったのだ。

 

『いい加減終わらせようぜ・・・俺は勝って・・・皆を生還させる!!!』

 

死神の持つ刀から黒い衝撃波が放たれ、それをヒースクリフが盾でガードした瞬間、謎の異空間が現れ、戦っていたヒースクリフと死神は吸い込まれようとしていた。

 

『くっ・・・・・・イレギュラーが起きたか・・・・・・テツヤ君・・・・・・勝負は預けるぞ・・・・・・!』

 

まず、ヒースクリフが吸い込まれて行った。

 

死神は剣を地面に突き刺し耐えていたが、それもままならずに吸い込まれようとしていた。

 

その瞬間、死神の彼女が彼の左腕を掴んでいた。

 

『ユウキ!?駄目だ!!!俺の腕を離せ!!』

 

『嫌だ!!!!絶対にこの手は離さない!!!』

 

ユウキの行動を支えるように、アスナやキリト等、この場にいた全員が彼女に協力するが、異空間の吸引は収まることなく、寧ろその力を増していた。

 

『・・・・・・ユウキ。』

 

死神の一言にユウキが顔を上げると、彼は笑ってこう言った。

 

『ありがとう、愛してるよ。』

 

その一言の後、彼は自身の左腕を切断し、異空間に呑み込まれるように消えていった。

 

死神の消滅をもって、異空間もその役目を終えた様に消滅して行った。

 

『て・・・てつ・・・や・・・?』

 

彼女の持つ死神の左腕は、耐久値を無くし、まるでガラスのように砕け散った。

 

『あ・・・・・・やだ・・・・・・ゃだ・・・・・・そんなの・・・・・・やだ・・・・・・!』

 

『お、落ち着いてユウキ!まだテツヤ君が死んじゃったと決まったわけじゃ・・・・・・』

 

『うるさい!!!!!!!じゃあテツヤはどこに行ったの!?ねぇ!!!!!答えてよアスナ!!!!!!!』

 

『っ・・・・・・それは・・・・・・』

 

『なにも答えられない癖に気休め言わないで・・・・・・!!!!!!!』

 

ユウキとアスナ。

元々は親友の仲だったのだが、その一件をもって2人は袂を分かつことになった。

 

その後、キリトによって76層がアクティベートされ、テツヤの安否を確認しに第1層に転移しようとしたが、何故かできない。

 

そこでキリト達は、祈るようにまだ下層にいたリズベットとシリカにテツヤの安否確認を依頼。

 

皆祈っていたが、リズベットから来た返答は最悪の物だった。

 

『・・・ない・・・あいつの・・・テツヤの名前・・・』

 

『な、名前がない!?どういうことなのリズ!?』

 

『わかんないわよあたしにだって!!!でも・・・テツヤの名前があったんだろう場所・・・・・・そっくりそのまま消えてるのよ・・・・・・!!!』

 

『き、キリト君!?ベータテストの時こういうことあったの!?』

 

『・・・・・・あった・・・・・・』

 

キリトでは無く、アスナの問いに答えたのはショウだった。

 

『確か記憶が正しければ、ベータテストの時に何かしらの不正行為やバグの悪用者は、リズが言ってくれたように名前が消えるんだ・・・そしてプレイヤーは強制的に1度"殺され"、二度とログインできないようにされる・・・・・・』

 

殺される。

 

ゲームであれば通常、殺されても生き返るのが普通だが、このゲームはゲームオーバー、即ち現実での死が待ち受けるデスゲーム。

 

ショウのその言葉が意味するのは、死の神の名を冠する剣士の死だった。

 

『ぁ・・・・・・ぁ・・・・・・やだ・・・・・・やだやだ・・・・・・やだ・・・・・・そんなのや・・・・・・嘘でしょショウ・・・・・・嘘って・・・・・・言ってよ・・・・・・』

 

ショウに縋るユウキだったが、彼は何も言わず、ただ悔しそうに拳を握っていた。

 

『ねぇ・・・・・・テツヤは生きてるんでしょ・・・・・・ボク信じないよ・・・・・・また・・・・・・生き返るんでしょ・・・・・・?』

 

過去、彼はある出来事でゲームから強制的にログアウトをしていた際にも、この世界では死と扱われていたが、奇跡的な生還を遂げた経緯がある。

 

その為、ユウキはそれに縋ったが、アスナが重い口を開いた。

 

『ユウキ・・・・・・あの時はテツヤ君の名前もあって、死亡理由も書かれてた・・・・・・でも・・・・・・』

 

『・・・・・・畜生!!!!!!』

 

ショウは街中にある木箱を蹴り壊し、怒りを表していた。

 

キリトも立っていられず、その場で膝を付き、拳を地面に叩きつけながら涙を流していた。

 

『リズ・・・・・・嘘なんでしょ・・・・・・嘘っていって・・・・・・ボク・・・・・・ボクのテツヤは・・・・・・』

 

『・・・・・・ユウキ・・・・・・!』

 

通話を繋げていたリズベットからも泣き崩れる声がする。

シリカがそれを支える声も聞こえるが、彼女も声にはなっていなかった。

 

『嫌だ・・・・・・あぁ・・・・・・テツヤ・・・・・・テツヤァ・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!』

 

その後、ユウキはその場で泣き崩れた。

 

大好きな死神の死。

 

それを実感すると、涙を止められずにはいられなかった。

 

『ゆ、ユウキ!』

 

アスナが彼女に近寄るが、ユウキは差し伸べられた手を振り払った。

その勢いで、ユウキの手がアスナの頬を打つ。

 

『なんで・・・・・・なんで何時も何時もテツヤばっかり・・・・・・!何時もボク達ばかりがこんな目に遭わなきゃいけないのさ!!!』

 

『ユウキ・・・』

 

『・・・・・・もう攻略なんてどうでもいい・・・・・・テツヤが・・・・・・テツヤ・・・・・・・・・!!!』

 

ユウキはそう言うと、皆の目の前にあったカフェへ入っていった。

その後、皆の前から姿を消し、彼女の泣き声だけが聞こえていた。

 

「・・・・・・テツヤさん・・・・・・本当に・・・・・・死んでしまったのでしょうか・・・・・・」

 

「・・・・・・クソ!!!」

 

生まれてからずっと親友だったショウは、何度もテツヤの死を実感すると、店内の物を壊す勢いで暴れていた。

 

エギルがそれを取り押さえるのだが、彼はそれでも尚止まらなかった。

 

本来のショウは、こんな風に感情を爆発させる男ではない。

 

冷静沈着で、死神とは正反対の男だった。

 

そんな彼がここまで取り乱している。

その事実が、嫌でも死神の死を実感させた。

 

そんな時だった。

 

店内のドアが勢いよく開き、息を切らした少年が飛び込んできた。

 

赤い髪が目立ち、175cm程の背丈。

特徴的なのは端正な顔立ちに、真っ直ぐな赤い瞳を持つ少年だった。

 

「今日は店はやってねぇ・・・明日から来てくれ・・・」

 

「な、なぁ!アンタら死神の仲間だろ!?閃光のアスナに黒の剣士キリトにショウ!」

 

「誰だテメェ・・・今気が立ってんだ・・・話しかけんな・・・!」

 

「俺が聞きたいのはただ1つ・・・死神は死んだのか・・・!?」

 

少年のその一言に、皆が彼へと視線を向け、ショウがエギルの拘束を引き剥がしていた。

 

「言ったよな・・・気が立ってるんだ・・・次それに似た言葉言ってみろ・・・お前を殺すぞ・・・!」

 

「ショウ・・・アンタあの人の親友なんだろ・・・アンタがその反応するってことは・・・そうか・・・でも、絶剣はどうしたんだ?」

 

絶剣。

 

それは、死神の彼女であるユウキの2つ名。

 

ショウはそれを聞くと、拳を握り少年を殴っていた。

 

「っ!?な、何すんだよ!?」

 

「・・・・・・お前が誰だか知らねぇがよ・・・・・・テツヤのことわかった風に言ってんじゃねぇよ・・・・・・もう一度言う・・・・・・この場から出ていかねぇと殺すぞ・・・・・・!!!!!!」

 

「ショウの言う通りだ。明日、詳しい話をしてやるから今日は帰れ。」

 

エギルのその一言に、少年は一礼すると、カフェから去っていった。

 

「・・・・・・やっぱ死んじまったのか・・・・・・1度でいいからアンタと戦ってみたかった・・・・・・」

 

少年はそう言いながら街中に転がる石ころを蹴り飛ばそうとしたが、そこで原因不明の転移の光に包まれる。

 

「な、なんだ!?」

 

唐突に包まれた光に彼は導かれ、どこかへと転送されたのであった。




第1話であるプロローグは簡単に各キャラクター達の紹介、始まりのきっかけのようになりましたが、いかがでしたでしょうか。

ただ、このプロローグでは主人公の見た目は明かされましたが、その名はまだ秘められたままです。

その名は、既に投稿されている第2話で明かされます。

なので、第2話もこのままお楽しみいただければと思います!
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