ソードアート・オンライン~死神の背を追う蒼炎~   作:畜生ペンギン

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今回はシンが攻略組の面々と合流し、死神について知る回になります。

皆様もシンと共に、死神についてを簡単に知っていただければと思います。

それではどうぞ!


第5話 76層攻略へ向けて

あの後、俺はエギルのおっさんを通じて死神の仲間達に合流することになった。

 

夢なんかじゃない。

傍には、あの閃光のアスナや黒の剣士キリト、風林火山のクラインがいる。

 

ショウには余り歓迎はされなかった。

でも、今はそれを気にする気はなかった。

 

俺は死神を超える。

 

その為なら、他人からの評価はどうでも良かった。

 

「クライン!」

 

「おう!」

 

その日、俺はクラインと共に76層迷宮区へと向かっていた。

 

なんでも死神の兄貴分がこの男だったとかで、半信半疑ではあったが、共に戦った今ならわかる。

 

死神や黒の剣士が目立ちすぎているだけで、この男は確かな実力者だ。

 

「やるじゃねぇかシン。正直テツヤを越すって言ってた時は夢語ってんじゃねぇと思ったが、お前ならそう遠くはないかもしれねぇな。」

 

「褒め言葉と受け取るよ。ところでクライン、迷宮区も恐らく残りわずかだ。2人だからこそ聞きたいことがある。」

 

「お?俺のタイプの女とかか?」

 

「んなのどうでもいい。死神のことを聞かせてくれ。」

 

「テツヤ?アイツはなんつうか・・・ガキだな、ガキ。」

 

「ガキ?あの英雄が?」

 

「あぁ、ユウキちゃんのことになると血相変えるし、俺が言った冗談も真に受けるくらい純粋なところもある。だけどアイツは強え。見てて呆れるくらいにはな。」

 

「どうして強いんだ。俺はあの人と肩を並べたことがない。アンタはあるのか?」

 

「あるさ。俺が思うに、アイツの強さは"守るための強さ"だな。それこそユウキちゃんだろ?俺やキリトにアスナさん、他にも色んな奴らの命をアイツは1人背負い込んでたんだ。」

 

「守るため?」

 

「この世界は死んだら終わりだ。なのにアイツは、自分が死んだって良い、そんな気概を持ってたよ。ユウキちゃんに対しては特にな。俺が死のうがユウキが生きてるなら良い。そんな男だよ、あの野郎は。」

 

守るため・・・・・・それなら、俺のイージスだってそうじゃないか・・・・・・!

 

「後、アイツは俺に似て来たな。」

 

「アンタと?」

 

「あぁ、最初はガキらしく女なんてとか言ってた癖に、彼女持った途端、『なぁクライン、ユウキを誘うにはどうすりゃ良いんだ・・・!?』とか真面目な顔して聞いてきやがってよ!酒飲んでたからか知らねぇが、あんときゃ笑いこらえんの必死だったぜ!」

 

「酒?死神は大人なのか?」

 

「いや、学生らしい。でも、アイツはこの世界を誰より楽しんで、誰よりも輝いて、そして死んだんだ・・・・・・」

 

そう言うクラインの表情は、先程まで楽しそうに語っていた時とは正反対だった。

 

「あの野郎・・・ユウキちゃんを残して逝きやがって・・・俺だってまだアイツに感謝の『か』の字も伝えてねぇんだぞ・・・!?なのに・・・アイツあんな笑って死にやがって・・・!」

 

「・・・・・・そうか・・・・・・死神ってのは笑って死ねる男だったんだな・・・・・・」

 

「シン。一緒に戦った仲だ、おめぇは死ぬなよ。アイツ見てぇに守るとか大きなことは言えねぇ。けどよ・・・・・・もう仲間が死ぬのは沢山だ・・・・・・」

 

クラインは本当に悔しそうな顔で、死神の死を悔しがっていた。

 

俺にはとてもそんな顔出来ない。

そう思う程だった。

 

~~~~~~~~~~

 

クラインと俺で迷宮区を無事乗り越え、ボス攻略は明後日に控えていた。

 

そこで、閃光のアスナがボス攻略前の段取りを組んでいた。

 

「76層にいるのは私達を入れても30人足らず。テツヤ君不在の今、前衛の穴は顕著だね・・・」

 

「ユウキもいないしな・・・新加入のリーファにリナ、それにレイ、シノン、そしてシン。皆には期待したい。」

 

黒の剣士がそう語る。

 

俺以外の4人も確固たる実力の持ち主らしい。

 

だが・・・・・・

 

「でも・・・・・・リナちゃんは・・・・・・」

 

リナはどうやら死神の実の姉らしい。

 

元々はこの世界にいないはずなのだが、訳あってリーファと共にここに来たとのことだ。

 

理由は聞いてないが、死神・・・弟が死んだんだ。

塞ぎ込むのも当たり前か・・・

 

「・・・・・・でもよ、俺達はもう切り替えねぇとな。キリト、アスナ。」

 

そう言って立ち上がったのはショウだ。

 

どうやらここ数日間荒れに荒れてたらしいが、いつも見る表情に戻っていた。

 

「レイ、シノン。2人にも協力してもらい済まないとは思うが、ここに来た以上は頼りにしたい。」

 

「テツヤさんの実力は僕には分からない。だけど、期待以上の戦果は上げるつもりだ。」

 

「えぇ、援護は任せて。」

 

「後はお前だ、シン。」

 

ショウは俺を睨みつけるように視線を移した。

 

「死神超えんだろ。ボス攻略でヘボい真似してみろ。俺はオレンジプレイヤーになっても良い。」

 

「・・・・・・つまりアンタに認められなきゃいけねぇんだろ・・・・・・上等じゃねぇか・・・・・・!」

 

「じゃ、じゃあ前衛には基本キリト君とリーフちゃんとシン君にお願いすることにするよ。お願いね、シン君。きっとテツヤ君も君のこと見てるから。」

 

死神、アンタ見てんだろ。

 

その目離すなよ。

これは、この世界にアンタを超える剣士が生まれる戦いなんだ・・・!

 

・・・・・・なんて、意気込んではいたが、俺の足の震えは止まることを知らなかった。

 

~~~~~~~~~~~

 

作戦会議の翌日の夜、俺はいても立ってもいられなかった。

 

俺は超える。

死神を。

 

でも怖い。

明日死んだら俺は死ぬ。

 

その恐怖心が、俺を眠りにつくことを許さなかった。

 

「クソ!イージスでも振って疲れてくれば・・・」

 

布団を蹴飛ばすように退かし、部屋のドアを開くと、目の前には驚いた顔をした黒の剣士がいた。

 

「おぉ、ジャストタイミング。」

 

「黒の剣士・・・なんで・・・」

 

「キリトで良い。シン、死神を・・・テツヤを超えたいって言ったな。」

 

「あ、あぁ。そうだ。俺は死神を・・・」

 

「でも、君はテツヤと肩を並べたことがないんだろ?なら、少しでも教えておこうと思ってさ。テツヤの強さって奴を。」

 

「死神の強さ・・・クラインが言ってた守るための力か?」

 

「半分正解だな。残りの半分を教えるよ。」

 

死神の強さはまだ足りないのか。

 

そう思った俺は、黒・・・いや、キリトを部屋に上げた。

 

「教えてくれキリト。死神の強さってなんなんだ。」

 

「確かにクラインが言ったように、テツヤの強さは守るための物だ。俺の死に物狂いで生き残るとは違ってな。」

 

「死に物狂いでって、それが正解だろ?死神は違うのか?」

 

俺の問いに、キリトは首を振って答えた。

 

「守るため。そしてアイツは"ユウキの為"に剣を・・・天鎖斬月を手にしたんだ。」

 

「ユウキ・・・絶剣か・・・」

 

「あぁ。74層の時だ。アイツ、自分がまだ覚えたての力のせいで疲労困憊だって言うのに、ユウキの危機に駆けつけたんだ。俺は目の前の敵から生き残るのに必死だったのに、テツヤは自分のことなんて度外視していた。」

 

「でも、それってつまり守る力じゃ・・・」

 

「違う、守るためは二の次だ。テツヤにとってはユウキこそが全てなんだ。否定するだろうけど、きっと俺やアスナなんてユウキに比べられたら見殺しにされる気がするよ。でも、だからこそ強いんだ。シン、君にはあるか?」

 

「な・・・何がだ・・・?」

 

「俺が死んだっていい。この子さえ守ることができたらと思う程、大切な人が。」

 

キリトからの問は、俺に答えられる訳無かった。

 

そんな相手、この世界でできたこともないのだから。

 

「無理に答えなくていい。でも、テツヤを超えるってことはそういうことになる。俺にはとても真似出来ない。学ばされたよ、本物の強さってなんなんだろうって。」

 

「1つ聞かせてくれ・・・キリトと死神、戦ったことは?」

 

「あるさ、通算では五分五分だ。」

 

「五分五分・・・!?黒の剣士キリトと・・・!?」

 

「あぁ。俺が勝った時だって紙一重だったし、あいつに負けた時も紙一重だった。何度も剣を交えたけど、簡単にどっちが上なんて言える相手じゃなかったよ。」

 

「・・・じゃあ、死神とキリトは互角なのか・・・?」

 

「少なくとも、俺はそう思ってる。ただ・・・最後まであいつの底がどこにあるのか、完全には分からなかったけどな。悔しいし、もうテツヤと一緒に過ごすこともできないと思うと・・・やるせないんだ・・・己の不甲斐なさが・・・!」

 

まただ。

死神を語る皆は、必ず悔しそうに拳を握る。

 

俺が死んだ時なんて、1人死んだ程度に終わるだろうに。

死神は死して尚、皆の心に残ってんだ。

 

エギルのおっさんが言ってたことが、何となく理解できた気がした。

 

「・・・話が逸れたな。俺が思うテツヤの強さって、守る為と自己犠牲の極地だと思う。だからシン、1つ忠告だ。」

 

「な、なんだ?」

 

「死神を超えたいのは立派な志だ。捨てないで欲しい。ただ、あの人みたいになりたい、あの人を超えたいって生半可な覚悟なら・・・・・・迎えるのは犬死だ。だから君はテツヤの強さを模倣するな。シンはシンらしく、テツヤを超えてくれ。」

 

「っ・・・死神を・・・俺らしく・・・!?」

 

今まで、死神ならこうする。

あの人ならあぁ考える。

 

それがほとんど行動原理だった俺にとっての過去が、無意味だったことを表していた。

 

「あぁ。俺もきっと超えてみせるさ、あのデカすぎる背中をな。一緒に成し遂げようぜ、死神超え。」

 

そう言ってキリトは手を差し出した為、俺はその手を握り、握手となった。

 

だが、死神を超えると息巻いていた俺にとって、改めてあの人はデカすぎて、遠すぎる。

 

幾ら殴り続けようとこじ開けられず、そんな扉を前に俺は拳を下ろし、膝も折っていた。

 

死神・・・・・・改めて感じさせられた。

 

俺の目標であり、遠い背中だった。




クラインやキリトから死神について知らされたシン。

ずっと憧れた人物の動きを模倣し続けたシンだが、キリトから模倣するなと言われ、過去が無意味だったと考えさせられてしまう。

次回のボス攻略戦、シンはどんな動きを見せるのか、乞うご期待!
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