青春ブタ野郎と全力野球バカ   作:浜の小さな大魔神

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どうもみなさんこんにちは
浜の小さな大魔神です。
牧之原翔子が遠すぎる。
なるべくサクサク行くよう頑張ります!


バニーガール先輩1

「野生のバニーガールに会った」

 

咲太から言われたあまりに突飛な内容

そもそもなんだ?野生のバニーガールって

人が飼っているバニーガールなんているのか?

てか,会ったからなんなんだ?

言いたいことは山ほどある。

普段だったら「頭でも打ったか?」と

小馬鹿にして終わる程度の話なのだが

なぜだか今回は聞かなきゃいけない気がした。 

 

 

「そりゃいいこともあるもんだな」

「おぉ珍しいな。博己がこの手の話に乗るの」

「野生って言い回しが気になってな」

 

 

詳しい話を聞いてみると

どうやら5/6に図書館で

バニーガール姿の桜島麻衣に会ったらしい。

 

どんな気持ち悪い夢見たんだこいつと

普段ならドン引きなのだが,その話が

あとひとつ気持ち悪さを残した俺の疑問を

解消してくれる気がした。

 

 

「それがな,なんだか誰にも見えてないみたいなんだ」

「見えてない?あの国民的女優がか?」

「あぁ、しかも際どいバニー姿だ。すごい眼福だった」

「お前の鬱陶しい性癖に興味はねぇ。だが確かに変だな」

「だろ?あんな綺麗な人のバニー姿なんてみんな釘付けになるはずなのに,図書館にいた人たちはみんな気がついてないみたいだったんだよ」

 

 

これだ。

きっとこれなのだ。

 

この前,俺が桜島麻衣に対して感じた違和感

初対面だというのに,強烈に残った「嫌な予感」

これがその正体だ。

 

そうだ。

「見えていない」のだ。

桜島麻衣がいるというのに

誰1人として,あの時も見えていなかったのだ。

 

だから,俺もこの前あったことを話した。

 

 

 

 

 

「実はな咲太ーーーー」

 

俺がこの前あったことを

一通り話すと咲太は

少し神妙な面持ちで

こう答えた。

 

 

 

「ところで,バニーガールは好きか?」

「人の話聞いてたのかブタ野郎」

 

 

あまりにも脈絡なさ過ぎてびっくりした。

電車に乗っていると,国見が乗ってくる

 

 

 

「なぁ,国見。バニーガールは好きか?」

「そうでもないな」

「じゃあ大好きか?」

「あぁ、大好きだな」

「なんだこのクソみたいな会話」

「だって男の夢だろ?」

「夢は夢であり続けてくれ」

 

 

 

校舎に向かう傍ら

視線の先に桜島麻衣を見つける

あいも変わらず1人ぼっちの

登校のご様子を見る限り

優良な友人は使っていないと見える。

 

 

隣では咲太が佑真と何やら話していたが

不意に咲太が言い放った

「誰かといるの見たことないよな」

という言葉に,さっきの話となにか

何か繋がりがあるかのような引っかかりを覚えた

 

 

歯に挟まってた小骨が,思いの外大きくて

段々と無視できなくなっていくような不快な感覚

快晴の天気とは裏腹に,心模様はどんよりとしていた。

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

咲太曰く,学校という社会の枠組みの中で

一度成熟した空気感というものは如何ともし難いらしい

その中で桜島麻衣という強烈な異分子は

浮くことに否定的な生徒にすれば劇薬で

絡むことを求めない本人の気質的な部分もあってか

本人が勤めて無反応,無関心を貫くこともあいまり

桜島麻衣という存在は生徒にすれば触れられない

存在しているのに存在していないような状態らしい。

 

 

正直,友人などというものは話しかければ

ある程度までは勝手にできるもんだから

話しかけて見て,察してみればなんとかなるを

人生の基本方針にしてきた俺にはちょっとわからない

考え方の方向性ではあった。面白くはあるが。

 

 

昼休みになると

なにやら,咲太が上里が話していた。

どうやら随分言い合いになってるけど

大丈夫か?あれ

 

 

「死ねバカ!絶対死ね!!」

 

 

ありゃ,まーたあのバカか地雷踏んだな

 

 

「なーにキレてんの?上里」

「なにが!?キレてないんだけだと!」

「いや,落ち着けよマジで」

「星野も,中学からの知り合いだからって無理して梓川なんかと付き合ってないでいいじゃん。デリカシーないし,病院送り事件のことだって、」

 

 

病院送り時間

梓川咲太という人物が

現在に至るまだぼっちになりえた

最大の要因であり,俺と咲太が

峰ヶ原高校に通う理由になった事件。

 

 

「それ言ったら,俺もその事件の当事者じゃん」

「アンタは被害者でしょ?それとも,昔ヤンチャしてたみたいな話でもしたいわけ?」

「いやぁ、そう言うことじゃねぇけど」

「アンタは交流をしようとして接してくるだけマシよ。評価は変えられるの。それと,アンタや佑真はいいと思ってるかもしれないけど,あいつと喋ってるってだけで周りから浮いてんだよ?」

「別におれは気に入ったやつと一緒にいるだけで,知りもしない,俺の人生に関わることもない赤の他人の評価にそんな興味ない。」

「あっそ。なら勝手にすればいいけど「それと」、何よ」

「咲太はデリカシーもなければ,元気も覇気もない。死んだ魚みたいやつだが,悪人じゃない。」

「何が言いたいのよ」

「上里は俺の友達の彼女で,比較的話すことの多いクラスメイトだ。だから忠告。軽々しく人の噂程度でその人間の評価を形作るのはやめろ。実際に接して,それでも嫌いならいいが,今のお前がやってるのはネットの誹謗中傷と同じだ」

「、、、、、確かに言い過ぎたわよ。悪かったわね。でも!私あいつのこと嫌いだから!生理とか言うのマジありえないし!」

「それはあのバカが悪い。」

「でしょ!じゃあ,私戻るから!」

「あーいよ。佑真によろしく〜」

 

 

上里は基本的にいいやつなんだがなぁ

あの言い草というか,猪突猛進なところを

少し軽減させるだけでだいぶ話が違うのだが

 

 

「難しいだろうなぁ」

 

 

それができるなら,咲太は

あんなことにならなかったし

俺もあいつも,この高校にいない

人間はかくも、難しく、御し難い生き物なのだ。

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

帰りは咲太と2人で歩いていた

七里ヶ浜の駅について

ホームを見ると,桜島麻衣がいた。

学校の生徒なのだから放課後にいるのは

特段不思議じゃないのだが

それにしても,不快なものが目についた。

 

 

「あれって桜島麻衣じゃない?」

「うぇ!本当じゃん!!写真撮っちゃおうぜ」

「やめなよ〜」

「いいじゃん別に」

 

 

他人のこういうわきまえない行動は

相変わらず反吐が出る。

なぜ他者のプライベートにここまで

無頓着に踏み込んで荒らしていけるのか

俺には全くもってわからない。

きっと,そんな高尚なことは考えておらず

目についたものに飛びついてるだけなんだろう。

 

「猿が」

 

口から溢れるように出た言葉

普段なら言わないような言葉が

今日はなぜか零れ落ちた。

 

そして,それをみた咲太は

おもむろにカップルの前に行って

何か言い合いを始めていた

珍しくキレてる、、、、いや,当たり前か

あいつやっぱりネット関係のこと触れさせちゃダメだな

 

 

「おいアンタ。彼女が女優業してる時は知らないけど,今はプライベートだ。それは盗撮って言うんだ,知らなかったか?」

 

「あ,お前までなんなんだよ!」

 

「知らない奴に【お前】なんて馴れ馴れしく呼ばれたくねぇなぁ。ましてや,女子高生に鼻の下伸ばして盗撮する変態野郎によぉ。今ならまだ引っ込みつくぞ?マジどっかいっとけよ。な?」

 

「ちぃっ!!お、覚えとけよ!!」

「ねぇ、もう行こうよ!」

 

 

三下極まりないセリフを吐いて

立ち去っていくのを見送った

全くもって,弁えない行為をする連中だ

全くもってどしがたい。

大体、、、、

 

 

「いちいち覚えてるわけねぇだろ三下」

 

 

 

 

今日はやけに独り言がよく溢れる

自分の中の水桶はどうやら想像以上に

水を多量に含み,溢れるほどだったらしい。

 

 

咲太は桜島麻衣と話していた

あの咲太が他人の,ましてや

普段関係すらない奴のために

何かするなんて意外だった。

牧之原翔子以外に興味を持つとはな

 

 

 

 

牧之原翔子

 

 

俺と咲太を救ってくれた女性

俺は彼女に会って,想いを伝えるために

咲太も彼女に直接,あの時の感謝を伝えるために

それぞれこの学校に来たのだ。

 

だと言うのに、、、、

彼女はどこにもいなかった。

どこに行ったと言うのか

伝えたいことも,教えて欲しいことも

聞きたいことも,話したいことも

たくさんあると言うのに、

 

 

「どこ行ったんだよ。マジで」

 

考え事をしていたら

咲太に呼ばれた

電車が来たようだ

その前に桜島麻衣には電話が来ていた。

ガン無視してたが良いのだろうか?

まぁ、本人の判断だいちいち詮索するのも野暮か

 

電車に乗ると

席は二つ空いていた

俺は立ってるつもりだったので

2人に席を譲り、吊り革持って俺が塞いでる

側から見たらカップルにカツアゲでもしてる

とんでもない奴みたいな絵面になっていた。

 

 

気にも留めず2人は話し始めた

 

「昨日のアレですけど」

「忘れなさいと忠告したわよね」

「あのバニー姿はエロすぎて忘れるの無理でした」

「ちょ!ちょっと!!私を想像して変なことしてないでしょうね」

「桜島先輩,声でかい」

「え、あっ、、、」

「別に,年下の男の子にえっちな想像されるくらい私は平気だけどね」

「その言い訳はもう無理でしょぉ。てか,相っっ変わらずデリカシーって言葉を母親の子宮におき忘れてきたやつだなぁ咲太。もうそのデリカシーのなさは尊敬に値するよ」

「うるさいぞ野球バカ」

「ところで,梓川くん」

「僕の名前覚えててくれたんですか」

「君の噂見たわよ。暴力事件を起こして,同級生3人を病院送りにしたとか。あと君もよ,星野くん。高校生を何人も病院送りにしたって」

「病院送り事件っすね」

「興味を持ってもらえて光栄です」

「まぁ,お前のは根も葉もない噂だけどな」

「貴方は違うの?」

「はい。ガッツリ正当防衛とはいえ過剰にやらかして鑑別者にぶち込まれてましたし。それで推薦消えたからここに来たので」

「本当だったのね。それにしても,すごいわよね。こんな一個人の情報まで堂々とさらされるんだから」

「ここまで書かれてるとは知りませんでした」

「俺はよく記者が来たから知ってるぞ」

「お前はその記者訴えてただろ」

「社会的に抹殺してやったのだ」

「何があったらそうなるのよ」

 

 

パパラッチがあまりにうるさかったので

知り合いの弁護士に頼んで会社もろとも訴えた

おかげで学費は現在無料である。

 

 

咲太は携帯を持っていない。

理由は合格の日にあいつが

無駄にハイテンションな中

海に向かって全力投球したからだ

色々と事情はあったのだが

まぁ,それは割愛しよう

あの行為を不法投棄と言われていたのは

流石に面白くて笑ってしまった。

 

 

「君友達いないでしょ」

「友達なら3人もいます」

「3人は【も】かしら?」

「3人いれば十分です。そいつらと一生友達するんで」

「ふぅーん」

「ところでなんですけど,俺や咲太の件,どう思いました?」

 

こいつも同じことを言い出すなら

咲太はともかく,俺は距離を置こう。

親友の恋路は応援してやりたいが

それでも,俺はそんな奴を好きになれない

 

「少し考えればわかるでしょ。貴方も梓川くんも,本当に大それたことをしたなら,平気な顔して高校に通えるわけがない」

「そのセリフ,クラスの連中に聞かせてあげたいなぁ」

「全くだ。バカはすぐ流されるから困る)

「違うなら違うと言いなさい」

「噂って空気みたいなもんなんですよ」

「読まないとダメ,読むことがルール,そして,空気の張本人には当事者意識が欠落してる。そんな中で事態の張本人が声を上げても事態は変わりませんよ」

「空気と戦うなんて馬鹿馬鹿しいですって」

「だから空気はそのままにしてーーー

 

ーーー戦う前から諦めるんだ」

 

 

顔を上げた彼女の顔と

考え込むように沈む咲太の顔は

どのようにも取れる複雑な心境を

表していて,どうにも声をかけることに憚られた。

 

 

沈黙を破ったのは,意外にも咲太だった。

「次は,先輩が話してくれる番ですよ。昨日のあれはなんですか?」

「あぁ、それ俺も気になってた。どう言う状況だったかは咲太から聞きましたけど、、、」

 

本人は話始めた。

6歳での芸能界デビュー

華々しいドラマの主演

まさに一躍時の人であり

マルチタレントとして,彼女を

テレビで見かけない日はなかった。

CM,ドラマ,映画,バラエティ

最初の頃は楽しかったそれも

いつのまにか「桜島麻衣」という

側だけを見られるようになってきて

彼女は願ったのだと言う。

 

 

  ーーーー自分のことを誰も知らない世界に行きたいーーーー

 

そして,訪れたゴールデンウィーク

4連休の頭に,事態は変化した。

水族館で,人に自分が見えてないことがある

と言うことを感じたらしい。

その後の喫茶店でも,まるで

自分の存在が認識されていないようだったらしい。

 

 

「前に出禁食らってたとか?」

「そんなわけないでしょ?」

「咲太お前もうなんと言うか,,すげぇな」

 

咲太は踏まれて嬉しそうにしていた

大変気持ち悪いので距離を置きたくなった。

冗談はさておいて,そこから藤沢に帰ると

皆自分のことは認識していた。

だから,不思議なその現象を特定するために

彼女はバニーガールの格好をしていたらしい。

そして,今日もその格好をしようとしていたらしいのだが

そのタイミングで事件が起きた。

 

 

「すいません。クリームパンひとつください」

 

 

店員は反応しない

忙しい雰囲気はない

客もいないし,レジの作業をしているだけだ

再び声をかける。

次はもっと大きな声で

それでも反応は特になかった。

 

 

見かねた咲太が声をかけると

普通に店員が反応した。

ってことは、、、、

 

 

「なぁ、咲太。これってさ」

「あぁ、わかってる」

 

 

「君たちは信じてくれるの?この馬鹿げた話を」

不思議そうに,不安そうに

桜島麻衣はこちらにはなしかけてきた。

 

「まぁ,目の前であれ見たらねぇ」

「それに僕たちはそう言う話をなんで呼ぶのか知ってるので」

 

 

「「思春期症候群ですよね(でしょ)」」

 

 

思春期症候群

誰かの心の声が聞こえた

誰かの未来が見えている

誰かと誰かの人格が入れ替わった

そうした事件の全てに対して

意外な共通点は一つだけ。

そのほとんど,いや全ての症例は

10代に集約していること。

多感な心境が起こした幻覚だとか

心理的病の一つだとか

未知のウイルスによる症状だとか

ダークウェブ的なところを発端に

誰が言い出しかその名前がついた。

 

 

その存在はあやふやで

信じない奴も大半な

ある種都市伝説のようなもの

しかし,それは確かに存在している。

だってそれは,,,,

 

 

 

俺たちに襲いかかってきた試練そのものだったのだから

 

 

 

咲太のマンションの前についた。

そして,俺もここに住んでいる

咲太と階は違うが,借りる時に便利だったので

裁判ではたき落とした金を元手に

ここを借りたのだ。

 

そして,わざわざ咲太が桜島麻衣を

自分の家にまで連れてきたってことは

 

「咲太,見えてない人が多いからって手を出したら犯罪だぞ?」

「やっぱりそうなの!?」

「そんなわけないじゃないですか。博己もわかってるだろ?」

「でも,自分の家に好みの年上美人が上がるなんてシュチュエーションに興奮してないって言い切れるのか?」

「前言撤回する」

「帰るわ」

「待って待って!!冗談ですから」

「相変わらずブタ野郎だなぁ」

「誰のせいだと」

「悪ノリしてきた奴」

「僕かぁ、、、」

 

 

誤解が落ち着き

咲太は事情を話し始める

 

「僕が先輩を信じてることを証明します」

 

 

咲太と俺は階が違うので

先に一個下の階で降りて

荷物を置いて上を脱いで上がる

鍵は開けといてくれてるようだ

 

 

「〜じゃない!変態!露出狂!!」

 

 

部屋から桜島麻衣のものらしき

女子高生全力を上げての罵倒が聞こえた

あいつ,,,,,事前説明なしに脱いだの?

嘘でしょ?バカすぎない?そらそうなるだろ

 

 

咲太の胸には大きく引っ掻いたような傷がある。

その傷は咲太本人が,ではなく妹が発症した

思春期症候群に付随しているものだ。

 

 

梓川 楓(あずさがわ かえで)

咲太の妹で,年相応の妹って感じで

ザ・中学1年の女の子って感じの子だった

思春期症候群発症の原因は至ってシンプルな

「ネットでの誹謗中傷」によるいじめだ。

 

 

「たしかLINEの既読スルーだっけ?機能的に読んだことがわかるだけなものに悪意を感じるなんて最近の子は過敏だなぁ」

 

 

 

SNSでの誹謗中傷

「楓死ね」と書かれたそれは

ネットでならよく見るやつだが

あの子の場合大変になったのはその後だった

 

 

珍しく雨で体動かせないから仕方なく

俺と咲太が家でゲームをしていた時。

 

「お兄ちゃん,博己くん、、」

 

「おかえり」

「お邪魔してるよ〜楓ちゃん。」

落ち込んでいるような雰囲気はあった。

 

「どしたの?落ち込んで。嫌なことでもあったか?」

 

そう軽く聞くと

腕を抑えるようにしたまま

身体のいたるところに

刃物で切ったような傷が走った

その傷は,SNSに誹謗中傷が増える度に

どんどん増えて行った。

最初は小さな傷が,アザ,裂傷と

どんどん重くなって行った。

そして、、、、、、

 

 

「咲太ーー,お前いい加減起きろ遅刻だぞ」

「ん、んーー、、、ん?濡れて、、、、」

「お、おい咲太。お前,,胸元に血が,,,おばさん!!」

「え,あ!!」

 

 

俺は動転したままおばさんを呼んだが

俺より動転して収集がつかなくなり

咲太は出血多量のせいか意識が混濁していた

 

 

俺も半ばパニックになりながら

救急車を呼んで,付き添った。

これが,病院送り事件の顛末だ。

なんか,最初は俺が咲太をボコボコにして

病院のベットに放り込んだことになっていて

それを否定していたら,いつのまにか咲太が

3人も血祭りに挙げたことになっていたのだ。

 

 

ガチャ

 

 

 

「あれ?ヒロミさん??どーしたんですか?」

「おや,カエデちゃん。お邪魔してるよ〜」

「はい。いらっしゃいませです!」

「はい。いらっしゃいました」

「ところで,お兄ちゃんはとこですか?」

「部屋だよ。あ〜でも」

「わかりました!カエデ行ってきます!」

「おい待っ、、、あーもう遅いか。すまん咲太」

 

 

ドアを開け,一旦の静寂を挟み

カエデちゃんが勢いよく飛び出してきて

とんでもないことを言い放った。

 

「ご、ごめんなさい!デリバリーの玄人のお姉さんを呼ぶなら,先に言っておいてください!!」

 

「カエデ,お前は壮大な勘違いをしているぞ」

 

「それじゃあ,ツボや英会話の教材を」

 

「勧められてもいないから安心しろ」

 

 

あの純朴そうなテンションから

最初に出てくるのがデリバリーな

女の子のサービスなのマジで笑った。

デリヘルーツボー高額教材

どこからその発想と知識が出てくるのか。

なので,ちょっとからかってみる

 

 

「咲太がネズミ講をするために呼んだんだよ」

「なんと!!本当ですか!ヒロミさん!!」

「俺もびっくりだよ」

「根も葉もない噂に僕がびっくりだよ。と言うかちゃんとカエデを抑えててくれ。とてつもない勘違いをされたぞ」

「お生憎さま。おれは基本カエデちゃんには手出せないの」

「当たり前だ。僕の大事な妹だぞ」

「だから諦めろ」

「なんでそうなる」

 

 

 

ほどほどに楽しんだ後

咲太が桜島麻衣を紹介すると

急に萎れてポショポショ話し始めた

相変わらず人見知りは解消されていないようだ

あんなに天使のようなスマイルしてるのだから

振りまけばいいのにとは思うけれど

それは難しいらしい。仕方がないな

 

 

タッタッタッタッ!ドーーン!

 

 

「うわっぷ!!」

「ヒロミさん、、、か,カエデは頑張りました!」

「あぁ、頑張ってたな。偉いよ」

「はい。だから,その〜、、」

「うん。よく頑張りました」ナデナデ

「えへへへ。お兄ちゃんにされるのの次に好きです」

「えらく高評価だな。嬉しいよ」

 

 

 

なんか知らんが,俺には懐いた

元々,楓の時から遊びに来てて

仲は良かった方だと思ってるが

あの兄貴ラブなカエデちゃんが

唯一まともに会話できる他人が

俺だと言うのがちょっと嬉しい。

 

 

妹分みたいな,あっちにしてみれば

もう1人の兄みたいなもんとして

対応してくれてるのはずいぶん嬉しい。

 

 

「さて,お家大好き少女のカエデちゃんは,自分の部屋に戻ろうか?お兄さんは先輩と大切な話があるみたいだぜ?」

「うーー、はい。わかりました」

 

 

少し経つと

やたら不機嫌な桜島麻衣と

慌てた咲太が出てきたのだが、、

 

 

「トイレならあっち」

「帰るのよ!」

「麻衣さんこれ」

「あげる!!」バタン!

 

 

ブチ切れて帰って行った

 

 

「なにしたの?咲太。あの短時間で何話したら,的確に女子高生のプライドと地雷踏み抜いてあんなに怒らせられるんだよ」

「僕にもわからん」

「やっぱりお前は,ブタ野郎だな」

「今回ばかりは,その評価を甘んじて受け入れるよ」

 

それから,桜島麻衣は学校に姿を見せなくなった。

 

△▼△▼△▼△▼

 

科学実験室

科学部の部長やってる

我らが友人その2である双葉大先生のテリトリー

 

そこに咲太はいた。

 

「最近は桜島先輩にご執心なようじゃない。あの野球バカと探してた牧之原翔子については吹っ切れたの?」

「国見といいなぜそこに結びつける」

「砂糖はお好みで」

 

ガラガラガラガラ

 

「双葉ー!!コーヒー!!!」

「うるさい帰れ野球バカ」

「相変わらずやかましいな博己」

「うるせぇブタ野郎。双葉は,,茶菓子持ってきたから勘弁してくんない?」

「、、、、、はぁぁ」

 

コーヒーと砂糖(本当に砂糖かは知らんがとりあえず白くて甘いのでよし)を渡され,それを飲んでいると,咲太が質問を始めた。

 

「なぁ双葉,人が見えなくなるってあると思うか?」

「眼科にいけば?」

「視力じゃなくて」

「補足するなら,存在を認識されなくなるって感じ」

「そうそれ。透明人間的な」

「女子トイレでも入るの?流石梓川はブタ野郎だね。星野もこんなことに協力するなんて,野球バカからブタ野郎にチェンジしたの?」

「そういう性癖はない」

 

 

双葉はドライな対応をするが

思春期症候群に対して否定的だ。

 

「なぁ双葉,俺や咲太がここにいるのに,存在そのものが認識されなくなるってことはあるのか?」

「私が何かに没頭すれば」

「いや,そうじゃない。文字通り,無意識下で存在そのものが認知されないってことだ」

「なるほどね。そうなると観測理論かな?」

「箱の中の中ってやつか」

「博己よくわかるな」

「こいつの実験の助手を何回したと思ってる」

「お前が何回も私のいる時にここにコーヒーたかってくるからその代わりだろう」

「そういうことか」

 

 

観測理論というものがある。

人は,存在を観測されることで

初めて存在が確定するというものだ

シュレディンガーの猫ってやつである。

桜島麻衣は芸能界という媒体を通じて

世界に認識されることで存在を定義されていた。

俺たちはみんな,誰かからの観測によって

各々の存在を確たるものとして認識している。

それは,存在の認知であり,歪みでもある。

自分で他者の認知を変えるということは難しい。

そして,それに対応する術は少ない。

桜島麻衣は芸能界を離れ,この学校で

まるで空気のように振る舞い,それを周りが容認した

故に,空気という目に見えない存在になってしまった

考え方としては,こんなところだろうか。

でもこれって,いずれは観測されない以上

そこに存在しないとされたら,もうそれは

記憶にすら残らないってことになるんじゃないか?

 

 

部活やってる最中も

どうにも考えがまとまりそうにない

なんというか,上の空ってやつだ

夏が近づいてきている。

春の関東予選は負けたものの

神奈川のシード権はなんとかとれた

夏の甲子園に向け,こっからスイッチ

入れてかなきゃいけないってのに

 

「クッッソ。集中しなきゃな」

 

カーンという甲高い音に反応し

白球を追いかけた。

頭に残るモヤモヤを振り払うように

まるで,その場所にいることを

本能が拒絶しているかのように

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

「麻衣さんにデートに誘われたぞ!」

 

 

咲太が死んだ目のアホ面を晒しながら

自慢するように俺に言ってきたのは

5/21のことだった。

 

事態は,想像以上に急転して

蔦のように俺たちの運命と絡み合い

そして,深まっていく。

 




はい。というわけで今回はここまで!
アニメと連動して勧めていけば,結構いいペースなんじゃね?
映画はいくつかにわければまぁいける!って
思うまでいた時期が私もありました。
オリ主突っ込むと途端に難易度上がるなこれ!!
というわけでえたってへらってラリパッパするまで
頑張って書くのでそれではまた次回!
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