浜の小さな大魔神です!!
というわけで,アニメ2話の後半から
やっていくわけですが,オリ主独立させると
話の整合性取りづらくてしゃあない
とりあえず,原作読破ないしアニメ視聴済
っていう前提の上でお楽しみください!
ー桜島麻衣は実の母親の記憶からも消えていたー
梓川咲太からのそんな連絡をうけ
俺は,前回した一つの仮説を
頭の中で何度か反芻していた。
桜島麻衣の芸能界復帰が難しいのではないか?
この仮説は,そもそも遡れば
当たり前に出るべき疑問である。
咲太や俺のような環境的要因の重なった
ある種の特例を除いた時に
関係が薄く,関心のないものほど
忘れていくという仕組みなことは
以前のことからわかっていた。
そして,何かのトリガーを経て
記憶を無くしているなら,それは
芸能界やテレビ業界においても
記憶が薄れ書き変わっていても
何ら不思議ではなく,おそらく今回のことで
現状の桜島麻衣という存在そのものが社会的に
テレビ復帰する道が絶たれたということでもある。
そしてそれは,口にしなかったがあり得た話だった。
問題があるとすれば、、、
「そこらの通行人が忘れてるんだから、テレビ局だのの連中やマネージャーだって忘れてておかしくない。でも、、、母親まで忘れるとはなぁぁ。思春期の病はどうにもレベルが違うらしい」
『そうか。そうだよな』
咲太の話ではそこいらの通行人はもちろん
南條さんも事実を忘れていた。
咲太の傷の件すら,咲太本人との口約束
という形で記憶が改変されていた。
このことが1番厄介だ。
整合性が取れていないなら
そこを紐付けで引っ張れば,
人の脳は案外あっさり思い出すものだ。
ただ,それが外付けの別口な物語に上書きされている
という条件がつくと途端に難しくなる。
現状,思い出せる条件も忘れる条件もわからない。
しかも,忘れた時点で存在は希薄化どころか霧散して
他人を交えた整合性を持って置き換わる。
どっかの本で見たが,これ関係が深いほど整合性が
取れなくなってって心壊すものらしいんだけど
それが起きないってことは,どこかで因果そのものが
書き変わっている可能性が高いな。証拠に、、、
桜島麻衣の存在は検索エンジンで引っかからかった。
「どうしたもんか。ひとまず,桜島先輩についてはどうするんだ?」
『僕は麻衣さんとどこか遠くへ行く』
「それでどうする?」
『僕以外に見える人がいないか。探してみようと思うんだ。僕がいれば,最悪麻衣さん自身のことを誰も見えないことにはならないだろ?』
「お前が桜島麻衣を忘れなければな」
『まだ覚えてる』
「いずれ忘れる。俺も,お前も」
『それでも!!放っておくわけにはいかないだろ』
強引な暴論だ。
そもそも,咲太と一緒にいて
仮に咲太が忘れないと仮定して
日本中探し回って覚えてるのが
俺と咲太しかいないってことがわかったとて
どうするというのか。
「放っておけないってお前なぁ」
『これだけはお前に何を言われても僕は引かない』
「引けなくなってるだけじゃないのか?」
『違う!!麻衣さんのことを覚えてる人はきっといるはずなんだ!!現にお前は,博己は覚えていたじゃないか!!』
「あぁ,偶々な。んで、どうするんだ?高校生でバイトしてるとはいえ大した金もない。仮に桜島先輩が金出すにして,その逃避行に意味はあるのか?というか,桜島先輩に言われなかったのか?お前と一緒にいて,お前以外見えてないことを証明してどうするんだ?って」
『あぁ。言われたよ』
「んで,何で答えんだ?お前」
少しの沈黙があった。
考え込んでる?というのは違うか。
腹をくくってる感じだ。
さて,かかったその腹から何が出るかな?
『少なくともその間,ずっと僕がそばにいられる』
意外な言葉に,俺はちょっと驚いて
思わず10秒くらいフリーズしてしまった。
咲太はバカじゃない。
バカなことをする奴だし
デリカシーのないバカなことを言う奴だ。
そういう性格だから損することも多い。
だが,それでも俺があいつと親友やってるのは,,
どうしようもなく真っ直ぐないい奴だからだ。
馬鹿正直な善人で,社会に認められない苦しさを
一緒に味わった戦友であるからだ。
そんなやつが,1人の女のために言い切った言葉。
軽くない。決して軽くない意志のこもった一言。
これを言われたら,もう何を諭すのも無粋だ。
「,,,,はぁぁ。ったく馬鹿な奴だなお前は」
『あぁ、でも案外,自分のこういうところが嫌いじゃないよ』
「ははは。言い切りやがったか。さすがブタ野郎,認知が歪んでるなこの野郎。、、、、、わかった。俺もできる限り協力しよう。双葉にも聞いてみるよ。お前はとりあえず,学校休んででも桜島先輩と一緒にいろ。一日3回だ。朝俺が練習行く前,昼休み,夜20時〜22時のどっか。ここ3回で,俺が覚えていることを確認して動け。覚えてなきゃ,無理やり言ってでも協力を仰げ。俺ならお前のいうことを信じるし,行動できる。いいな?」
『、、、、、あぁ。持つべきもの野球バカな親友ってことが今日改めてわかったよ』
「珍しくブタ野郎にしちゃかっこいいこと言ったからな」
『僕はいつでもかっこいいだろ?』
「黙れブタ野郎」
『こっちのセリフだ野球バカ』
「桜島先輩と変わってくれ。伝えたいことがある」
『確認するからちょっと待ってくれ』
とりあえず,咲太が行動をした以上
俺も協力することは決まった。
親友が男を見せるってんだ。
協力しないなんてダチじゃない。
やることは大体3つか4つ
①俺が記憶をできるだけ長く保つこと
多分,そんなに長くは保てないだろう。
何となく,これはそういうものな気がする。
②双葉などに協力を仰ぐ
話が通じる奴。最低限,この現象を
「バカじゃねぇの?」って言って流さないやつ
これに手を貸してもらって作業範囲を広げる。
多分,あいつは手を貸してくれる。
なんだかんだいいやつだからな。
文句を言われるくらいのことは甘んじて受け入れよう。
③カエデちゃんの安定した生活確保
これはある種最優先事項だ。
俺は最悪,記憶をなくすことがあっても
桜島先輩と行動してるわけでもなければ
咲太の行動の鍵でもないので問題ない。
双葉も最悪,ツモれないなら諦められる。
でも,カエデちゃんの生活が不安定になるのはダメだ。
俺も,咲太も動けなくなって機能不全になれば
もうそこからは事件解決も進展もクソもなくなる。
だから,咲太がいない間は俺が面倒をある程度見る。
カエデちゃんの性質上,そうするしかないのだ。
4つ目はまぁ,細工やら行動やら兼ね合い次第だが
できることならやっておきたい。
意味を持つのかどうかは全くもってわからんが。
『変わりました。桜島麻衣です』
「どうも,先日ぶりです桜島先輩」
『麻衣でいいわ。長いでしょ?』
「咲太にダメって言われたんで,桜島先輩で」
『そう、まぁいいわ。それで話って?』
「単純なお願いことです。まず,電話番号を連絡先に登録させてください。逆に,俺の番号も今から言うので何かにメモして登録しておいてください」
『えぇ、それはいいのだけど』
「咲太のやつが携帯持ってない以上,桜島先輩の携帯しか手段ないんで,これだけは協力してください。最悪,こっち戻ってきたら消してくれていいのでお願いします」
『わかったわ。要件はそれだけ?』
「もう一つあります」
『何?』
「あのバカをよろしくお願いします」
『、、、、わかった。任せて』
「以上です。ありがとうございました」
『お礼を言うのはこっちよ。星野くんもありがとう。覚えててくれる人が咲太以外にもいるってわかってよかった』
正直,次会った時に見えている保証はない
明日には忘れているかもしれない。
だが咲太が,親友が救いたがってる女の子に
少しでも役に立てたのならよかった。
俺が,あいつに負い目を感じていることがある。
カエデちゃんの事件の時,すぐそばで支えてやんなきゃ
いけなかったのに、ドジしてそれができなかったことだ。
俺も路頭に迷い,カエデちゃんは引きこもり
母親は心を病んで,疲労と過労でぶっ倒れた。
軽く人間不信になったあいつを救ってくれた人
俺の事も信じて,前を向かせてくれた人。
その人は意外なことに同一人物で,俺はそれが
運命のように感じられて胸が熱くなったのを覚えている。
同時に,親友だ何だと宣いながら大事な時に
力にもなれない自分の不甲斐なさを心底悔いた。
だから,今度は絶対に力になりたい。
どこまでなれるかわからんけど
親友を2度も1人にさせないために
やれる限りのことをやってやろうじゃないか。
手始めに電話の最後でアシストの一つもしてやろう。
「感謝は不要です。って言いたいところですが,もしその気持ちがあるんだったら,俺の親友と手でも繋いでやってください。あのバカ喜んで張り切りますよ?」
『ふふ,馬鹿なこと言わないの。それじゃ咲太に変わるわね』
笑って流された
冗談と思われたか?心外だ
『何言ったんだよ博己』
「咲太のことをよろしくってな」
『余計なことを言うな野球バカ』
「感謝しやがれブタ野郎」
『はぁ、、カエデを頼んだぞ?親友』
「まかせとけ。そっちも気張れよ?」
『任せとけ。僕の一世一代の頑張りを見せてやる』
そうして電話は切れた。
やることは決まった。
できることは結構ある。
なら、行動あるのみだ。
さっそく俺は,咲太の家に電話した。
△▼ △▼ △▼ △▼
カエデちゃんには咲太から連絡が入っていた
なので割とすんなり入れてくれて
そのまま一緒に飯作って食べだのだが、、、
「ヒロミさんヒロミさん!大事なんなのです」
「あー,どうした?」
「お兄ちゃんは1人旅行なんてしません」
「それまたどして?」
「カエデを置いていくことになります」
「お兄ちゃん大好きパンダだもんな」
「はい!!」
「そんで?」
「はい。これはもう地球滅亡の危機です!」
「なんかその会話前もしたな」
「そうでしたっけ?」
「あぁ、桜島麻衣って人が来たろ?先輩の」
「誰ですか?」
「、、、、この前きたの覚えてない?」
「覚えてません!」
「そっかぁ、、、、、、、」
カエデちゃんはもう覚えていないようだ
たまたま人見知りだから覚えていないのか
そう言うふうに考えられなくもないが
そもそもこの家で俺と咲太以外の人間が
カエデちゃんに会うことは基本的にない。
と言うことは,もうほぼ確定とみていいだろう。
(問題は,何がトリガーで忘れていて,何をきっかけにすると戻るのか?だけど,,,検証のしようがない現状だと施行しているものが正しいのか間違っているのか,アプローチの限界はどこなのか。その辺が何もわからないから無意味だ。まず考察を進めないとお話にならないぞ)
「ヒロミさん!!」
「ん?どした?」
「どした?じゃないです!」ムゥ〜
カエデちゃんがむくれている
どうやら無視しすぎたか?
どうにも悪いことをしてしまった。
「ごめんなぁ、カエデちゃん。」
「はい!許しますね」
「よかった」
「だから,次からちゃんとお話を聞いてください」
「もちろんだとも。それで,どんな話?」
「地球滅亡についてです!!」
同じくだり続行中だった、、、
とりあえず,いなしながら話を聞く
本人は楽しそうにホクホク話している
普段ならさっさと食べろと咲太におこられるが
まぁ,俺の時くらいは多めに見よう。
こんなに頑張っている子に厳しくは言うまい
食事を終えたので,洗濯と風呂は任せて
俺はさっさと下の自分の部屋に戻る。
そして,日課を済ませて午後22時30分
咲太たちはどうにも遠くに行くらしいので
これはおそらく,真夜中すぎないと
電話はこないのだろう。これはもう仕方がない。
「とりあえず佑真からかな」
ある条件を確認するため
俺は電話をかけ始めた
△▼ △▼ △▼ △▼
佑真はすぐ電話に出た
『何だよこんな遅くに』
「悪いな佑真。実は聞きたいことがあるんだ」
『テストの解き方か?俺より成績いいやつに聞けよ』
「お前と咲太にその手の電話はしないが安心しろ」
『ははっ,そりゃあそうだ。んで,要件は?」
「シンプルな質問だ。」
さて,国見佑真は覚えているかな?
「桜島麻衣って覚えているか?」
覚えてないとだいぶきつい
覚えているならだいぶ楽
条件の一つを満たすから。
そして、、、、、
『何入ってんだお前』
「、、、、、そうか」
こりゃあ振り出しだと思ったその時
『覚えてるに決まってんだろ』
「、、、、、マジか」
『当たり前だろ。つかこの前もその話したろ』
「いや、、ハハッ。すまん。そうだったな」
『どうした急に笑い出して。変なもん食ったか?』
「んーにゃ。別に何も食っちゃいねぇよ」
『そうかよ。それで聞きたいことはそれだけか?』
「あー、まぁそうだな。なんかあった気もするけど,それは最悪明日の朝に会った時でいいわ。その時聞く」
『そうか。じゃあ俺,この後彼女と電話だから』
「幸せそうなことで」
『おう!またな』
「ありがとな,佑真。また明日」
電話が切れた
あ,上里に聞いておいて貰えば
より確証に近づけたのにな。失敗したか?
まぁいいや。これで一つ仮定が立った。
後はもう1人でほぼ立証終了だ。
2人目に電話をかける
電話をかけるのは当然
『こんな時間に何の用?』
「さっすが我らが愛す双葉先生。3コール以内とは」
『切るよ?』
「ごめんて冗談じゃん」
『はぁ、それで何?私も暇じゃないんだけど』
「国見のことで頭いっぱいか?程々にしろよ」
『用件がないならかけてくるな本当に死ね』
「待て待て待て待て待て。本当に悪かった」
『まったく、、、それで何?」
「質問したかったんだ。桜島麻衣って覚えてるか」
『なるほど,思春期症候群絡みか』
「そ。その返答ってことはちゃんと覚えてるな」
『そうだね。桜島先輩は梓川がご執心なあの人でしょ』
「イグザクトリ〜。んで,えれぇ問題が起きたんよ」
『遂に誰からも認識されなくなったとか?』
「そういうこと。相変わらず理解が早いね」
『なるほどね。ちょっと待って』
双葉は相変わらず理解が早い。
思考回路そのものに情動があまり付きまとわない
だから合理性に基づいた正確な判断をいつも下せる。
そんな双葉なら,俺の仮定をより強固にしてくれる。
そう思ったんだが,どうやら当たりっぽいなこれ。
「相変わらず頼りになりますなぁ〜」
さて,双葉が戻ってきた。ここからは問題を現実的に解決するためのお時間だ。
△▼△▼△▼△▼
『まず,前提として誰が認識できなかったの?』
「俺はその場にいなかったが,咲太曰く桜島先輩の母親が,麻衣さんに呼び出されて七里ヶ浜まで来たのに彼女を認識できなかった。それどころか本人もスケジュール調整した記憶はあるが,なぜあけたのか。差出人は誰なのかを理解できていなかった。」
『つまり,桜島先輩は完全に存在しない人になっちゃったってわけだ。なるほど厄介だね』
「だろ?しかも、、」
『記憶の整合性があるのが厄介だ』
「、、、流石だな双葉」
『どうせここまでは星野もわかってるでしょ』
「んなスラスラ出てこないがな」
『それで,他には?』
「咲太と俺の情報を合わせて共有するぞ」
『わかった』
そうして共有した情報は4つ。
1.桜島麻衣の母親は存在そのものを認知しておらず,またその場にいる桜島先輩を認識してもいなかった。
2.周囲の人間,駅の車掌,ホテルの人間,ネットの検索エンジン,過去の出演作などからも名前が消えていた。ドラマや映画に関しては別の子役が出ていることになっている。
3.南條という記者によって過去を知った。その際に取引をしたのだが,その取引の内容も咲太個人だけのものにすり替わっている。この際,本人に問い詰めても違和感を持った様子すらなかった。
4.国見に電話したところ,彼は当たり前のように覚えていた。
最後に考察として,存在そのものが認知されていない以上,芸能界復帰もテレビ復帰もクソもなく,そもそも出演の手筈が整えられない。また,存在がなくなっているのに整合性が取れるようになってしまっていると言うことは,思い出す可能性も外部からの刺激では限りなく弱い。だが,国見と双葉が覚えてるっとことは,学校で観測されている範囲においては認知されているのではないか。最後に,これは見えなくなるではなく,量子力学の話で出てきた「観測しない以上は存在しない」と言う理論に基づいたものと考えていいのではないか。と言う旨を伝えた。
『なるほど。厄介な問題だ』
「これってやっぱり,学校だよな?」
『多分ね。確証はないけど,今の話を聞く限り現状考えられるのはそれだけだ。』
「ってなると,咲太は早くこっちに返すべきだったか」
『いや,それは問題じゃないよ』
「というと?」
『多分,学校でも覚えているのは一部だ』
ここにきて,咲太の話していた
学校という存在と空気についての
あの話が頭によみがえり理解に至る。
「、、、、、なるほど。原因そのものってことか」
『そう。だから厄介なんだよ』
「解決方法がなさすぎるな」
『そして,忘れていくのは加速してる』
「止めることに力を割くのは無為だよな?」
『限りなく無為なことだろうね』
「じゃあ結局,咲太が頑張らないとダメか」
『そういうことだね。梓川は明日学校来るの?』
「知らんけど,本人的には午後には戻ってくるつもりだと思うぞ?というかこの話を聞いたなら俺が電話で戻ってこいっていう」
『梓川電話持ってないんじゃないの』
「公衆電話からかけてきたから強引に桜島先輩に変わって番号聞き出した」
『いい判断だね』
「そりゃどーーも」
『じゃあ,後は星野と梓川の頑張り次第だ』
「まぁ,そうだな」
『なら私は必要ないね。もう寝るよ』
この時,何か引っ掛かりを覚える
なんだ?今の会話の何に引っかかった?
この時間で,電話したのは2人。
共通点は学校の生徒で、、、、、、、
他に何かないか?
なぜ日を追うごとに知ってるやつが減る?
理由があるはずだ。法則があるはずだ。
仮説を立てろ。検証をしろ
時間がある,余裕がある。できるのは俺だけだ。
親友のために足りない脳みそを振り絞れ、、、、
そうだ!思いついた。
けどこれは、、、双葉怒りそうだなぁ。
「ちょっと待って。一個実験がしたい。できればそれに対して俺以外の人間でサンプルが欲しい」
『ねぇ,,,まさかだけどそれって』
流石に双葉も気がついたか
「俺と徹夜してくれない?」
『言ってる意味わかってる?』
「寝るなって言ってる」
睡眠をとること
これがファクターの可能性がある。
うちの学校の連中はいざ知らず
普通の生活サイクルの中で回る多くの人が
おそらく全員行っているであろうことが睡眠である。
睡眠は記憶の整理。
脳みそが情報を仕訳するのが睡眠時間だ。
だとすれば,寝ている間に存在の認知が補正され
いないものとして,存在ごと忘れ去られたりしたら
そのまま記憶として定着して,存在を忘れると言う
結果だけが残るのではないか?
なぜうちの学校の連中はそうならないのか
それは毎日見てるからだ。
存在を無意識に認識している空気感だからだ。
閉鎖された学校空間という歪みが桜島先輩の
思春期症候群発症の原因となっているが
皮肉なことに,その歪みが縛りとなって
まだ,生徒たちは桜島麻衣を覚えているのだ。
しかし,それも明日にはどうなっているのか分からない。
遠いやつから忘れていくと言う流れの中で
学校の外がほぼ全滅していると言うこの状況
もし明日,学校の奴らがみんな忘れていても
何にも不思議なことじゃない。
むしろ,そうなったら俺と双葉の仮説は確定する。
『私,これでも女子高生だよ?』
「これでもってなんだよ。普通に女子高生だろ」
『なら言ってることがおかしいの理解して」
「わかってるよ。その上で言ってる。お願い双葉!」
『、、、、、、、、、、、はぁぁ』
「ましで!?」
『やるとは言ってない!』
そのため息はもう答えだろ
そうデカかった言葉を飲み込む。
ここで反故になったら敵わん
「頼む双葉。咲太のためなんだ」
『なんで梓川のためだと私が動くと?』
「私的理由より美しいだろ?」
『はぁぁぁぁ。調べるついでだからね』
「ありがとう。本当に助かるよ」
『こういう時は普通ごめんって言うもんだよ?』
「【ごめんなさい】より【ありがとう】って言われる方が,人って嬉しいもんだろ?」
『それも例の人の受け売り?』
「そ、俺の恩人で,俺の憧れで,俺の初恋の人」
『梓川よりご執心だね』
「あいつは今,桜島麻衣にゾッコンだしな」
『仕方ない。今度何か埋め合わせしてもらうよ』
「任せとけ!咲太と2人でなんとかするさ」
『期待しないでおくよ。それじゃあ』
「いや,最後に一つ」
『まだ何かあるの?』
「多分,咲太から電話がある。それも0時以降にかかってくるはずだ。もしかしたら1時過ぎかな?」
『そう。それで?』
「電話出て協力してやってくれ」
『、、、、、わかった』
「恩に着るよ。それじゃ,また明日」
『これで星野が寝てたら許さない』
「そん時は訳の分からないツラした俺の顔を全力で殴ってくれていいよ。甘んじて受け入れるさ」
『アホ面で殴られる星野は面白いかもね』
「あぁ、そうだな」
電話が切れる。
とりあえずやれることはこんなものか
いや,まだいくつかある。
他のやつにも確認とって,双葉の説を
そのまま確定させてしまおう。
野球部の奴らに電話を片っ端からかけて確認した
△▼△▼△▼△▼
結論だけ言えば,奴らはみんな覚えていた。
同学年のやつらは全員に確認して全員覚えてる
上の学年の人らももちろん全員。
一年は,桜島麻衣がいることをまだ知らないのか
驚いてはいたが,存在は認識していた。
さて,ここで問題なのは
明日の朝練をどうするかだ。
個人的には出たい。
仕掛けもしたいし,できることなら
そのまま確認作業もしたい。
双葉にメッセージを送ってみると
相変わららす簡素な文だが
帰ってきて確認されているだけ僥倖だ。
これで,明日動きやすくなった。
深夜1時を過ぎた頃
咲太から電話がかかってきた。
「もしもし。咲太か?どうだい逃避行は」
『それが大変なんだ!博己聞いてくれ』
「どうした!?まさかなんか進展が」
『麻衣さんがお風呂に入ってる』
「、、、、、は?」
『そして,僕と麻衣さんは同じ部屋だ』
「、、、、、つまり?」
『めちゃくちゃ興奮しないか?』
「お前マジで平常運転のブタ野郎だな」
『男子高校生だぞ?桜島麻衣だぞ?興奮してあらぬ妄想を掻き立てるのにシャワーの音だけあれば十分だろ』
「よくわかった。お前は十分変態のクソ気持ちの悪いブタ野郎だ。頼むから桜島先輩に変なことしてくれるなよ」
『するわけないだろ?何言ってんだ』
「お前の言動に不安しか感じないよ」
『僕は品行方正だ』
「どこがだ」
とりとめのない会話
いつもの雑談
それは,日常を咲太に感じさせ
余裕を持たせてやるのに一役買っているだろうか
どこか緊張で張り詰めた空気の中で
一瞬でも落ち着かせることができているだろうか
俺は,,,,,咲太の役に立てているだろうか。
『まぁ心配するな。僕は大丈夫だ』
「本当か?」
『あぁ、ダメなら博己に双葉に国見に頼る』
「助けて・ごめんなさい・ありがとうが言えるってのはおまえの美徳だ。でも,背負い込みすぎるなよ」
『双葉にも同じことを言われたよ』
「どうせ佑真あたりだろ?」
『ご明察。流石僕の親友』
あいつもあれで人のことをよく見てるな。
興味がないようで,理知的に判断している。
やっぱり双葉はいいやつだな
「明日学校には?」
『昼から行くよ』
「今どこなの?」
『大垣だ』
「岐阜かぁ。あそこは水がいい」
『行ったことあるのか?」
『中学の遠征でな」
『そうか。あ!?』
「どした?」
『麻衣さんのシャワー終わってる!』
「、、、、相変わらず度し難いバカめ」
『お前のせいだぞ野球バカ!』
「気持ち悪いんだよブタ野郎」
『はぁ。それじゃあ,明日学校で』
「桜島先輩に迷惑かけんなよ。また明日」
咲太との電話が切れた
佑真と双葉にかけたなら
とりあえず覚えてるやつがいる
と言うことは理解してるはずだ。
現状はそれだけで充分だ。
あとは明日,咲太が帰ってくるまでの時間で
できることをするだけだ。
親友のためだ。無理して働くとしますか
△▼△▼△▼△▼
朝,咲太が帰る前に連絡を一つ入れた
どうやら,1人部屋に2人で入って
セミダブルで一緒に寝たから
あまりにも興奮して寝れなかったそうだ。
途中,ファーストキスがどうこうと
訳のわからないことをほざいてきたがそれより
寝てないってことが好都合だ。
確認に桜島先輩と咲太の両方から
見えているか,認識しているか,覚えているか
全て確認をとったが問題なかった。
ーなぁ、桜島麻衣って覚えてるか?3年生のー
「桜島麻衣?、、、、、誰だそれ」
「まーたいない女の話してんのか星野」
「おまえもいい加減現実の女見ろって」
「おまえなんかいたろ?仲良い巨乳の」
「あーー、そうそう。たしか双葉さん?だっけ」
翌朝,朝練に行って昨日のこと覚えてるか聞いてみると、案の定全員熟睡の後忘れてしまっていた。しかも面倒なことに,俺の電話は覚えていて,全員別の内容でかかってきてることになっていた。おかげで俺はとんだ寂しがり屋の甘えんボーイ扱いだった。あと,友人である双葉に気持ちの悪い発言した同期は一発しばいた。当たり前である。
そのあと,佑真にもあった。
昨日の夜,俺と咲太から連絡があって驚いたと。
問題はそのあとだ。
「んで結局要件はなんだったんだ?」
「だから聞いたろ?」
「何がだよ」
「桜島麻衣って覚えてるか?って」
「言ってないぞ?」
「あれ,そうだっけ?」
「おいおい頼むぜ博己」
「悪い悪い。そうだ,バスケ部が今度外ランやる日だ」
「は?なんで急に」
「一年の投手陣一緒に走らすから」
「あーー、顧問に聞いておくわ」
「頼んだ。わかったらでいいから教えてくれ。最悪当日でかまわん」
「わかった。それじゃあ,教室行くかぁ」
「んにゃ、俺やることあるからちょっと1限ふける」
「マジかよ」
「マジだよ」
「なんか理由があんのか?」
「うーーん。内緒ってことで」
「なんだそれ。まぁいいや。程々にしとけよ」
「あいあい」
双葉に即座に連絡を入れた
すると,すぐに返信がきた。
【あたりだね】
全く,チャットでも言ったが
こんなに正解が嬉しくないのは
生まれて初めてかもしれないな。
あとは,咲太の帰還を待とう。
それから保健室へ行って
体調不良の検査を受けることで
1時間目を回避する。
トイレに行くふりをして
一度保健室を飛び出し
部室にダッシュする。
そのまま部室の窓から侵入して
バックに挟んでたポスターを
広げて部室の壁に貼った。
桜島麻衣のポスター。
模様替え程度のことならあまり怒られない。
思い出す一助にでもなればいいのだが
この分だと,見ても何これ?で終わりそうだ。
だけどそれでいい。
どこかに思い出せる素養があることが重要だ。
保健室のベットで横になると寝てしまいそうなので
腰も少し痛いことにして,座らせてもらった。
そのまま思考を巡らせる。
咲太が桜島先輩が帰ってきた時に万全であるため
△▼△▼△▼△▼
寝たらダメだ。
忘れるわけにはいかない
絶対に、、、忘れちゃダメなんだ!!
「咲太,おまえ、、、、」
「博己なら、、わかるだろ?」
「はぁぁぁぁ。ったくお前は」
「桜島?って誰のことだ?」
「・・・・・どうしたもんかねぇ」
時間は平等に,睡魔は無限に
人の意識を刈り取るように襲いかかり
それはまるで,奇妙な夢から覚めるようで
奇怪な夢に落ちるような。
不可思議な体験へと,俺たちを引き摺り込んでいく
はい。と言うわけで今回はここまで!
いやぁ,次回か次次回くらいで一通り話を終わりにできるかな
問題は,どこまで続くかだけどプチデビルとかシスコンアイドルは割とスパスパ進めたいんだよね。双葉(友人枠)楓(妹分兼翔子さん導入枠)で文量使いたいし。翔子さん?オリジナルでエピ多量にぶち込んで死ぬほど時間かけるよ?当然,ラストの映画もバカほど時間かけます。でも,そこまでに死ぬほど時間食うけどね。ってなわけで,明日以降も頑張っていこうと思います!それではまた次回!