青春ブタ野郎と全力野球バカ   作:浜の小さな大魔神

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どうもみなさんこんにちは
浜の小さな大魔神です
と言うわけで話の動くアニメ3話です。
今回は,オリジナルストーリーとして
オリ主に動きを入れてやって原作削りつつ
進めて行ったので文字数死ぬほど嵩みました。
がんばってよんでください!!!
それじゃあ!行ってみましょう!


バニーガール先輩4

昼休みが終わる頃に

咲太がこっちに戻ってきた 

先に双葉と合流をしていたようだが

何か叫んでるのが聞こえた。

桜島先輩と一緒にいるがどうやら、、、

 

 

「見えてねぇな。これ」

「あぁ、昨日会った女子も見えてなかった」

「古賀だっけ?あいつもかぁ」

「国見も覚えていなかったよ」

「野球部の奴らもだな。朝確認したが全滅だ」

 

腕を掴む桜島先輩は

どこか居心地が悪そうだ。

そのままその場は一時別れて

授業の後に俺と咲太と双葉は

いつもの実験室に向かった。

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

「そいじゃあま、答え合わせと行こうか」

「答え合わせ?」

「私と星野で実験をして,一つの仮説を立てたんだ」

「そういうこと。面倒も多かったけど,マジで双葉いて助かったわ。本当ありがとうな」

「それはいいから。ほら,進めて」

「あいあい。結論から言うけど咲太,お前昨日ってか今日の夜。寝てないだろ?」

「電話で話したろ」

「実はな,俺も寝てないんだ」

「私も一睡もしてない」

「なんでだ?」

「まだわかんないの?」 

 

話が進まないと始まらないので

サクサク核心に踏み込む。

 

 

「睡眠だよ。睡眠が,桜島麻衣を忘却するトリガーだ」

 

 

 

「私も馬鹿げてるとはおもう。」

「だが,双葉の話した観測理論が1番現実的に桜島麻衣の認識忘却に一躍買ってる説が濃厚になってきた」

「シュレディンガーの猫、、、か」

「こうして目の当たりにすると寒気が走るよ」

「それは思春期症候群と言う存在にか?」

「星野はわかってるくせに聞くよね。違うよ。思春期症候群なんてモノになる前から,桜島先輩が空気のように扱われていたことにだよ」

 

 

学校という箱庭にいる俺たちは

多かれ少なかれ民意やら同調圧力やら

いろんな名前の呼び名はあれど

所謂「空気」ってやつを読んで生きている。

 

 

それは,俺や双葉も例外じゃあない。

立ち位置を変えようが,意見を変えようが

その空気という存在に完全に抗うことはできない。

 

そして,俺も双葉も,おそらく咲太ですら

桜島麻衣の存在に触れない。ということを

実行してきてしまっている。

それが当たり前のように,疑問に思うこともなく。

 

「それは、疑問に思わないからできてるんだろ」

とは咲太の談だ。

 

ともかく,桜島麻衣という存在を猫とするなら,学校という場所が外部との観測を断ち切り,その空間内ですら存在の定義を曖昧化させる箱なのだ。そして,箱の中で存在の定義から溢れた桜島麻衣という存在は,段々と外部でもその存在がぼやけていっている。

 

いや,より正確な話をするなら芸能界から一時的にでも身を引いたことによって,社会の目という不特定多数の人間の意識から徐々に薄れている時に,学校の中でも,空気のように触れづらい存在であったことが絡み合って,内でも外でも存在があやふやになっている。ってところだろう。

 

「じゃあもし,昨日僕が寝ていたら、、、、」

 

咲太も気がついたようだ。

 

「なぁ,咲太。難しいことを言うぞ?多分だけど,俺も双葉も,そしてお前も次寝たら空気という名の毒に,思春期症候群に飲み込まれて桜島麻衣の記憶を無くす。それでも,お前は彼女のために行動するのか?」

「あぁ、当たり前だ」

 

咲太のやろうとしていることはおそらく徒労だ

きっとそれ自体は時間稼ぎの意味以上を持たない

だけど,それはきっとやるべきことなのだろう。

あいつにとって,カエデちゃんの事件以外のことで

初めて曲げられない,自分の意思が働くことなのだろう。

 

なら,それに水を差すのは無粋だ。

 

 

「はぁぁ。幸いに明日から三日は中間だ。寝れない理由にはなるだろ。」

「あぁ、そうだな」

「星野はどうするの?」

「ん〜,特例で昨日まではしてたけど,流石に今日から一時的に休みだしなぁ。テストそのものはなんとでもなるとして、、、部活に支障をきたすみたいなことはないから,とりあえず付き合えるところまでは付き合うかな」

 

幸い,部活動はテスト中休みになる

テスト前日に朝練があることに

部員は吐きそうな顔をしていたが

普段から勉強していればいいのに。

 

 

その後,咲太はバイトだと言って実験室を後にした。

桜島先輩が来ていたのだが

後ろからそれを見ると完全に恋人のようだ。

 

「なんか,付き合ってるみたいだな」

「まぁ現状付き合える可能性は梓川しかないしね」

「他のやつは見えてねぇもんな。まぁ、それを少しでも続けられるように,俺も協力するとするかな」

「じゃあ,私に手伝えるのはここまでだな。まさか、まだ付き合えとか言わないよね?」

「言いたいとこだが,花の女子高生にこれ以上無理させてもな」

「今日ここまで無理させた張本人がよくいうよ」

「いやぁ,助かった」

「明日には多分忘れてる」

「少なくとも俺は覚えてる」

「そう。律儀だね」

「忘れるまでは忘れねぇよ」

「今回の件だと笑えないよ」

「違いねぇ。」

 

 

二言、三言と冗談を言い合い

俺も双葉もぼちぼち実験室を後にした。

 

△▼△▼△▼△▼

 

家に帰ると,一旦電話して咲太の家に上がる

っていうのも,俺が勉強を一夜漬けでおしえる

っていう体で、俺の家に迎えるためだ。

カエデちゃんにも説明はしてやらにゃいかん。

 

 

「つまり、、、、、今日お兄ちゃんはヒロミさんに寝取られちゃうってことですか!?!?」

 

 

説明した結果がこれである

マジで説明して良かった。

てか,寝とるって何だ。

寝てから言え。いや,まぁ寝てはいるのか

同衾自体は良くしているわけだし。

いや、そうじゃなくて!?

 

「いや,寝ないから。徹夜で勉強する会だから」

「そうだぞカエデ。どこで覚えてくるんだそんな言葉」

「お兄ちゃんの本棚の奥にありました!」

 

お前のせいじゃねぇかブタ野郎

何で自宅に常駐パンダ娘のいるやつが

紙媒体をストックしてやがる!!

 

「テメェのせいじゃねぇか」

「これ僕が悪いのか!?」

「リスクヘッジくらいしろ!」

 

結局,いまいち誤解が解けたのかはわからず

ひとまず咲太だけ回収して下の階,つまり

俺の部屋にあげた。これから勉強会だ。

その前に何かやることがあるといい

咲太は自室で何やら飲んで,錠剤を噛み

そして,ノートに何かを書き込み始めた。

 

その間も続くカエデちゃんの執拗な追い込みに

何とか交わしきってやっていると

いつのまにか咲太は戻ってきていたが

一体何を書いていたのだろうか?

 

徹夜で始めた勉強は,思いの外いいペースで進んだ。

大家に押し付けられたホワイトボードを使った

授業内容の解説は前から咲太にも

偶に参加するカエデちゃんにも好評だったので

今回もその形式に則ってやった。

 

夜は更け,眠気は覚えながらも

ベットの方は見ずに問題集と向き合って

静かに朝日が差すのをまった。

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

「締まりのない顔ね」

 

朝一番に会った桜島先輩は

開口一番そう咲太に言い放った。

俺は元々不規則な生活をしていた時期があるので

1〜2徹くらいはなんてことないが

咲太のような健康優良児には厳しいようだ。

 

「ネクタイ曲がってる」

「まさかこんなに早く麻衣さんと新婚プレイが出来るとは思いませんでした」

「バカはかおだけにしなさい」

「全くだ。馬鹿な回答は数学だけにしろ」

「あら、星野くんおはよう」

「おはようございます。桜島先輩この辺なんですか?」

「咲太から聞いていないの?」

「何も」

 

何と,桜島先輩の家は

俺と咲太の家の目の前にあるマンションだった。

流石に少し驚いたが,それ以上に驚く事件の中にここ数日囚われていたせいか,そこまで大きなリアクションはできなかった。次は渾身のやつをやろう。

 

 

というか、、、、、

 

「桜島先輩,学校行くんですか?」

「そりゃあ、テストだし」

「でも,見えてないならカンニングし放題ですね」

「テスト用紙配られないんじゃどうしようもないけどね」

 

その通りだ。

現状,桜島先輩は見えていないのだ。

存在を認識されていない以上

テストを受けることなど可能なのだろうか?

無論,否である。であれば学校に行く意味など

まったく存在しないのではないだろうか?

 

「それでも学校行くなんて麻衣さん真面目だなぁ」

「お前なら絶対サボってるもんな」

「お前もそうだろ?」

「当たり前だろ」

「貴方達と一緒にしないで。家にいてもやることないしね。それに,今日になったら2人以外の誰かに見えるようになってるかもしれないしね」

 

 

痛々しい笑顔だった。

おそらくないであろう

希望に縋る人の虚勢のような笑み

美人の弱々しい笑顔は,月見草のような

月光に佇む一輪の花を思わせる。

同時に,梅がこぼれ,桜が散る直前のような

酷く儚く刹那的な存在のようにも思えてしまう。

 

咲太もそれを感じているのか

茶化したりはせず,黙って笑ったまま

肯定しているようだった。

 

学校に着き,テストがはじまる。

今日の試験は英語と日本史だ。

俺は手早く終わらせて,見直しもそこそこに

冊子と答案をそっと閉じる。

赤点はないし,どうせ点数はなんでもいい。

卒業にさえ困らなければ問題ないのだ。

 

思考は,奮闘しているであろう親友の

頑張りの行き着く先に向かっていた。

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

テスト後,咲太は教室の出口横にうずくまるようにしゃがんでいた。何とも死人のような面構えだ。死んだ魚の目から、哺乳類の死体に進化している。これを進化と呼んで差し支えないのか甚だ疑問ではあるが。

 

「咲太〜,終わったんなら帰るぞ」

「あ、、あぁ」

 

するとそこに,よく見知った白衣が来た。

 

「梓川,そのクマは一夜漬けか?」

「双葉」

「ん?」

「お前覚えてるか?」

「は?何のこと?」

 

咲太の質問に対する疑問は

咲太の疑念を確信に変えるには

あまりにも十分だった。

 

「咲太は,今日のテストの出来が不安なんだよ」

「普段から勉強してないからでしょ」

「そうだな。博己,帰ろう」

「それでテストの何を聞きたいの?」

「いや大丈夫だ。気にしても仕方ないことだからな。じゃあな」

「う、うん」

 

 

咲太は諦めたように歩き出す。

俺もその後ろを追って歩く。

 

「俺も帰るわ。じゃあな双葉」

「うん。またね」

 

追いつくと咲太は

俺に呟くように話しかけてきた。

 

 

「お前と双葉の仮説は正しかったわけだ」

「まぁ,そういうことだな」

「スゲェ燃える展開だな」

 

そうこぼした咲太は家に帰ると

今日は俺との勉強会はいいと

そう言って自室に引きこもった。

 

カエデちゃんの飯だけ

俺が作りに行ったが,流石にこれは

ちょっと心配になってきたな。

 

 

翌日,咲太はさらに死にそうな顔で

エントラスのかいだんをおちそうになっていた。

 

「っぶね!!おい,咲太お前,,,」

「あぁ,博己か。おは、、よう」

「あぁ,おはよう」

 

肩を貸し,一緒に駅までいくが

その足取りは重く,今にも崩れ落ちそうだ。

ここまで異常だと,当然周囲も心配する。

事実佑真には「ゾンビみたい」と言われていた。

 

 

かくいう俺もそろそろきつい。

3徹くらいは何とかするが

4徹,5徹となると話が別だ。

 

最悪,最終日の部活は病院と理由をつけて無理やり休むとしても下手したら俺も倒れるかもなぁ。頑張るかぁ

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

「寝たらダメだ。寝たら忘れる。

 寝たらダメだ。

 忘れるわけにはいかない

 絶対に、、、忘れちゃダメなんだ!!」

 

今にも消え入りそうな

押せば倒れて立ち上がらず

針ひとつきで破裂するような

そんな弱々しさの漂う姿。

 

「頑張れよ咲太。一世一代の頑張り所なんだろ」

「、、あ、、あぁ、、、そう、だな」

 

 

痛々しくて見ているのが辛い。

家に返した時も,カエデちゃんは

心配を通り越してもはや不安が爆発しそうな

今にも泣き出しそうな顔をしていた。

天真爛漫な子にあんな顔をさせるのは忍びない

が,だからって咲太の意思を無下にもできない。

 

 

自室でベットに横になって、少し目をつぶる

間違って寝落ちしそうで怖いが整理したかった。

 

「これで咲太が先に忘れたらどーすんだよ」

 

今1番危惧しているのはこれである。

咲太のやっている無理はいつか崩壊する。

しかも,早ければ今日,遅くても明日か

明後日には確実に消えるだろう。

俺も,5徹は未知の領域だ。

てか、何でこんなに目が冴えているのか

不思議でならないほどである。 

義務感が突き動かすのか

それとも,数日前死ぬほど爆睡していた

睡眠貯金が残っているおかげなのか

自分で言ってて意味不明だ。

やっぱり徹夜なんてするもんじゃないな

 

無駄なこととは知りつつも

頑張る親友のために,俺も教科書を広げた。

 

△▼△▼△▼△▼

 

夜,目を覚ますために近くの薬局に行った。

会ったのは、、、桜島麻衣だった。

 

「桜島先輩、お疲れ様です」

「、、、、驚いた。まさか貴方も?」

「はい。親友たっての頼みでして」

「そう。ならもうやめなさい。無理は毒よ」

 

諭すような言い方。

大方,テスト中の咲太でも見たな。

んで,薬局の前にいるってことは

 

「ついに万引きっすか?いくら透明でも倫理観まで透明になってたら世話ないですね」

「失礼ね。星野くんといい咲太といい年下のくせに生意気よ。それに,お金はちゃんとレジの前に置いていくわ」

「知らないんですか?レジを通して会計してない金って売上に計上できないんですよ?」

「・・・・・仕方ない。ちょっとつきあいなさい」

 

まぁ,そうなるよな。

緊急事態なんだから

薬の一つくらい,たかだか数百円くらい

いいじゃないか別にってならないとこが

この人が善人なことをよく表している。

咲太もそういう真っ直ぐなとこに惹かれたのかな?

でも悪いね先輩。答えは初めから決まってんだ。

 

「いやです」

「どうして?」

「俺は咲太の味方なので」

「なら尚更よ」

「というと?」

「咲太の親友だっていうならわかるでしょ!!今の咲太は限界。無理やり私を忘れない為に,徹夜を繰り返して倒れかけて,あれじゃあいつか、咲太の方が倒れちゃう!!」

「それがあのバカの選択ですから」

「、、、だからって」

「俺はアイツの馬鹿げた事を推しますよ」

「・・・なんで」

 

この期に及んで出てくるのが

なんで?か。

そんなもん決まっているだろ。

 

 

「アンタのためにやってる事だからだよ。桜島麻衣」

 

 

 

「・・・・」

 

 

桜島先輩は何も言わない

何か理由があるのか?

あずかり知らないことだが

きっと、彼女にも彼女なりの

考えや想いがあるのだろう。

だけど,そんなの知った事じゃない。

 

 

「俺だって,馬鹿げた事だとと思ってる。そもそも寝りゃ忘れちまうんだ。俺も咲太も精々覚えてられるのは後1〜2日がいいところだろうよ。だけど,それでもあいつは,あのバカは自分が正しいと,こうするべきだと思った事を突き通すって言い切ったんだ。俺の目の前で啖呵はきやがった。それがアイツ自身のことなら,俺だって殴ってしばいて意地でも止める。でも,アイツの原動力はアンタなんだよ。だから,アンタは!桜島麻衣は!!アイツの,梓川咲太の事を裏切ってやんなよ!!逃げんなよ!!そう言ったのはアンタだろうが!!!」

 

「だって!仕方がないじゃない!!咲太はきっとこの馬鹿げた事をやめない!倒れて,そしたら記憶を無くして何もかも無かったことになるのに,それがわかっていて無理をさせるなんてできない!」

 

「この期に及んで常識ぶった話してんじゃねぇよ!!アンタはどうしたいんだよ!桜島麻衣はどうして欲しいんだよ!嬉しかったんじゃないのか?咲太が見つけてくれて,一緒にいてくれて,安心したんじゃないのか!?どうなんだ!!」

 

「したに決まってる!!でも,それでもやっぱり、、私のせいで咲太がこれ以上苦しい思いをしているのを見るのは辛いの。私のことを、忘れるだけでいいんだもの、、、」

 

「それであんたは救われんのか?」

 

「元々私は独りだもの。今更,咲太と星野くんに忘れられたってどうってことはないわ。いつも通りに戻るだけよ」

 

 

あのバカも強情だと思うが

この女も大抵似たようなもんだな。

俺も寝てないせいか,感情の振れ幅が

さっきっからおかしくなってる。

なんで俺薬局の脇で女優と言い争いしてんだ?

そんでなんでこんな急に冷静になってんだよ。

 

 

「はぁぁぁぁぁ。じゃあ,後1日だ。俺ももうそれが限界。桜島先輩と咲太の行く末がどうなるか,最後に見届けます。その代わりに賭けをしましょう。」

 

「・・・・・賭け?」

 

「もうわかってると思うから言うが,アンタの存在を忘れるファクターは睡眠をとることだ。だから俺と咲太は覚えている。」

 

「ええ。ここまで来れば流石に察しがついてるわ」

 

「結構。つまり,今日の夜に咲太の奴が寝こけて明日の朝にはガッツリ忘れたとしよう。こっからが賭けだ」

 

「そこから何をかけるっていうの?まさか今度は貴方が一緒にとか言い出さないわよね?私嫌よ?」

 

「お生憎様,俺の初恋は2年前から指定席埋まってまして。そうじゃなくて、そこから咲太が思い出す。これに俺は賭ける」

 

「・・・・・・・・・なにいってるの?」

 

「面白いでしょ?普通は忘れたら2度と思い出せない。でもあのバカは,梓川咲太は俺にこう言った。【一世一代の頑張りを見せる】って。」

 

「バカげてる。大体,その賭けにどんなメリットがあるって言うの?それに,負けた時私はバカみたいな賭けに希望をのせるだけ乗せて裏切られるのよ」

 

「咲太はノンデリだし,目は死んでるし,やる気も生気もない奴だけど,やるって言ったらやる奴だ。だからきっと思い出す。でもそうだな。万が一アイツが明日一日思い出さなきゃ,俺が意識飛ばす前の、、、午後14時に俺と咲太のマンションの前に来てください。そこで,俺の持ってる全財産を桜島先輩にあげます。どこで使えるか知らないけど,持ってて損はないでしょ。金なんて」

 

「どうしてそこまで、、、だいたい貴方にメリットがないじゃない!!」

 

「いらねぇよ、メリットなんて。男が,俺の親友がやるって言ったんだ。俺はそれにベットする。理由なんてそれで十分だ。細かい理屈なんて俺には要らない。ついでに言うと桜島先輩,アンタはまだわかってない。」

 

「・・・・・・何が?」

 

 

 

 

 

 

「梓川咲太をあんまり舐めんな」

 

 

 

 

 

 

「わかったわ。その賭け乗ってあげる」

「毎度あり〜。そうだ,俺がかった時の条件」

「なに?」

「咲太の話を聞いて,心から応えてあげて下さい」

「・・・・・そんなことでいいの?」

「えぇ、これじゃダメ?うーーん、、、、じゃあ,俺の従兄弟がファンなんで,ついでにサインの一つでもくださいや。従兄弟が泣いて喜ぶので」

「貴方は何も要らないの?」

「まぁ,今回頑張ったの咲太だし。1番報われるのは咲太であって欲しいですよ。俺は,ちょっと小生意気な従兄弟の奴に恩を売りつけて、兄貴ヅラさえできれば,それで充分ですね」

「、、、バカね。貴方」

「根っから野球バカなもんで」

「違うわよ、、でもいいや。君の言う通り、もし君が賭けに勝ったら咲太の話をちゃんと聞いて応えてあげるし,星野くんの従兄弟にはサインとついでにツーショットと握手くらいしてあげるわ」

「そりゃあいい。当分は言うこと聞かせて顎で使えますね」

 

 

 

交渉成立。

とりあえず桜島先輩の買い物に

軽く付き合って買い終え,その場で一旦

あの人とは別れた。

コンビニに向かって行ったがきっと

睡眠防止のアイテムを買い込んでるであろう

咲太のやつを現行犯でとっ捕まえて

飲み物に混ぜて眠らせる気だなあれは。

 

 

それはそうと、なんか体が軽いな。

俺は言いたい事を全て言えた

モヤモヤした感情も,苛立ちも

不安も,焦りも、きっと全部

さっきぶつけられたと思う。

そのおかげかな?だとしたら大分最低だぞ俺

 

 

桜島麻衣って女性に咲太のやつが惹かれたのはこう言う真っ直ぐ受け止めてくれるところなんだろうな。良くも悪くも,人の噂と空気に流されてきたアイツにとって,最も重要なのは「話をちゃんと聞いて,信じて受け止めてくれる人」だったわけだ。それを体現してるのが,超人気女優の桜島麻衣なのが,最高に面白いと言うか,なんというか。多分,アイツに聞いたら「美人な上に可愛い年上お姉さんに叱られるのは最高だ」とか気持ちの悪いこと言い出すんだろうなぁ。

 

さて,本当に俺がしてやれるのはここまで。

桜島麻衣を踏み止まらせることまで。

俺ももう正直意識ふらふらで限界だし

持って後1日ってとこだろう。

まぁいいや。どうせ咲太が明日のうちに思い出せないなら、もうどうしようもないことなわけだし、俺1人じゃ多分、どうしようもないやつだろうしな。

 

こう言う時、あの人はどうするんだろ?

俺の初恋の人は,牧之原翔子はどうするのか。

きっと、、、寄り添って,話を聞いて

そんでもって,前を向きながら笑って解決の道を

一緒に模索してくれるんだろうな。

なんとなく,そんな気がする。勝手な妄想だけど。

 

 

「さて,これからどーーするかなぁ。どうなることやろ〜なぁ〜」

 

 

 

5/28。中間テスト二日目の夜

俺は,元野生の透明バニーガールを相手に

親友の奮起と奇跡に一縷の望みを持ち賭けをした。

チップはプライドと信用。そして,親友の未来。

さて,サイコロの目はどう転がるかな?

見上げた空は,まどろみの雲が数瞬ひらけ,眩く星々が散りばめられる夜空をうつし、俺たちを見下ろしていた。

 

△▼ △▼ △▼ △▼ △▼

 

夜中11時半ごろ

なんとなく,

本当になんとなくだが

そろそろなんじゃないかと

一階のエントランスで待っていると

上から桜島麻衣は降りてきた。

 

 

「・・驚いたわ。まさか待ち伏せしてるなんて」

「なんとなくですけどね。なんか変な直感が働きました。寝てないせいで感度が上がったんですかね?」

「不思議なこともあるものね」

「現在進行形で不思議なことになってる人に言われると説得力がありますね。、、それで?咲太のやつは?」

「寝てるわよ。そうだ,最後に咲太と一つ約束してきたわ」

「何を?」

「テストが始まる前の日曜日,行くはずだったけど出来なかった藤沢デートの約束。咲太が国語で100点とったらしたあげるって約束」

「ははっ。アイツ喜んでたでしょ」

「そうね。もっと過激なやつにするべきだったって落ち込んでたわ」

「そらそれでアイツらしい」

「それで,見送りかしら?」

「まぁ,一応。賭けまでしたので」

「えぇ,そうだったわね」

「じゃあ,俺は部屋に戻りますね」

「ちょっと」

「はい?」

「そこは送っていきますの一言くらいあってもいいんじゃないの?」

「いや,桜島先輩あなた,防犯的には今日本どころか世界で1番安全でしょ。俺以外の誰にも認識できないんだから」

「もしもってこともあるじゃない」

「・・・咲太に頼めよ」

「寝てるんだから無理に決まってるでしょ」

「そう言うよくわかんないところで図太い所、マジで咲太に似てますよ。案外,お似合いかもしれないですね」

「・・・・・ばか」

 

なるほど。

確かに頬を赤らめてから言われたら

大抵の男は一発で落ちること請け合いだ。

美人は何気ない仕草も絵になるというが

美人が教科書通りの美人がする行為やると

こうなるのか。スッゲェ〜

 

 

「なんか変なこと考えたでしょ」

「いえ、全く」

「どーーだか」

「じゃあ、お詫びに家の前まで送りますよ」

「よろしい」 

 

 

結局,誰にも見えない人を家に送ると言う

もうそれはほぼ深夜徘徊というか 

深夜の散歩なのでは?って思う行動をしていた。

 

特にやることもないのでその後は朝までテスト勉強を煮詰めて行ったのだが,あまりにも時間に余裕ありすぎて異常に完成度高く仕上がってしまった。一夜漬けとかコンディション悪いからするもんじゃないし、4徹とかマジで論外だな。とか思ってたけど,世の学生が徹夜する理由もわかるわ。

 

 

朝陽が昇り、この事件に幕を下ろす

最後の1日が始まった。

 

△▼△▼△▼△▼ △▼

 

朝、何気なくシャワーを浴びて

ソファーに座ると危うく寝落ちしそうになる。

これやばいな。

ここまでふらふらというか

状態やばいの初めてかもしれない。

顔に水被って無理やり目を開けるが

ぶっちゃけ脳は全然回ってない。

これ本当にテスト大丈夫かな。

まぁ,最悪今回のテストは捨てでもいいか

期末で死ぬほどやれば挽回できんだろ。

 

 

そう思っているというの間にかギリギリだった。

慌てて着替えて荷物持って部屋を飛び出すと

エントランスで咲太に会った。

 

 

「はよ〜咲太」

「おー博己か。おはよう。どうしたんだ?そのクマ?」

「あーー、難問解いてたら朝になってた」

「なんだそれ」

「たまーにあんだよ。おもろいけどむずいやつ」

 

 

俺が徹夜している理由を忘れている

なぜ俺がこんなにふらふらなのかわかっていない

ってことは、まぁそりゃそうだよな。

こいつが特別かもって線も考えてたんだが

世界はそこまで俺と咲太に甘くはないらしい。

 

 

 

電車に乗ると,佑真が話しかけてきた

正直眠くて頭痛いからあんまり話が

頭に入ってきていないのだがまぁいいか

 

「おいおい、咲太の次は博己かよ。大丈夫か?昨日の咲太ほどじゃねぇけど,お前も顔色良くないぜ?」

「僕そんなに酷かったか?」

「おぉ、ゾンビみたいだった。咲太ってテスト前に一夜漬けとかして徹夜してでも抗うタイプだったっけ?」

「いや、諦めて寝るタイプだ」

「だよな」

「普段から勉強しとけよ。なんで諦めるか一夜漬けしか択ねえんだよ。学生は学生らしく本文にのっとって勉学に励めよ」

「だとよ?」

「国見は僕がそんなタイプに見えるのか?」

「いーや全然」

「せいかいだ」

「度し難い阿呆どもめ」

 

 

その時急に咲太が振り返った。

 

「何してんだ?咲太」

「寝過ぎてボケたのか?ブタ野郎」

「お前は寝た方がいいぞ野球バカ」

「うるせぇほっとけ」

「いや,流れるような喧嘩すんなよ。そんで,咲太はなんで振り返ったんだよ」

「・・・視線を感じたんだ」

「はぁ?」

 

視線を感じる、、、ねぇ。

熱視線を送られてるぜ?

お前の大好きな美人な先輩からな。

頑張れ。頑張るんだろ?

ひっくり返せよ。奇跡を見せてくれよ

 

 

電車を降りて,学校に向かっているときも

俺たちのすぐ後ろを付かず離れず

時折咲太のことを覗き込んだりしてる

まじで変なことしないで欲しい。笑いそうになる

 

 

 

学校に着き,佑真が別の友達の所にいき

俺と咲太の2人(正確には3人)になった

ところで、咲太が変なことを話してきた

 

「なぁ博己」

「どした?咲太」

「僕この前大垣に行ってたろ?」

「あーー、日曜日な」

「あれは一人旅だったはずなんだよ」

「なんだ?イマジナリー彼女でもできたのか?」

「僕がそんなにも追い詰められた覚えないぞ」

「じゃあなんだ?」

「それが,誰かと一緒に行ったってノートにあったんだ」

「何言ってんだお前?」

「僕も変なことを言ってるのはわかってる。でもなにか。何か大事なことを忘れている気がするんだ。博己,何か心当たりはないか?」

「・・・・・・・・ないな」

「そうか」

 

 

ここであると言って、事の顛末を伝えても良いが

咲く太の頑張りは、咲太本人によって報われるべきだ。

それに,俺は伝えれて,先輩は無理なんて不公平だしな。

 

すると,双葉がこっちにやってきた。

 

そして一枚の紙を咲太に手渡す。

 

「なんだこれ」

「ラブレターか?宛先間違えてんぞ」

「とりあえずくたばれ野球バカ。」

 

書いてあるのは量子物理学の世界における

観測理論の基本的な定義についてだった。

 

「教科書に挟まってたんだ。これと一緒に」

 

そこには【何も考えずに,手紙を梓川に渡せ】とある

双葉のやつ、、、眠る前に最後の細工をしてたのか

相変わらず抜け目ないというか,そつないというか

せっかくならもうちゃいついげきしとくか。

 

「よくわからんけど,これ所謂【観測理論】ってやつの概説だな」

「へぇ,星野知ってるんだ」

「意外か?」

「いや、よく考えたら星野無駄に成績良いもんね」

「無駄にとは随分だな」

「野球バカと勉強が優秀なのは中々紐つかないよ」

「そうか?」

「確かに博己外見バカっぽいな」

「黙れガッツリバカ」

「はいはい。そういうのはいいから。じゃあ,私は渡したから戻るよ。それと,星野は少し寝た方がいいと思う。クマがすごい」

「終わったら爆睡だよ」

「そ。程々にね」

 

 

そう言って,双葉は戻って行った。

咲太はからがなんなのかわかっていないようだ。

でも,徐々に材料は散りばめられていった。

 

「そういやお前,さっき大垣の話してたじゃん?」

「あぁ,してたな」

「そもそもお前,急になんで大垣なんか行ったの?しかも帰ってきてからは急にテスト前徹夜するし。かと思ったら昨日は寝たっぽいし」

「大垣は一人旅でふらっと行っただけだ。それにテスト勉強は,テスト前だからするだろ」

「普段ろくにしないやつが急に3日も徹夜してねぇ。あそこまでふらふらになる程とは、、、不思議なこともあるもんだ」

「何が言いたいんだ?」

「言葉の通りさね」

「そうか。なんでもいいけどそろそろ戻らないとテスト始まるぞ」

「おりょ、もう時間か。いっけねぇや」

 

 

双葉からの手紙には、続きが書いてあった

全校生徒の意識は並大抵のことじゃなり変わらない

でも,梓川咲太の意思が,想いが,恋慕が

空気という形を変革させるにいたるというなら

それをできるのは咲太だけだ。

それにしても、、、、、

 

「あの双葉が愛の力,なんで言い回し使うとはな」

 

なんだか面白い。

寝なさすぎてツボが浅いのだろうか?

 

 

席について深呼吸する。

ここで寝落ちしたら全部がご破算だ

集中しろ。頑張れ

 

キーンコーン カーンコーン

キーンコーン カーンコーン

 

「それでは!試験開始!」

 

最終日のテストが始まった。

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

やばい。

 

 

何がやばいって?

睡魔だ。

異常なほどの睡魔。

 

 

テストはどうなのか?

んなもん秒で解き終わったわ

普段から勉強してるやつに

テスト範囲劇セマの1

学期中間なんぞで3徹もさせるな。

 

 

テストが余裕すぎて過去一の手応えだわ

 

 

時刻は昼前の2時間目

テストはこれが最後の国語

これが終わったら咲太のところ行って

何か、、おも、、い、、、だすこと、、、、

 

 

 

 

ッガタ!!っていかん!!!

テスト終了まであと15分弱か

ちょっと厳しいかもしれないな

最悪はトイレに立つのもありか。

もう終わってるしテストは回収されていい

そんなことを考えていた瞬間だった。

 

「ーーーのーーーです!!」

 

ガラガラガラガラ!

タッタッタッタッタッタ!!!

 

扉を勢いよく開ける音と

同時に廊下を駆け抜けていく音

そして,わずかにドアの隙間から覗いていた

茶髪の癖のある髪の毛。

 

 

間違いない!咲太だ!!

あんなバカなことするやつ

咲太くらいしかいないに決まってる!

 

 

 

なら,俺はもうお役御免かな?

いや,まだだ。最後まで見届けろ

 

 

親友の人生最大の見せ場だ

俺の人生で多分最大の博打

その答え合わせは、すぐそこまできていた。

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

梓川咲太がこれから変えようとするのは

学校という歪な環境が作り出したもの。

 

その名は「空気」 

 

押しても引いても

叩いても何もないもの

学校を取り巻いているもの、

 

「みんな」という不定形の同調圧力が

答えを生み出してそれに従うことで

安寧を約束されるそんな,社会の理不尽を

煮こごりにして詰めたみたいなそんな、、、

 

 

 

社会の用意した「逃げ道」の総称  

 

 

   

それに苦しめられたのは

たった1人の少女

俺と咲太の一個上の女の子

発端は彼女だったのかもしれない。

でも,それを醸成したのは間違いなく

学校という空気の温床を回れ右する人間たち

 

 

 

俺の親友はこれから,そんなどうしようもなく

自由意志の中にいると勘違いした

自由と最も縁遠い人間たちを相手にする。

 

 

 

気狂いだ!無意味だ!徒労だ!無価値だ!

時間の無駄だ!建設的じゃない!

 

 

 

そんな常識っていう見えないものを

今からあのバカはぶち壊すんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空気なんて読むな。もううんざりしたろ?

散々引っ搔き回されて,痛い思いは十分だろ?

さぁ,お前の時間だ!梓川咲太!!!

お前の胸の内に秘めた想いで!!思いで!! 

こんなクソッタレなもんぶっ壊しちまえ!!!

 

 

 

 

 

梓川咲太が立ったのは

俺の親友がステージに選んだのは

校庭,グラウンドのど真ん中

テストに集中する学生全てに向かって

校舎にありったけの想いをぶつけて

 

 

咲太は叫んだ

 

 

 

「いいかお前ら!!!よくきけぇ!!!2年1組の,出席番号1番!!梓川咲太は!!!!3年1組の!!!!桜島麻衣先輩のことがぁぁぁ!!はぁぁぁぁ、桜島先輩のことがぁぁ!!!好きだぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

しかし,木霊した渾身の告白に

校舎はその鉄筋と窓から無機質な

そして無音の返事を返すばかり

周りわ見渡しても「あいつ頭平気か?」

みたいな嘲笑する雰囲気しか流れていない。

 

これは、、、、、

やっぱりダメなのか?

空気は,1人じゃ変えられないのか?

 

「あぁ、くそぉ!やっぱりこうなるのか!!恥のかき損だよ!ったく。これだから空気となんか戦いたくなかったんだ!ちくしょー」

 

咲太もなにか言ってる

でも、、、、、、、、、、

 

 

ガラガラガラガラガラガラ

 

 

フゥゥゥゥゥゥ

「諦めんじゃねぇよ咲太ぁぁぁ!!!!!!!てめぇ!!何しにそこまでいったんだ!空気ってやつを変えるんだろ!!!!好きな人に好きって伝えるんだろ!!!!んなとこで愚痴吐くために!!死にそうになりながら頑張ったのかよぉぉ!!!!!!」

 

俺の声が聞こえたのか,咲太はまた顔を上げる

 

「・・・博己。ッハハ,あいつやっぱり僕以上のバカだ。そうだ。僕が麻衣さんをあきらめれるわけないだろ」

 

そして,また彼は叫び始める。

空気と戦うための【愛の叫び】を

 

「麻衣さーーん!!好きだぁぁぁぁぁぁ!!!好きだ好きだ好きだ好きだ好きだぁぁぁぁ!!」

 

その効果は,徐々にで始める

まず,生徒たちが気になり始めた。

 

「手を繋いで七里ヶ浜を歩きたい!!」

 

次に教員が止めるためだろうか?

全く無粋極まりないが

まず動き始めるたまに教室を出る。

 

「バニーガールの格好だってもう一度見たい!!」

 

今度は野次馬の生徒たちが数人

教室から出て眺め始める

 

この時,俺はもうテストを出して

そのまま校庭に向かって走りたい気持ちで

心が,胸がいっぱいになってた。

それでも,その心を理性で止めた。

まだだ,まだ違う!俺が行ったら話が変わる

 

「ギュッと抱きしめてみたいし!キスだってしたいんだ!!」

 

咲太の行動は,学校を動かし始めていた。

先生を生徒を,自分に注目を集めさせていく。

生徒たちも,先生たちも,みんな思い出す。

 

「要するにさぁ!!!麻衣さん!!大大大大大好きだぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

桜島麻衣を

 

 

世界のこぼした記憶を

 

 

空気という不定形がうんだ歪な記憶のカケラ達を

 

 

 

そして,遂に訪れる。

 

 

 

「そんなに大きな声で言われなくても聞こえてる」

「近所迷惑でしょ?」

 

 

 

咲太は確かに,桜島麻衣を視認していた

周りの連中もみんな,桜島先輩が見えている

 

 

「どうせだから,世界中の人に知ってもらおうと思って」

 

「バカなんだから」

 

「賢いフリしてる奴よりはいいでしょ?」

 

「本当バカ,こんなことして目立ったら,また変な噂が立つわよ?」

 

「麻衣さんと噂されるなら大歓迎」

 

「そうじゃなくて、、、バカ。バカ咲太」

 

 

聞こえないが,きっといつものテンションで

アホなやり取りしてんだろうなあのブタ野郎は

 

もう大丈夫だと,ほっとしてみていると

走って行ったのは桜島先輩

胸に飛び込んでいくとはベタな

と思ったその瞬間,思いっきり咲太の頬を叩いた

 

「いって!え、なんで?」

「嘘つき!忘れないって言ったじゃない!!絶対に忘れないって!!」

「・・・ごめん」

「許さない」

「ごめん」

「絶対に許さない」

「じゃあ,許してくれるまで離さない」

「じゃあ,一生許さない」

「えぇぇ」

「なによ。嫌なの?私にここまで言わせておいて?」

「あの,足」

「踏まれて嬉しいんでしょ!」

「ごめ,ごめんなさい。反省しているので許してください」

「他に言うことは?」

「踏んでもらえて幸せです」

「今私が聞きたいのはそんな言葉じゃない」

「好きですぅ」

「ほんとにぃ?」

「嘘です。大好きです」

「ねぇ,咲太」

「なに?」

「今の,1ヶ月後にもう一度言って」

「なんで?」

「ここで返事すると,勢いと雰囲気で押し切られた気がする」

「僕としては,この場でキスくらいまでしたいんだけど」

「今ドキドキしてるのはこう言う状況だからかもしれないし」

「麻衣さん意外と冷静だね。じゃ、1ヶ月待てないから毎日言ってもいい?」

「いいけど?ちゃんと1ヶ月続けなさいよ。できなかったんなら気が変わったんだと見なすから」

 

 

ビンタされたのはおもろかったけど

多分,その後のくだりはコーヒーが甘くなるやつだ。

ブラック飲んでるのに砂糖の味がするやつだ。

どうせ,鬼もくわない惚気話だろうな。

全く,なんやかんやでお似合いの

似た者カップルだよ。あの2人は。

 

「それにしても,みんな空気を読むのが好きだねぇ。あんだけのことがあったのに,みーーんな静かに観客してるんだから」

 

 

すると,桜島先輩がこっちに向かって

何かを叫び始める。

 

「咲太が同級生を病院送りにしたって言う噂ぁぁ!!あれ,デタラメだから!!!」

 

・・・・・びっくりしたぁ。

 

まさかここでそれ言うとは

でも、、、、効果覿面ってやつだ。

 

「桜島先輩,なんでそんなこと知ってんだ?」

「てか2人ってどう言う関係?」

 

周囲はザワザワとしてるままだ

 

桜島先輩はそんなこと,気にも留めてない様子

まるで,「みんなに知って欲しかったんでしょ?」

と咲太に自慢しているみたいなご様子だ。

 

せっかくなのだ便乗しておこう。

 

 

「あったりまえじゃああああ!咲太みたいなぁぁ!!ヒョロヒョロの女に告白する踏ん切りつけるのに2週間もかかる奴にぃぃ!!!はぁぁぁぁぁ3人も病院送りになんかできるかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

「ははははははっ。まじかよあいつ」

「なんでひよってた奴が急に?」

「なのにあんな告白したの?逆にやべぇ」

「何それ可愛い」

「でも確かにあの噂変だよねぇ」

「梓川が暴力とかみたことないぜ?」

「体育でも特に何かしてる感じでもないしな」 

 

 

 

空気とは伝染する

伝染した空気は,一度変われば

案外脆く,塗り替えていくのは容易い

こんな公衆面前の場なら当然だ。

 

 

 

「博己、、、あいつやっぱり僕よりバカだ」

「咲太。いい友達を持ったわね」

「いいもんじゃないですよ。おかげでへんな注目を浴びちゃったし。この後どうせあいつも僕も職員室でお説教ですよ」

「いいじゃない。それに,私も一緒に受けてあげるから」

 

 

 

そう咲太に告げた桜島麻衣の顔は

芸能人としての顔でも

学校の時の無表情で空気のような顔でもなく

年相応の爛漫な、、花が綻ぶような、、、

そう,それはきっと、、、、、、

 

 

 

 

「恋する少女の笑顔」だった。

 

 

 

 

『そこの2人ぃぃ!!ちょっとこいぃ!!』  

『おいこら星野ぉぉ!!!お前も来い!』

 

 

「うぇ!小田先生!!今日休みのはずじゃ!?」

『うるせぇ!!!お前は俺と個別指導じゃバカタレェ!!!』

「いやまだ後一つテストが」

『問答無用!!後で俺の監視下でテストだ!!』

「そんなぁぁ〜」

 

 

「ドンマイ星野。やっぱり星野は野球バカだね」

「助けて双葉先生ぇ〜」

「面倒だから嫌」

 

 

「クォラ星野ぉぉ!!何喋ったんじゃ早よこんかい!!今回ばっかりはみっちり指導してやるから覚悟しとけ!!」

「俺4徹なんです勘弁してださぁぁい」

「えぇぇい問答無用!!」

 

 

こうして,その日の俺はたっぷり搾られ

ボロボロのねむねむな状態でテストを解かされ 

最後の最後,帰り際で明日の練習は1日中

ポール間タイム走だと伝えられ絶望したことは

もはや言うまでもないだろう。

 

 

「不幸だぁぁぁ!!!」

『うるせぇぞ星野ぉぉ!走れぇぇ』

「くそがぁぁぁ!!!」

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

「全くお前のせいで散々だったぞ咲太」

「あれは勝手に叫んだ博己が悪い」

「ふざけんな」

「にしてもやっぱ,咲太と博己は鉄の心臓持ってんだなぁ」

「私なら恥ずかしくて死んでる。あんなところで告白するなんて,流石梓川。【青春ブタ野郎】だね。」

「じゃあそんな咲太のことも甲子園のスタンドみたいに声張って応援しちまう博己は【全力野球バカ】だな」

「それどう言う意味だよ」

「おい佑真お前もだぞ」

「病院送りの噂が学校中に流れた時,空気と戦うなんて馬鹿馬鹿しいとか言ってたの忘れた?」

「言ってたなぁ」

「あの時のキメ顔はうざかった」

「おいコラ何文句挟んでんだ野球バカ」

「うるせぇブタ野郎」

 

俺たちが言い合っていると,双葉はのちの言葉を紡いだ

 

「自分のためには本気になれなかったくせに,美人の先輩のためならどんな恥でもかけるなんて奴が【青春ブタ野郎】じゃなくてなんなのよ」

「ふっ」

「なーにキメ顔してんだ。皮肉だぞバカ」

「そういう星野だって,親友の梓川のために4日も徹夜して,しかも桜島先輩と賭けまでしてたんでしょ?」

「おいちょっと待て,なんでそれを双葉が知ってる」

「お,何それ面白そうだな」

「お前まで食いついてくるな!!後,佑真!!お前が俺につけたさっきの不名誉でカスみたいな渾名!俺まだ認めてねぇし許してねぇからな!」

「え〜,似合ってるけどなぁ。【全力野球バカ】って,博己!って感じするじゃん」

「するする。何事も手を抜かない堅物のめんどくさい感じとか博己のことそのままって感じだ」

「この野郎。テメェの好きな女の存在こと忘れてて慌てて思い出した挙句校庭で告白するとか言う人生最大の黒歴史飾った奴が何を偉そうに」

「でもそんな僕を応援するために僕より寝ないで頑張った上に,麻衣さんと交渉して自分の財産までかけて僕を応援した野球バカがいたらしいぞ?」

「噂の出どころはてめぇか!!」

「なんだそれ!超カッケェじゃん」

「やめろ佑真!!わしゃッとすんな」

「ごちゃごちゃ騒ぐな注目されるだろ。梓川も止めろ」

「僕に止められると?」

「やってみろよ病院送りくん?」

「喧嘩打ってるのか?」

「買ってみろよ。俺がお前を病院のベッドに直接叩き込んでやる」

「僕はそんな安い挑発には乗らない」

 

 

 

「全く,これだからブタ野郎は」

「うるさいぞ野球バカ」

「今日も元気だなぁ2人とも」

「本当にうるさい。」

 

 

 

何はともあれ,日常は帰ってきた

世界は桜島麻衣を取り戻し

咲太は追いかけ続けた美人な

先輩彼女を手に入れることに成功した。

 

それだけじゃない。

咲太は噂を解消することに成功し

ようやく,普通の高校生になれたのだ。

いや,今度は「桜島麻衣の彼氏」という

病院送りより社会の目が重い新しい 

でも,咲太にとっては何より誇らしい

新しい肩書きがついたわけだが。

 

 

 

 

昼休み,第一科学実験室

 

 

「なぁ,博己・双葉」

「んだよ咲太」

「なに?梓川」

「結局双葉と博己の立てた仮説が正しかったってことで良いのか?」

「さぁな。思春期症候群って名前すらそもそもの存在があやふやな都市伝説みたいなもんだ」

「思春期の不安定な精神や強烈な思い込みが見せるまやかし、そう言うのが思春期症候群だって言うなら,科学的な検証なんてあてにならないよ」

「俺が出した仮説も,双葉の理論的な話も,桜島麻衣っていうたった一つのモデルケースのための推論と見える限りの仮説を組み合わせたハリボテだ。大体,全員の認識が阻害されて,記憶からも社会からも隔離されるなんて現象は,観測理論って言っても強引に結びつけただけなもんだ。本当のところは不明なものに現代の科学理論を無理やり当てはめて構造化したらたまたま解決したってとこだろ?」

「そうだね。星野の言う通り,たまたま上手くいった。が1番正しいのかもね」

「なるほどな」

「までも、私たちの世界なんて告白一つで変わってしまうくらい単純なのかもね。梓川が証明したようにさ」

「そうかもな」

「んなことあるかよ」

「どう言う意味だ?博己」

「人の気持ちを具現化するのは言葉だ。そんで,人が持つ最も原始的な欲求の中で,他人を介する必要があるのは性欲だけ。だから人は,そこに愛だの恋だのと名前をつけてきたんだ。要は,人が欲求に思いを乗せた最初の事柄ってことだろ?それを伝える行為が,単純なわけがない。」

「漫画か小説の読みすぎだな」

「案外星野はロマンチストなんだね」

「双葉はいいとして咲太,テメェは明確にバカにしてんだろ?」

「全く偶にはスマートに終わりなよ」

 

「「こいつが余計なことをいうからだ」」

 

「はぁ、これだから野球バカとブタ野郎は」

 

 

 

 

俺たちの方は

青春という空気のまどろみに

日常という形で溶け出し

そしていつしか,これも美しく

忘れがたい記憶の1ページになっていくのだろう。

 

夏の訪れを告げる蒸し暑い陽光は

そんな泡沫のような時間をじんわりと

照らし続けていた。

 

 




はい。
というわけでバニーガール完結!!
無理やり終わらせたから文字数えぐい。
ここで考えてんのが,番外編突っ込むか
それともプチデビル後輩に入るか
みんなはどっちがいいと思いますか?
ご意見あればコメントください!!
ここ知りたいとかあったら超嬉しい!
番外編やるなら今んところは従兄弟の話しようかなぁと
なんなら従兄弟もオリキャラとして原作きゃらとくっつけたい!
ちなみに設定の予定は「咲太と博己の二つ下」
ここまで言えば,ヒロインが誰なのかは
自ずからなんとなくわかるよな?
まぁ,実際やるかやらないかとかはまだわからんけど
オリキャラ出し過ぎるととっ散らかって収集つかないしね


てなわけで高評価・コメント
お待ちしています!!
いつ亀するかわからんし
いつえたるか知らんけど!
それでも頑張っていく所存ではあります!!
それではまた次回!!!!!!!
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