クロウがクラウンスレイヤーを捕らえた頃、ハルデンとAce小隊はドクターの護送に使う通りを進んでいた。
先遣隊から伝えられた情報をもとに経路上の敵を退け、護送隊が来るまで道を確保する。重い扉や残骸を動かす仕事もあったが、そうした時にはハルデンが前へ出た。
彼の左手にある大型の盾も、狭い路地を通るたびに角度を変える必要がある。
その盾を作ったのはクロージャたちだった。幾枚かに分かれた装甲板を開いて固定する仕組みで、展開すれば彼の身体を十分に覆える。完成品を初めて見たロドスの重装たちは、持ち主と盾を交互に見て、どちらの重さを先に尋ねるか迷ったものだ。
その盾を低く提げたまま、ハルデンは次の交差点を見た。
「あそこで右へ曲がる。クロウの報告では、その先に――」
「構えろ!」
Aceの声に盾が上がり、路地の奥で弦が鳴った。何本もの矢が飛来してロドスの盾を叩く中、半歩前にいた黄色い巨人だけが、その場に立ったままでいる。
矢は胸と肩に当たり、折れるか弾かれるかして足元へ落ちた。ハルデンは盾を上げず、最後の一本が胸甲を滑り落ちるまで射手の方を見ていた。
「なっ……当たってるだろ!?」
向こうで上がった声に、射手の一人が弩を下ろす。隣の者は矢を取り出したまま手を止め、後ろにいた兵まで黄色い装甲を見上げていた。
相手が退けば追う手間も省ける。
ハルデンはそのために一斉射を受けたのだった。此処で求められているのは、ドクターを運ぶ者たちが安全に通れる道だ。敵の数を減らすより早く武器を捨てさせられるなら、その方が弾薬も時間も使わずに済む。
Aceは隣まで出ると、盾の陰から声をかけた。
「……次も同じ矢とは限らないぞ」
「承知している。二射目の支度が鈍った、今のうちに退かせられればよいのだが」
「そう素直なら助かるんだがな」
Aceが言い終える前に、通りの向こうから拍手が聞こえた。
「へえ……それ、全部受けたの?」
兵たちの間を抜けて、白髪の少年が現れる。両隣の兵を下がらせながら黄色い巨人を見上げ、その視線は大きな盾から肩、緑のレンズへと移っていった。
「すごいなぁ、そんなに大きな鎧の中に誰が入ってるんだろう? ねえ、君もロドスなの?」
ハルデンが答えるより先に、少年はAceの肩の印を見て笑った。
「そっちはそうだよね。僕、資料を読んだんだ」
「その部隊を動かしているのはお前か」
「そうだよ、でも君たちにはもっと興味が湧いちゃった。特に、そっちの黄色い人! こんな面白そうなおもちゃ、今まで見たこともないよ」
ルナシルバーが盾の陰で顔をしかめたが、Aceは視線を少年に置いたまま左右の隊員へ手で合図した。向かいの兵たちは話を聞いているようでいて、少しずつ通りの端へ寄っている。
ハルデンの兜の内側で、部隊内の通信が開いた。
『Aceよ、連中はただの愚者ではないようだ。我々を挑発しながら、この狭い街区での包囲殲滅を狙っている』
『ああ、こっちからも見えている。後ろの路地にも回り始めた、このまま待つのはまずいな』
『私が正面を突破する。貴様らは我に続け、連中を引きつけながら護送ルートから離す』
『了解した。あの杖には気をつけろ、アーツユニットのはずだ』
『アーツユニット……なるほど、以前聞いた異能の増幅器か。理解した、注視しよう』
メフィストが杖を持ち上げた。
「もう少し試してみようか。みんな、あの鎧がどこまで丈夫なのか、僕に見せてよ」
通りにレユニオンの盾が並ぶ。それが揃い切る前に、ハルデンは左腕の盾を構えて踏み込んだ。
ぶつかった先頭の盾が跳ね、後ろの兵まで巻き込んで列が凹む。横にいた者が支えようとしても、黄色い装甲の勢いは止まらない。盾の縁を掴んだ手が外れ、二人が道端へ転がっていった。
ただ、その中で一枚だけ、正面からハルデンの盾を受け止めたものがあった。
「……ほう?」
盾越しに覗く太い角。大柄なフォルテの兵士が両足を踏ん張って押し返している。靴底は滑っていたが、膝はまだ折れていなかった。
「フォルテの力を……舐めるなよッ!!」
「優れた膂力だ。だが、その重心では――」
ハルデンの盾が僅かに傾く。押し合っていた力の向きが変わり、フォルテの上体が前へ流れたところへ、盾の面が下から持ち上がった。
「踏ん張りが利かぬぞ」
兵は盾を抱えたまま後ろへ飛び、空いた通りへハルデンが進む。Aceがその右脇へ入り、続く小隊の隊員たちが背後を抜けてきた。
メフィストは下がりながら目を輝かせ、脇に控えていた兵へ指を向ける。
「ほら、そこからなら届くだろう? 行っておいでよ」
鉈と剣を持つ兵が横から殺到した。ハルデンは盾を傾けて最初の刃を滑らせ、空いた右手で持ち主を殴り落とす。続く一人を盾の縁で薙ぎ、折れた腕ごと武器を押さえ込んで脇へ投げた。
相手の身体がどこまで耐えるかを考え、打ち込む箇所と力を選ぶ――その一手間が、ハルデンには煩わしかった。Aceたちの刃を避けて敵を倒すだけでも十分に気を使うのに、その敵まで生かして残すのである。
それでも、交戦規定は承知していた。ロドスと共に動くと約したのは自分だ。彼はまだ鞘にあるチェーンソードへ手を伸ばさず、目の前に立った兵の盾を押し潰して退けた。
「左から来るぞ、ケルグ!」
「見えてる、こっちは通さねえ!」
Ace小隊も左右の攻撃を受け流し、ハルデンが開いた幅を保って進んでいく。そのうちルナシルバーが、道の奥にいたメフィストがまた拍手をしているのに気づいた。
「……何がおかしいんだ、あいつ」
「いやぁ、いいものを見せてもらったよ。君たち、ずいぶん手加減してくれるんだね」
メフィストの杖が光る。
ハルデンはその光を見て、足を止めた。背後で金属を擦る音がしたのだ。先ほど盾ごと飛ばしたフォルテが、起き上がろうとしている。横では腕を折られた兵まで、動かぬ手をぶら下げたまま膝を立てていた。
「ば、馬鹿な!? ハルデンの兄貴が確実に動けなくしたはずだぞ!!」
ルナシルバーが声を上げ、ケルグも盾越しに目を見開く。
「あの拳を受けて立てるって……奴ら、どうなってるんだ?」
Aceの視線が、起き上がる兵から少年の杖へ移った。兵の襟や、肌に露出した源石の結晶の周りには白い粉のようなものが付いている。
「あいつのアーツか……!」
「恐らくはな。全員、動揺するな――互いの背を合わせ、対包囲陣形を組め!」
ハルデンの声で隊員たちが動き、Aceも前へ出かけた一人の肩を引いて位置を戻した。円く並ぶ盾の向こうでは倒れたはずの敵が次々に立ち上がり、そこへまだ傷の浅い兵まで加わってくる。
「敢えて前衛を倒させ、後から起き上がらせて包囲を完成させる……侮るべき相手ではない、か」
「あははっ、気づいてくれた? せっかく道を開けたのに残念だったねぇ?」
メフィストは杖の先をこちらへ向けた。
「さあ、今度は君たちの番だ――殺せ」
呻き声と共に盾の輪へ敵が押し寄せた。Aceが戦鎚を振るって一人を打ち払うと、胴から骨の折れる音がして、兵の身体が脇の壁へ叩きつけられる。ところが、息を詰まらせて倒れたその兵は、すぐに壁へ指を掛けた。身体を起こし、同じ相手へまた突っ込んでくる。
「隊長、後ろも来ます!!」
「前へ出るな、盾を合わせろ!」
ハルデンが盾の外から伸びた腕を掴み、兵を地面へ叩きつけた。曲がった肘が敷石を打っても、兵は鉈を握る手を開こうとしない。胸元を踏み押さえられたまま足を動かし、手甲へ歯を立てようとしていた。
倒すたびに戻ってくる。その間にも盾を持つ腕へ重さがかかり、後ろへ引かれた者を隣の隊員が支える。円陣を保つだけならまだ耐えられるが、護送隊のために道を空ける仕事は、このままでは進まなかった。
「Ace、このままではいずれ守りを食い破られ、本来の任務の遂行能力を失う。交戦規定の例外措置を求める」
Aceは、再び立った兵を見た。傷ついた胴を庇うこともできず、浅い息を繰り返している。その向こうでは、術をかけている少年が笑っていた。
「……分かった。突破を阻む敵と術者への攻撃を許可する、俺たちは続けるようにしておく」
「感謝する。貴様らは前へ出るな――巻き込まれる」
ハルデンは足元の兵を蹴り退け、盾の固定を外した。装甲板を畳んで腰へ据え、代わりに右手でチェーンソードを抜く。起動した刃が唸りを上げると、すぐ隣の隊員が反射的に肩を引いた。
正面から来た兵へ、一閃。
回転する刃が盾と胴をまとめて裂き、上下に分かれた身体が敷石へ落ちた。横から打ちかかってきた兵には左の拳をぶつけ、胸を押し潰して弾き飛ばす。倒れた者へ振り返る間にも、ハルデンの足はすでに次の一歩へ進んでいた。
狙いは、道の奥で杖を持つ白髪の少年である。
「……え?」
メフィストの笑顔が止まった。
もう一人が前へ出る。剣を掲げたその兵の腕ごとチェーンソードが通り、ハルデンは崩れた身体を盾にしていた後続まで押し退けた。先ほどまで彼を止めていた列が、踏み込むたびに短くなっていく。
「何をしてる!? アイツを止めてよ!! ほら、早く――」
メフィストは近くの兵を自分の前へ押し出した。その兵が持ち上げた武器より早く、黄色い手甲が頭を掴む。兜ごと頭蓋が潰れ、手を離された身体が少年の足元へ落ちた。
ハルデンの左手が、次にはメフィストへ伸びる。
「こ、これがアスタルテスの本気ってことかよ……」
バッドトムが息を呑み、ルナシルバーも押し寄せる敵を盾で受けながら、先を行く黄色い背を見た。
「ハルデンの兄貴が仲間で良かったぜ……」
「見とれてる暇はないぞ、続け!」
Aceの声に隊員たちが前へ出る。そのさらに先で、メフィストが後ずさった。何かを命じようとして口を開いても、目の前の巨人はもう、彼の杖が届くより近くにいる。
「来るな……っ、ファウスト!」
その叫びと重なって、ハルデンの視界の端を光が走った。
伸ばした手を引き、身体を捩る。直後、アーツの光を纏った矢が腕のあった場所を貫き、後ろの壁へ突き刺さった。砕けた石が背を叩き、メフィストも顔の前へ腕を上げる。
ハルデンの手は、少年の襟へ届く寸前で止まっていた。
「……狙撃手、だと?」
兜が射線の先を向いた。何街区も先の建物に、こちらを見通せる窓が並んでいる。先遣隊の報告には、そこから射撃できる敵の情報はなかった。
兜の表示を切り替えても、人影は現れない。矢が飛んだ方角へ視線を絞り、ハルデンは腰から盾を外した。
「射撃元に熱源反応はなし。矢も異常なエネルギー値を纏っていた……これもアーツとやらか」
広げた装甲板が噛み合い、左腕の前に再び盾が立つ。彼がその陰へ半身を寄せる間に、メフィストは後ろへ退いていた。
「い、今のを避けた……? ファウストが撃ったのに?」
少年の声は、まだ返答を求める響きを残していた。
数街区先の窓では、ファウストも弩を構えたまま息を止めていた。狙った腕は確かに捉えていたはずだ。身を捩るのがもう僅かでも遅ければ、矢はあの黄色い装甲へ当たっている。
だが、射撃によってメフィストから巨人を離すことはできた。ファウストは次の矢を取り、窓の奥へ身を沈める。
『メフィスト、下がれ。近づかせるな』
「分かってるよ! でも、あいつが――」
『後ろへ行け、俺が見ている』
その声を頼りに、メフィストは兵たちの間へ下がった。ハルデンは追おうとしたものの、足元から起き上がった兵が盾へ縋りつき、刃を振る間にも別の一人が脇から迫ってくる。狙撃の一射が、少年との間にまた人の壁を作る時間を与えていた。
Aceがハルデンの横へ出た。
「あの術師を逃がしたままじゃ、いつまで経っても道が空かん。俺たちが盾を出す、お前は動け」
「敵の射手はこちらを見ているぞ」
「だからだ。次の狙いが定まる前に、こっちも位置を変える――全員、俺についてこい! 頭を出すなよ!」
隊員たちが盾を寄せながら進み、ハルデンもその動きに合わせて正面の兵を払い退けた。倒れた者を越える際にはAceが足元を守り、横へ回ろうとする敵には後列の射手が矢を放つ。ハルデンが一度だけ射撃元へ盾を向け直したところで、Aceがその隣から半歩前へ出た。
次の瞬間、彼の盾が強く弾かれた。
「ぐっ……!」
矢が盾を打ち、Aceの足が敷石を擦る。膝を沈めて受け止めた彼の肩をケルグが支えたが、ハルデンはすでに、矢の飛んできた窓へ顔を上げていた。
今度は位置が絞れた。二射の軌道が、同じ窓の奥へ続いている。
「そこか」
チェーンソードを吊り下げ、空いた右手でボルトガンを持ち上げる。残弾の表示が視界に入ったが、引き抜いた武器を戻す理由にはならなかった。
「全員、伏せろ!」
Aceが声に応じて膝をつき、他の隊員も盾の陰へ身を沈める。
ファウストはスコープ越しに、黄色い巨人と目が合った気がした。緑のレンズが、ぴたりとこちらを向いている。その下で持ち上がった銃は、形も、大きな銃口も、これまで見たどの武器とも違っていた。
――窓から離れなければならない。
考えるより先に、ファウストは弩を抱えて床を転がった。部屋を出る戸口へ肩から飛び込んだところで、背後の窓枠が砕ける。
ボルトガンが吼え、自己推進する弾頭が窓を突き破って室内へ飛び込んだ。続く爆発が壁を震わせ、机と椅子の破片が戸口を抜けてくる。ファウストは頭を伏せて腕で庇い、飛んでくるものが止むまで、その場にうずくまっていた。
さっきまで頬を寄せていた銃床を、今は両手で強く握っている。立ち上がると足は動いた。弩にもまだ弦が掛かっている。それを一つずつ確かめて、ようやく肺に溜めていた息を吐いた。
「ファウスト……?」
通信機から聞こえた声は小さかった。続いてすぐ、呼びかけが重なる。
『ファウスト! ねえ、返事をしてよ……ファウスト!』
「……聞こえている」
メフィストが息を吸う音がした。
『生きてるんだね? 今、あの部屋が……!』
「避けた。俺は動ける、お前の方は?」
『僕は……こっちは、まだ……』
メフィストは言葉を止め、離れた建物の窓を見上げた。壊れた窓から粉塵が流れ、少し前までそこにいた友人の姿は見えない。それでも、通信には声が届いている。
生きていた。
胸のつかえが解けた途端、その窓へ銃を向けた黄色い巨人が目に入った。
「よくも……お前、ファウストを……!」
ハルデンが銃を下ろし、こちらを向く。緑のレンズが正面に来ただけで、メフィストの喉が詰まった。足元へ落とされた部下の身体が視界に戻り、伸ばされた手が自分の襟へ届くはずだったことまで、ようやく思い出す。
『メフィスト、撤退するぞ』
「……何を言ってるんだい? あいつをこのまま――」
『俺たちだけでは対処できない。続ければ被害が増えるだけだ、タルラに伝える』
「でも……!」
『俺も移動する。お前も来い、今ならまだ下がれる』
ファウストの声は、返答を待っていた。メフィストは杖を握り直し、また巨人へ目を向けようとして、途中で視線を落とした。兵が一人、潰れた胸を引きずるようにして立ち上がり、ロドスの盾へ向かっていく。
「……分かった、分かったよ。だから、君もちゃんと戻ってきて」
『ああ』
メフィストは傍にいた兵の袖を掴んだ。
「君たちは僕と来て、早く!」
「ですが、あいつらは……」
兵が指した先では、腕を折られた者がまだ鉈を握り、盾に縋っていた。メフィストはそちらを見ず、杖だけを向ける。
「仕事が残ってるんだよ――ほら、僕を待たせるな!!」
まだ自分の足で歩ける兵たちが彼を囲み、脇道へ下がり始めた。ハルデンはその姿を追いかけて一歩出たが、足元に倒れていた敵が、また起き上がろうとしていた。残った兵はメフィストの去る方へ顔を向けることもなく、黄色い装甲へ手を伸ばしてくる。
「……足止めか」
「ハルデン、追うのはここまでだ!」
Aceが声をかけた。先ほど矢を受けた盾を構え直し、路地へ消える敵と、こちらへ来る兵を見比べている。
「こいつらを止めて道を空けるぞ、護送隊が来る」
「承知した」
ハルデンはボルトガンを戻し、再びチェーンソードを抜いた。残された兵が迫るたび、Aceの盾がその進路を狭め、ハルデンの刃が動く。後ろの隊員たちも互いの間を保って続き、最後の一人が倒れるまで、その列が割れることはなかった。
やがて、通りから刃と盾のぶつかる音が消えた。
「……周囲は?」
「右、敵影なし」
「こっちも見えない……上も、今のところは」
ケルグとバッドトムの報告に、Aceが頷く。ルナシルバーは倒れた兵の傍に屈みかけたが、その手がもう動かないのを見届けると、黙って立ち上がった。
ハルデンもチェーンソードを止め、部隊の後ろから合流地点まで通りを見渡した。敵の残した盾があちこちに散っている。護送の邪魔になるものを脇へ寄せるよう隊員に示してから、Aceへ兜を向けた。
「負傷は」
「盾を持つ肩が少し痺れた、動くには困らん。こっちの人数も揃っている」
Aceは答え、窓の壊れた建物へ一度だけ目をやる。
「……あの射手は、次も気をつける必要があるな」
「同感だ。こちらの報告にも加えておく」
ハルデンはロドスの回線を開いた。
「ヴァレリウス、こちらハルデン。Ace小隊と共に指定経路を確保した――敵指揮官二名は撤退、護送隊を通せる」
返答を待つ間、彼は足元に転がる折れた矢を見た。最初に胸甲へ当たった矢は、どれも黄色い装甲を傷つけるには足りなかった。
だが、Aceの盾には深い打痕が残り、その向こうで射撃を行った者は、まだ生きてこの都市に潜んでいる。
ハルデンは矢から顔を上げ、再び建物の窓へ視線を向けた。