持たざる者の異世界迷宮でハーレムを   作:@ペロ

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010 借金の方

「旦那さま、私が村長に変わりましたので、隣村に挨拶に行きたいのですが、今日はお時間がありますでしょうか?」

「ああ、言っていたな。そうだな、帰る時間もあるからな。明日の朝からでどうだ。何か土産もいるだろう」

「ええー、エマはあの村嫌い。犬の匂いがするの」

「僕も隣村の村長の子供が苦手で……」

「エマ、隣村は狼人族の農村なのだから仕方がないのよ。変なことは言わないの。隣村の村長も人族だから、カルロもお嫁さんを貰うかもしれないのよ。仲良くしなさい」

「ほう、隣村は狼人族の村か。なら、土産は午後の修練で肉でも用意しよう」

 

狼人族か、これは鼻をタダで手に入れるチャンスかもしれない。これはイベントフラグか。あと隣村の村長も人族なのか。お互いの利害が一致しないとトラブルになるぞ。人族の欲望は恐ろしい。俺も人族だからな。

 

「ノラは狼人族はどうだ?仲良くなれそうか?」

「このアイエナ地方は獣人族の生活圏です。何回かパーティーで一緒になりましたが、男の人は怖かったです。女の人は男の人にベッタリ寄り添ってました」

 

ほう、やはりそうか。狼人族の男は狂犬で女は従順か。仮に狼人族の女性を懐柔したとしても、今以上にベッタリになるのか。女は恐ろしいな……。

 

「まあ、隣村だからな。お前らは問題を起こさないようにしろよ。それではカルロと一緒に町に行ってくる。カルロの修練だ!」

 

俺はカルロを連れて冒険者ギルドの壁の絨毯にワープゲートを繋ぐ。

 

「カルロ、このブランチを20本、受付で売ってこい。余計なことを言うなよ」

 

まあ、売値15ナールだから銀貨3枚だ。まあ子供のお使いだ。カルロは俺が渡した麻袋のブランチを受付で売って300ナールを持ってきた。

 

「よし、カルロの修練が1つ終わったからな。銀貨1枚は、お前の駄賃としよう」

 

嬉しそうなカルロをワープゲートに押し込む。これでカルロは商人だ。一応初級職のジョブも全部取らせておくか。一階層のボスのコボルトケンプファーを素手で倒して僧侶、剣で戦士と剣士を取得させる。2回倒させてコボルトフラワーは2個だ。カルロは、あとどこかで神官と錬金術師を取得させれば育成は終了だ。カルロは将来の村長だからな。

 

「さて、カルロは村長になるまで、商人の修練をしてもらうぞ。お前は将来の村長だからな」

「僕は算術を習ってません……」

「そうか、コボルトソルトの売値は4ナールだが、探索者ギルドで20個売るといくらだ」

「!?80ナールです……アキラ様どうして!?」

「ほう、正解だ。お前には商人の才能もありそうだな。これから村長になる為の修練も必要だからな。精進しろよ」

「凄い、カルロ。アキラ様のおかげね!」

 

まあ、カルロを商人ジョブにしただけだがな。才能があると言われればヤル気もでるだろう。

 

「よし、また六階層のホワイトキャタピラーで修練したら、その後に肉を取りに行くからな」

 

カルロは商人Lv1。囮の盾役は危険だろうから俺の後ろにいさせ、囮の盾役はノラに木の盾を渡してやらせる。もうホワイトキャタピラーは攻略法通りにやるだけだからな。

 

ホワイトキャタピラーLv6(非表示 HP1200)

 

プシャー。(初手 魔物のスキル攻撃:糸)

 

火炎剣!……ラッシュ、ラッシュ、ラッシュ。

(非表示 ……114、113、113ダメージ)

ホワイトキャタピラーは煙となって消えた。(非表示 経験値4)

カルロがドロップ品の絹の糸を持ってくる。

 

ボス周回を少し早めに終わりたいので27周回で終わりにする。芋虫のスキル結晶が欲しいが出なかった。帰る前に禁欲攻撃で一発出しとくか……。

俺の戦士がレベル4、僧侶と剣士がレベル5、エマの巫女がレベル5に上がる。探索者レベル5は、まだ動かない。

 

次は三階層のボスのラピッドラビットで兎の肉を集める。ボス部屋の隅で待って、ラピッドラビットが飛び掛かってくるのを剣のラッシュで受けるだけだ。

 

ラピッドラビットLv3(非表示 HP600)

 

火炎剣!……ラッシュ。

(非表示 ……113ダメージ)

ラピッドラビットは煙となって消えた。(非表示 経験値2)

カルロがドロップ品の兎の肉を持ってくる。

 

その後15周回して全部で兎の肉を15個入手する。今日の夕飯で5個食べて、隣村の土産に10個もあればいいか。兎の肉の売値は80ナール。料理人ギルドで買ったとすれば4倍の320ナールの高級品だ。隣村への土産は3200ナール相当だ。銀貨30枚だぞ。うちは毎日全員で1600ナールの兎の肉を食べている。贅沢は恐ろしいな……。

 

「どうだエマ。土産は兎の肉は10個でいいか?」

「ええー。勿体ないよ。5個でいいよ。エマが食べる」

「アキラさん、兎の肉300ナール以上……もごもご……」

「最後にもう1回だけやっとくぞ。俺のパワーが溜まっているからな。隅で待つ戦法はやらないぞ!」

 

ラピッドラビットLv3(非表示 HP600)

 

火炎剣!禁欲攻撃!俺の欲求は高まっている。スキル結晶出しやがれ!

 

ズガガガガッ。プシャー。

(非表示 915ダメージ 禁欲倍率10倍)

 

俺のほむらの銅剣がラピッドラビットにめり込み、煙となって消えた。

(非表示 経験値2)

 

ふう。俺の中の何かが抜けてパンツの中が不快になったが、どうやら昨日ほどではない。昨日は、えらいことになったからな。どうやら俺は禁欲攻撃の耐性が、少しだけ上がったようだ。毎日修練して慣らしていけば、そのうちパンツの不快さから解放されるだろう。

 

くんくんくん。

 

「アキラ様が、また匂いを出してる!」

「私も……小股が……」

「俺もスッキリしたからな。さあ、今日はもうこれで帰るぞ」

 

俺はカルロからドロップ品の兎のスキル結晶を受け取る。なっ、なんだとぉ。また出やがった……これは確定か。色摩の最大倍率の禁欲攻撃の場合の効果で確定でいいのか。カルロの商人のレベルが3に上がる。

 

帰宅した俺は、ついにアンナに見つかってしまった。みっ、見られた。俺のパンツの中の惨状を……。

 

「旦那さまの下着は、これから私が洗濯します。これだと今日は無理そうですね。残念です」

 

なっ、なんだと。今日も格闘するつもりだったんか。俺の煩悩はすでに全て抜けている。見られたからには何を言っても無駄だと諦めた……。

 

「ああ、もうアンナの良いように任せよう。今日は暗くなる前に帰宅したからな。これから川遊びに行こうと思う。体も洗いたいしな」

「はい、旦那さま。準備してきます」

 

家の前に集まった川遊びに行く人数を見て、俺は愕然とする。また違う猫の家族がいる……。悪いが俺は、全員の名前は覚えないぞ……。

 

俺は全員を渓流にある岩の前にワープさせる。10人いるから2回だ。納屋に置いてある石鹸を持っていくのを忘れるな。今日はオスの子供もいるからな。変なことするなよ。

火炎剣で川の水を温める作業はエマに任せて、俺はカルロと未亡人2人だけを岩場の滝に連れて行き、3人を神官と巫女にさせた。猫人族の子供はLv5になっていないから、また今度だ。カルロは、あとは錬金術師だけなので、これで俺のパーティーから外していいだろう。

 

「カルロよ、お前の修行は一旦これで終わりだ。これからのお前の仕事は、村長になるための試練だからな。これから猫人族の探索は、お前が仕切れよ!」

「えっ、僕まだ子供だけど……」

 

カルロは猫人族の百戦錬磨の未亡人たちに預ければ、そのうち皮も剥けるだろう。

全員で温い川遊びで体を綺麗にしてから俺たちは帰宅する。暗くなってきて、もういい時間だ。

 

「アンナ、今日は兎の肉を16個取ってきたからな。土産に持っていく分は食べるなよ」

「ありがとうございます。旦那さま」

 

夕食後に、錬金術師の為の石鹸作りをカルロとノラにやらせる。カルロは1回やったのでノラに教えられるだろう。手鍋の石鹸は川遊びで今日使い切ったのだ。出来たドロドロのものは、またカルロに納屋に置かせておいた。

 

カルロが取れるジョブは、あとは盗賊、村長、色摩だけど、ここまでにしておこう。

初期:村人 (村長)

基本:農夫 探索者 薬草採取士 (盗賊)

初級:戦士 剣士 僧侶 神官 錬金術師 商人

固有:(色摩)

 

ノラに皮の靴を作らせてから、皆に明日に備えて今日は寝ると念を押して、俺は床についた。

 

春の12日夜。所持金:金16銀90銅?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

今日はアンナの村長就任の挨拶で隣村に向かう予定だ。どの程度かかるのかは知らない。午後に隣村に着けばいいということなので、まだ時間がある。不測の事態に備えて、アンナの村長レベルを上げておきたい。ノラの朝の修練で皮の靴を作ってから、育成の終わったカルロを留守番させて迷宮に移動する。

 

村長 :体力微上昇

スキル:インテリジェンスカード操作(初級)

村長は騎士が任命できる。まあ村人と変わらない。インテリジェンスカードの操作もオープンと奴隷化しかできない。

 

コボルトケンプファーLv1(非表示 HP200)

 

俺は一階層のコボルトケンプファーをアンナに素手で倒させて、僧侶のジョブを取らせる。アンナの村人レベルは12だ。俺が2回当ててから殴り倒してもらう。

 

「コボルトのボスは、私でも倒せるのですね、旦那さま」

「ああ、防具をきちんとつけておけば、初心者でも問題ないだろう」

 

アンナが取れるジョブは残りは盗賊。村長が盗みを働くと大変なことになるから、ここまでにしておこう。

初期:村人 村長

基本:農夫 探索者 薬草採取士 (盗賊)

初級:戦士 剣士 僧侶 神官 錬金術師 商人

固有:色女

 

その後、六階層のホワイトキャタピラーを昨日の戦法でやるつもりだ。間違いがあるとまずいので、アンナにはエマの身代わりのミサンガを村長の指輪の代わりに装備させる。

 

「次は芋虫のボスだ。アンナは俺の後ろにいろ。囮役はノラに任せたぞ」

「旦那さま、私でも大丈夫でしょうか?」

「ああ、俺の後ろで盾を構えていればよい」

 

「キャラクター再設定!」

BP:0

キャラクター再設定(1)

鑑定(1) ジョブ設定(1) 詠唱短縮(1)

ワープ(1)

武器一 (1):ほむらの銅剣

サードジョブ(3):探索者 農夫 剣士

獲得経験値十倍(31) 腕力上昇(14)

 

回復は巫女のエマに任せて、サードジョブにして農夫をセット。残りは腕力上昇に割り振る。今日の俺の防具はボーナス初期装備ではない。単なる皮装備一式だ。昨日これも試していた。早く獲得経験値十倍(63)にしたいが、俺の初期BPは50しかないのさ……。

 

ホワイトキャタピラーLv6(非表示 HP1200)

 

プシャー。(初手 魔物のスキル攻撃:糸)

 

「火炎剣!」……スラッシュ、スラッシュ、スラッシュ。

(非表示 ……149、150、149ダメージ)

ホワイトキャタピラーは煙となって消えた。(非表示 経験値7)

 

「旦那さまは、お強いのですね。素敵です」

「アキラ様は凄いのよ!」

 

この設定で頑張って15回周回し、アンナの村長がレベル3になったところで切り上げた。ノラの鍛冶師もレベル4になっている。ドロップは全て絹の糸だ。今日の俺は色摩が暴発していないからな……。

俺たちは帰宅して出かける用意をした。

 

「カルロ、ロバと荷車の準備をしなさい」

 

ほう、ロバで行くのか。隣村は少し遠いのか。俺のワープは行ったあるところにしか行けないからな。歩いて行けないとなると、帰りもロバの荷車に乗ることになる。

 

アンナ(女:31歳) 村長Lv3

武具 :ダガー

装備 :皮のカチューシャ ローブ 皮の手袋 皮の靴 村長の指輪

アンナには身代わりのミサンガを装備させたかったが、村長の指輪があるからな……。

 

起きてると娘たちに絡まれるので、盗賊や魔物が見えたら起こせと言って、荷台で水色のマントに包まって寝る。荷車の車輪は木製でガタゴトするから眠った振りだ。

 

「旦那さま、隣村の畑が見えてきました」

 

エマに馬乗りになられて目を覚ます。やっと着いたか。エマは俺の股間の上で跳ねるのはやめろ……たしかに畑だが、まだ何も蒔いていないのか。耕してこれから蒔くのか、或いは休耕地か。木の柵のところに到着すると、犬耳の男が近寄ってくる。あれが狼人族か。アンナが何やら話して、村長の指輪を見せると、犬耳の男は納得したのか奥へと向かった。

 

「旦那さま、今、村長を呼びに行ってもらいました」

「ほう、アンナは浪人族の言葉も喋れるのか?多才だな」

「この地方の浪人族も猫人族も同じバーナ語ですよ。旦那様の故郷では違いましたか?」

 

しっ、しまった。そうだった。獣人はバーナ語だったな。方言はあるが。

 

「細かな言い回しが異なるだろう……」

 

俺は誤魔化すのに必死だったが、どうやら来たようだ。

この農村の村長とお付きの者が2人歩いてくる。俺たちは荷車から降りた。

 

鑑定!

 

マルコ (男:64歳) 村長Lv18

武具 :鋼鉄のダガー

装備 :革のジャケット 革の靴 村長の指輪

 

ダミアン(♂:34歳:奴隷) 獣戦士Lv10

武具 :妨害の鉄剣

装備 :革のジャケット 革の手袋 革の靴

 

デニス (♂:33歳:奴隷) 獣戦士Lv9

武具 :妨害の鉄剣

装備 :革のジャケット 革の手袋 革の靴

 

うっ、装備が強い、革装備とは。うちの村はまだ皮だぞ。こいつらには富がある。これは迂闊に出れない。そして、この村長はでっぷりしてやがって、やな感じだ。お付きの獣戦士、お前ら抜刀するなよ、怖すぎるぞ。ビーストアタックされたら俺は確実に死ぬぞ。

 

「ご無沙汰しております。マルコさま。村長就任の挨拶に伺いました」

「アンナであったかな?ロマーノはどうしたのじゃ?」

「はい、先日盗賊共に村が襲われまして、父と亭主は討ち死にしました」

「そうであったか……それは難儀じゃったの。そちらの御仁はどちらじゃ」

「はい、我が村を盗賊からお護り頂いた御仁です。ご助力頂いております」

「失礼じゃが、カードを確認させてもらっても良いじゃろうか?なに、盗賊かどうかじゃ」

「盗賊の確認は重要ですな。問題ありません。私はアキラ、旅の者です」

 

俺たちはマルコ村の村長にインテリジェンスカードを確認された。

 

「ほう、自由民か。盗賊はおらんようじゃな。ここで立ち話もなんじゃ。来られよ」

 

俺たちは村長宅まで案内された。村長宅は周りのあばら家に比べると余りにも豪奢だ。そうとう潤ってるぞ。ここまでに来る途中に見たあばら家と違いすぎる。それにこの護衛の獣戦士も奴隷だ。途中には女の奴隷も井戸から水汲みをしているのを見かけた。探索者や戦士の者もうろついていた。

 

マルコ村長宅の応接間に案内された俺は、アイテムボックスからアンナに兎の肉を全部渡す。マルコは椅子に座り、アンナへ着席を促すとマルコの後ろに先ほどの護衛が立つ。

 

「マルコさま。こちら私どもの気持ちでございます。お納めください」

「ほう、これは気が利くようじゃな。頂こう」

 

別の女の奴隷が兎の肉を奥に持っていくと、アンナとエマとカルロは椅子に座らされて、何かのお茶を出されている。いまの俺とノラは、アンナたちの後ろに立つ単なる護衛だ。

 

「して、お主らの村を襲ったのはゲイル盗賊団じゃったかの?」

「はい、父と亭主は討ち取られてしまいました」

「ふむ、盗賊団は我が村にも来おったわ。わしらの装備を見ると逃げて行ってしまってな。それが、そちの村へ向かってしまったようじゃな」

 

ほう、なるほどな。おかしいと思ったんだよ。あの盗賊団の装備、頭目以外は皮装備すら装備してなかったぞ。あの盗賊共が襲って勝てるのは、うちの村ぐらいだ。

 

女の奴隷がキュピコ切ってアンナたちに出している。

 

キュピコか、この地方には、どこにでも生っているんだな。俺は護衛で突っ立たされているから、お茶もキュピコもなしだ。

 

「そちの村も奴隷を入れなされ。我が村は農奴を入れてから、すっかり潤ったわ。この通り装備も護衛も買えるようになったしな。これ、孫たちを呼べ」

 

ほう、狼人族の農奴をいれて搾取しているのか、このでっぷり爺さんも考えたな。普通の奴隷の人頭税は1万ナールだが、農村の生産力が落ちれば、たちまち食糧不足になるからな。もしかしたら農奴の人頭税は違うのかもしれない。商館とは別の奴隷ルートがあるのか?

 

村長の孫たちが来て挨拶する。エマもカルロも嫌そうだ。

 

「儂の孫たちじゃが、アンナの娘は我が家に嫁がんかの。うちの孫はそちの息子の嫁にどうじゃ。さすれば、我が村から援助もしてやれようぞ。ロマーノともそういう話をしておったわ」

「父がそういう約束をされたのですか?」

「いや、酒の席でじゃ。孫たちは一緒に外に行ってくるのじゃ」

「エマ、カルロ、席を外しなさい」

 

うっ、そう来たか。このでっぷり爺さん。なんか話がアンナとの交渉っぽくなってきたぞ。これが今のロマーノ村とマルコ村の力関係か。部外者の俺にはどうすることもできんが、エマは、あの小太りのガキには渡せんぞ。

 

「すまんがの、アンナだけと話がしたいのじゃが、冒険者殿も外して下さらんかの。丁度この村にも迷宮が現れおっての。騎士団や探索者に入ってもらっておるのじゃ。ちと行かれてはどうじゃ」

 

俺は小声でアンナに確認をとる。

 

「アンナ、俺がいなくても大丈夫か?」

「はい、アキラ様」

「パーティーは組んであるからな。何かあれば手を振って知らせろよ」

 

俺とノラは護衛に連れられて外に出る。どうすることもできない俺は、都合よく外をうろついていた探索者パーティーに迷宮の場所を聞くと、そちらに、ぽちゃりノラと腕を組んで歩いていく。腕に感じるノラの程良いおっぱいが心地いいのよ。

 

「アキラさん、どうなっちゃうんでしょ」

「わからん。あの爺さんは、孫の嫁にエマが欲しいんだろ。この村も村長家以外は、狼人族しかいないんだろうよ。その場合は外から嫁を娶らないといないからな」

「エマちゃん可哀想……相手の子、やな感じでした」

「そうだな。人族で金を持つとああなるんだろうよ。まあ俺がエマは渡さないけどな」

「カルロはどうするんですか?」

「ああ、カルロの嫁は俺が見つけてやるさ」

「アキラさん……わたしは……」

 

迷宮の外に探索者がいる。ほう、こいつが迷宮前の小遣い稼ぎの案内役か。俺はこの探索者に迷宮のことについて聞いてみる。腕を組んだ人とドワーフを此奴はどう見てるんだろうか?

 

「すまんが、初めてここに来てな。どんな感じだ。盗賊は来てないだろうな?」

「ここマルコ村の迷宮は、十階層まで騎士団が2パーティーで進めてます。探索終了宣言は五階層までですね。騎士団が来ている迷宮に盗賊なんか来ませんよ。それで、送りましょうか?」

「ほう、なら安全だな。ところで一階層の魔物は何だ?」

「一階層はコラーゲンコーラルですね。二階層以上の情報は行かれない限り教えられませんよ」

「だろうな。今、俺もパーティーを組んでいるからな。また今度頼むことにしよう。すまんな」

 

俺はとりあえず、マルコ村の迷宮の一階層にノラと入る。パーティーを組んでいるから、アンナやエマたちは薄っすらと姿がわかる。一階層はコラーゲンコーラルか。ロマーノ村の迷宮では、まだ出現していないから一応見ておくか。

 

「ノラ、一階層を1回だけ戦っておきたいがいいか?」

「アキラさんにお任せです!」

 

俺たちは通路へ出て、一階層の雑魚のコラーゲンコーラルに会敵する。

 

ゴロッゴロッ。

 

鑑定!

コラーゲンコーラルLv1(非表示 HP100)

 

コラーゲンコーラルは、丸っこい岩の魔物か。攻撃したら爆発しないよね……。

 

火炎剣!、ラッシュ。

(非表示 71ダメージ)

 

くっ、固い……一階層のコボルトみたいに一撃では倒せない。やっぱ岩に炎は効かないか。

 

ラッシュ。

(非表示 71ダメージ)

コラーゲンコーラルは煙となって消えた。

ノラがコーラルゼラチンを拾ってくる。

 

「ノラ、コーラルゼラチンは何だったか?」

「ゼラチン状ですが接着剤ですね。革の手袋を作るのに使います」

「ああ、そうだったな。皮の手袋は皮1枚とゼラチン1個だったな」

「さすがアキラさん、よくご存じですね」

 

ただ単に、前に武器屋で聞いたのを思い出しただけだ。っていうか初めて倒した敵だし……。

 

「さて、全員外に集まっているようだから、俺たちも戻るぞ」

「はい、アキラさん」

 

俺たちはマルコ村の迷宮を出て、村長の家の前まで歩いた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

帰りのロバと荷車の進みは重い。何を言われたのか知らないが、村長のロマーノが亡くなったことで、ロマーノ村とマルコ村のパワーバランスが崩れたのだ。マルコ村は騎士団とも懇意にしているのだろう。農奴も買えるほど潤っているから、賄賂でも送っているのだろうか。領主にも顔が利くのかもしれない。更に村に探索者も入ってきて金も落としているのだろう。一方、ロマーノ村は盗賊に襲われて、俺がいなければ壊滅の危機だ。騎士団からも迷宮を後回しにされるぐらいだからな。俺も金貨16枚しか持っていない……。

 

帰りの荷台で対面座位でエマが俺に抱きついてくる。よっぽど嫌なのだろう。あの小太りのガキは。あのガキに渡すぐらいなら俺がとも思うが、27歳が14歳と思うと色摩の力を使わない限り気が重い。エマに手を出したと知った時のアンナも怖い……2人とも嫌いじゃないけどさ。

 

俺には狼人族奪取イベントは発生しなかったな。タダで狼人族奪取とか都合が良すぎるわな。農奴の狼人族の娘の、ふにゃんとした耳も触ってみたかったけど、まあ今回はしょうがないだろう。

 

色々あったが、マルコ村の迷宮に入れたのは好都合だった。一階層のコラーゲンコーラルの接着剤は皮の手袋を作るのに必要だ。少し集めておきたいところだ。俺の猫人族部隊をワープで1部隊送り込むという手もあるが、ブランチ集めに夢中な未亡人たちには接着剤ではヤル気が出ないか……。

 

重い足取りでロバは家に到着する。もう夕方だ。とりあえず俺は肉を取ってこよう。パーティーを解散して、俺とノラだけでラピッドラビットに肉を取りに行く。

 

「ノラ、兎の肉を取りに行くから手伝ってくれ」

「はい、アキラさん」

 

ラピッドラビットLv3(非表示 HP600)

 

火炎剣!……ラッシュ。

ラピッドラビットは煙となって消えた。(非表示 経験値6)

ノラが兎の肉を拾ってくる。

 

俺は兎の肉を5個とって、最後に禁欲攻撃を使ったがスキル結晶は出なかった。スッキリもしなくて暴発もしなかった。メンタル的なものだろうか。ワープで帰宅する。

 

「さあ、兎の肉を食べて元気を出そう」

「旦那さま、ありがとうございます」

 

うちの家族たちは打ちのめされている……掛ける言葉もないので夕食を食べた後に、ノラに皮の手袋を作らせてから、村長家の自室に引き籠る。俺にも考える時間が必要だ。

 

ズズズッ、ガラッ。引き戸が開けられる。

 

まあ今日は仕方があるまい。

 

「アンナか、何か話があるのだろう。ここだと子供たちもいるからな。俺の家の行こう」

「……」

 

麻の貫頭衣を着ている俺は、アンナの横から腰を抱き、月明かりのもと隣の元カミーユの自分の家へ、無言の彼女をやさしく連れて行く。

 

「アンナ、俺で力になれることなら何とかしてやろう。俺に話せることか?」

「……旦那さま、亡くなった父がマルコ様からお金を借りていました……これ以上旦那様のお手を煩わせることは出来ません」

 

うっ、やはり金か。借金の方に娘のエマを差し出せってことか。人頭税が払えなければ、どのみちエマは奴隷となる。そこをマルコは買い叩く気か、助けてやる名目で差し出させる気か。やり方が汚いぞ。もしかして盗賊をけしかけたのは奴らなのか……色摩をつけている俺の頭脳がフル回転するが明確な答えは出ない。

 

「マルコに証文を取られているのか、いくらぐらいなのだ?」

「申し訳ございません。父が借りたのは10万ナールです……」

 

なっ、なんだと。金貨10枚だと。俺の資金は16万ナール。ここで金貨10枚の10万ナールを失えば、残りは金貨6枚の6万ナールだ。商人のカルクが無くても、こんなのは暗算で出来てしまう。おっ、俺も今は暗算の出来ない現地人になりたい。このままでは俺も詰んでしまう……。

 

「あっ、安心しろ、俺が何とかしてやる。お前らは俺の大切な家族だからな」

「旦那さま……」

 

俺は震えているアンナをやさしく抱きかかえ、奥の寝床まで連れて行き、ブランチの透明な膜を用意しようと思ったが、すでに寝床の脇には綺麗に用意されている。今日は出かけていたから、未亡人のカミーユたちが用意したのか……こっ、怖い。

 

「アンナ、お前もエマも俺のものだ。手放すことなどありえない」

「旦那さま……」

 

……

 

俺は色摩がついているのを確認してから、アンナが満足するまで何回もやさしく愛した。

 

春の13日夜半。所持金:金16銀90銅?

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