持たざる者の異世界迷宮でハーレムを   作:@ペロ

14 / 14
014 獣戦士の条件

不味いことになってきた……マルコ村の村長からの借入金は返済して一段落ついたのだが。

俺が朝にマルコ村の迷宮前の案内役探索者にマルコ村の状況を確認して戻ってきたあとだ。行くたびに銀貨をせびられているような気もするが……。

 

「旦那さま、漁師たちから陳情が出ています。如何なさいましょう」

「旦那サマ、オネガイ!」「旦那サマ……」

 

ほう、カミーユとクロエも片言を覚えてきたか。アンナと熱心にブラヒム語の勉強をしているのは見たからな。関心だな。猫人族の娘のジョゼとイリス、狼人族の娘たちもエマから熱心にブラヒム語を教わっている。2匹の尻尾がシュルリと俺の腕に絡みつく……いま俺は椅子に座っている股の間に、ぽっちゃりノラを座らせてお腹とかをタプタプしている。この肉感が癖になる。ノラの朝の修練の鍛冶が始まったところだ。

 

「俺は忙しいのだが、一応、話を聞こうか」

「はい、漁師たちの漁が終わったあとに迷宮に入りたいと申しております。それと漁師の妻たちも同様に、子供を寝かしつけたあとに夜の迷宮に入りたいと……」

「なぜそうなる……いずれ迷宮に入ることも許可できようが少し待てないのか?」

「それが……迷宮に入っている未亡人たちは兎の肉が食べられるのにと……」

「迷宮に入っている者は食材が手に入るから、入っていない者の不満が出たわけか」

「はい、申しつけてはいるのですが……」

 

そっ、そうなったか。依怙贔屓をする気はないが、そうなるよな。収入が見込めない者たちから先に助力してやるつもりだったが、差をつけてしまったように見えたか。まあ、兎の肉は食べたいよな。この村は特に貧しいからな。まだ取ってきたもの対価をきちんと報酬は払っていないから、たまに褒美を出して献上させてるだけなんだけどな。ただ、この状況は村人同士の対立を招くかもしれない。あくまで公平性は保つべきか。

 

「旦那さま、漁師たちが迷宮に入れるなら、できれば銛が使いたいとも申しております」

「ほう、銛か。漁師だから銛か。槍ではだめなのか?」

「私は武器についてはわかりません……ので旦那さまへと……」

 

ふむ、武器屋に銛は無かったからな。大きな町に行けば、あるのかもしれないが探すのも面倒くさい。まあ槍でもいいだろう。漁師も少し修練して交代で村の防衛をさせるのも良いだろう。丁度、防衛部隊も検討していたから俺の思惑とも合致する。ただし、従順なうちは良いが俺に反旗を掲げられても困る。従順な漁師を一人二人見極めておくべきか。

 

「漁師の妻たちが夜の迷宮に入りたいとあるが、漁の手伝いに影響は出ないのか?」

「猫人族は夜目が利きますから、午後に休んで夜に迷宮に入りたいのだと……。それに今現在も未亡人たちは交代で、夜の迷宮に入っております」

「未亡人たちが夜の迷宮に入っているだと!」

「はい、旦那さまのお情けを頂けない者たちは、夜にやることがありません」

 

なっ、なんだと。確かに異世界の夜は電気がないから、床に入ってやるくらいしか、やることはない。未亡人たちは時間を持て余しているのだろう。俺のパピルスの帳面との格闘を手伝ってくれと言いたいが、読み書き計算ができないからな。それにしても二交代制か。本人たちが自主的にやるのなら許可するのもやぶさかではない。未亡人たちに寝込みを襲われる心配が減るのであれば、俺にとっても好都合だ。

俺の中の欲望がうなりを上げて解答を導き出す。

 

「ふむ、わかった。村人たちの要望には極力応える事としよう。ただし、俺の言うことに異を唱える者が現れれば、俺はこの村を立ち去ることになる。俺に刃を向ける者が現れても同様だ。俺が居なくなれば、この村は早晩崩壊するだろうよ。重々承知しておくように伝えろ!」

「はい、村人たちも心得ております」

「では、漁師たちは漁の終わった午後にでも集めておけ。未亡人たちが夜の迷宮に入るのも許可しよう。ただし俺に隠れて俺の許可した階層よりも進むのだけは許さんぞ。漁師の妻たちには、そうだな、今しばらく待てと伝えておけ。俺も忙しいからな」

「旦那さま、この村は全て旦那さまのものです。私も……」

「カルロ、聞いたな。俺は手助けしてはやれるが、仕切るのは将来の村長のお前だぞ!」

 

俺はタプタプしていた鍛冶の終わったノラを抱きしめて思案する。漁師の10人の育成か。盗賊団から村を守れる程度の身体能力も上げるべきだろう。武器は槍が希望だが銅の槍の在庫は2点。鍛冶素材の銅の在庫はない。銅の槍は買うと銀貨10枚の1000ナール。不足の8点を購入すると8000ナールだ。そして皮の鎧も不足している。皮の鎧は銀貨8枚の800ナール。不足の7点を購入すると5600ナールだ。猫人族はピッチリと体にフィットした競泳水着のような皮の鎧を好む。体の動きに制限をつけたくないのだろう。女にはおっぱいの形が出てしまうからジャケットタイプを着せたいのだが皮の鎧を選ぶ。肌の上に直接装備しないでくれ……胸のぽっちが気になって仕方がないから……さて、時間をかけるのも面倒だから買ってくるか。

 

俺はノラを連れて町の装備屋から不足分の武器と防具を買ってきた。銅の槍と皮装備一式を倉庫の中から選んだ上で、10点の2万800ナールのところを11点とさせ2万ナールまで値引きさせた。俺には課金3割引きスキルはない……店頭にあるミサンガも何個かオマケでつけさせた。店主に2万ナールを支払うと店主がニヤリと笑う。俺は総金貨4枚のうちの金貨2枚を失った……。

 

「凄腕の旦那には敵いません。金貨2枚で結構ですよ。またのお越しを!」

 

購入した装備をノラと俺のアイテムボックスにしまってからワープで自宅に戻った俺は、装備をカルロに渡し、狼人族の娘たちをアンナに任せて迷宮に向かう。

 

「今日もまたスパイススパイダーのボス周回だ。毒に気をつけろ。肉に振りかけるペッパーを集めておく!」

 

「キャラクター再設定!」

BP:0

キャラクター再設定(1)

鑑定(1) ジョブ設定(1) 詠唱短縮(1)

ワープ(1)

武器一 (1):ほむらの銅剣

頭装備一(1):防水の皮帽子(水色のスイムキャップ)

胴装備一(1):頑丈の皮鎧

腕装備    :防毒の革手袋

足装備一(1):防水の皮靴 (水色の風呂用のゴム靴)

装飾品一(1):防水のマント(水色の雨ガッパ)

フィフスジョブ(15):探索者6 色摩 農夫 神官 剣士

MP回復速度上昇(1) 獲得経験値五倍(14)

 

ノラ以外の全員をボス出現場所の脇に配置してから、ノラを最後に入室させるとボスが現れて実体化する。

 

スパイススパイダーLv7(非表示 HP1400)

 

「顕現したぞ。全員で脚を斬りつけろ! 火炎剣!」

 

スラッシュ。俺のスラッシュが脚4本にヒット。

(非表示 脚4本にヒット)

(非表示 243、244、243、242ダメージ)

 

火炎剣!、ザクッ、ザクッ。エマの攻撃が脚2本にヒット。

(非表示 脚2本にヒット)

(非表示 65、65ダメージ)

 

にゃうーん、ザクッ、ザクッ。ジョゼの攻撃が脚2本にヒット。

(非表示 20、21ダメージ)

 

にゃーーん、ザクッ、ザクッ。イリスの攻撃が脚2本にヒット。

(非表示 19、20ダメージ)

 

「くっ、獲得経験値倍率にポイントを振るとパワーが足りないか……」

 

スラッシュ。

(非表示 243ダメージ)

スパイススパイダーは煙となって消えた。(非表示 経験値3)

ジョゼがドロップ品のペッパーを拾ってくる。

 

俺はこの構成で我慢して周回を続けた。狼人族の娘たちを早く獣戦士にしなくては……。

スパイススパイダーを48周回して、ノラが鍛冶師レベル5、エマが巫女レベル6になったので終わりにした。エマが飽きたと嘆いているが、ノラなんて文句も言わずに部屋に入るだけだぞ。ボス部屋に入るだけだから誰か1人パーティーに入れるか……ドロップ品のペッパーを48個持ち、馬小屋にワープゲートを繋いで帰宅する。ノラに防具を作らせておこう。まだまだ必要だ。

 

春の18日昼。所持金:金2銀171銅?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「旦那さま、漁師とその妻たちを集まらせました。ご采配を……」

 

全員揃ったようだな。まずは村長のアンナから説明させた。おれはトボトボと歩いて全員を見てまわった。漁師たちの脚装備は素足かサンダルか長靴か。まあ浜に行くからな。そして見つけてしまった。全員の脚装備を外させると、やはりいたか男の漁師の中に……。

みっ、水虫だ……貸し出している脚装備をそのまま使いまわすと全員に感染するぞ……お前が悪いんじゃない。貧乏なのが悪いんだ。アンナに説明して全員を調べさせた。いま装備を貸与している未亡人の中にもいないよね……。

 

アイテムボックス。探索者ジョブになれば詠唱さえ出来れば誰でも使える便利スキル。こいつは優れものだ。この世界のアイテムボックスは、迷宮でのドロップ品と迷宮ドロップ品から鍛冶師がスキルで製造したものしか収納できない欠点がある。そしておそらくだが、時間経過もないだろう。有機物の収納ができない以上、時間経過についての検証は不可能だ。しかし、着目したいのは迷宮産の物品しか収納できないことである。迷宮産以外の物はアイテムボックスに収納しようとするとボックスからすり抜けてしまうのだ。そう、この機能を使うことで迷宮産の物品だけと、それ以外のゴミ、汚れ、雑菌の分離が可能となる。他の異世界の時間経過が止まるインベントリなどと異なり、この世界のアイテムボックスは、迷宮産の物品限定だが、アイテムボックスに収納することで殺菌も出来てしまう優れものなのだ。

 

さて、一旦倉庫の貸与品はカルロに命じて、探索者の女どものアイテムボックスを使って殺菌させた。迷宮装備品は素肌に装着しても、アイテムボックスを通せば大丈夫だろう。猫人族の女共は、皮の鎧を肌の上に直接装備したいからしょうがない。本当?俺を誘っていないよね?

俺は貸与品装備の使用後はアイテムボックスを用いた洗浄、殺菌を厳命させた。猫人族を仕切るカルロは理解したから大丈夫なはずだ。

 

問題は水虫菌に感染している者であろう。何か薬草をつけてどうたら言っていたが、完治するのかは知らない。僧侶の手当てで治るのか、或いは、薬草採取士がスキルで生成した万能丸で治るのかも不明だ。この件もあとで村長のアンナと協議して、カルロに対応させる。

 

「さて、時間もないからな。漁師への装備品の貸与を行う。カルロ、漁師の全員に配れ」

 

俺は、カルロに命じて、10人の漁師に、銅の槍、皮のカチューシャ、皮の鎧、皮の手袋、皮の靴を貸与でなく与えた。使用後は妻にアイテムボックスを使って洗浄、殺菌させろよ。間違っても俺の娘たちにはうつすなよ。

 

その後、漁師たち全員が農夫Lv1は取得していたので、ロマーノ村の迷宮の一階層に歩いて移動、村人ジョブに変えた後に、迷宮に入って探索者を修得させると、コボルトを剣で倒すのと、パンチで倒すのを一階層担当の猫人族の探索者に面倒くさいから頼んでおいた。

 

「さて、俺のパーティーは朝の続きだ。カルロを6人目に入れて修練をする」

 

カルロ以外の全員をボス出現場所の脇に配置してから、カルロを最後に入室させるとボス部屋の扉がしまってボスが実体化する、朝にやった戦法だ。

ボスが実体化すると同時に殲滅する攻略法だ。

 

スパイススパイダーLv7(非表示 HP1400)

 

「ノラは後ろから槍で刺せ、他は脚を斬りつけろ! 火炎剣!」

 

……

 

スパイススパイダーを42周回して、俺の色摩がレベル5、剣士がレベル6、ジョゼとイリスの海女がレベル4、カルロの僧侶がレベル3になったので終了する。ドロップ品はペッパーを41個と蜘蛛のスキル結晶が1つだ。蜘蛛のスキル結晶はおそらくだが盗賊用だろう。魔物の名称がスパイスパイダーのスパイだからな。

三階層に移動してラピッドラビットを11回倒して、兎の肉を11個入手。俺の家は11人だから、肉集めがしんどくなってきた。最後は六階層のホワイトキャタピラーだが、今俺は金貨が欲しいから、当然の如く禁欲攻撃でも絹の糸しか出なかった……。

 

帰宅した俺はアンナに息子を綺麗にしてもらってから洗濯されたかぼちゃパンツに履き替えた。

 

「旦那さま、私の村長の部屋ならあと2人くらいは寝られますから、狼人族の娘たちは私の部屋でしばらくは寝かせます」

「おお、すまんな。部屋問題もそのうち解決するから、しばらく時間をくれると助かる。今日も兎の肉を11個取ってきたからな。また食わせてやってくれ」

「はい、承知しております」

 

……

 

夕食後にカルロを呼び、昼間の件の指示をする。

 

「すまんが、カルロは僧侶の修練を積んだからな。同じように詠唱してみろ……手当て」

「アキラ様、何か浮かびました!」

「そうだ、それが僧侶の回復スキルの手当てだ」

「少しそれを練習して、明日から漁師の足を直してやってくれるか?」

「僕でもできるでしょうか?」

「ああ、お前が村人を守るんだ。皆から頼られる男になれ!」

 

カルロに手当ての詠唱呪文を教えたので、朝に一回ずつ男の水虫の足にスキルの手当てを使い様子を見るように、そして絶対に触るなと厳命した。うつるからな。俺の娘たちにうつされでもしたら承知しないぞ。カルロは俺の良いように使える唯一の男の駒だからな。一皮剥けてもらわねば困る。

 

春の18日夜。所持金:金2銀171銅?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

翌朝再び、マルコ村の迷宮の案内役探索者の元を訪れて状況を探る。

 

「どうだ、騎士団のパーティーは階層を上げたか?」

「ああ、あんたか。騎士団はあれから来ちゃいねえよ」

「そうか、探索の階層は、いい加減に進んだのか?」

「変わらずだ。十階層までさ。凄腕のあんたが先に進めてくれよ」

「お前も行けるだろ。狼人族だろ」

「いや、俺は獣戦士になれなかった落ちこぼれさ。だから迷宮前で小遣い稼ぎだ」

「ほう、やはり獣戦士になるのは厳しいのか?」

「俺は臆病だからな。挑めねえよ。パーンには……怖くてよ」

「パーンは初心者泣かせだから確かに挑む勇気もいるな。騎士団でも敗北するくらいだしな」

「おうよ、死んじまっては元も子もないさ」

 

ほう、獣戦士はパーンに挑むのがキーか。確かにパーンだけは初級階層にでるビーストだ。初心者には勇気もいる。まあ何をすればいいか分からんがな。んっ、待てよ。騎士団の第2パーティーも狼人族の修練でもしてたのか。

 

「そうか、命あっての物種だからな。また頼む」

 

案内役探索者に銀貨1枚を握らせると、俺は迷宮内に消えていく。

 

思いがけず狼人族の獣戦士の情報が手に入ったが、詠唱中断のない俺も怖くて挑めない。詠唱中断の武器を手に入れてからだ。

村人Lv5でパーンに挑めて無双できるのは、原作ヒロインのような一部のエリート狼人族だけだ……。

 

ノラが朝の鍛冶師の修練をする皮の在庫がついになくなってしまった。ミサンガを作らせておくがスロット付きの当たりは引けない……。

 

「今日もスパイススパイダーのボス周回だ。ペッパーを売って資金に変えたい」

 

既に攻略方法が分かっているボスなので、今日は猫人族に1人入ってもらい、パーティー効果で攻撃力倍率を上げる。ここで探索者レベルを上げつつ資金を稼ぎたい。カルロは忙しいので、午前中は31歳のカミーユを誘った。ボス部屋への最後の入室だけやってもらうので安全だ。

 

午前は、みっちり60周回できた。ワンパン出来ない限り、これが半日作業の限界だろう。

ペッパーを60個持って帰宅する。ペッパーは売値80ナール。これを売れば4800ナールだ。

 

午後は、31歳のクロエを誘い48周回して終了した。今の俺では1日100周回くらいが限界だ。ペッパーを48個。しめて3840ナール。素材はまだ売らないが、課金3割り増しスキルのない俺には、迷宮で1日1万ナールを稼ぐのは難しい……。

1日頑張ってようやく探索者がレベル7になったのでワープで帰宅した。

 

「お疲れだったな。今日は8000ナールくらいの素材が稼げたからな。あとで褒美でもやろう」

「アキラ様、川遊びに連れてって!」

「まだ時間も早いからな、よし、いいだろう」

 

狼人族の娘たちの体を綺麗にしておきたいからな。俺はタクシーだけして、流石にエマたちに任せた。

 

春の19日夜。所持金:金2銀170銅?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

朝から雨が振っている。この世界に来て初めての雨だ。いままでも迷宮に入っている間に降っていたのかもしれない。俺にはボーナス初期装備の水色の防水装備があるから雨でも安心だ。

 

マルコ村の迷宮の案内役探索者の元を訪れて騎士団の動向を探る。迷宮一階層の小部屋へとワープゲートを繋ぐ。

 

「うおっ。今日は迷宮内にいるのか、お前は」

「ああ、外は雨だからな。小部屋内にいれば雨には、あたらんだろ。あんたも夜中に迷宮に入っていたのか?」

「まあな。それで騎士団は来たのか?」

「それがな。騎士団は迷宮から一旦引き上げて、この迷宮は後回しにするって噂だ。なんでもマルコ村長からの援助が出なくなったってな。この村も村長の息子と奴隷たちが死んじまって、いよいよやばいらしぜ」

「そうなのか。誰がこの迷宮を討伐するんだよ。村も迷宮に飲まれるぞ!」

「知らねえよ。探索者どもも他所の迷宮に移るって噂だ。騎士団の入っていない迷宮なんざ、危なくって仕方ねえってよ。きな臭くなってきたからな。俺もそろそろ他所に移るぜ。どうだ、あんた最後に全部の階層に行っとかねえか?」

 

案内役探索者の狼人族の男はニギニギと手を揉む。こいつも金が欲しいのだろう。俺は男に銀貨12枚を握らせると、行ける階層全てに情報付きで案内してもらい、狼人族の男とは別れた。

 

「どうだカルロ。漁師の水虫の足の具合は?」

「はい、朝に手当てを使って、一旦は傷が治る様に見えるのですが、わかりません」

「ああ、症状に変化が出るまで、朝に手当てを掛けてやれ。手当てで良くなるようなら滋養丸を与えればいいからな」

 

「アンナ、狼人族の娘たち2人はどうだ。今日は迷宮に連れて行き修練をさせたい」

「はい、エマに言っておきましょう」

「ノラ、朝からスキル結晶の融合を頼みたいが良いか?」

「はい、今日はまだ何も作ってません」

「カルロ、お前のシミターと猫人族の娘たちのシミターを持ってこい。装備を変更する」

 

うちにはシミターが3本ある。そのうち2本はスロット付きだ。カルロのシミターは村長家の物でスロットが2つだ。すまんな、カルロのシミターは取り上げる……シミターはランク2の片手剣で鉄製だ。最大スロット数は2つだ。ランク3の鋼鉄製のレイピアが入手したいが俺には金がない。カルロがシミターを3本持ってきた。

 

鑑定!

シミター(片手剣)

シミター(片手剣):(空き)

シミター(片手剣):(空き)(空き)

 

「カルロ、すまんが、このシミター(空きなし)をお前が使ってくれ」

「はい、僕は盾しか使いませんから、大丈夫です」

 

カルロにはスロット無しのシミターを与える。まあ3本混ぜたから、村長家の物かどうか鑑定が使えないとわからんがな。さて、残りのスロット付きシミター2本にスキル結晶を融合してもらおう。ノラは連続で成功することになるが……。

 

「ノラ、このシミター2本に、このスキル結晶を2つずつ融合してみてくれ。失敗しても安心しろ。それは俺の目利きが悪かっただけだ」

「はい、やってみます。それでは1本目をやってみます……スキル結晶融合!」

 

ノラの両手に持つシミターから眩い光が放たれる。

 

「アキラさん、やりました!」

「やったな。成功だ。それは強権のシミターになったぞ。お前は素晴らしい!」

 

鑑定!

強権のシミター(片手剣):詠唱中断

 

強権は当てた相手のスキル詠唱を中断するスキルだ。

兎のスキル結晶のみを融合した妨害は、刀身部分が黒みをおびる。更に兎とコボルトのスキル結晶を同時に融合した強権は、刀身部分が光沢のある黒みをおびる。見る人が見ればわかるだろう。

 

美しい光沢のある剣先に見とれているノラに強壮丸を飲ませると、2本目のシミターにもスキル結晶を融合させる暴挙にでる。

 

「アキラさん、2本目も成功させるなんて、いくらなんで無謀です」

「ああ、スキル結晶融合には一部の上位の者たちだけが知る秘匿された秘密がある。そのシミターの融合も必ず成功する。どうする、知りたいか?」

 

……

 

「アキラさん、……やってみます。……スキル結晶融合!」

 

再び、ノラの両手に持つシミターから眩い光が放たれる。

 

鑑定!

強権のシミター(片手剣):詠唱中断(空き)

 

「アキラさん、どういうことですか?」

「俺の見立てた物は必ず融合に成功するが、そうだな、一部の上位の者たちだけが知る秘密がな。知れば後戻りはできないが、ノラには後で教えてやろう」

「はい、お願いします……」

 

ノラはゴクリと喉を鳴らす。すまんが教えるまで悶々とするだろうが、先に迷宮に行きたいのだ。

 

「今日の修練の相手は人型のパーンだ。エマ、メンバーと狼人族の娘たち2人を準備させろ」

「アキラさん、パーンで修練なんて無謀です……」

「アキラ様なら余裕よ!」

「ああ、パーンは危険だが、強権のシミターを2本用意したからな。全員に自信をつけてもらうぞ」

 

しっ、しまったー。娘たちは全員で6人だ……1人留守番が必要になる。一旦、猫人族のイリスに抜けてもらって狼人族の娘たち2人をパーティーに入れた。にゃーん。言われてしまった。そのうち女の戦いになるぞ……。

 

俺、エマ、ノラ、ジョゼに狼人族のリーゼとエルザを加える。リーゼとエルザは村人レベル5だが、強権のシミターで戦わせておけば、そのうち獣戦士がとれるはずだ。今日の俺はそのサポートだ。マルコ村の迷宮の三階層のボス待機部屋を覗いて、人がいないのを確認した。

 

「今日はパーンがボス部屋内に、まだ出てないな。誰も全滅していないようだ。リーゼとエルザは協力して2人でパーンを倒せ。他の者は援護だけだ。エマ訳せ」

 

俺は娘たちに十分に言い聞かせてからボス部屋へと踊り込む。パーンが実体化する。

 

「リーゼとエルザは、パンチを喰らっても大丈夫だから安心しろ。とにかく剣を当てろ。エマ訳せ!」

 

パーンLv3(HP 600)

 

パーンはヤギの人型ビーストだ。防具は革製のランク2にしたが、魔法を喰らったらタダではすまないだろう。最悪は俺の禁欲攻撃でしとめる!

だが俺には秘策がある。錬金術師のスキル、メッキだ。素人の村人Lv5でもメッキを掛けてやれば戦えるだろう。俺の娘たちよ、恐怖に打ち勝て!

 

メッキ!メッキ!2人にメッキを掛けてやる。

俺はメッキと手当てと妨害の銅剣、ノラは妨害の銅槍、ジョゼは妨害の銅剣、エマは妨害の銅剣と全体手当て。完璧な布陣だ。さあ2人の泥仕合を観戦だ。スパルタだが、なんとか獣戦士を取得してもらいたい。

 

……

 

きゃうーん、ザクッ。

(非表示 リーゼの剣がヒット。パーンの詠唱を中断)

(非表示 13ダメージ)

 

きゃんきゃん、ザクッ。

(非表示 エルザの剣がヒット。パーンの詠唱を中断)

(非表示 12ダメージ)

 

……

 

パーンが煙となって消えた。

ふう、やっと終わったようだが観戦しているこちらもクタクタだ……ビビっている1回目では獣戦士は出てこなかった。早くお互いに喋れるようになるといいな。俺はバーナ語がわからない。

 

2戦目でリーゼが獣戦士を取得。午前中一杯の10回以上戦わせて、ようやく2人共に獣戦士のジョブが現れた。完全に敵の攻撃が見切れるようになったのだろう。パーンの攻撃は、両手でパンチ、後ろにいたら蹄で蹴り、バックステップして距離をあけたら魔法詠唱だからな。部屋の角に追い込めればパンチしかない。

 

獣戦士:敏捷中上昇 体力小上昇 器用小上昇

スキル:ビーストアタック

 

獣戦士の獲得条件は村人レベル5で、スキルに関連した試練か、勇気が試されるのか、パーン(ビースト)を倒すのか、敏捷性が試される全回避か、器用さが試されるカウンターかは分からなかった……。

 

俺はリーゼとエルザの二人を抱きしめてやると、全員寄ってきて抱きついてくる。エマとジョゼもパーンと戦いたいらしいので、最後に強権のシミターを持たせて戦わせた。ノラは怖いから戦わなくていいらしいのでドロップ品の山羊の肉を拾っている。

 

「よくやった。パーンでの修練は終わりだ。お前らも自信が付いただろう。エマ訳せ」

「アキラ様、パーンと戦うの楽しいね」

「パーンに魔法を喰らったら、エマは食べられちまうぞ。さあ帰ったらドロップ品の山羊の肉を食べるぞ!」

 

俺はパーンでの修練を終わらせて帰宅すると、早速エマがイリスと何か喋ってる。どうやら、自慢しているようだ。

 

「アキラ様、イリスにお話したら行きたいって、パーンに!」

「にゃーーん……」

 

しっ、しまったー。イリスの尻尾が俺の腕にシュルリと絡みつく。そうなるよな。1人だけ留守番させたしな。急遽、狼人族の娘たちをアンナに預けて、猫人族のイリスもパーンに連れて行った。マズい。非常にマズい。娘たちが6人ということは、必ず一人があぶれる状況が発生してしまう。もう一人いれるか……俺の金貨は、残り2枚の2万ナール。

 

「アキラさん、私……スキル融合の件で……」

「ああ、スキル融合の秘密が聞きたいのか?」

「私が聞いても大丈夫でしょうか?」

「前にも言ったが、一部の上位の人間に秘匿されている秘密だ。知ったことでの覚悟が必要になるだろう」

「……一つだけ教えて下さい。アキラさんの見立てた物は絶対に成功するのでしょうか?」

「ノラに融合を失敗させるようなことを俺はさせない。もし失敗したとしたら、それは俺の見立てが悪かっただけだ」

「はい、それだけで大丈夫です。いつか私の覚悟ができたときに教えて下さい」

「ああ、早く自信のついた一人前の鍛冶師になれ。俺の元で修練していれば、きっとその時がくるだろう」

「はい、アキラさん!」

 

俺は、ぽっちゃりノラを抱きしめると艶やかな髪を優しく撫でてやった。

 

春の20日昼。所持金:金2銀158銅?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。