MUV-LUV ALTERNATIVE IF 〜 a save of all humanrace 〜   作:暁 巧

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 いつもより早く目が覚めて、ゆったりとしていた。

 だが、階下へ下りると……

 そこは、もう自分の知っている場所じゃなかった。

 自分の家だけじゃなく、町が廃墟と化していた。

 それに、人が一人もいない……

 ……自分の家族さえも………






Episode 2  −終わりを告げた日常−

 

 ───ガタッ。

 

「んっ……」

 秋も深まっていき、早朝の気温も日に日に下がりつつある。ぶるっと、身震いを起こす。

 あまりの肌寒さに目が覚めはじめた。とはいえ、未だにずり落ちてくる瞼と格闘しつつ顔を上げるとパソコンのディスプレイと睨めっこ。

 どうやら昨日は、ゲームをしている途中で眠ってしまったようだ。右頬にはキーボードの跡がくっきりと残っていた。

「……あ゛…っぁ゛〜……」

 この男は低血圧気味なので、朝には弱く起きてから30分はぼーっとする習慣がついているようだ。

(「毎度毎度ぼーっとしてるけれど、ぼーっとすることを習慣づけようとしてたわけじゃないんやけどなぁ。

 ただ、貧血気味でぼーっとしてただけ……って、変な癖ついたな。

 そういえば、昨日何か言われた気が…………ん? 誰に……? 気のせいか?」)

 考え事をしているうちに、少しずつ目が醒めてきたみたいだ。

「今何時やろ?……」

 時計を見ると7時41分を回っていた。いつもより少し早く目が覚めたらしい。

 彼が誰にも起こされずに起きるのは、久しぶりだった。

「もうそろそろ、起こしに来る頃か ──っん〜っっと」

 ゆっくりと体の伸びをしつつ、妹が起こしに来るのを待った。

 ………が、

「あれっ?」

 もう8時を回ろうとしているのに、起こしに来る気配がない。

(「寝坊か? ……いや、先に学校へ行った可能性もあるな」)

 どちらにせよ9時には下へ下りるつもりだったので、それまでは、昨日からつけっぱなしだったゲームをやることにした。

「昨日は、どこまでやってたんやっけ? ん?……はぁ!? なんでデータ消えてるん!?!? ……最悪。……いや、RPGじゃないんやし、また初めからやればいっか。それやったら、せっかくやしOPから見よ♪」

 

 ──〜♪

 携帯のアラームが、9時を告げる。

(「もう9時回ったんか……。それにしても、なんやろ? この胸のモヤモヤした感じ。なんか嫌な予感がするわ。つーか、ゲームやってる時から嫌な予感してたしなー。やってる途中やけど……」)

「ま、とりあえず下行くか」

 

 

        ◆

 

 

「は?…………」

 目の前の光景に呆然とする。

「ぇ? …っぇえーっと………」

 階下に下りて目にした光景は、あまりに信じられないものだった。

 驚き、パニックに陥り、言葉にもならない言葉が、口から洩れていた。

 部屋は、窓などの硝子は全て割れ、家具なども薙ぎ倒されていた。

 そこはまるで、部屋の中で嵐が暴れ回ったかのようだった。

(「そういえば、良く考えたら階段もぼろぼろやった気がする……それに、壁には至るところに亀裂が走ってるし……」)

 押し寄せる不安が、怒りに変わり、放出させてしまう。

「一晩でいったい何があったっていうんだよ!? くそぉっ!!」

 

 ゴッ!

 

 力一杯壁を殴った。鈍い音が、辺り一面に響き渡る。

「はぁ…〈っは〉、はぁっ…〈はーーっ〉……ハァッ………」

 荒い息が治まっていき、次第に頭が冷静になってきた。

「………」

 そして、

「あ……」

 気づいてしまった。

 頭が冷静になっていくにつれて、体の芯が、心までもが、冷たく凍えていった。

 気づかなければいけない、だけれど、気づきたくなかった事実。

「……みんなどこ行ったんだよぉっ!!!!!」

 受け入れられない現実が、目の前にあった。

 

 今朝……。いつもの日常が、終わりを告げた。

 

 

 

【 MUV-LUV ALTERNATIVE IF 〜 a save of all humanrace 〜 】

 Episode 2 

 −2009.10 終わりを告げた日常−

 

◇2009年 10月22日(木) 

 11:27 自室 パソコン前

 

 

 ずっ…。滴れてくる鼻を啜る。

「鼻でた。……なんかうるうるしてるし。泣きそう……。っつーか、ちょっと泣いてもうた。ほんま、久しぶりに泣いたわ。ははっ」

 渇いた笑いが壁に吸収される。

「……はぁっ………。いったい昨日の夜に、何があったんやろ? 大地震でもあったんかな?

 ん〜……でも、ここだけ壊れてへんのはおかしいしな。……それやのに、外は廃墟だらけやった」

 ……それに……と携帯とパソコンを見る。

「電話もネットも繋がらんし、どないしよ……」

 家の周りや、駅や区役所に、病院、学校……と、人がいそうな場所を徹底的に探した。

 だけど、どこも廃墟と化していて、つい最近まで人がいた。という痕跡すら見つからなかった。

 それどころか、むしろいつから人がいたのか解らない状態だった。

(「どこ見ても廃墟………町にオレだけ? ……いや、でもそれって変やろ。

 さすがに家族みんなでオレ放置とか、どんだけ嫌われとんねんって話やろ。

 ……放置、プレイ?

 いやいやいやいや、さーっすがにそれは、ぁ〜〜る か ? ……はぁ……。んなわけないか」)

 明るく巫山戯(ふざけ)た感じで考えてみたが元気は出ず、変わりに溜め息が零れる。

「………ハァッ」

 静寂に耐え切れず、言葉が口を出る。

「つーか、ほんまにどうなってんねん。ほんまっ…わけわからんわ……………〈すぅっ〉、はぁぁ……またなんか、泣きそうになってきた」

 ぐぅ〜〜っ!

 昨日の夜から今の時間まで食べなかったせいか、盛大にお腹が音を立てた。

「ぷっ! ……おいおい。お前、空気よめよなぁ」

 自分自身の体の一部につっこみを入れて、バカさ加減に呆れつつも、今度は幾分か元気が出てきた。

「ま、わからんことをあれこれ考えてもしゃーないしな。さっさと切り替えて前向きに行こっと♪ それにしても、オレってポジティブやな〜」

 腹拵(はらごしら)えをしてから、出かける準備をはじめた。

 キャリーバッグと手提げ鞄に、衣類、食糧に地図、あと携帯に……と、準備を終えて出発することにした。

 

 ───ギィィィッ……

 

 ひしゃげた玄関のドアを抜けて、振り返った。

 玄関先から見える食卓を見つめながら、「いってきます」と、一言。

 昨日の夕食の時のような楽しい時間が、また来ることを願ってその場所をあとにした。

 もちろん。夜には帰って来るつもりで出ていった。

 ……だが、結局その日の内に彼が帰って来ることはなかった。

 0時を過ぎ、日付が変わった今もその姿を見ることはなく、そこはただ、主のいない廃墟へと成り果てた。

 

 

 

 





◇◆あとがき?(笑)◆◇

 今回は、いかがでしたでしょうか。
 前回よりも、長いと思うんだけど、どうですか?
 一応切りがいいところで、切ったつもりです。
 実は、主人公の名前がまだ出てません。
 主人公の名前は決まっているんですけどね♪

 みなさまは、主人公の名前がまだ出てませんけど、気づいてましたでしょうか? さすがに気づいてますよね〜♪

 …って、いってみたかっただけです☆

 思ってたよりも、すらすらと筆が進みました。
 もっと遅くなると思ってましたので。

 次回は、町へと。たどり着く先は? って感じです。
 期待せずに、待っててくださいね♪
 ま、
 取り敢えずがんばります。


◇◆あとがき?(笑)2◆◇
 ちょっと、修正。

2009年11/28(土)1:00

◇◆あとがき?(笑)3◆◇
 おひさー。そして修正。

2012年11/22(木)22:33


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