MUV-LUV ALTERNATIVE IF 〜 a save of all humanrace 〜   作:暁 巧

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 人が集まっていそうな場所へ行けば、家族も避難しているかもしれない。そう心に留めて、廃墟の町へ繰り出す。

 しかし夜になると先が見えない程真っ暗になり闇雲に進んでも危ないだろうと、結局その日は家に帰らず、形の残っている建物で泊まることにした。

 ───眠っていると、外から音が聞こえてくる。

 ! 誰かいる!? そう思って、扉を開けたのだが、そこで見たのは……



Episode 3  −新たな幕開け、過酷な現実−

 

「それにしても……。ん〜、どこ見ても廃墟だらけやなー」

 そう。そこは、町だった痕跡を残すものの、見渡す限り全て廃墟だった。

 人一人見かけていない。

 この世界に、自分ひとりだけが取り残されたような……そんな薄ら寒い感覚にとらわれた。

「うわっ……。なんか鳥肌たった! 変なこと考えんの止めとこ」

(「とりあえず、どこ行くか決めなあかんよな? 梅田か難波……かな。そこら辺やったら、人も集まってるやろうしな。

 ───こっからやったら、難波が近いか……」)

「それじゃあ、近い方から行く方がセオリーやわな。……よし! まずは近くの難波に向かって出発や!」

(「まぁ、いちお〜道は解る。ぼろぼろやけど……方角もだいたいやったら解るし、何とかなるやろ。問題は………あ〜、着いてみな何とも言えん、か」)

 見たことのある物があったとしても、全て瓦礫の山というよりは海のように広がっている。

 宛ても果ても無いような行動だったが、

(「この線路に沿って行って、この先に坂が見えれば……」)

 線路を見つけたことによってそれに沿って移動し、凡その位置を把握することができた。

「よしっ! ここが阿倍野や・か・ら……あ。てことは、だいたいアソコら辺が難波やな」

(「……にしても、相変わらず瓦礫ばっかりやなぁ。さすがに飽きてくるわ」)

 無意識のうちに言葉を発する。

「ま、とりあえず……。坂下りて右曲がってまっすぐ! これしかない! ……こともない、わな………。行くか……」

 それは心の奥から湧き出てくる不安を拭い去るかのように、巫山戯(ふざけ)て明るく振る舞っていた。

 

 

 

【 MUV-LUV ALTERNATIVE IF 〜 a save of all humanrace 〜 】

 

 Episode 3

−新たな幕開け、過酷な現実−

 

◇2009年 10月22日(木)

 11:59 大阪 道頓堀筋 難波?

 

「……やべっ、どうしていいか解らん」

 道路に沿って進んで来たので、凡そこの辺りが難波であろう場所に到着した。

 だが、依然として辺りは瓦礫の山々で、人一人さえ見当たらない。……胸の内にある不安は、増すばかりだった。

「どないしよ……」

(「家におってもしゃーないし、いつ崩れるか解らんからって思って出てきたんやけど……人ひとりおらん。これって、どういうこと? ───どうしたらいい?」)

 自分が独りだという孤独感が、自身を更なる不安に陥れる。

(「どうすれば……、ぇっと……どうする?……どうしよう?……」)

「あ゛〜! もうっ!! わけわからんわ! はぁっ…ハァッ……取り敢えず、落ち着こか」

 何度か、ゆっくりと深呼吸をする。落ち着くまで繰り返した。

「ふぅ……。けど、マジでどうしよう」

 少し落ち着き、冷静さを取り戻してから思案に耽っていた。

 

 ───ガラッ。

 

「ぅわっ! ……びっくりした〜」

 驚き、直ぐ様振り返ったが、瓦礫が崩れただけだった。

「はぁ〜。脅かすなよ」

 この時は、思ってもみなかった。朝言ってたことが当たるなんて……

 

 

 

◇10月22日

 19:45 東京 上空

 

「いつも苦労をかけていると仰っていたが、それは当然のことだと私は思っている。何より、私がそう望んでいるというのに……

 あの者達も、あの者達だ。いったい何を考えているのだ! 全く!」

 急に沈黙が訪れた。

「………」

 自分が愚痴ばかり零しているのに気づき、思わず黙り込んでしまう。

 疲れが出たのかもしれないと思い、ため息を吐いた。

「はぁ……。私も人の子だということか。

 あの者達にまで気を使わせるとは……。上に立つ者として、精進せねば」

(「久しぶりにゆっくりとできるのだ、余計なことは考えず、羽を伸ばすとしよう。

 ───だけど、これは今一度原点に立ち返って、己を見つめ直すためでもあるのだ。

 もっと強くある為に!…………ぁ……」)

「ふぅっ。気を休めるのが苦手だな、私は」

 息を吐いて心内で戒める。

(「のんびりと……だな」)

 

 

 

◇10月22日(木)

 20:37 大阪 道頓堀筋 難波?

 

「イヤ〜、真っ暗やなぁ。街灯なんかひとっっつもあらへん。

 つーか、そもそも電気なんか通ってんのか?」

 話ながら、部屋の中を見回す。

「……はぁ〜。懐中電灯くらい持ってくるんやった」

 電気が通っている様子は見受けられず、溜め息が零れる。

「っ、よっっと。……あ゛ー、しんどかったぁ〜……」

 今いる場所は、唯一と言ってもいいくらい綺麗に形の残っていた建物を昼間に見つけていたので、そこに戻って来ていた。

 十数メートル先が見えないほどの暗闇の中、2時間かけて漸くたどり着いたところだ。

「これじゃあ、自分家に帰れる気がせぇへんわ……」

 横になりながら、これからどうするか考えていた。

 だが、頭に妙な痛みが奔りぼーっとする。

「…………」

 ……暫くすると、疲れが出たのか静かに寝息をたてはじめた。

 

 

 

 

 

 ───ガラッ……

 

 

 





◇10月23日(金)
 0:27 室内

 外から瓦礫の崩れるような音が聞こえ、僅かに意識を覚醒させる。
「ん〜?……」
 ──……しーん。と、静寂だけがあった。
「……寝よ……」

 ガラッ… ガラッ……

 ガラガラッ……

 再び音が聞こえてきたが、また眠りにつこうとしていた。
 そこへ、

 ガラッ…ガラがらっ……ぺたっがらっ…がらっ……

 瓦礫が崩れる音に混じって、奇妙な音が耳を突く。
(「…………。ん? ……ぺたっ?? ……それに、音が大きくなったような?……」)
 寝起きで、まだ重い瞼を擦りながら、外へと続く扉の前に立った。
(「まだ音が…聞こえる……ん? 近づいてる? ……誰かいるのか? …………っ!
 そうか! 誰かいるんだ!」)
 何も考えずに、扉を開けた。ただ、誰かに会えるんだと思い……
「えっ?」
 そこには、“何か”がいた。
 しかも警戒なんかしてなかったためか声を上げてしまい、暗闇に薄くぼんやりと浮かぶ白い影と目が合ってしまった。
 つぶらな瞳が不気味に輝く。
(「気づかれた!?」)
 急いで扉と鍵を閉め“アレ”をやり過ごすことにする。
(「“アレ”って、──いやいや、あり得ないだろ? 本能的に逃げてしまった? 狩る者と、狩られる者の違い……? 嫌! 無理っ! 狩られたくないし!!」)
 この場所も、扉はあるが他と変わらずぼろぼろである。扉を破壊して入って来る可能性もあるし、単独とも限らない。
 中に別の奴がいる可能性すらある。
(「隠れるか? ……でも、匂いや音に敏感かもしれない」)

 ドン!

 扉から激しくぶつかる音がした。“アレ”が、行動を開始したようだった。
(「考えてる暇なんかない! 別のところから……」)

 ───ドンッ! ……バキッ!
 扉から別の音が聞こえてきた。
 扉が圧力に勝てなくなったようだ。壊れた扉の隙間から白い腕が出てきて、無理矢理抉じ開けようとしていた。
(「なっ!? もう壊したのかよ! くそっ!」)
 咄嗟に近くへ身を潜めた。隠れながら後悔していた。
 どうして自分は、もっと慎重に慣れなかったのか。どうして、もっと……。言いだしたらキリがない。それに、こんなことになるなど誰が想像出来ただろうか?
 強く首を振り、今考えてたことを頭の中から追い出す。

 ぺたっ。

(「ハァッ…、ハァッ……〈ドクン……〉」)

 ぺたっ。

(「今は、〈ドクン……!〉」)

 ぺたっ。

(「それどころじゃない!〈ドックン……!〉」)

 ぺたっ。

(「“アレ”が、〈ドックン…!ドクン!〉」)

 ぺたっ。

(「……来るっっ!!」)
「…………」
(「…ハァッハッ……ハッ…ハァッ……」)
 こうして潜めている息の音さえ、“アレ”には聞こえてしまっているのではないかと思ってしまう。
(「これをやり過ごして、はやく外へ!」)
 もっと慎重に動くべきだとわかっていたはずなのに、恐怖によって、頭も体も思うように動かない。

 ───ガタッ。

 物音を立ててしまう。
 白い影がぬっ、と、ゆっくりとした動作で振り向いた。
 うっすらと見える影は2メートルを超えていて、人を飲み込めそうな大きな口とつぶらな瞳のアンバランスさが、不気味さをより一層高めていた。
 その瞳に見つめられた瞬間、体温が一気に奪われたかの如く、背筋にもの凄い寒気が駆け抜ける。
(「気づかれた!? ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!」)

 ……ぺたっ、ぺたっ。

(「動くつもりなんてなかったのに!」)
 気づいたら動いていた。もう後戻りなんかできない。
 ──全力で走りだす!
(「早くっ! 速くっ! もっとはやくっっ!!」)
 がむしゃらに、ただ闇雲に、夜闇に染まる廃墟の町を駆け抜けた。
 だけど、“アレ”との距離が離れてる気がしない。少しでも障害物になればと、瓦礫の合間を縫って進んで行く。
 転ぼうが、ぶつかろうが、足を止めることは、一度もなかった。
(「荷物おいて逃げるか? …いや、あかん!“アレ”がおるってことは、携帯とか必要になってくる。今ここにオレがおるってことは、オレがアイツの代わりに来た可能性がある。名前は違うけれども、並行世界であることは違いないからな。っつーか、そうでないと納得いかん!
 ……やけど、オレがアイツのようにここに来たからって、オレがアイツと同じとは限らんし、オレ自身がアイツに成り代わった可能性だってある。
 アイツはループするんやから、きっとオレも……なぁんて考えは、甘いんやろうな。命懸けで、ループするか試そうとは思わんし……
 だから、簡単に死ぬわけにはいかん! っていうか、元々こぇーよ死ぬのなんて」)
 頭の中をぐるぐると色々な考えが巡る。

 ───どれくらいの時間を、走っていたのだろうか。呼吸をするたびに、肺が痛くなる。
「っつっ! はあっ…はぁっ……もう、ぼろぼろ…っ、やなっ ハッ……」
 ぶつかったり転んだりするだけでなく、時折飛んでくる瓦礫によって、傷を作っていた。
(「陰険な攻撃しやがって! なんで直ぐ殺さない。
 オレの方が、足早い……のか? はっ、はぁ……いや、はぁっ疲れて足が縺れそうになっているオレより遅いことはないやろ。
 だけど4時間逃げ切れば……」)
「オレ……の、勝ち…、がぁっ!!」
 鈍い音が近くで聞こえた。
 頭に重い衝撃が奔り、鋭利な鉄の棒に倒れこんでしまう。
 必死に体を反らして避けようとしたのだが、疲れ切った体は云うことを聞かず、左腕に刺さってしまった。
「あ゛あ゛ぁ゛あ゛ーーーーっ!!!」
(「……やばいっ……意…識っが……はぁっ…ハァッ……? ……翠(みどり)……と、紅(あか)……?」)
 その時、薄闇の彼方に幻を見た。
 月夜闇(つくよみ)に浮かぶは、敵を射ぬく真な射し。
(「女の、ひと……? あれ…っは……」)
 風が吹き抜け、雲間から月が顔を出した。
 脚まである、長いその翡翠色の髪と猛禽類を想わせる鋭く深い翠色の瞳を月光が照らし、美しく反射する。
 紅蓮の聖装は、その者の存在を強く誇示していた。
「今宵の月が、貴様の見る最後の月になろう」
 刀を正眼に構え、彼女は朗々と謳う。
「───!」
 その彼女と視線が交わって誰が来たのか理解した。そして驚きや嬉しさ、いろんな感情がない交ぜになって言葉にならなかったが、恐怖も忘れて笑みが零れた。
(「そうか。やっぱりそうなんやっ!」)
「ハハッ……」
 ──すぅっ……。女の深く息を吸い込んだ音が聞こえる。
「たぁーーーっ!!」
 女が駆け、上段から切り下ろす! 相手はよろめいたが、傷は浅く、致命傷を避けたようだった。
「危な…!『はあぁぁっ!!!!』……」
 男が最後まで言い終える前に、女はよろめいた透きを逃さず、既に居合いの構えをとっていた。
「……無限鬼道流(むげんきどうりゅう)奥義、月の輪。
 二度も月を拝ませてやったんだ───」
 刀を鞘に納め終えて、
 キンッ……と甲高い音を鳴らして、鍔(つば)と鞘(さや)がぶつかる。
「───感謝しろ」
 鞘に納まる音と同時に、“アレ”が崩れ落ちた。
「先ほど、何か言ったか?」
 男は場違いだと思いつつも、恐怖から解放された安堵と、同じく、場違いなくらい美しく凛々しい女性に見惚れてしまい、なんだか可笑しくなってしまう。
「はははっ♪ 月詠(つくよみ)さん、カッコ良過ぎっ♪ ふふっ。ははっ! あ痛っ! 笑い過ぎた」
「───!?」
(「私を知っている? つまり、私の強さも知っていたから、あの状況で笑っていられたのか? だがしかし…………。いや、考えても詮の無いことだ。とにかく、まずはこの者の手当てが必要だ」)
「立てるか?」
「………」
(「“あの”月詠さんが、オレに手を差し伸べてくれてる……くぅ〜っ!! やっべぇ〜、マジで嬉しいっ♪ ……痛いけどねぇ♪」)
「立てるのかと聞いている」
「あ、はいっ! すみません」
「とりあえず、それは抜かずに戦術機のところまで戻ろう」
「抜かずに?」
「そうだ。ここで抜いても、傷を広げてしまうだけだ。戦術機のところまで戻れば医療キットが積んであるから、応急措置が出来る」
「へぇ……」
「ここからそう遠くない、急ぐぞ。残存するBETA(ベータ)がいないとは限らないからな」
 月詠がのばすその手を……
「ぁ……」
 取らずに、男は体を突き飛ばしていた。
「貴様!! ──っ!?」

「あ゛あ゛ぁーーっ!!」
 男は月詠を突き飛ばし、左腕に刺さった鉄の棒を引き抜いて、“まだ生きていた”BETA口の中に向かって、突き刺した。
『月詠さんを喰らおうとしてんじゃねぇよ! お前は……これでも喰らっとけぇ゛!!』
 止(とど)めをさすため、月詠が落とした刀を拾って構える。
 だが満身創痍の体に疲労が蓄積して、刀を持つので精一杯だ。
(「だけど!」)
 涙が滲み出てきた。
『月詠さんは、……月詠真那は殺させないっ! 絶対に!!
 ──お前なんかにっ、、殺されて堪るかぁーーっ!!!!』

 ───カチャッ……

 刀が音を立て、持つ手を包み込むように手が添えられる。
 男の後ろから優しい香りがした。
「バカ者め」
 男は、もう負ける気なんてしてなかった。
「安心して、私に身を委ねろ」
 さらに、心強い言葉。
(「これで負ければ、罰が当たるな」)
「はいっ!」
「──め……」
「えっ?」
 月詠が何か言ったようだが、男は聞き取れなかった。
「来るぞ! 構えろっ!」
 月詠の檄(げき)がとぶ。
 男の恐怖が消し飛び、勇気が溢れる。

『『おぉぉぉぉーーっ!!』』

 雄叫びと共に、迫り来るBETAに向かって鋭く刀を振り下ろす。

(「あの時オレは、必死に戦って生きてるこの世界の人達を、無慈悲に殺すこいつらが許せないって心から思った。
 ───負けたくない。
 強くなってみんなを守りたいと、生まれて初めて、……本気で神に願った……」)

 ───男は月詠の力を借りてBETAを倒し、気を失った。







◇◆あとがき?(笑)◆◇

 2話のあとがき予告とあまり?違う気が…(汗)
 プロットはあったんだけど、あそこまで、ケガさせるつもりもなくて、月詠の登場も巧が戦ってるときに出くわす予定だったのに、ピンチに駆け付けるヒーローみたくなりました(笑)

 だから、書いてる時、月詠さんかっこいいわー!って言っちゃってた。w

 もう半分あったけど、わけた方がわかりやすいかな。ってことで、後半?は、月詠さんSideになります。
(多分、半分くらい)

 携帯じゃあ、これ以上の文章投稿しづらい………自分のサイトがありゃーなぁ………

 拍手だけでもいただけたら悦びます。
 感想、ダメ出しetc……コメントいただけたら歓喜します♪
 通りすがりでも、よろしければ、あなたの言葉を……



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