メイドインアビス・新参の白笛の物語 作:七三式全自動駄文製造機
簡単にコピペできる文章量で助かったわ。ビバ短文!!w
天幕に戻ると、ローレンツ中佐が大きめの書類鞄を開け、数枚の書面を卓上に並べているところだった。
「お待ちしておりました。こちらが閣下が要求された編成の細目及び、運用に必要とされる金額の試算表であります。なにぶん、概算要求の枠内でありますので、逐次増減の必要ありかと。財務省の裁可は取りつけてありますので、ご安心下さい」
およそ軍人とは思えない物腰で切り出す。
彼は近代の軍隊が生み出した一つの象徴、『経理将校』である。
簡単に言えば、将校待遇で軍隊が雇っている『公認会計士』だ。これ以上の説明はない。
国民皆兵は元より軍国の伝統(そもそもが雑多な狩猟民の連合政権であり、各部族がめいめい軍勢を持っていた。狩猟遊牧民は女子供といえども兵士である必要があるため、自然と国民皆兵制となる)であったが、大所帯で大規模になり、かつ、剣だの槍だの鎧兜だので戦っていた時代より、軍事コストが大幅に膨れ上がった近代では、いくさをするにも『計算』が必要になってきた。
そのために組織されたのが『軍務省会計局』である。
上は高級将校から下は新参の兵士に至るまでの全ての軍人の給与を管理し、小は銃剣から大は重野戦砲に至る全ての兵器(銃弾・砲弾・弾薬・整備用の交換部品や整備油等の一切合切である)を管理し、軍が消費する糧秣の管理(調達・保存・調理・輸送まで)・・・・・・
数え上げれがキリがない。
それらを一括管理(完全支配ともいう)し、国家の金庫番たる財務省と掛け合うのが会計局の仕事だ。
当然にして高い計算能力が求められるため、この部署には軍国の伝統的な『貴族がトップに居座って宰領する』というシキタリがない。
およそ奉職中は緻密で高度な計算を続けなければならないため、各州の高等学府で数学を修めた極めて優秀な頭脳が集まってくる(各地の有力な商人の子弟が多い。商人と計算は切っても切れないからである)。
それらを更に首府の『軍務省経理学校』に入学させて鍛え上げ、『生きた計算機』として活用するのである。
「しかし膨大な物資量だな…我々のような軍人の脳味噌ではとても取りさばけん」
正直な意見を述べると、中佐はやや胸を張って微笑み返してきた。
「それはまあそうなのですが、最近はこういった便利な発明品がありまして―」
傍らの楽器ケースようなものを開け、小型のタイプライターのような機械を取り出して見せる。
「つい何年か前に海商王国の科学アカデミーで開発されたものです。必要諸元を打ち込んでこのハンドルを回せば、瞬く間に計算が終了します」
よっこらせ、と小さな掛け声をかけて卓上に乗せ、カシャカシャと適当に数字を打ち込み、ハンドルを回す。
「今、試しに12345×12345と入力して計算しました」
聞いただけで思わず顔をしかめてしまう計算問題である。筆算したらどれだけ手間暇がかかるものだろうか?
「152399025、これが回答であります」
驚いた。タイプからハンドル操作まで含めて、ものの数秒である。
「この『自動計算器』の発想自体は数百年前にまでさかのぼるそうなのですが、どうにも歯車のかみ合わせや段階機構の組み込みが複雑で、なかなか成功作品ができなかったそうです」
それはそうだろう。
私は機械の専門家ではないが、この機械を構成するのがどれほど複雑で緻密なものなのかは理解できる。
数百年かけて試行錯誤を重ね、執念の果てにこの偉大な発明品を完成させた。
他国の人々ながら天晴である。
尤も、あの商売大好きな連中のことだから「人間の代わりに会計ができる機械があれば帳簿管理の時間を商談にまわすことができる」と考えたのかもしれないが・・・・・・
はい、経理将校制度と自動計算器のお話です。
現実でも、250年前に設計されて頓挫していた歯車式計算機が250年越しに完成したと表彰されてましたねw人間の努力は凄いもんです。
参考資料:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%8E%E5%B7%AE%E6%A9%9F%E9%96%A2