メイドインアビス・新参の白笛の物語   作:七三式全自動駄文製造機

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主人公の開き直り(覚悟完了ともいう)と国家背景が見えてきましたね。
書けば書くほど、国家レベルの力って怖いなあ、と思ってしまいました。
原作でも黎明卿がかなりアブナイ事をやらかして国際指名手配中であるにも関わらず、御本人様は堂々と地上に出てきてましたしね。国の後ろ盾って凄いもんです。(しかも彼には複数の国家が支援している
この主人公(ヴェルクローゼ卿)の在り方は当代流行の『チート』に相当するんでしょうかね?w


第五回

 現地到着より三日が経過。電信設備を展開し、本国へ打電する。

『当地ノ確保ト徹底調査ノ為、一個旅団規模ノ増援ヲ要請ス。内容ハ砲兵一個大隊及ビ医療部隊一個大隊、此レニ加エテ工兵一個大隊ヲ含ムベク編成シ、可及的速ヤカニ調達サレタシ』

私の要請とあらば、どこからも異論は出るまい。新天地確保の為の遠征としては、そう無茶な要求でもないからだ。可能であれば一個軍団の派遣が最も有難いが、そこまで大事になれば多面戦争必至であろう。それは愚策である。

自慢ではないが私は、少なくとも軍部に対しては、国王陛下の次に大きな発言権を持っている。

 

 今回の遠征にしても、生きて還る可能性が皆無であるため、予めすぐ下の弟に家督を継がせ、正式に認可されてから出立してきている。

『国王陛下と祖国の発展の為、かの魔窟を征した後は死して護国の神となり、永劫に戦わん』

そう宣誓してきてもいる。

正直、死ぬことに恐れはない。代々の職業軍人の家系、しかもその中でも上澄み中の上澄みであるヴェルクローゼ家の当主としては、あって当然の覚悟である。

死に狂いの探検であるならば、世界のどこを探しても、私以上の適任者はおるまい。

 

 昨日、情報収集として私自ら探窟家の集う酒場に出向いた。

中々の成果があったのは嬉しい限りだ。

ひとつは、ハーボルグという熟練の探窟家に出会えたこと。

ハーボルグ氏は『黒笛』という、事実上定命の探窟家に与えられる最高位階に属している。

それ以上は『人類の栄光と希望を繋ぐ者』とも呼ばれて全世界の畏敬を受ける『白笛』だけだ。

「アビスに潜るなら、どんな事が起きても慌てちゃならねえよ。あそこでは世間様の言う有り得ないこと、なんてのが当たり前に起こる。世間並みの常識ってもんは、そこいらのゴミ箱にでも投げ捨てておくこった」

エールをなみなみと満たしたジョッキを傾けながら、ハーボルグ氏は忠告してくれた。

しかし、巨漢である。縦横にがっしりと巨きな体躯と、造作は厳ついが人懐こい笑みを浮かべた表情は、流石にベテラン探窟家が集う大探検団の長に相応しい。

巌の貫目、と云うやつだろうか。

 

 もうひとつは、噂の『白笛』に遭遇したことだ。

『不動卿・動かざるオーゼン』の名で知られる女性だが、これまた巨体の持ち主だった。

…アビスには人間を年齢の関係なく成長させるのだろうか?

一瞬で沸いた疑問を向けると、オーゼン女史は意地の悪い笑みを浮かべた。

口が引き裂けたような形にゆがみ、両眼が深淵の如くに染まる。

混沌?深淵?悪魔の類?人から産まれて魔に到達した逸脱者?

何のためらいもなくそう思えてしまう程に、底意地の悪い『悍ましい顔』だった。

「そんなワケないだろ…頭がおかしいのかい?」

一瞬発した邪悪な笑みが溶け崩れると、はっとする程の美貌が現れた。

返ってきた言葉は辛辣そのものだったが、不思議と不快に感じない。

 

 最高位階の探窟家に出会えたのをこれ幸いとばかりに、幾つか結論を保留していた疑問を投げかけてみた。

アビスの原住生物に近代兵器は通用するのか?と云う問いに対して、女史はそっけなく、

「効く奴もいれば効かない奴もいるだろうさ」

と答えた。

成程、それはそうだろう。

探窟家と呼ばれる連中も、最低限、自衛のための武装はしていくらしい。

ただそれが、いわゆるピストーレ、拳銃と呼ばれるものであったり、小型の手投げ弾だったりするらしい。

…あまり参考にはならなかった。我々の行使しうる火力とは比べるべくもない。

次に、上昇負荷。所謂、アビスの呪いを避ける方法はあるのか?との問いには、

「ないね。生物である以上、誰にでも平等なのがアビスの呪いさ」

気のせいか楽しげに、謡うように答えた。

…この人、美貌と云う水増しのおかげで随分と得をしているな……

不美人が同じ回答をしたら、間違いなく不快を感じるか、或いは殺意すら覚える程に楽しげであった。

「ひとつだけ避ける方法はあるけど、ソイツはあの筋金入りの碌でなしのお家芸だしねぇ」

とこぼした言葉に、心が動かされたが、訊かないことにした。

訊けばきっと解決策を教えてくれるのだろうが、何故か、

『その選択肢は断固不可である』

と云う神の啓示を受けたからだ。直感というよりは啓示だ。決して逆らったり疑ったりしてはいけない。

 

 ―こうして、増援到着までの間に、我々は貴重な知見を幾つも得ることができた。




何人か、原作を彩る大物に出演していただきましたw
最終的な要求額が(やめたけど)『一個軍団の増援』とか、どこまで自由自在に軍隊動かせるんでしょうねw
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