原作きよぽんよりチート。ただし転生特典でスキル剥奪済み 作:塾長
士官学校のカリキュラムから逆算してテキストをぶち込み、戦術シュミレーションをして、多少の運動メニューをノリでこなしただけの普通の人です。
イキった素人なので本職の方は虐めないでね(涙)
某・ライトノベルの主人公は言った。「この世は勝つことが全てだ」と。
では、勝利とは何か?
クラウゼヴィッツの『戦争論』曰く、「我が意図を相手に強要すること」らしい。鉄と血の暴力の世界から、よう実らしく政治の分野に置き換えてみよう。政治学者のロバート・ダールは「権力とは、他者に本来させないはずの行動をとらせる力」と定義した。
権力を握り、他者を意のままに動かすことこそが勝利——この作風こそ、まさに綾小路清隆やその父親(パパん)の存在を象徴している。
よう実って、学園モノの皮をかぶった政治・心理ゲームだからね。
……まあ、何が言いたいかというと。
「私は敗北した」ということだ。
「負けた」と一言書くだけでこの文章量? というツッコミは一旦横に置いておこう。今、目の前で起きている理不尽に対して、私に抗う術はないのだから。
◇
「ちっすちっす〜! ごめんね〜、運命担当の女神が入力ミスっちゃってさ。お主のこと、うっかり今世からログアウトさせちゃったや」
白いモヤの立ち込める無の空間で、軽薄な声が響く。
完全情報への憧れから生み出された概念が「神」だとすれば、あまりにお粗末な管理体制だ。こいつは神というより、神と同等の権力を持った「何か」。とりあえず『存在X』とでも呼んでおこう。つーか何が「ちっす」だ。神としてのブランディング完全崩壊してんだろ。
「……状況は把握しました。では、爾後の対応についてご教示いただきたいのですが」
深く溜め息をつき、冷静に事実確認を試みる。
「転生! 転生! よう実の世界へ転生決定〜! ちなみに特典もあるぞい!」
「……えぇ(ドン引き)」
まあ、生前は好きな部類の作品だったから世界観自体はいいとして。「特典」という甘美なワードに、一瞬でも心が躍ってしまった時期が私にもありました。
「記憶は引き継ぎで……ん? おぬし、スキル持ちすぎじゃない? ちょっと弄って……よし! スキルに関する知識(単語)はそのままに、中身の技術や経験をごっそりデリートじゃ! また15歳のピチピチ状態から頑張りなされ☺️」
「……は? ちょ、ちょっと待ってください。それ相応の補償なり特典なりがあるんですよね……!?」
「赤子からやり直すのは面倒じゃろ? よし、高度育成高等学校に入学するところから始めさせてやろう。15年という時間をドカンと圧縮! もちろん、この期間の家族やプライベートの記憶は脳内に直接インストールしておくゆえ安心せい!」
「それって転生じゃなくてただの憑依……! ていうか、せめて他の作品みたいに分かりやすいチート能力をですね——」
「じゃ、業務が押してるゆえ! 行ってこい、『実力至上主義の教室へ』!」
「待っ——」
抵抗の間もなく、脳内に(自称)女神のシステム音声風アナウンスが冷たく響き渡る。
『——????様の転生処理を開始いたします。なお、【退学】または【Aクラス以外での卒業】となった場合、意識および魂の永久消滅処分となります。それでは、良い転生ライフをお送りくださいませ』
……どうやら、神は死んだらしい。
◇
ようこそ(強制)実力(ほぼ剥奪)主義の教室へ!!!!
積み上げたスキルは中身だけ綺麗に消滅。退学、あるいはAクラス未満での卒業なら魂ごと即エンド。
君はこの理不尽なデスゲームを生き残ることができるか?
次回、『オリ主、死す』。デュエルスタンバイ!
魂が消滅して終わる。もうこれ解脱だな(白目)