きみの明日になれたなら   作:ふじさきらんこ

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短めプロローグです。のっけからオリジナル要素が入りますのでご注意ください。
※4月時点で登場しているのがラヴェンツァですが間違いではないです。


OP デウス・エクス・マキナ

―9th April 20XX―

 

もし、これが夢ならそれはそれでおもしろいかなって思うんだよね。

いや、夢ならいいって話であってリアルでこんなことが起こってたとしたら訳わからんって話よ。

いやいやマジで。ほんと。

 

「モノローグくらいもっと賢そうにできないの?」

 

うるせえですよ。ていうかそもそもモノローグに突っ込みを入れることがおかしいと思うんだよね私。

そこんとこどうなの?高校生探偵かっこわらいさんは優秀だからモノローグに突っ込みを入れるなんてこともできちゃうって?

へえへえさすが探偵様っていうのはすげーんですね。

 

「声に出てるから突っ込んでるに決まってんだろ」

 

おや?声に出てたとな?これは失敬失敬。

 

「はあ……」

 

辛辣な事ばっかり言った上にクソデカため息を吐いたのは、高校生探偵としてテレビで見ない日はない位には人気の明智吾郎くんである。

私は彼の幼稚園、小・中・高校の同級生、真宮寺 八重。

唯一とも言える友達だ。あ、私の唯一じゃなくて明智吾郎くんの唯一ね。

このクソッタレの捻くれ者は、昔はどえらい性格でついていける人間が私しか居なかったのだ。ぷぷぷ、かわいそうなやつ。

 

高校生になった途端、何故か知らないけど唐突にキャラ変して本来の頭の良さを生かした探偵なんてのをやり出したらあれよあれよという間にお茶の間の人気者になったという経緯がある。

友達は出来なかったけどファンはいっぱいいるぞ。良かったな、明智吾郎くん。

 

「僕の事はいいから、とりあえず状況を理解してるかどうかだけ確かめさせてくれない?」

 

「あーうん、状況ね、状況。ハイハイ大体なんとなくふんわり理解してる的な?」

 

「君って知性ある?会話が出来ているか不安になってくるよ……ハア」

 

「ため息ばっかり吐いてると幸せが逃げちゃうゾッ」

 

「余計な口聞かないでくれるかな」

 

きゃーこわーい。なんてな。明智吾郎くんが凄んだ所でポメラニアンの威嚇より怖くなんてないのだ。

慣れすぎちゃっただけで初見なら大分怖いけど。美人のキレ顔って無駄に迫力あるからな。

でもこれ程度で怖がってたらこいつの友達は務まらないんだわ。最高にハイってやつになった場合のキャラ変にも対応可じゃないと。

…こいつの友達ハードル高すぎだよね?

 

『僕怒鳴ったことなんてありません』というツラをしておきながら腹の中は沸点10度くらいのイカれたナイフみたいなやつなのだ。

まあ、この辺にしとかないとそろそろマジでキレるからな、真面目にやっとこう。

 

そこで私は、私と明智吾郎くんの目の前にちょこんと立っている、青いワンピースに大きな本――図鑑っぽいな――を持った女の子、ラヴェンツァをもう一度よく見つめる。

 

「えーと、…ラヴェンツァさん?」

 

「ラヴェンツァ、で結構です」

 

「ありがとう。ではラヴェンツァと。

…で、そのラヴェンツァのおっしゃる事には、"時間の流れに介入する能力を持つペルソナ"が暴走しているので、それをなんとか食い止めてほしい、で良かったよね?」

 

「話を聞く能力くらいはあるみたいで嬉しいよ」

 

明智吾郎くんの嫌味はスルーするに限る。相手にするのがめんどくさいからとかではない、決して。うん、決して。

 

何を言ってるかちんぷんかんぷんなんだけど"ペルソナ"というのは何らかの様々な能力を持った"何か"という認識で良いのかしら。

明智吾郎くんは何も言わないから"ペルソナ"とやらに覚えがあるんだろう。追々教えてもらうことにしよう。

 

"ペルソナ"っていうのも初めて聞いた単語なんだけど、"時間の流れに介入する能力を持つ"って言うのがまた、なんていうか、ゲームっぽい。

でもコレ、急にゲームとかの話をしている…わけでもなさそうなんだよな。

 

なんでかっていうと、私、再来週あたりにクリスマスパーティの計画を立てていたのだ。

誰かさんと違って友達がいっぱいいるから、近所のカラオケボックスの一番大きな部屋に予約を入れてさ。

 

クリスマスパーティってよっぽどの事が無い限り、12月の24日~25日の近辺にやるものだし、実際私も予約を入れた日付は25日だったと記憶している。

天気予報じゃ1日ずっと雪って話だったから、早めに集まってお茶でも飲んでから行こうなんて話だってした。

 

それが何だ。

窓の外を見たら、なんだかやたらと暖かそうじゃないか。

まるで、ついこの前まで桜が咲いていたんじゃないかってくらいに。

 

ここは私や明智吾郎くんが通っている高校の教室。不思議な事に周辺に人の気配は全く無い。

 

腕時計に表示されている電子タイプのカレンダーの日付は4月9日。

西暦表示も見てみたけど、私がウッカリしている間に年を越えて一足飛びに春がやってきたわけではない。

 

戻っているのだ。

同じ年の4月9日に。終わったはずの時間に。

 

違う点があると言えば、ラヴェンツァが目の前に居るってことと、"ペルソナ"の話を聞かされたこと。

 

だから私は思ったわけ。

もし、これが夢ならそれはそれでおもしろいんじゃないかって。




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