流星のロックマンafter story ver.響ミソラ 作:山奥一登
「いただきまーす!」
「いただきます」
ドラマの撮影を終えた私は、共演したスズカと二人、楽屋でお弁当を食べていた。
昨日スバル君と会ったおかげか、今日は久しぶりに体が軽かった。撮影もNGなし。いつもより早めに終えることができたから、のんびりと楽屋でお弁当を食べられる。
「ふんふふーん」
思わず鼻唄も歌ってしまう。と、対面に座るスズカが不思議そうに私を見ていた。
「ミソラ、今日は元気だね」
「うん! 実は昨日いいことがあってね」
私が昨日のことを話そうとすると、スズカは少し微笑んでから
「スバル君でしょ」
私が元気な理由をズバリと言い当てた。
「なんで分かったの!!?」
驚く私を見て、スズカは笑った。
「だってミソラの機嫌がいい時って、大体スバル君の話が出るから」
スズカは当たり前のように言う。……もしかして、私がスバル君のこと好きってバレてる?
「……私、そんなにスバル君のことばっかり喋ってるかな?」
「うん。スバル君のことをいつも嬉しそうに話してるよ」
何を今更、と言わんばかりにスズカは即答した。
「うう……。なんか恥ずかしい……」
照れや気恥ずかしさの混ざった複雑な感情に襲われる。顔が熱くなるのを感じて、テーブルに突っ伏した。
「で、昨日はスバル君と何があったの?」
興味津々のスズカは私の心理状態などお構いなしに続きを促してくる。顔を上げると、スズカは意地悪な笑顔で私の話を待っていた。観念して、昨日あったことを話した。もちろん、電波変換や手を繋いだこと、別れ際にハグをしたことは秘密で。
「二人で星を見に……」
「うん。二人で」
本当はハープとロック君もいたけど。
「二人で、ね……」
スズカはそう言って、探るような目で私を数秒見つめる。何だか居心地が悪くて、逃げるようにお茶を飲んだ。
「ずっと気になってたんだけど、ミソラとスバル君って付き合ってるの?」
「ぶっ!!」
スズカの突然の発言に、私は飲み込もうとしていたお茶を吹き出してしまう。
「ちょっとミソラ、汚いよ~」
「ごめんごめん。……スズカが変なこと言うから!」
急いでテーブルを拭いた。……あ、お弁当にも入っちゃってる……。
「だって、二人で星を見に行くなんて完全に恋人のすることじゃない?」
「そ、そう? まあ、たしかに恋人っぽいかな」
そう言われると思わず頬が緩む。たしかに、私もあの状況を傍から見ていたら恋人同士だと思うだろう。
「でも、私とスバル君はそういうのじゃないよ」
スバル君はブラザーで、無論特別な存在だ。でも、そういう関係ではない。……今のところは。
「あれ、ちがうんだ」
「うん。私一応アイドルだしさ」
私が言うと、ハンターの中で会話を聞いていたのであろうハープが実体化した。
『あら、アイドルは恋人を作ってはいけないの?』
「そういうわけじゃないけど……。やっぱりファンの中には嫌な人もいるだろうし」
『あら、それは違うと思いますわ』
私の言葉に反論したのは、スズカのウィザードのアイスだった。ハープと同じように会話を聞いていたのだろう。
『たしかに昔は【芸能人、特にアイドルの恋愛はご法度】という風潮もあったようです。しかし現在は【芸能人は芸能人である前に一人の人間であり女性。その人の幸せを尊重し、恋愛も応援してあげよう】という風潮が強くなっています』
「アイス……随分詳しいね」
「当然です。スズカの芸能活動に関係がありそうな情報はすべて網羅していますから」
アイスは誇らしげに胸を張り、メガネを模した目元に手を当てた。
「アイスの言う通りね。以前交際発表したアイドルへのコメントも、応援が大多数だわ』
何やらニュースを調べていたらしいハープも、アイスの意見に賛同した。どうやら、アイドルであることは現代では恋愛のしがらみにはなりえないらしい。……でも。
「でも、何だかまだ早い気がして。私たち、中学生になったばかりだよ?」
恋や愛なんて、自分には過ぎたもののような気がする。私が言うと、スズカは不思議そうな顔をした。
「でもミソラ、この前恋愛映画に主演していたじゃない」
「あれは映画だから。それに、映画も高校生以上が多いよ」
「そうかなー。でも、うちのクラスでももう何組かカップルができてるよ」
「そうなの!?」
「うん。それにこの前共演した同い年の○○ちゃんも、彼氏できたって言ってたよ」
「そうなんだ……」
友達とあまり遊べていない自分が知らないだけで、もしかしたら自分の周りにもそういう人がいるのかもしれない。そう思うと、何だか自分だけが遅れているように感じた。
「それに私も、疲れた時に好きな人に会いたいなーって思うもん」
スズカの言葉に、分かるなー、と昨日の自分を思い出す。そして、ん? と疑問が一拍遅れて湧いてくる。
「え! スズカ、好きな人いるの?」
思わず身を乗り出した。スズカ同様、こういう話は私も大好物だ。
「? ミソラも知ってるでしょ」
「え、だれだれ!?」
共演した人かな、と考えを巡らせる。
「ロックマンだよ」
スズカが出した名前に、一瞬ドキリとする。……でも、スズカはロックマンの正体を知らないはず。スバル君だとは知らず、単純にファンなだけだろう。
「そういえば、アイスの件で助けられてからファンになったって……」
サインをもらいたい、と言っていたこともあったっけ。意地悪してスバル君に頼んでみたら? と答えた記憶がある。
「うん。あの後も一回危ないところを助けてもらって。付き合うならロックマンだなって」
「ロックマンはダメだよ!!」
スズカの言葉を聞いて、反射的に叫んでしまった。
「な、なんで?」
すぐに我に返る。けど、スズカは驚いた表情のまま。まずい。
「ほ、ほら、ロックマンはみんなのヒーローというかなんというか」
しどろもどろになりながら言い訳をしていると、コンコンとドアがノックされる。
「「はい!」」
スズカと私は即座に背筋を伸ばして、仕事モードに切り替えた。
ドアを開けたのは浦方さんだった。
「ミソラー、今度のステージのことでちょっといいか?」
「あ、浦方さん!」
「お久しぶりです」
「お、スズカもいたのか。久しぶりだな。少しミソラと話していいか?」
「はい。お構いなく」
浦方さんはスズカに会釈してから、ハンターを操作してリアルウェーブの設計図を出した。内容は今度のライブステージの演出の要望についてだった。
「……分かった。ありがとう。二人とも、邪魔して悪かったな」
「「いえ、大丈夫です」」
二人で揃って言った。とりあえず話が逸れてくれて助かった、と浦方さんに感謝する。
「そういえば、ロックマンがどうのって声が外まで漏れてたけど、ロックマンの話をしてたのか?」
前言撤回。浦方さんと、あの時大きな声を出してしまった私自身を恨んだ。
「あ、それはえっと」
慌てて誤魔化そうとするけど、その前にスズカが答えてしまう。
「はい。私、ロックマンのファンなんです! けど、私がロックマンと付き合いたいって言ったらミソラが「それはダメ!」ってすごい剣幕で……」
スズカの話を聞いた浦方さんは、私の顔を見てはははと大笑いした。
「なるほどな。そりゃミソラはダメって言うよな」
からかうように笑う浦方さん。……その様子から、スズカと同じように浦方さんにも私の気持ちがバレているのだろう。本当は私とスズカの会話を全部聞いていて、からかうために話を振ったんじゃないだろうかと邪推してしまう。そんなわけないけど。
「ミソラにはスバル君がいるからいいじゃない。癒してもらってるんだし」
「お、ついにスバルと何かあったのか?」
興味を持つ浦方さん。もう逃げ場はなかった。私は白状して、昨日あったこととさっきまでの会話をすべて話した。
「でも、やっぱり私にはまだ早い気がするんです」
そう言うと、浦方さんはふむと顎に手を当てた。
「まあ、ミソラの言うことも分かる。芸能活動も多忙で、恋愛どころじゃないだろうしな。だけど、相手がスバルなら早めにした方がいいと思うぜ」
「? どういうことですか?」
なぜスバル君だと早めにした方がいいのか分からなかった。スバル君もどちらかというと恋愛には疎い方だと思うけど。
「モテるからだよ。あんなにいい男は中々いない。きっと周りのやつらもそろそろ気づき始める」
「あ、たしかに……」
答えを聞いて、すぐに納得した。たとえスバル君が恋愛に関心がなくても、恋愛に関心を持ち始めた女の子がスバル君にアプローチすれば、スバル君も否応なく恋愛に意識が向くはずだ。……それに、スバル君にはルナちゃんもいる。
「スバル君ってそんなにいい人なんだ
「何言ってんだ。スズカも助けられたじゃねえか」
……浦方さんも口を滑らせた。
「え? 私?」
スズカの様子を見て「やべっ」と表情に出す浦方さん。
「あ、えっとだな」
慌てる浦方さんが私を見る。助け舟を求めている顔だった。さっきからかわれた(被害妄想だけど)仕返しに放置してもいいかな、と思ったけど、浦方さんにはいつもお世話になっている。私は素直に舟を出した。
「ほらスズカ、ロックマンのサインをスバル君に頼んだでしょ? あれのことだよ」
「そ、そうそれそれ!」
浦方さんは私の出した舟にすぐに乗り込んできた。そしてスズカの視線が私に向いたらすぐに私に手を合わせて感謝した。
「あー、たしかに! あっという間に貰ってきてくれたんだよね」
納得したスズカに、「セーフ」と浦方さんが大きく息を吐く。んんっと誤魔化すように大袈裟に咳払いする浦方さん。
「とにかく、スバルと付き合いたいなら早めにした方がいいぜ。スバルのブラザーである俺からの忠告だ」
浦方さんの言う通りだと思った。昨日久しぶりに会って、私はスバル君のことが好きだと改めて分かった。早くしないと、スバル君が誰かと付き合い始めてしまうかもしれない。あんな風に会えなくなるかもしれない。……それは嫌だった。
自分の中で心の整理をつけて、私は決心した。
「私、スバル君に告白する」
「「え!?」」
私の言葉に、二人は驚いて慌てた。
「いくらなんでも急すぎない?」
「こういうのには順序ってもんが」
二人のあまりの慌てっぷりを見て、自分の言葉が誤解を招いたと理解した。
「もちろん、ちゃんとデートとかして、スバル君の気持ちも確認してから告白するつもりだよ」
私の言葉を聞いて、ホッと二人は胸を撫で下ろした。
「スズカ、浦方さん、気づかせてくれてありがとうございます。私、頑張ります」
私は心の中に新しいレゾンを書き加えた。
スバル君に告白する
「頑張ってね、ミソラ」
「応援してるぜ」
「うん!」
二人にエールをもらい、俄然やる気が出る。居ても立っても居られなくて、スバル君をデートに誘おうとハンターを取り出す。けど、予定が多すぎて誘える日が……。
『芸能活動に支障が出ないように!』
更に、釘を刺すように言うハープ。
「分かってるって。恋も大事だけど、ファンも同じくらい大事だもん」
『ならよろしい』
「……あと、友情も大事だよね」
私が言うと、スズカと浦方さんは首を傾げた。私は取り出したハンターでスバル君ではなく、ある友達に連絡をした。
楽屋での出来事から三日後の夕方、私は久しぶりに夕方のうちに家に帰り着いた。慌てて掃除の最終確認を終えると、ちょうどよい頃合いでインターホンが鳴った。玄関のドアを開けると、この前楽屋で連絡した相手が立っていた。
「久しぶりだね、ルナちゃん!」
「ええ、久しぶりねミソラちゃん。お誘いありがとう。半年ぶりくらいかしら」
あの日、私はルナちゃんにメッセージを送って遊ぶ約束を取り付けた。平日だけど今日は私の学校が午前だけだったから、お昼の時間にレッスンを変更して、夕方からルナちゃんを招いてお泊りをすることになったのだ。急な連絡だったにも関わらず、ルナちゃんも習い事を休んで来てくれた。
「これがトップ芸能人の家……。さすがに広いわね」
ルナちゃんは入ってすぐに驚いて辺りを見回した。たしかに、私も引っ越してきた頃は同じような反応をしたっけ。
「会社が用意してくれた家だから。あ、荷物はそこに置いておいて。食材はしまっておくよ」
「いえ、もうちょうどいい時間だし、このまま料理を始めちゃいましょう」
今日はルナちゃんたっての希望で、一緒に料理をすることになっていた。家の中を軽く案内した後、二人でエプロンをしてキッチンに立った。手を洗い、私はルナちゃんの指示でニンジンの皮むきから始めた。シャリシャリとニンジンの皮を剥いていく動きは、ギターを弾くときの動きに似ていた。隣で迷いなく作業を進めていくルナちゃんは、何だか既に主婦のような貫禄があった。
「ルナちゃんは普段から料理するの?」
「ええ。週に何回かだけど」
「すごいね。私なんて一人暮らしなのに全然やらないや」
『ミソラったら、慌ててキッチンの掃除をしたんだから』
「ハープ!」
『大丈夫です。ルナちゃんもよく失敗してますから』
「モード! ……でもモードの言う通り、私もまだまだ勉強中よ。たまにスバル君のお母様にも教わりながらやっているの」
急にスバル君の名前が出てドキリとする。
「へ、へー。スバル君のお母さんと……」
「ええ。ぜひ来てって言って下さるから。それに、たまーにスバル君にも味見してもらったりして……」
言いながらルナちゃんの顔が赤くなっていく。……きっと、スバル君に食べてほしくて始めたんだろうな。ルナちゃんの様子からそれはすぐに理解できた。
ルナちゃんがスバル君のことを好きなのは間違いないと思う。それも恐らく恋愛的に。もしかして、ルナちゃんはもうスバル君に告白していたりするのだろうか。私が知らないだけで、二人はもう……。そう考えると、怖くなる。話すなら今かもしれない。
「ルナちゃ「ミソラちゃん! ニンジンはどこに!?」
私が意を決し発した言葉はルナちゃんの焦る声でかき消された。ついでに手に持っていたニンジンも、爪楊枝のように細く、ほとんどなくなっていた。
「えっと、ごめん。ギターに似ててつい」
シンクには細長く薄切りされたニンジンが大量にあった。……本当は考え事をしていたせいだった。
ニンジン以外にはトラブルもなくカレーは完成した。ニンジンがない分、少し物足りない気はしたけど美味しかった。
夕食を食べた後には二人でホラー映画を見ることになった。なんでもルナちゃんはお化けが苦手で、克服するために見たいらしい。
雰囲気を出すためにと電気を消して、二人でソファに並んで座った。最初は少し距離があったけど、スタートからすぐにルナちゃんが私に近づいてきて、やがて肩が触れる。そして佳境に入ると
「ひ! ひあああ!!」
ルナちゃんは絶叫して私に抱きついてきた。……この映画、そんなに怖くない気がするけど……。ルナちゃんよっぽど苦手なんだな……。私に抱きついて怖がるルナちゃんが可愛くて、私は怖いシーンが来る度に笑顔になってしまった。
その後、順番にお風呂を済ませてから寝ることになった。夕方からのお泊まりだから、何だか忙しない。
来客用の布団を別の部屋に用意していたけど、さっきのホラー映画で怖くなったからと、ルナちゃんと一緒にベッドで寝ることになった。
消灯してから、今日の本当の目的を思い出した。
言わないと。
でも、なんて伝えればいい? 私はスバル君に告白します。って? いきなりすぎる気がする。でも、他になんて言えばいいんだろう。
「何かあった?」
暗闇の中に、ルナちゃんの声が優しく響いた。
ルナちゃんを見ると、ルナちゃんは私の方を見ていた。暗くてその表情までは見えない。
「こんな急な誘いって初めてだったから。何か伝えたいことでもあるの?」
ルナちゃんの声はどこまでも優しく、私の心に寄り添ってくれているようだった。その声を聞いて、私は安心した。そして決心がついた。
「うん。聞いてほしいことがあるの」
「いいわよ。何でも聞くわ」
暗い中でも、ルナちゃんの表情が柔らかく微笑んだのが分かった。本当に何でも受け入れてくれそうなルナちゃんが、とても大人に思えた。
「私、スバル君のことが好き」
その言葉は、想像よりずっとあっさりと声になった。
「そ、そう」
ルナちゃんはそういう話に免疫がないのか、くすぐったそうにもじもじと体を動かした。
「ルナちゃんはさ、スバル君のことをどう思ってるの?」
「ど、ど、どうって、何が?」
ルナちゃんが再び体を動かして、掛け布団が動く。今度は動揺しているんだと思う。
「好きなのかなって」
「え、えっと、その、私が好きなのはロックマン様であって、その、スバル君のことは……」
「じゃあ、スバル君のことは好きじゃない?」
「そうじゃないけど……。どうして急にそんなことを?」
暗闇に目が慣れて、ルナちゃんの目線が私から逸れているのが分かった。……ルナちゃんは自分の気持ちに素直になれないところがある。きっとロックマンではなくスバル君のことが好きなのに、それを言えないところもそうだ。でも、ルナちゃんにも後悔してほしくなかった。私は、もし仮に私がスバル君と付き合うことになっても、ルナちゃんとも友達でいたい。だから。
「あのね、私、スバル君と付き合いたいと思ってるの。でも、もしルナちゃんも同じ気持ちならさ、私だけ抜け駆けするのは良くないかなって。友達として」
「ぬ、抜け駆けってそんな! まず、私が好きなのはロックマン様であって」
「じゃあ、私がスバル君に告白してもいい? スバル君と付き合ってもいい?」
「それは……」
『ダメです!』
部屋の隅で充電していたルナちゃんのハンターからモードが飛び出して、ルナちゃんに近づいていく。
『ルナちゃん、素直になりましょう! ここで強がったら、きっとずっと後悔します! ミソラちゃんも、ルナちゃんの気持ちが分かってるから言ってくれてるんです!』
モードの言葉を聞いて、ルナちゃんは胸を抑えた。そして、再び私の目に向き直る。私は頷いて、モードの言葉を肯定した。
「私は……」
ルナちゃんは上半身を起こしてモードを抱き締め、目を瞑った。そして少しの間黙考して答えが出たのか、天井を見上げた。
「そうね。私も、スバル君が好き。ロックマン様じゃない、スバル君が好き。だから、負けないから!!」
宣戦布告して私を指さすルナちゃん。その言葉に、私は笑顔になった。
「うん! ありがとう、ルナちゃん」
私も上半身を起こし、ルナちゃんの手を引っ張って握った。ルナちゃんの腕の中にいたモードが締め付けられ「ぐえっ」と声をあげて、ハンターへ帰って行った。
「こちらこそありがとう、ミソラちゃん。……どっちが勝っても恨みっこなしよ!」
私とルナちゃんはそう言って、もう一度お互いの手を強く握り合った。
「私をその気にさせたことを後悔させてあげるわ。学校が同じな分、私の方が有利なはずよ」
ルナちゃんはいつもの負けん気の強い顔を浮かべた。今日からはライバルだと言わんばかりの表情だった。望むところだ。
「でも私には電波変換があるし」
私が言い返すと、ルナちゃんはグッ、と悔しそうな表情を浮かべ、下手に出るように言った。
「……ロックマン様になる時は私も呼んでちょうだい」
「どうしようかなー」
「ちょっと!」
ぷんぷんと怒るルナちゃんと二人で笑い合った。これからは友達として、そしてライバルとして、ルナちゃんと更に仲良くなれそうだ。
一生懸命に自分を磨くルナちゃんに、私も負けないように頑張らなきゃ。
読んで頂きありがとうございました。
体調不良や用事が重なり進捗が遅れているため、次話は2週間後の同じ時間に投稿しようと思います。