全国のポケモントレーナーの皆様。
突然ですが、一つ質問があります。
皆様は、雪国というものをご存じでしょうか。
真っ白な雪景色、幻想的な氷の世界。
そして、普段はなかなか出会えない珍しいポケモンたち。
実に素晴らしい。
まさに冒険心をくすぐる夢のような場所である。
……だがしかし。
俺は、一つだけ重大な事実を見落としていた。
それは……雪国は、クッソ寒いということである。
いや、知ってたよ?
雪が降るんだから、寒いのは当然だよ?
でもさぁ、ゲームの中ではどれだけ雪が降っていようが、主人公は平然と走り回っていたわけじゃん?
吹雪の中でも自転車を爆走させられるし、凍った海にも普通に入れるし。
だから俺も、なんとなく大丈夫な気がしていたんですよ。
……結論から申し上げますと。
現実世界にそんな優しい仕様は存在しませんでした。
運営さん。
寒さ耐性の実装、忘れてません?
アプデか修正パッチ早く当ててください。
♦
さて。
前回、おばあちゃんからカンムリ雪原へのお誘いを受けた俺。
あれから数か月。
無事に六歳の誕生日を迎えた俺は、ついに待ちに待った旅行当日を迎えていた。
「ママン! はやく! はやく!」
「リン、落ち着きなさい。まだ出発まで時間があるでしょう?」
「だってカンムリせつげんだよ!?」
「はいはい。わかってるわよ」
ママンは苦笑しながら、俺の上着を整えてくれた。
ちなみに今回の旅行は、家族三人とムーちゃんで向かう予定である。
パパンも仕事の休みを取ってくれたらしい。
ありがてぇ。
家族旅行、最高。
なお、今回の荷物については、出発前にちょっとした騒動があった。
「……リン?」
「はい!」
「この鞄の中身は何?」
「モンスターボール!」
「……何個?」
「……ひゃく?」
「置いていきなさい」
……即答である。
いや、待ってママン。
ちゃんと説明させてほしい。
カンムリ雪原という場所は、前世の俺にとって非常に思い入れのある場所なのだ。
伝説ポケモン。
珍しい野生ポケモン。
そして、色違い厳選。
こんな場所にオシャボを持っていかないなんて、廃人の名折れでは?
「旅行なのよ?」
「うん!」
「おばあちゃんに会いに行くのよ?」
「うん!」
「……ポケモンを百匹も捕まえに行くわけじゃないでしょう?」
……なるほど、それは確かに。
百匹も捕まえたところで、世話ができるわけではない。
前回もママンから散々言われたことだ。
よし、ここは素直に引き下がろう。
「……じゃあ、にじゅっこ!」
「……二十個?」
「うん!」
…………しばしの沈黙。
「……それなら、まあ……」
おっ、いける?
「ただし、新しいポケモンを迎えるときは必ずパパかママに相談すること!」
「はい!」
「危ないところには絶対に行かないこと!」
「はい!」
「それから、勝手に野生ポケモンを追いかけないこと!」
「はい!」
よし、交渉成立!
というわけで、今回は厳選した二十個のボールを持参することになった。
もちろん、ハイドと一緒に作ったウルトラボールとマスターボールもその中に含まれている。
この二つについては、専用のケースに入れて大切に保管。
何しろ一品物だからな。
なくしたら洒落にならない。
……まあ。
使う機会があるかはわかりませんけどね!
♦
そんなわけで。
列車を乗り継ぎ、ようやく到着したカンムリ雪原。
駅を出た瞬間、俺は思わず両手を広げた。
「うおおおおお!!」
見渡す限りの雪景色。
遠くにそびえる山々。
真っ白に染まった大地。
そして、冷たい風に揺れる木々。
ついに……、カンムリ雪原キターーー!!!
いやぁ!ついに来た!
DLC第二弾!
ピオニーそっちのけで何度も駆け回った、あのカンムリ雪原!
それが今、目の前に広がっている!
テンション爆上がりである。
「パパン! みて! ゆき!」
「おお、すごいな!」
「ぜんぶまっしろ!」
「そうだなぁ!」
俺は興奮のあまり、その場でぴょんぴょん跳ね回った。
……が、その直後。
びゅおおおおおっ!
「……ひょ?」
冷たい風が、顔面を直撃した。
……あれ?
なんか、めちゃくちゃ寒くない?
「……さむっ」
ぶるり。
身体が震えた。
……いやいや待て待て。
まだ駅から出たばっかりだぞ?
この程度の寒さでへこたれてどうする!
俺は元世界一位のポケモン廃人。
この程度の寒さなど、気合いで――
びゅおおおおおっ!!
「さっむぅぅぅぅ!!」
無理でした。
いや、無理。普通に無理。
気合いではどうにもならないタイプの寒さである。
「リン、上着の前を閉めなさい」
「ママン! まって! まずはけしきを!」
「閉めなさい」
「でもポケモンが!」
「閉めなさい」
「……はい」
圧倒的敗北。
ママンとの読み合い、今回も完敗である。
この人、絶対に特性『プレッシャー』持ってるだろ。
PPがゴリゴリ削られていくんですが?
「ほら、手袋もつけて」
「はーい……」
もこもこの手袋。
分厚い上着。
首にはマフラー。
帽子も完備。
完全防寒装備、完成。
♦
「ムーちゃん! でておいで!」
俺はモンスターボールを取り出した。
白い光が弾け、中から現れたのは我が相棒。
色違いグソクムシャ、ムーちゃんである。
「グソッ!」
白い装甲。
赤い触角。
堂々たる体躯。
……うむ、やはり格好いい。
雪景色に白い装甲が映えて、いつも以上に美しく見える。
これぞ色違いの醍醐味。
最高か?
「ムーちゃん! ゆきだよ!」
「グソ?」
ムーちゃんが、きょろきょろと辺りを見回した。
そして。
びゅおおおおっ!
「グソッ!?」
ムーちゃん、硬直。
さらに冷たい風が吹く。
「……グソ」
ムーちゃんは、そろりと俺の背後へ回り込んだ。
……いやさぁ、待って?
君、水タイプでもあるよね?
むし・みずタイプだよね?
氷技は等倍で受けられるはずなんですけど?
……そうだわ。
タイプ相性は、あくまで技を受けたときの話。
寒いものは寒い、それは当然。
また一つ、ゲームの常識が崩壊した。
「……ムーちゃん、さむい?」
「グソ……」
「そっかぁ……」
俺はムーちゃんの前脚を、そっと撫でた。
「じゃあ、はやくおばあちゃんのところにいこう!」
「グソッ!」
……おっ、元気になった。
どうやら、温かい場所へ行けると聞いて安心したらしい。
うむ、かわいい。
やっぱりムーちゃんは最高である。
♦
フリーズ村へ向かう道中。
俺は周囲の景色に釘付けになっていた。
雪の上には、野生ポケモンたちの足跡が残っている。
遠くではウリムーが雪を掘り返しており、木の陰にはユキハミらしき小さな姿も見えた。
……ああ、いい。
すごくいい、これぞポケモン世界。
前世では画面越しにしか見られなかった景色だ。
今では、その中を自分の足で歩いている。
……まあ、六歳児の足なので、すぐ疲れるんですけどね。
「パパン! あそこ! ウリムー!」
「おお、本当だな!」
「そのとなり、ユキハミ!」
「……よく見つけたな」
「えへへ!」
ふっ、当然である。
前世では色違いを探すため、画面の端から端まで凝視し続けていた男だぞ?
野生ポケモンの発見など、お茶の子さいさい――
「リン、前を見なさい!」
「うわっ!?」
ずぼっ。
……ん?
あれ、足が……抜けない?
どうやら雪の深い場所に足を取られてしまったらしい。
「……パパン」
「ん?」
「……たすけて」
結局、パパンに抱き上げてもらった。
……くっ、屈辱。
元世界一位の対戦廃人、雪に敗北。
しかも相手はただの雪。
タイプ相性以前の問題である。
「ははは! リンは本当にポケモンが好きだな!」
「だって、いっぱいいるんだもん!」
「そうだな。でも、歩くときはちゃんと前を見るんだぞ?」
「……はい」
……正論だ、ぐうの音も出ない。
なお、ムーちゃんは少し離れた場所から、心配そうに俺を見つめていた。
「グソ……?」
「だいじょうぶだよ、ムーちゃん!」
「グソッ!」
……うむ。
我が相棒は優しい。
ただし……君が助けに来たら、二人まとめて雪に埋まる可能性があるので勘弁してほしい。
体重差というものは残酷なのである。
♦
「おばあちゃーん!」
ようやく到着した、フリーズ村近くの一軒家。
パパンが扉を叩くと、中から足音が聞こえてきた。
「はいはい、今開けるよ」
がちゃり、と扉が開く。
そこには、優しそうなおばあちゃんが立っていた。
「あらまあ! リンちゃん!」
「おばあちゃん!」
俺は思わず駆け寄った。
おばあちゃんも、嬉しそうに両手を広げてくれる。
「よく来たねぇ! 寒かったでしょう?」
「さむかった!」
「ふふふ。そうだろうねぇ」
ぎゅっと抱きしめられる。
……ああ、温かい。
これが人のぬくもり。
雪原を歩いてきた身体に染み渡るぜ。
「まあまあ、こんなに大きくなって!」
「えへへ!」
「六歳になったんだったねぇ」
「うん!」
「ヨロイ島で修行したんだって?」
「そうなの!」
おばあちゃんは嬉しそうに俺の頭を撫でた。
そして。
「……あら?」
俺の後ろにいるムーちゃんへ視線を向ける。
「……リンちゃん」
「なに?」
「その、大きなポケモンは……?」
「ムーちゃん!」
「……ムーちゃん?」
「うん!」
おばあちゃんは、ムーちゃんをじっと見つめた。
重厚な装甲。
鋭い前脚。
真っ赤な触角。
どこからどう見ても歴戦の武士。
そんなポケモンの名前が。
ムーちゃん。
……ふむ。改めて考えると、なかなかのギャップである。
「……ずいぶん可愛らしいお名前だこと」
「でしょ!」
「ふふっ。よろしくね、ムーちゃん」
「グソッ!」
ムーちゃんも元気に挨拶した。
……うむ、礼儀正しい。
さすが我が相棒。
なお、その直後。
びゅおおおおおっ!
「グソッ!?」
外から吹き込んできた冷たい風に驚き、ムーちゃんが慌てて家の中へ逃げ込んだ。
おばあちゃんが目を丸くする。
「……あらあら」
「ムーちゃん、さむいのにがてなんだ!」
「ふふふ。そうなのねぇ」
……いやぁ。
強そうな見た目とのギャップがすごい。
もはやギャップ萌えの化身では?
♦
おばあちゃんの家は、とても居心地がよかった。
木の香りがする部屋。
暖かな暖炉。
窓の外には雪景色。
そして、テーブルには温かい飲み物とお菓子。
……最高か?
俺は両手でカップを持ち、温かいミルクを一口飲んだ。
「……ふぅぅ」
生き返る。
マジで生き返る。
これぞ文明の利器。
暖房を発明した人間には、ノーベル賞を三つくらいあげてもいい。
……いや、暖炉ですけど。
ところで。
「……ムーちゃん?」
「グソ……」
我が相棒は、暖炉の前で丸くなっていた。
しかも、ものすごく幸せそう。
……あの、ムーちゃん?
君、さっきまで外で震えてたよね?
「……あったかい?」
「グソッ!」
即答。
……うん。まあ、いいか。
ポケモンだって寒いものは寒いし、温かい場所が好きなのは当然だ。
おばあちゃんも、その様子を見て笑っていた。
「ふふふ。ずいぶん寒がりな子だねぇ」
「そうなんだよねぇ」
「でも、いい子みたいだね」
「うん!」
俺は胸を張った。
「ムーちゃん、すっごくつよいんだよ!」
「そうなのかい?」
「うん! でも、ちょっとこわがり!」
「……ふふっ。そういう子もいるさ」
おばあちゃんは、ムーちゃんのほうを見た。
「ポケモンだって、それぞれ性格が違うんだからねぇ」
なんだろう。
その言葉、マスタード師匠からも聞いた気がする。
知っていることと、わかってあげられることは違う。
そういう話だった。
……やっぱり、大人ってすごいな。
俺が前世でどれだけポケモンバトルをしていても、知らなかったことを当たり前みたいに知っている。
……まあ、今世の俺はまだ六歳児なんですけどね。
そこは仕方ない。
♦
その日の夕方。
俺はおばあちゃんに、カンムリ雪原のポケモンについて色々と聞いていた。
「おばあちゃん! このへんって、どんなポケモンがいるの?」
「そうだねぇ。ウリムーやイノムーもいるし、ユキハミやモスノウもいるよ」
「うんうん!」
「山のほうには、もっと珍しいポケモンもいるけど……」
「……けど?」
「危ない場所も多いから、リンちゃんだけで行っちゃ駄目だよ?」
先手を打たれた。
まだ何も言ってないんですが!?
「……はーい」
「ふふっ。いい子だね」
……このおばあちゃん、なかなか侮れない。
ママンと同じタイプの強者である。
しかし、今の俺は昔とは違う。
ヨロイ島で一年以上修行したのだ。
危険な場所へ勝手に入らないことくらい、ちゃんと理解している。
……そのうえで安全な範囲で色違いを探すのは、問題ないはず。
ふっふっふ。
完璧な計画である。
「そういえばねぇ」
おばあちゃんが、ふと思い出したように言った。
「最近、マックスダイ巣穴のほうが騒がしいんだよ」
マックスダイ巣穴?
「……なにかあったの?」
「詳しいことはわからないんだけどねぇ」
おばあちゃんは、少し困ったような顔をした。
「調査員さんたちが、毎日のように出入りしているんだよ」
……ほう、調査員?
これは、ちょっと気になる。
「どうして?」
「なんでも、普段とは違う光が見えるんだとか」
「……ひかり?」
「そう。巣穴の奥で、変わった色の光が見えたって話でねぇ」
変わった色の光。
……ふむ、ダイマックスエネルギーの反応か?
それとも、珍しいポケモンでも現れたのだろうか。
「それだけじゃなくてねぇ」
おばあちゃんが続ける。
「聞いたことのない鳴き声が聞こえたり、調査用の機械が急に動かなくなったりするそうなんだよ」
……あれ、なんだろう。ちょっと様子がおかしくない?
「普通のポケモンじゃないのかもしれないねぇ」
普通のポケモンじゃない。
変わった色の光。
異常なエネルギー反応。
見たことのない何か。
……待てよ?カンムリ雪原。
マックスダイ巣穴。
そして、異常なエネルギー。
…………。
……まさか。
ウルトラホール?
いやいや、待て待て待て。
いくらなんでも、それは考えすぎだろう。
確かに前世のゲームでは、結構軽いノリでカンムリ雪原でウルトラビーストと出会うことができた。
でも、ここは現実。
ゲームと同じように何もかもが起きるとは限らない。
そもそも、ウルトラホールってアローラ地方の話じゃなかったっけ?
……いや、可能性がゼロとは言い切れない。
だって、目の前の世界は、すでに俺の知っているゲームとは少しずつ違っているのだから。
「……リン?」
パパンが声をかけてきた。
「どうした? 急に静かになって」
「……なんでもない!」
「そうか?」
「うん!」
ふぅ、危ない危ない。
変なことを口走るところだった。
さすがに六歳児が、突然ウルトラホールの話を始めたら不審がられる。
……いや、今さらか?
俺、これまでに相当やらかしてる気がするんですが?
……まあ、いい。
とりあえず、今は様子見だ。
何かあったとしても、調査員たちが対応してくれるだろう。
俺はまだ六歳児。
無茶をするつもりはない。
……ただ。
少しだけ、気になるな。
♦
その夜。
夕食を終えた俺は、ムーちゃんと一緒に窓の外を眺めていた。
雪が、静かに降っている。
昼間とは違い、辺りはすっかり暗くなっていた。
窓の向こうには、街灯に照らされた白い道。
遠くに見える、雪に覆われた山々。
……綺麗だなぁ。
前世でも雪景色は見たことがある。
でも、こうしてポケモンのいる世界で眺めると、何もかもが特別に感じられる。
「ムーちゃん、きれいだね」
「グソ……」
ムーちゃんも、窓の外を見つめている。
……いや、正確には暖炉のそばから窓の外を見つめている。
寒いのは嫌だけど、雪景色は気になるらしい。
実にかわいい。
「……あした、ちょっとおさんぽしような」
「グソ?」
「あったかいふく、ちゃんときて!」
「グソッ!」
……おっ。乗り気になった。
よしよし。
明日は、おばあちゃんに雪原のことをもっと教えてもらおう。
それから、パパンと一緒に野生ポケモンを観察して。
安全なところで、ちょっとだけ修行もして。
……もちろん色違いがいたら、全力で観察する。
捕まえるかどうかは、そのあと相談。
うむ。完璧なプランである。
そんなことを考えていた、そのときだった。
――ピカッ。
……ん?
窓の外。
遠くの山の向こうが、一瞬だけ明るくなった。
雷?
いや、なんか色が違ったような……。
「……ムーちゃん?」
「グソ?」
「いま、なんかひかった?」
ムーちゃんも、不思議そうに首を傾げる。
俺は窓に近づいた。
外は相変わらず雪が降っている。
遠くの山々も、暗闇に包まれていた。
……気のせいか?
そう思った、次の瞬間。
――ピカァァッ!
「……っ!?」
今度は、はっきりと見えた。
遠くの雪原。
その上空に、細長い光の柱が立ち上がっている。
紫色とも、青色ともつかない、不思議な輝き。
雪雲を突き抜けるように伸びた光は、数秒ほど揺らめいたあと、ふっと消えた。
……は?
あれ絶対に普通の雷じゃないよな?
少なくとも、俺の知っているダイマックスの光とは違う気がする。
……まさか、本当に?
「……ウルトラホール?」
思わず呟いた。
すると。
「グソ……」
隣にいたムーちゃんが、低く鳴いた。
その身体が、ほんの少しだけ強張っている。
ムーちゃんも、何かを感じたのか?
俺はそっと、その大きな前脚に触れた。
「……だいじょうぶだよ、ムーちゃん」
「グソ……?」
「まだ、なんにもわかんないし」
そう、何もわからない。
ただ、遠くで妙な光が見えただけだ。
それが本当にウルトラホールなのか。
それとも、まったく別の現象なのか。
今の俺には判断できない。
……でも。胸の奥が、妙にざわついていた。
前世で何度も見た、あの異次元へとつながる光。
もし、あれが本当にウルトラホールだったとしたら。
この雪原には、俺の想像を超える何かがいるのかもしれない。
「……ムーちゃん」
「グソ?」
「……なんか、すごいことになりそうだな」
「グソ……」
ムーちゃんが、俺の身体をそっと抱き寄せた。
……うん、ありがとう。
でもね、今は別に怖がってないから。
むしろ、ちょっとワクワクしてるくらいで――
びゅおおおおおっ!
窓の外で、強い風が吹いた。
「……さっむ!」
「グソッ!?」
…………いや、待て。
やっぱり寒いわ。
何がワクワクだ。
まずは暖炉だ、暖炉!
「ムーちゃん! あったまりにいこう!」
「グソッ!」
俺たちは揃って暖炉の前へ移動した。
……うむ。
やはり文明は偉大である。
さて。
明日も早いし、そろそろ寝るとしよう。
何が起きるにせよ、まずは体調管理が第一。
ママンにも、師匠にも、散々教えられたことだ。
……それにしても。
あの光、本当に何だったんだろうな……。
俺は、もう一度だけ窓の外を見た。
雪は静かに降り続けている。
先ほどの光は、もうどこにも見えなかった。
……まあ、いいか。
明日、おばあちゃんに聞いてみよう。
きっと何か知っているはずだ。
そう考えながら、俺はムーちゃんの隣に腰を下ろした。
……なお。このときの俺は、まだ知らなかった。
この雪原で、今まさに。
とんでもなく面倒な出会いが、俺を待ち受けているということを。
……。
…………。
いや、ほんと。
後から思えば、あの光を見た時点で察しておくべきだった。
なんたって、ここはポケモンの世界。
しかもカンムリ雪原。
何が起きてもおかしくない場所なのである。
……まあ。
ひとまず今は。
寒すぎるので、お布団に避難します。
おやすみなさい。
今日は書き溜めから何話か投稿します。
よかったら、お気に入り、★、感想お願いします。
投稿三日くらいで思ったより反響があってうれしく思います。
今後ともお付き合いいただけますと幸いです。
感想も一つ一つ大切に読ませていただいております。
また、まとまった機会に返していこうと思いますので、たくさんのご感想お待ちしております。
※ムーちゃんの地面等倍は私の勘違いでした。
現在は修正しております。