カンムリ雪原にやってきてから、随分と時間が経った。
最初はおばあちゃんの家に遊びに来ただけだった。
美味しいご飯を食べて、雪原を散歩して、珍しいポケモンを眺めて。
そんな、のんびりとした家族旅行になるはずだったのである。
……ところがどっこい。
蓋を開けてみれば、異常なエネルギー反応に、ウルトラホール疑惑。
さらには色違いフェローチェとの遭遇。
挙げ句の果てには、色違いシズクモをマスターボールで捕獲するという、とんでもない事件まで発生してしまった。
情報量、多すぎんよぉ……。
いや、嬉しいよ?
色違いが二匹も仲間になったんだから、そりゃ嬉しい。
たださ。
六歳児の家族旅行にしては、イベントが詰め込まれすぎていると思うんですよね。
もうちょっとこう、雪だるまを作ったり、温泉に入ったりする平和な展開はなかったんですかね?
……いや、温泉っぽい場所には行ったか。
そこでマスボを使ったんだった。
やっぱり俺が原因では?
そんなわけで。
今回は、カンムリ雪原で過ごす最後の数日間のお話である。
♦
「ムーちゃん! シズクモ! ごはんだよ!」
「グソッ!」
「シズッ!」
朝食の時間。
俺が声をかけると、二匹のポケモンが元気よく返事をした。
我が最初の相棒、色違いグソクムシャのムーちゃん。
そして、新しく仲間になった色違いシズクモ。
この二匹。
どうやら、ものすごく相性がいいらしい。
「シズッ!」
「グソ?」
シズクモが、小さな脚を器用に動かしながらムーちゃんへ近づいていく。
そして、差し出された大きな前脚へ、ちょこんと乗った。
尊い、何この光景。
小さなシズクモを、大きなグソクムシャが優しく運んでいる。
完全に親子。
いや、姉妹か?
ムーちゃんは女の子だし、お姉ちゃんという表現が一番しっくりくるな。
「ムーちゃん、すっかりおねえちゃんだね!」
「グソッ!」
「シズ!」
ムーちゃんが誇らしげに鳴く。
……あぁ^~かわいい。
本当にかわいい。
前世でこんな光景が見られたら、間違いなくスクリーンショットを連打していただろう。
ちなみにシズクモは、何かにつけてムーちゃんの後を追いかけるようになった。
食事のときも。
遊ぶときも。
暖炉の近くで休むときも。
まるで、小さな弟か妹ができたかのようである。
……そして。
「……あっ」
シズクモが、テーブルの脚に引っかかった。
「シズッ!?」
ころんとひっくり返る。
……おいおい、大丈夫か!?
俺が駆け寄ろうとした、そのとき。
「グソッ!」
ムーちゃんが、すっと前脚を伸ばした。
そして、ひっくり返ったシズクモを器用に起こしてあげる。
「シズ!」
「グソッ!」
保護者適性、Sランク。
いやぁムーちゃん、立派になったなぁ。
昔は、野生のチラーミィにすら怯えていたあの子が。
今では、こんなにも頼もしいお姉ちゃんになっている。
……まあ。
さっきまで暖炉の火が突然大きくなったことに驚いて、俺の後ろへ隠れようとしていたんですけどね。
怖がりなのは相変わらずである。
でも、それでいい。
ムーちゃんはムーちゃんなんだから。
「ふふっ。仲良しだねぇ」
おばあちゃんが、二匹の様子を見て微笑んでいた。
「うん! すっごくなかよし!」
「ムーちゃんも、すっかりお姉さんだね」
「グソッ!」
……うむ。素晴らしい。
これぞ理想的なパーティーの姿である。
……なお我が家には、もう一匹いるわけなのだが。
♦
「……フェローチェ?」
俺は、少し離れた場所へ視線を向けた。
そこには、窓際に立つ色違いフェローチェの姿があった。
細長い四肢。
独特な色彩。
そして、どこか気品を感じさせる立ち姿。
……うん、何度見ても美しい。
さすがはUB02 BEAUTY。
美しさに関しては、もう文句のつけようがない。
ただし。
「……ごはん、たべる?」
「…………」
返事はない。
「きょうは、おばあちゃんがきのみをよういしてくれたよ!」
「…………」
フェローチェは、ちらりとこちらを見た。
そして、静かに視線を逸らす。
……本日も安定の塩対応である。
もはや伝統芸能。
様式美と言っても差し支えない。
……いや、笑い事ではないんだけどさ。
フェローチェを保護してから、数日。
体調はだいぶ回復してきた。
調査員さんたちの確認でも、寒さによる消耗は改善傾向にあるらしい。
食事も、少しずつ取るようになった。
水も飲む。
休息も取る。
……ただし人間が見ていないときに限る。
俺が部屋に入ろうとすれば、すぐに距離を取る。
ムーちゃんが挨拶しても、警戒する。
シズクモが興味津々で近づこうとしたときなんて、ものすごい速さで部屋の反対側へ移動した。
……あのさぁ。
シズクモなんて、あんなに小さいんだぞ?
何ならムーちゃんの前脚に乗って運ばれるくらい小さいんだぞ?
……まあ、フェローチェにしてみれば、大きさなんて関係ないのかもしれないけど。
「……フェロ」
フェローチェが、窓の外を見つめる。
雪原の向こう。
遠くに見える、白い山々。
その視線が、何を追っているのか。
俺には、まだわからなかった。
♦
その日の午後。
俺たちは、おばあちゃんの家の庭で遊んでいた。
雪は降っていない。
風も比較的穏やか。
カンムリ雪原にしては、過ごしやすい一日だった。
……いや、寒いけどね?
そこは変わらない。
「シズクモ! こっち!」
「シズッ!」
俺が手を振ると、シズクモがてちてちと駆け寄ってくる。
その後ろを、ムーちゃんがゆっくりついてきた。
……うむ、仲良し。
実に微笑ましい。
「ムーちゃん、ちょっとまってて!」
「グソ?」
俺は庭の隅に置かれた、小さな桶を持ってきた。
中には、おばあちゃんが用意してくれた温かい水。
シズクモが過ごしやすいようにと、用意してくれたものだ。
「シズクモ! ここ、はいっていいよ!」
「シズッ!」
シズクモは嬉しそうに水へ飛び込んだ。
ぷかぷか。
ぷるぷる。
かわいすぎる。
もう、これだけで一日見ていられる。
前世で色違い厳選に費やした何百時間より、有意義なのでは?
……いや、それはそれ、これはこれ。
厳選は厳選で尊いのである。
「グソ?」
ムーちゃんも桶を覗き込む。
すると、シズクモが水面から顔を出した。
「シズッ!」
「グソッ!」
……うん、平和だなぁ。
そんな光景を眺めていると。
「……あら?」
おばあちゃんが、家の中から顔を出した。
「リンちゃん。フェローチェは一緒じゃないのかい?」
「……うん」
俺は、少しだけ肩を落とした。
「あのこ、まだいっしょにあそんでくれないんだ」
「……そうかい」
おばあちゃんは、俺の隣へ腰を下ろした。
しばらく、二匹が遊ぶ様子を眺める。
「……おばあちゃん」
「なんだい?」
「……どうしたら、フェローチェとなかよくなれるかな」
…………。
これは、ここ数日ずっと考えていたことだった。
どうすれば、あの子は俺を見てくれるのか。
どうすれば、怖がらずに近づいてくれるのか。
どうすれば、一緒に遊べるようになるのか。
……答えが出ない。
前世で世界一位まで上り詰めた俺が、こんな簡単そうな問題で悩んでいる。
……いや、そもそも、簡単な問題じゃないんだろうな。
バトルなら、勝ち筋を考えられる。
相手のポケモンを見れば、技構成だってある程度予想できる。
でもフェローチェの気持ちは、まったく読めない。
……種族値の表にも、攻略サイトにも載っていない。
こればっかりは、どうにもならないのである。
♦
「……リン」
おばあちゃんが、静かに口を開いた。
「強いポケモンを連れているだけじゃ、強いトレーナーとは言えないんだよ」
「……うん」
「たとえ、どんなに珍しいポケモンでもね」
俺は、フェローチェの姿を思い浮かべた。
あの圧倒的な素早さ。
美しい身体。
そして、前世で何度も使ってきた強力な技の数々。
……強い。
間違いなく、強いポケモンだ。
だけど。
俺の指示を聞いてくれるわけではない。
そもそも、まだ一緒にバトルをしたことすらない。
……それじゃあ、強いトレーナーとは言えない。
「ムーちゃんと仲良くなるのにも、時間がかかったでしょう?」
「……そうだね」
俺は、ムーちゃんを見た。
シズクモと遊んでいる、白い装甲の相棒。
最初に出会った頃は、小さなコソクムシだった。
怯えたように身体を丸めて。
ちょっとした物音にも驚いて。
俺の後ろへ隠れようとしていた。
……まあ、今でも隠れようとするんですけどね。
サイズ感がバグってるだけで。
「……あのこも、さいしょはこわがってた」
「そうだったねぇ」
「でも、いっしょにあそんで、しゅぎょうして……」
俺は、小さく笑った。
「いまは、すっごくなかよし!」
「ふふっ。そうだね」
おばあちゃんも微笑む。
「だからね、リン」
その声は、とても穏やかだった。
「フェローチェにも、あの子の時間が必要なんだよ」
……時間ねぇ。
「ムーちゃんと同じように、少しずつでいいんだ」
「……でも」
「うん?」
「……どれくらい?」
おばあちゃんは、少しだけ考えた。
「それは、わからないねぇ」
まぁ、そうだわなぁ……。
「一週間かもしれないし、一年かもしれない」
「……いちねん?」
「もっと長くかかるかもしれないよ」
「……そっかぁ」
俺は、小さく息を吐いた。
おばあちゃんが、優しく頭を撫でてくれる。
「焦らなくていいんだよ」
「……うん」
「あの子が何を考えているのか、少しずつ知っていけばいいんだから」
俺は、まだフェローチェのことを知らない。
正確には、ポケモンとしてのフェローチェは知っている。
でも、あの子自身のことは、何も知らない。
……だから、まずは、そこから始めればいいんだ。
「……おばあちゃん」
「なんだい?」
「……おれ、がんばる!」
「ふふっ。そうかい」
「すぐにはむりでも、ちょっとずつ!」
「うん。それでいいんだよ」
……よし。
焦らず、ゆっくり。
それでいこう。
……まあ。
できれば一年以内にはデレてほしいんですけどね?
そこは切実にお願いしたい。
♦
その日の夕方。
俺は、フェローチェの部屋の前に立っていた。
……さて、どうしたものか。
さっき、おばあちゃんに言われたことを思い出す。
焦らなくていい。
少しずつ知っていけばいい。
……うん。
だったら、まずは無理に近づかないことから始めよう。
「……フェローチェ」
俺は、扉の外から声をかけた。
返事はない。
「……きょうね、シズクモとあそんだんだ」
…………。
「ムーちゃんと、すっごくなかよしになってた!」
…………。
「……たのしかったよ」
しばらく待つ。
だが、やはり返事はなかった。
……通常運転である。
まあ、いい。
「……じゃあ、またね!」
俺はそれだけ言って、その場を離れた。
……今日は、これで十分。
無理に顔を見ようとする必要もない。
話しかけたからといって、返事を求める必要もない。
……そういうことなんだろう。
ちなみに。
俺が立ち去ったあと。
部屋の奥にいたフェローチェが、ほんの少しだけ顔を上げたことを。
このときの俺は、まだ知らなかった。
♦
そして。
カンムリ雪原での滞在も、いよいよ最終日を迎えた。
「リンちゃん、忘れ物はないかい?」
「だいじょうぶ!」
「本当に?」
「うん!」
そういえば、ボールの数は……。
俺は慌てて鞄を確認した。
ムーンボール。
ルアーボール。
ヘビーボール。
その他諸々。
そして、ウルトラボールとマスターボール。
……全部ある、問題なし。
……ただし。
二つのボールには、すでにポケモンが入っている。
いやぁ。
まさか、こんな旅行になるとは思わなかった。
色違いフェローチェをウルトラボールで保護。
色違いシズクモをマスターボールで捕獲。
改めて考えると、ものすごいことしてない?
六歳児の旅行成果としては、ちょっと規格外では?
しかも、色違いむし統一パーティーが、これで三匹。
残り三匹。
……ふっふっふ。
夢の六匹編成まで、あと半分である。
……まあ。
そのうち一匹は、まだ俺のことを信用していないんですけどね。
そこは今後の課題ということで。
「リン、おばあちゃんにちゃんとお礼を言うんだぞ」
パパンが声をかけてきた。
「うん!」
俺は、おばあちゃんへ向き直った。
「おばあちゃん!」
「なんだい?」
「いままで、ありがとう!」
おばあちゃんが、優しく笑った。
「こちらこそ、楽しかったよ」
「また、あそびにきてもいい?」
「もちろんさ」
やった。
「こんどは、もっといっぱいポケモンのおはなししようね!」
「ふふっ。いいよ」
「あと、またあったかいところにもいきたい!」
「そうだねぇ」
次回の旅行プラン、早くも決定である。
ただし、今度はもう少し平和な旅行にしたい。
ウルトラホールとか、異常なエネルギー反応とか、そういうのはしばらく結構です。
……いや、珍しいポケモンに出会えるのは嬉しいけど。
それとこれとは別問題なのである。
♦
「……リンちゃん」
別れ際、おばあちゃんが俺を呼び止めた。
「……なに?」
「フェローチェのことなんだけどね」
…………。
「調査員さんたちが、これからもあの子の故郷について調べてくれるそうだよ」
……故郷。
その言葉に、俺は少しだけ胸がざわついた。
「……かえれるの?」
「まだ、わからないそうだよ」
おばあちゃんは、ゆっくりと首を振った。
「でも、もし元の世界へ帰る方法が見つかったら、教えてくれるって」
フェローチェは、ウルトラビースト。
この世界とは違う場所からやってきたポケモン。
もしかしたら、元の世界に帰りたいと思っているのかもしれない。
……いや。きっと、そうなんだろうな。
突然知らない場所へ飛ばされて。
知らない人間たちに囲まれて。
怖い思いをして。
……そりゃ、帰りたいよな。
俺だって、もし突然パパンやママンのいない世界へ放り出されたら。
……怖い。
「……リンちゃん」
おばあちゃんが、俺の顔を覗き込んだ。
「もし、あの子が帰りたいと言ったら……どうする?」
俺は、しばらく考えた。
フェローチェ。
色違い。
むし・かくとうタイプ。
圧倒的な素早さと攻撃性能。
前世から憧れていたポケモン。
そして、今世でようやく出会えた存在。
……正直、手放したくない。
ずっと一緒にいたい。
いつか、あの子とバトルしてみたい。
……でも。それは、俺の気持ちだ。
フェローチェがどう思っているかは、まだわからない。
「……もし」
俺は、小さく口を開いた。
「あのこが、かえりたいっていったら……」
少しだけ、言葉が詰まる。
……嫌だな。
せっかく出会えたのに。
……それでも。
「……かえしてあげたい」
そう答えた。
おばあちゃんが、静かに頷く。
「……そうかい」
「……うん」
俺は、フェローチェの入ったウルトラボールを見つめた。
……だって。
あの子にだって、帰りたい場所があるかもしれない。
大切な仲間がいるかもしれない。
……それを、俺の都合で奪うわけにはいかない。
「……でもね」
「うん?」
「それまでは、いっしょにいたい!」
俺は、おばあちゃんを見上げた。
「あのこが、あんしんできるようにしたい!」
おばあちゃんは、優しく笑った。
「……うん。それがいいねぇ」
そして、俺をぎゅっと抱きしめてくれた。
「リンちゃんも、ずいぶん大きくなったね」
そんなこと言われると。
ちょっと、照れるじゃん。
♦
出発の時間。
俺たちは、フリーズ村の外れで最後の準備をしていた。
パパンが荷物を確認し、ママンがおばあちゃんと話している。
俺は、三匹のポケモンを外へ出した。
「ムーちゃん! シズクモ! フェローチェ!」
白い光が弾ける。
まず現れたのは、ムーちゃん。
「グソッ!」
続いて、シズクモ。
「シズッ!」
そして。
「……フェロ」
フェローチェ。
全員集合。
……ただし。
フェローチェだけは、少し離れた場所に立っている。
相変わらず、こちらへ近づこうとはしない。
……まあ、いい。
今は、それで十分だ。
「みんな!」
俺は、三匹に向かって両手を広げた。
「これから、いっしょにかえろうな!」
「グソッ!」
「シズッ!」
ムーちゃんとシズクモが、元気よく返事をする。
……うむ。
素晴らしい。
我がパーティー、順調である。
そして。
「……フェローチェ?」
「…………」
……返事なし。
いや、まあ知ってたけどさ。
せめて、ちょっとくらい反応してくれてもよくない?
「……いっしょに、いこうね?」
「…………」
フェローチェは、遠くの雪原を見つめていた。
その視線は、どこか寂しそうにも見えた。
俺は、それ以上声をかけなかった。
無理に返事を求める必要はない。
今は、同じ場所にいてくれるだけで十分。
……そう思うことにした。
「……じゃあ、いこうか!」
「グソッ!」
「シズッ!」
俺は、ムーちゃんとシズクモの頭を撫でた。
そして、フェローチェのほうを見る。
……うん。
焦らず、ゆっくり。
これから、少しずつ。
あの子のことを知っていこう。
そう決めた。
♦
こうして。
俺のカンムリ雪原での家族旅行は、無事に終了した。
……いや。無事に、という表現が正しいかどうかは少々疑問である。
何しろ、色違いウルトラビーストを保護してしまったのだから。
しかも、世界に一個だけのマスターボールをシズクモに使うという、なかなかの暴挙までやらかしている。
本当に家族旅行だったんですかね、これ?
まあ、楽しかったからいいか!
おばあちゃんにも会えたし。
珍しいポケモンもたくさん見られたし。
何より、新しい仲間が二匹も増えた。
……ただ一つだけ、問題がある。
俺は、そっとフェローチェを見た。
あの子は、相変わらず俺たちから少し距離を取っている。
目が合っても、すぐに逸らされる。
話しかけても、返事はない。
触ろうとすれば、間違いなく回避されるだろう。
前途多難だ。
俺は思わず、遠い目になった。
ムーちゃんは、俺の隣にぴったりと寄り添っている。
シズクモは、その前脚にちょこんと乗っている。
そして、フェローチェだけが少し離れた場所に立っている。
この温度差。
もはや同じパーティーとは思えない。
ムーちゃんとシズクモは、完全に仲良し。
フェローチェは、まだ他人。
……いや、他人どころか警戒対象SSSくらいに分類されてそうなんですが?
まあ、いい。
まだ始まったばかりだ。
ポケモンは、捕まえたら終わりじゃない。
そこから一緒に過ごして、少しずつ仲良くなっていくものなのだ。
ムーちゃんが、そう教えてくれた。
おばあちゃんも、同じことを言っていた。
……だから。
俺は、ゆっくりとフェローチェへ手を振った。
「……これから、よろしくな!」
フェローチェは、何も答えなかった。
ただ、一瞬だけこちらへ視線を向ける。
そして、再び雪原を見つめた。
今は、それでいい。
……たぶん。
♦
こうして。
元世界一位の色違い廃人、リン。
六歳にして、色違いむし統一パーティーの半分を揃えることに成功。
しかし同時に、人生初の攻略方法がまったくわからない相手と出会ってしまったのであった。
……あの、誰か。
フェローチェの好感度を上げる方法、知りません?
できれば、ポケ徹が見たい……。