幻想交じりの現代社会をTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
そう、お着換えの用意ですね。
ドスケベドラゴンボーンとなった俺は静と共に車の後部座席へと押し込まれ、母さんが運転する車で向かう先はお洒落なブティックが山盛りなデパート……。
という事はなく、様々な異種族向けの服装も取り扱っている大手総合服飾チェーン店。
その名もヤニクロへとやってきていた、ちなみにマスコットキャラはタバコを吸う猫とかいうファンキーすぎるキャラである。
「服や下着もそうだけど、まずはその足で履ける靴探さないといけないわね。静ちゃん手伝ってくれるかしら」
「はい!全力でお手伝いします!」
「妾の意見は……」
服を選ぶ優先順位を即座に段取りした母さんは静に声をかけ、静はと言えば狐耳をピンと立て尻尾をばさこんばさこんと振りながら気合を示す。
一方俺は買い物かごを入れたカートを押しながら、この時点で大分及び腰であった。
そこからはもう怒涛の勢いだった。
「あら凄いわね、今の透みたいな足でも対応した靴やスリッパまであるわ」
「おばさん!これとか今の透の足に合うと思います!」
「素敵ね、さぁ試しなさい」
「う、うむ……」
竜のようになっている足にも適した靴がある事に俺はビビりながら、母さんや静が選んできた靴を次から次に試し。
更には学校用の内履きもついでに購入しつつ……。
「あんた家の中ではこのスリッパ履きなさい、器用に爪立てないよう歩いてたけど見てて心臓に悪いわ」
「わ、わかったのじゃ……」
母さんの有無を言わせぬ口調で、ピンク色のもこもこしたスリッパを家の中では強制着用する事を命じられ。
今の俺のローブ姿をジィっと見た母さんが小声で俺に問いかける。
「……ところでアンタ、まぁブラしてないのはわかるけど……もしかしてパンツも?」
「……まえば」
「静ちゃん!このバカの体に合う下着上下の為に店員さん手配!」
「了解です!」
母さんの問いかけに対し俺は体に感じる感触から小声で応じると、俺の発言を途中で遮り静に大声で指令。
指令を受けた静はびしっと直立不動になると、いつもの2割増しの素早さで下着コーナーへとかけていく。
どうしよう、さっきから周囲の視線が痛く感じるぐらい刺さってくる。
でっか……とか、エッロ……とか聞こえるのは俺の気のせいと思いたい。
あ、カップルできたっぽい二人組の男が俺を見て鼻の下のばしてたからか彼女っぽいのに思い切り足踏まれてる。
そうやって現実逃避している間に下着コーナーに到着し、到着するや否や静が既に手配していたと思われる女性店員さんによって俺は試着室に連れ込まれる。
女性店員さんは手慣れた手つきでメジャーを扱い、俺の体のあちこちを図るとすぐに試着室を出て行った。
「……小狐や、下着を購入する時は乳房の下も測るものなのじゃな……」
「……うん、そうだって聞いてる」
試着室から顔だけ出して、外で待っていた静に人生で初めて知った知識を思わず共有する俺。
静は俺の言葉に一瞬遠い目をしながら、若干棒読みじみた声音で返事をするのであった。
その後母さんにデリカシーがないという理由で頭を叩かれた、叩かれた後でその理由を察した俺である。
そんなやり取りをしてる間に店員さんはいくつかの下着を手に戻ってきた。
え?今からソレを俺が着けるの? マジ?
「静ちゃん、あっちは店員さんに任せて私達は服を探しに行きましょう」
「了解です! 大きな尻尾にも対応したコーナーあるんでそっち行きましょう!」
「ぬ、待たれよ、妾を一人にしないでほしい」
「下着つけてあのローブとか大分絵面がヤバイと言う事を自覚を持つべきね。おとなしく待ってなさい」
母さんはそう告げると静を伴って立ち去っていく。
お、置いてかないで……!
だが無情にもおいて枯れた俺は試着室の中で、外で待つ店員から渡されたブラを両手で持って見る。
前世でも今世でも縁などあるわけがなかった未知の物体に俺はどうすべきか考えあぐねる、ディーヴァの体の知識に頼ろうにも彼女もブラなど知らないからどうしようもない。
故に俺が選べる道は一つだけであった。
「……すまぬ店員よ、胸当ての着け方を教授してもらえぬか」
「え? 承知しました……お客様、ブラを着用したご経験は?」
「無い、最近必要になった故な」
「左様でございますか……」
店員がうっそだろと言わんばかりに驚愕し、その言葉に対し俺は真実を告げる。
男からこの姿になったのが急なだけに、嘘はついていない。
え?フロントホック? モールドカップブラ? 何それ呪文か何か?
え??? 寝る時もブラつけるの? こんなに大きいなら型崩れしない為にも着けた方がいい? マジかぁ……。
「こ、こうかの……?」
「はい、その後はカップの中に胸をしまい込んでください」
「む、むう……」
女性店員さんの手解きを受けながら、ごく自然な流れで露となった自身の大きすぎる乳房を相手に四苦八苦を繰り広げる。
何と言うかこう意識して触らなければそんなに微妙な気分にならないんだな、なんとも形容し難い感覚だが。
「きゅ、窮屈じゃのう……」
「着け慣れていないとそう感じると思われますが、いずれ慣れますよ」
そして胸を締め付けるような感覚に思わず顔をしかめる俺、店員さんの言葉がせめてもの救いである。
女の人っていつもこんな大変な思いしてんのか……。
だが俺はブラジャーを着ける技術を身に着けた!これで心配はいらない!
パンツ……ショーツって言うらしいが、そっちは流石に試着は出来ないらしい。そりゃそうか。
「透-、そっちは大丈夫?」
「うむ、万事問題なしじゃ」
ついさっきまでブラジャー相手に死闘を繰り広げていたことを忘れ、俺は誇らしい気持ちを抱きながら外から声をかけてきた静の言葉に応じる。
店員さんは即興下着講習を無事終えた事に満足げに頷くと、会釈と共に試着室の中から立ち去って行った。
そして、それと入れ替えに試着室の外から幾つもの服が中へ差し出される。
恐らく俺の眼は急速に曇ったに違いない。
「の、のう。本気で着ないとダメかのう?」
「何今更言ってるの、ちゃっちゃとしなさい」
ブラジャー着用は四苦八苦が勝ったから抵抗感がまだ薄かった。
だがしかし、差し出された服はどれもがヒラヒラしてるというか何というかこう、男の意識があるまま着るには大分勇気がいる感じだ。
「もっとこう、ひらひらしてない服とか無かったのかのう……?」
「透は大きな尻尾あるでしょ? ゆったりした服の方が着やすいんじゃないかなー」
俺のささやかな抵抗の言葉に対し、静は試着室の外からそんな言葉を投げかけてくる。
尻尾の種類に違いはあれど大きな尻尾を持っている静が言う言葉は、説得力に満ちていた。
そしてその日、俺は人生で初めてスカートに足を通した。
「わぁ、凄い美人だよ透!」
「うんうん、ちゃんとした服を着ると美人度合いが際立って映えて見えるわね」
苦悩する事しばし、とりあえず無難な服を選んで着用した俺は試着室のカーテンを開く。
静が選んだチョイスは実に絶妙で、尻尾があっても着用し易い上ストレスも感じないモノであった。
「じゃあ次はこっちを着てみなさい」
「母上、これで、終わりでは……?」
「バカ言ってんじゃないわよ、服一着でどうするつもり? 制服が出来るまでの間学校に着ていくための服も選ばないといけないんだからどんどんいくわよ」
それから俺にとって地獄ともいえる時間が始まった。
女性の服を買いに行くとき時間がめっちゃかかるとは聞いたが、そりゃこうやって試着して脱いでを繰り返せばそりゃ時間もかかるわな……!
「動き易そうだし、似合ってるよ透!」
「そうねぇ、けどちょっと胸元がきつそうだし。体の線出ちゃってるからコレはちょっと保留かしら」
試着室の中で着替えては脱ぎ、着替えては脱ぎ。
「お客様、よろしければそちらのお嬢さんの写真を撮らせて頂いても? モデルのお礼としてこのぐらいお値引きを……」
「あらいいわね、こっちの下着全部買うからコレも値引いてもらえる?」
「勿論ですとも」
「交渉成立ね」
「母上、妾の意思は……?」
ついでに何か途中から撮影会も追加されたし、撮影会に釣られてギャラリーも増えた。
もうどうにでもなぁれ☆
その後俺は閉店ぎりぎりまで着せ替え人形になりながら、撮影会の被写体となり。
結構な量の衣服と下着、それと靴などを購入したというのに凄まじい値引きを獲得した母さんはホクホク笑顔であった。
「遅くまで突き合わせてごめんね静ちゃん」
「いえ、お手伝いできてよかったです」
帰りの車の中、後部座席でヤニクロの袋に包まれた俺は疲労困憊になりながら女性陣の会話を右から左に聞くだけの置物となっていた。
いやマジで女の人の買い物って大変、彼女に付き合って買い物にいったり奥さんの買い物に付き合ってる世のパパさんを俺は今後無条件に尊敬するわ。
そんな具合に俺の魂が抜けている間に母さんが運転する車は、静の道場がある敷地の前に止まる。
「おばさん送っていただきありがとうございました! 透もおやすみ、また明日ね!」
「……うむ、今日は色々と感謝するのじゃ。小狐よ……」
車から降り、母さんに頭を下げると静は笑みを浮かべて俺に告げる。
その言葉に俺は抜けかけていた魂を気合で引き戻し、疲労困憊になりながらも静に色々な思いを込めてお礼を述べる。
そして車は再度走り出し、家路へ向かい始める。
「静ちゃんはほんと良い子よね、あんた大事にしなさいな」
「……わかっておる」
バックミラーにまだ写っている静の姿を見ながら母が呟いた言葉に、俺は素直な思いを口にするのであった。
「あ」
「どうした? 母上」
「晩御飯買ってくるの忘れちゃったわ、お父さんに悪い事したわね」
どうやら母さんは何か帰りに買って帰るつもりだったらしい。
言われて俺も空腹だったことを今この時になって自覚、急遽コンビニ弁当を買って帰る事になったのだが……。
「透、母さんから話は聞いたぞお前も大変…………でっか!?」
「お父さん、晩御飯抜きね」
玄関の扉を開け、すでに帰宅済みで母さんから事情を聴いていた父さん。
父さんは俺達を玄関で出迎えながら俺を労い……俺の姿を目の当たりにした言葉は男の本能そのものと言える驚愕の叫びをあげる。
その結果父さんだけコンビニ弁当を与えられず、晩御飯は冷蔵庫の中に遭った冷ややっこ一丁のみになり。
父さんの分のコンビニ弁当は俺の腹の中に消えることになるのであった。
「父上や、そのやっこ半分もらえんかのう?」
「娘になった息子が大分鬼で、父さん泣きそう」
「明日からお弁当は特大サイズにしないといけないかしら」
知り合いTRPGプレイヤー「前張りより、鱗があって収納してるとかの方がエロくね?」
作者「でもさ、前張りって……エロじゃん?」
知り合いTRPGプレイヤー「下着カタログと生き物図鑑、どっちにエロさを感じるかの問題か……」
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
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どちらでもよい
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AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
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AI絵ならいらない
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お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)