幻想交じりの現代社会をTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
なお静と透……二人ともそういうのは興味ないというか、お断り案件な模様。
アイデンティティが揺らいだりしたけど、自由実習ダンジョンよりも難易度が高い古戦場跡ダンジョンをクリアしておめでたい事は事実。
そんなわけで俺と静は古戦場跡から一本で市内に戻るバスに揺られ、二人そろってデカ盛りに定評があるムギタ珈琲に来店していた。
ちなみに四辻は家の手伝い……なんでも家が花屋らしくその手伝いがある為断り。
五条は女二人甘いもの食ってるところに行けるかボケ、と吐き捨てて一人帰宅した。
実に付き合いの悪いパーティメンバーな男どもである。
いや待て、俺も一応男だ、気持ちは男の筈だ。
「お待たせしました。ブランノワールとミックスサンドとムギチキです」
自身に言い聞かせながらラージサイズのカフェラテを啜っている間に注文が到着、俺の目が大分大きいサイズで焼き上げられたデニッシュの上にクリームが乗った物体に吸い寄せられる。
ちなみにミックスサンドとムギチキが静の、ブランノワールが俺の注文である。
「透さぁ、甘いもの凄い好きになったよね」
「甘味は正義じゃからな」
大きく口を開けてミックスサンドに齧り付き、もぐもぐと咀嚼しながらの静の言葉に俺は大袈裟に頷いて返す。
実際女体化する前に比べ食べ物の好みが大きく変わったと思う、旬のデザートや新発売のお菓子に大分視線が吸い寄せられるようになったし。
そう言えばレオスの時も冒険の後はエールを飲みたがっていた事あったから、体ごとに好みは大きく変わるのかもしれない。
個人的に合成食料ばかりの生活をしていた、サイバーなメスガキハッカーで旨いもの食ったらどうなるか試してみたい。
まぁまずは、ポイント借金を返して今の姿に固定された状態から何としても戻らないといけないワケだが……。
「しかしままならんわい、今の調子で稼げば季節が三つ巡る頃には戻れそうとはいえ、道のりは遠いからのう」
「流石に海の方のダンジョンとかは中学校の学生証じゃ入れないし、行くにも不便だもんね」
「早く車に乗れるようになりたいものじゃ」
「年齢的にも大分遠いねー」
俺と静はこれから先のことを思い思いに語り合いながら、大分速いペースで注文したものを食べていく。
「のう小狐や、そちらのサンドを少し分けてくれぬかの?」
「いいよー、じゃあブランノワールちょっともらうね」
しかし今はダンジョン探検というカロリーをべらぼうに消費する運動、それによって消耗したカロリーを補給するためにおやつを食べる事に専念する俺と静である。
毎日三食に加えてダンジョン探検後は何かしら食べている俺と静、一方五条と四辻は俺達を信じられないものを見る目で見てくる。
男なんだからもっとしっかり食べろよと言いたいところだが、この姿になる前は俺も静の食事量にドン引きしてたから人の事言えないか。
「だけどさ……透、どこにいても最近見られてるよね」
「敢えて話題にせぬかったと言うのに、小狐とて人目を引いておるじゃろ」
「ボクが? ははは、まっさかー」
今もちらちらと店内にいる男女から向けられてる視線を察知した静が、口の周りについたブランノワールのクリームを拭きながら……俺が意図的に無視してきたことを口にする。
カフェラテを一口啜り目を細めて静に言い返すが、静は自分がそういう目で見られている自覚がないのか笑って流した。
言うて静も美人に分類する顔立ちで狐耳と尻尾、それと小柄な体格も相まってかなり人目を引く外見をしている。
静の人となりやダンジョンでの振る舞いを知っている人間は別としても、何も知らない人たちの前にポンと放り出せば話題になるレベルの美少女だ。
だがこいつはそういう評価に対しては全くと言って良いほど頓着しない、髪の毛や尻尾は手入れを気にしているが化粧とかも色気がない。
「母上も嘆いておったが、小狐ももう少し着飾るなり化粧なりすればよかろうに」
「ボクがお洒落に無頓着みたいに言わないでほしいなー、お手入れとかちゃんとしてるよ?」
「必要最低限じゃろうが」
こいつの場合持って生まれた天性のモノなのか不明だが、スキンケアや化粧は殆どと言って良いほどしていない。
静の肌をぺたぺた触っていた母さんが何かお手入れしてるかと聞いて殆ど何もしてないと、静が返答した時の母さんの顔は凄い顔をしていた。
ちなみにその後俺もやり玉にあげられた、母さん曰く丁寧にスキンケアしなくてもこの肌や美貌を維持できるのは反則通り越して無法らしい。
「それにさぁ、透の苦労を見てるとお洒落とかしなくてもいいかなって、最近思う」
「そりゃまたどういう」
「ねーねー君達可愛いじゃん、暇してるの?」
「こういう事」
「ぐぬぅ」
価値観や重視していることが世間一般と大分ズレている疑惑があるとはいえ、いろんな意味でアレな事を口にする静。
思わずその意図を聞こうとする俺であるが、その発言を遮るかのように知らない男の声が横から差し込まれた。
男に視線を向ける事無く静かに視線を向ければ、ね?と同意を求められ返す言葉もない俺は最後のブランノワールを口の中へ放り込みながら唸る。
「なんじゃ主らは、呼んでおらぬからとっとと去ねい」
「ちょっとノリ悪いじゃん? そういわずにさぁ、奢るから俺達と遊びに行こうよ」
声をかけてきたのは大分遊んでいると思われる男の集団、街を歩いていて声を掛けられる事はあれどこうやって店で寛いでる時まで来られたのは初めてだ。
男達が無遠慮にじろじろ嘗め回すように俺の胸や顔を見てくる事に、背筋がざわつく不快感を感じ俺は追い払うようなジェスチャーをしながら散るように促す。
だがめげない男達は無理やり俺や静の隣に座ると、俺の方に勝手に手を回そうとしてくる。
「お客様、他のお客様のご迷惑になる行為はお控えください」
「大丈夫大丈夫店員さん、この娘ら俺達の連れだから」
「そうそう、だから心配いらないよ」
何時俺達がお前らの連れになったというのか、対面に座る静も耳や尻尾を無遠慮に触れそうになり無表情になりながら男の手を払い落としている。
何だろう、俺が言い寄られるのも鬱陶しいけど静がどうこうされるのはもっと腹が立つ。
「一度だけしか言わぬ、失せろ下郎」
「んだよおい、調子乗ってんじゃねえぞ女」
自分でも少し驚くぐらい底冷えした声を出すと一瞬隣に座った男がたじろいだ様子を見せるが、女と舐めているのかこちらに対して凄んで見せてくる。
何かしらこういう行動に出る自信の根拠があるかもしれないが、その態度と行動はダンジョンの魔物に比べれば可愛らしいもので滑稽ですらあった。
そう言う意味では五条と四辻の方が人間としてマシである、あいつらは何処に出しても恥ずかしくないチンピラだが見た目じゃなくて実力で判断する。
むしろこういう事があると嫌だからアイツらも連れてきたかったのだが、肝心な時にいない連中である。
俺は即時発動可能な呪文としてセットしている、メイジハンドの魔法を手早く唱える。
この魔法は少し特殊で各レベルに設定されている魔法使用回数の枠に含まれない、無制限回数使用可能な魔法だ。
効果としては30フィート先まで届く見えない手を展開するというもので、操作可能な重量は4.5kgまでいける。
武器を振ったり投げたりはできないし複雑な操作も難しい、戦闘で使いこなすには習熟とコツを要する魔法だが……。
そうじゃない場面では非常に有用な使いどころが多い、そんな魔法である。
「イデデデデデデ!?」
そう、こういう時に男がこれ見よがしに耳に着けているピアスを引っ張るなどは造作もない事だ。
突然の痛みに男は立ち上がり耳を押さえて叫び声をあげる。
「ふん! ……小狐!」
「まだ食べてる途中だったのに……」
男が椅子から立ち上がり俺が動ける余地を確保する事に成功したため、尻尾と腕を使って男を押し出して椅子から立ち上がる。
それと同時に静に声をかけ、静はバスケットの中に残ったサンドを手早く咥えると、自身に触れようとする男の腕を取って必要最低限の動きで関節を極めて拘束した。
「店員殿、警邏を!」
「は、はい!」
俺の声に対し店員さんは慌てて警察を呼ぶために電話を始め、その事に焦ったのか男たちは各々捨て台詞を吐き足をもつれさせながらムギタ珈琲から逃げ出していった。
うーん、どこに出しても恥ずかしいチンピラと言うか人間の屑である。
「こんな治安悪かったっけ?」
「そんな事無かったと思うのじゃがのう……」
まだ注文した品が残っている静は口に咥えていたサンドをモッモッモッと音が聞こえる勢いで完食すると……逃げ出した男達への興味を無くし、椅子に座り直す。
俺もまた椅子に座り直す、とりあえず目下の心配は……。
「のう店員殿、騒ぎを起こしたから出禁とかは……?」
「そんな事ないから!大丈夫ですよ!」
「良かった……」
店員さんの言葉に俺は心の底からの安堵の吐息を漏らす。
足を運びやすい位置にあるムギタ珈琲はここだけなのだ、ここを出禁にされたら俺はムギタ珈琲難民でありブランノワール難民になってしまう。
ちなみに今回は気付かれなくてセーフだったが、ダンジョン以外で魔法を使ったり武器を振るうのは大分法律違反だ。
ケースバイケースであるし今回のケースはおそらくセーフの範囲だろうけども、お巡りさんから怒られてしまうので本当に気付かれなくてよかった。
「なんかホっとしたらまた甘味を食べたくなったのう、パフェでも頼むとするかのう」
「ボクもピザトースト頼もうかなぁ」
それはそれとして食べることは楽しいので、今は楽しむことを重視しよう。
甘い物は別腹だし、ここでがっつり食べておけば晩御飯で物足りなく感じる事もないしな!
なお後日、ムギタ珈琲に来なかったせいで変なのに絡まれたと五条と四辻は理不尽な文句をtけられたらしい。
俺達が知るかよ……というつぶやきを漏らした彼らは多分悪くない。
ちなみにナンパチャラ男君は一般人で、相手がクロウラーでも問題ないと自信満々だった民です。
ナンパ道ではヒヨッコもいい所、ベテランナンパ道者はまず相手が安全かどうか見極めるところから始まります。
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
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どちらでもよい
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AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
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AI絵ならいらない
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お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)