幻想交じりの現代社会をTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
準レギュラーとして存在感を放っていたチンピラコンビは、少しだけ離脱となります。
ポイント借金を返済するため、日夜あれやそれやを頑張っている間に気が付けばカレンダーは8月に突入。
現在中学三年生である俺達は晴れて夏休みに突入した。
だが俺にはそんな事関係ない、今日も今日とてダンジョンに……。
と、いうわけにも行かなかった。
ダンジョン探検用の装備を各々鞄や竹刀袋に入れてバスに乗ろうとしたところ、バス乗り場の掲示板に貼られた張り紙に俺達は愕然。
なんと、この時期は古戦場跡ダンジョンが何故か魔物が一切出現しなくなる為、8月中は閉鎖するというお知らせがあったのだ。
「しゃーねえ、おい浩二ゲーセン行くぞ」
「そうだな、賽目と狐森はどうする?」
「んー……遠慮しとく、最近五条君達盾にしても効果薄いし」
「そうじゃのう、まったく……使えぬ無頼共め」
「張っ倒すぞこの凸凹コンビ」
ダンジョンが閉鎖されるならしょうがないと切り替えた五条は遊ぶ方向にシフト、四辻もまたその提案に乗ると俺達にどうするか問いかける。
問いかけられた静は少し考え、その申し出をやんわりと断り俺はその言葉に乗っかる形で笑みを浮かべながら二人を弄る。
割と理不尽極まりない俺達の言葉に対し、五条は中指を突き立てながら吐き捨てるように言葉を返してきた。
何と言うかこう、互いにパーティを組むようになってから行儀はよくないがそれなりに絆っぽいのは生まれてる気がする。
だけどなんだろう、友情というより腐れ縁と言うか悪友という感覚が近い。
「冗談だよ冗談、迷惑になると悪いしさ」
「気にする必要ねーぞ狐森、気合入ってねえ連中なんざ怖くもなんともねえ」
「小狐はお主らの内申やらを考慮しとるんじゃよ、真正面から言うと照れ臭いんじゃ」
「やめてよー」
五条の言葉に静が言葉を訂正すると四辻は気にする必要はないと気を使ってくれるが。
静の言外の言葉を汲み取って伝えると、美少女に気遣われるのが慣れてないのか四辻は照れ臭そうに頬をかく。
ついでに静は内心を暴露した俺をぽかぽかと叩いてきた、ははは愛い奴め。
「はいはい仲良さそうで何よりだクソが、お前ら二人だと何が起こるかわかんねーからおとなしく帰ろよ」
「数か月前とは見違えるぐらい、他人を気遣えるようになったのう」
「うるせえよボケ」
そんな俺と静の様子に五条はヘッと笑うと四辻を伴い歩き始め……歩みを止めると少し振り返り、寄り道せず帰るよう伝えてくる。
かつては自由実習ダンジョンで絡んできた輩と同一人物と思えないぐらいの気遣いに、思わずそんなことを呟くと心配して損したわと言わんばかりに足音を立てながら五条は立ち去るのであった。
その後俺と静はあいつらの言葉を聞くわけではないが、ナンパされるのも何か嫌だったのでおとなしく帰路に着き。
そのまま解散するというのも何か勿体無かったので、俺は静を家に誘いリビングにて冷えた麦茶を味わっていた。
「しかし困ったね透、古戦場跡ダンジョンが使えないってなると自由実習ダンジョンかなぁ?」
「それしかないかのう、海の方にある半水没ダンジョンはバスも出ておらぬから交通の便が不便じゃし」
麦茶の入ったコップをコースターの上に置き、静は耳をぴょこぴょこ動かしながらどうしたものかと言わんばかりの声で呟き。
俺もまた彼女の言葉に同意を示す、稼げそうなダンジョンはもう一つあるといえばあるが余りにも遠い。
父さんか母さんに頼んで車を出してもらうのも考えないワケではないが、両親にそこまでしてもらうのも流石に悪い。
こういう時程、免許が取れるようになりたいと思う事はないなぁ。
「はい静ちゃん、どら焼きぐらいしか無くてごめんね」
「ごめんなさい急にお邪魔して……頂きます」
「いつも透がお世話になってるから遠慮しなくていいのよ、透は少しは遠慮しなさいね」
「解せぬ」
そんな具合にダンジョン問題についてあーでもないこーでもないと話していると、母さんがどら焼きを山盛りにしたお盆を持ってくる。
静はどら焼きに目を輝かせ尻尾を振りつつ遠慮をするが、母さんはそんな静の様子に微笑ましそうにしながら遠慮するなと告げ……俺にはきっちり釘を刺してきた。
この前母さんが隠してた煎餅を半分くらい平らげただけなのに、この扱いの差よ。
「そう言えばちらっと聞こえたけど、ダンジョンで困ってるの?」
「うむ、いつものところが閉鎖されてのう……」
「どうしたものかなー、って透と話してました」
母さんも自分の分の麦茶をコップに注ぐと、空いている椅子に座って話に参加してくる。
見た目だけで言えば女子会みたいな雰囲気だ、一人だけ見た目だけ女子の中身男がいるが。
「んー…………静ちゃんがいいのならの話なんだけどさ、前に透が口走った親戚のダンジョンの話は覚えてる?」
「はい、色々大変なことになってるってお話のダンジョン、ですよね?」
母さんがどら焼きを一つ手に取り、包みを破って齧り付きながら悩みつつも口に出す。
その内容を覚えていた静もまた、釣られるようにどら焼きを手に取って包みを丁寧に破ると大口を開けて齧り付きながら応じた。
ちなみに俺はどら焼きをもそもそ食べながら、あの後母さんから懇々とよそ様がいる前で大事なことカミングアウトするんじゃねえって怒られた事を思い出していた。
「その親戚、まぁぶっちゃけていうと私の兄さんがクロウラーの知り合いがいたら、声をかけてほしいって言ってたんだけど」
「行きまぁす!」
「良ければどう? って聞く前に元気よい返事が来ておばさんちょっと驚きを隠せないわ」
話の途中で静が尻尾を勢いよくぶんぶん振りながら目を輝かせて返した言葉に、母さんは軽くドン引きの姿勢を見せる。
まぁ未知のダンジョンと聞いたこいつが、おとなしくしているわけがない。
「兄さんは兄さんで親戚のクロウラーを呼ぶとは言ってたけど集まりが芳しくなくてね、静ちゃんが来てくれるなら透も安心して送り出せるわ」
「妾が行くのは決定事項かの?」
「あんたが変身して戻れない事情含めて状況伝えたら、あんたにも手伝ってほしいって言うから断れなくてね」
ごめんね、と母さんが申し訳なさそうに目を伏せるが俺はええんやでの精神で鷹揚に頷き二つ目のどら焼きをむしゃむしゃする。
静と俺の2名体制なら、後は親戚ないし調達されたメンバーがどのぐらいの実力かによるが……。
伯父さんが相続した土地はH県、今俺達がいるI県より都会だからこっちよりかは実力の高いクロウラーが居る可能性が高い。
まぁ最悪攻略じゃなくて偵察に目的を切り替えて、召喚したドラゴンスピリットを使い倒せばなんとかなるだろう。やばいと思ったら即座に撤退すればいいのだ。
「しかし伯父上と会うのは一年ぶりか、羽振りが良いからたんまり馳走してもらえばならんのう」
「遠慮なく集ってやりなさい、なんならちょっとしなだれかかれば鼻の下伸ばしてお小遣いも出すわよ兄さんなら」
「実の娘、じゃなくて息子に色仕掛けさせようと考えるのは聊かどうかと思うのじゃ母上」
母さんとは遺産相続でやり合ったり色々あったのか、母さんは伯父さんに対して複雑そうな感情を持っているようだが。
俺からしたら面倒見の良く優しい伯父さんなので、これを機に向こうのグルメを奢ってもらう気満々である。たこ焼きとかお好み焼きとか。
そんな事言ってたらむしろもっとやれと言わんばかりの母さんの発言がコレである、マジで骨肉の争いをしたんだなぁ……遺産争いって怖い。
「ともあれ、静ちゃんが良くても狐森さんの家がNG出したら取らぬ狸のなんとやらなんだけどね」
「あ、それなら大丈夫だと思います。お母さんとお父さんはどんどんやれって言うでしょうし、お爺ちゃんも同様だと思います」
「……剣術道場の人達って、随分と考え方が独特なのねぇ」
ここで話がまとまっても静の親御さんが許可出さなければ意味がない、と母さんは麦茶を飲みながら呑気に笑う。
だがしかし静から帰ってきた言葉に若干咽そうになりながら、考えが極まってるとしか思えない静の家の面々にドン引きしていた。
大丈夫だぞ母さん、本当に自重しなかったら多分楽しそうだから自分達も乗り込むって言うからあの人たち。
いつもより少し短いですが、キリが良いのでここでシメ。
次回からH県K市へ向かうムーブに入る予定。
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
-
どちらでもよい
-
AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
-
AI絵ならいらない
-
お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)