幻想交じりの現代社会をTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
それに対して社会はどう立ち向かっているのか、そんなお話。
夏休みに母さんの実家に向かい、伯父さんが相続した土地に沸いたダンジョンに潜る事が決まった数日後。
俺と静と母さんは市内の中心にあるターミナル駅に足を運んでいた、駅から新幹線で向かいそこに迎えに来てもらうという予定である。
なお父さんは仕事な為ここにはいない、社会人というのはとても大変だと思いました(小並感)
「一週間ほどの着替えにダンジョン用の道具、ともなると大荷物になるのう」
「いっそ宅配便で送ればよかったじゃない」
「透の杖とかならまだしも、ボクの太刀とかは宅配便で送れないので……」
今の俺達は着替えを入れたボストンバッグに、それぞれの装備を入れた鞄や竹刀袋を持っているそこそこの大荷物状態だ。
俺は新たに用意した杖に元々の装備であるローブぐらいだが、静は胸当てやら太刀を持っているから猶更大変そうである。本人は涼しい顔をしているけど。
「クロウラーって大変なのねえ、クロウラー向けに大きな車が良くCMやってるのもわかるわぁ」
「妾も早く車を運転できるようになりたいものじゃ」
「あんたの場合免許どうなるのかしらね、自己の証明大変になるんじゃない?」
「流石に免許取れるようになる頃には、男に戻れておるわい……多分」
そんな事を母さんと話しながら目的の新幹線の搭乗時間まで、待合室で談笑する俺達。
ちらあちらと視線を向けられてるのを感じるし、なんなら写メ撮られてる気配もあるがもう慣れたものだ。
こんなんに慣れたくなかったけどな!
だがその時、アナウンスのチャイム音と共に少しばかり雲行きが怪しくなってきた。
『列車をお待ちの皆様へお詫びのご連絡です、線路内にダンジョンが発生したため発車を予定していた列車の発車の見込みが経っておりません』
『払い戻し、および振替用のバスにつきましては後程アナウンス致しますので、どうかそのままお待ち下さいますようお願い申し上げます』
たまにあるとはいえ、まさかのダンジョン発生の連絡が駅構内線路に発生したというアナウンスである。
思わず顔を見合わせる俺と静と母さん。
「運転しんどいから新幹線チケット取ったけど、素直に車で行った方がよかったかしらねえ……」
困ったわー、と溜息を吐く母さん。
あまりにもひどいアナウンスであるが、まぁ事情が事情だけにしょうがないよなぁなどと考える俺であるが……。
続けてアナウンスされる駅員の言葉に、少しばかり考えを翻す。
『ダンジョン攻略にご協力頂けるクロウラーの皆様は、お近くの駅員の指示に従ってくださいますようお願い申し上げます』
『ただいま即席の更衣室をご用意しております、また後程ご連絡致します』
まさかの駅からの攻略協力の依頼である。
まぁ実際今の時期は駅からしてもかき入れ時だ、一刻も早く復旧したいという事なのだろう。
周囲を見て見ると何人もの人物がやおら立ち上がり、思い思いにやる気を見せている様子が見て取れる。
「やっと取れた休みなんだぞ、それをダンジョンが邪魔するなんてあってはだめだろう」
「時と場合と場所を選べ、TNPが大事だって言うだろうが」
「TPOです」
丁度近くで座っていた社会人と思われる一団も、どこか殺気を滲ませている。
どうやらやっともぎ取った御休みなのに、思い切り出鼻をくじかれた状態のようだ。
こういう時にダンジョン攻略を達成すると、クロウラーアプリで管理されている換金可能なポイントがたらふくもらえるというのも大きいだろう。
その分命懸けであるが、命を懸けるに値するポイント数でもあるらしいのだ。
「……のう母上」
「あんたが何言いたいかはわかってるわよ透、信頼できるメンバー確保できるようなら許可するわ」
「よし、小狐よ。早速面子を探すぞ」
「うん!」
着替え等が入ったバッグを母さんに見てもらうようお願いし、俺達は待合室を飛び出して突入メンバーを誘うべくめぼしい人物を探し始める。
見ると誰もが運搬用の鞄やケースに入れた装備を抱えており、今の社会ではクロウラーは遠出する時は何かしら装備を持ち歩くことが常識となっているのを改めて実感する。
「こちらメンバーはタンク1シューター1!後衛募集中!」
「現在こっちは魔法使い1とシューター1に槍使い1!女性メンバー募集してまーす!」
早速メンバー募集の声が飛び交っている駅のロビー、もはやダンジョン受付前のような有様だ。
どうしたものかと考えている間にどんどん、メンバー募集していた人たちのところに人が集まり即席パーティが編成されていく。
中にはOLの集まりなのか、社会人らしき女性3人組が声を上げてる光景も目に見える。
「あ、辰野先生だ」
「何? む、本当ではないか」
OL3人組のところにお邪魔しようかと考え始めていたところに、中学校のダンジョン実習や授業でお世話になっている蜥蜴先生を発見する静と俺。
人ごみの中でも目立つ巨漢の先生は、背中に盾を収めていると思しき包みを背負い手には槍が入ってるっぽいケースを持ったまま、周囲の様子を見ていた。
「透、どうする? 辰野先生ならおばさんも許可出してくれると思うよ」
「そうじゃのう」
蜥蜴先生の実力は授業の中で俺達もよく知っている、だがOL3人組も腕に自信はありそうだしそっちでも特に問題はないだろう。
むしろ中学生である俺達二人を入れる事の方が、OL3人組はリスクを感じて断られるかもしれない。
そうと決まれば俺の動きは速かった。
「教諭殿、お主もダンジョンアタックメンバーの募集をしておるのかの?」
「賽目に狐森か、ああ……良いメンバーがいないか目星をつけていたのだが、お前達もダンジョン攻略に参加するのか?」
「はい! 折角の良い機会だし参加してみようかと思いまして!」
「校則で特に縛ってないが推奨もしていないのだがな……」
静がピンと耳と尻尾を立てて元気よく発現するその姿に、蜥蜴先生は眉間を揉み解すようにしながらなんとも形容し難い声で応じる。
「じゃが教諭殿よこう考えたらどうじゃ? 実力はあるが意欲が高すぎる生徒をそのままにするより、管理下に置いた方が安全と」
「教師に対して脅迫するような物言いは感心しないな、賽目」
「そう取られるのは心外じゃのう」
コイツは本当に……と言わんばかりの表情を浮かべる蜥蜴先生の様子に、内心ひやひやしながら俺は嘯いて見せる。
その後最終的に蜥蜴先生は引率兼監督役としてパーティに入る事を承諾、俺の母さんにその旨を告げ無事ダンジョン突入の許可をもらう事に成功。
「うちのバカ息子が本当に申し訳ありません……」
「いえいえ、それに賽目君だけじゃなく狐森さんにも責任はありますからな」
「ボクも!?」
ついでに俺と静は毎日のようにダンジョンに潜る変わり者生徒という枠から、問題児枠にクラスチェンジした。解せぬ。
だがそんなことは些細な事、という事にして俺達は早速駅員が用意した即席の更衣室で着替え準備を整える。
「うわ、すっごい体……」
「さっきチラっと見たけど学生証で入ってたよね、ってことは学生? 嘘でしょ……」
なんか更衣室の中で女性クロウラーの人から遠巻きに見られながら、いろんな意味で話題の種になったのも些細な事だ。
なお俺自身はなるべく他の人の着替えを視界に入れないよう、視線を落とし手早く着替える事に必死だったのは言うまでもない。
隣で着替えている静は特に気にする様子を見せてないが、お前俺の隣でいいのかよ。
「小狐や、妾の隣で着替えて良いのか?」
「? なんで?」
「いや、こう……むう、なんでもない」
「変な透」
いや、無防備で大分変なのお前の方だからね?
コイツの距離感が良くわからねえ……たまに隙あらば抱えてもふったりしてる俺が言えた義理じゃない? それは、そう。
駅などの公共施設は周囲にダンジョンが湧いた場合に備え、対応できるよう施設を用意しないといけない法律があったりなかったりするかもしれない。
ちなみに蜥蜴先生の外見イメージはあれです。
某健全魔物娘RPGな「アウラ〇と光の竜 GL」に出てくる、ガドゥラっていうイケメンリザードマン将軍さんな感じ。
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
-
どちらでもよい
-
AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
-
AI絵ならいらない
-
お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)