幻想交じりの現代社会でTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
我慢しきれずお漏らししました、しょうがないね。
1話投稿時点で4話まではストックがあるので、在庫補充が追いついている間は毎日更新します。
多少需要があるっぽいので、狐森 静さんのイメージがこちらになります。
(AI画像生成ツール使用)
【挿絵表示】
俺の手の中で鈍く銀色に輝く戦神の聖印、そして明らかに高くなった視点。
それだけにも身に着けている装備から導き出される結論はある、しかしまだ自分自身でも信じられない俺は自身の目でも確かめる為に静へ声をかける。
「静嬢……手鏡か何かを、貸してもらえぬか?」
「嬢……? う、うん!」
俺の言葉にまだ混乱から立ち直っていない静は我に返ると、ポシェットを開いてその中から折り畳み式の手鏡を開きながら俺へ手渡す。
手鏡を受け取り覗き込んだソレに映っていた顔……それは。
前世でレオス・クラインと名付けてそれなりに長く運用していた、TRPGの自キャラそのものだった。
「ぬぅ、まことか……その、ギルド員さん質問いいですか?」
「はい、どうぞ」
そして今気づいた。
思考は変わってないのに口から出てくる言葉も、微妙に変換されている……?!
「その、吾輩のように才能の成長で変身に至ったケースは、あるのだろうか?」
「多くはないですし珍しくはありますが……前例がないわけではありませんよ。
そうだ、俺は
しかし同時に自分自身をレオス・クラインだとも感じている。
だがレオスそのものになったと錯覚しそうになりながら、同時に自分自身は
控えめに言ってワケがわからねぇ……!
と言うかコレ元に戻れるのか? 体格も顔も声も何もかも変わってるワケだから、家に帰ってもどちら様案件待ったなしだぞオイ。
「透! 深呼吸!」
「静嬢も落ち着くべきかと」
「言ってる場合じゃないでしょ!まずは深呼吸!」
「ぬぅ……」
自身の考えに沈み込んでいきそうな俺の耳に、活を入れるかのように静の声が飛び込んでくる。
自分で言うのも何だが内心はともかく外側ことレオスはアホみたいに落ち着いているせいか、思わず余計なことを口にするが有無を言わせない静の口調に俺は言うとおりにする事にした。
静の言葉に導かれるように俺は大きく息を吸ってから吐き出し、瞑目して自己を再定義し直す事を試みる。
俺は賽目 透、中学校に通う三年生で器用貧乏な男子中学生。
そう自己を再定義し直すとまた視界が白く染まり、体に身に着けていた鎧や装備の重さが消えた。
「よかった、戻れた……服もある」
「服って……」
「大事な話だぞ、変身から戻ったら全裸とか笑い話にもなりゃしない」
「それはうん、そうだけどさぁー……」
見慣れた高さに静の頭と狐耳がある事に安心感を覚えつつ、俺がしみじみとつぶやいた言葉に静が反応を示した。
何を期待したのかわからないがとりあえず言葉を返せば、若干頬を赤らめてごにょごにょと呟いてた。
「なんで頬が赤いのかコレは突っ込みを入れるべきか?」
「知らない!」
敢えて突っ込みを入れてみると静は狐耳と尻尾をピンと立て、ぷいっとそっぽを向いた。
何というかこう、実に若々しい反応である。
「こほん」
そんなやり取りをしてたら、俺達の会話を見守っていた係員の人に咳払いをされた。
ハプニングがあったとはいえ、想定以上に別室を二人で使っていたのは事実なので慌てて二人そろって頭を下げて別室から退室する事にするのであった。
「それで、この後どうしようか」
「そうだなぁ」
クロウラー用アプリに依頼達成の報酬とポイントが振り込まれたのも確認し、俺達は自由実習ダンジョンの窓口がある建物を出る。
通常のダンジョンは少し街から離れたところにあるのが定石だが、このダンジョンは町中にあるのが非常に有難い。
都会の方になるとそうも言ってられないらしいが、こればかりはほどほどの田舎町様様と言えよう。
「時間もまだまだ明るいし解散ってのも勿体ないと思わない?」
「じゃ、俺、帰っから!」
「逃がさないよ?」
聞きようによってはドラマチックな静の言葉だが、言葉の裏に隠れた剣呑な響きを察した俺は踵を返して片手をシュタとあげ全速力逃走の構えを取る。
だが静から見れば鈍足でしかない俺は、あっという間に回り込まれてしまう。
コイツ、眼で爛々と語ってやがる。
俺が変身した姿……レオス・クラインと試合がしたいって……!!
「……わかった、わかったよ静」
「そうと決まれば行こうよ透!」
静の家……狐森家は古く遡ると江戸時代どころか戦国時代にまでルーツを辿る事が出来るそうだ。
戦乱を超え時代を超え人斬り技術を研ぎ澄ませてきた、どこに出しても恥ずかしくない戦闘民族の家系と言える。
「……大丈夫だよな?」
「どうしたの? 透」
「い、いや……師範のじっちゃんが居たら下手すると俺の首が飛ぶから……」
「そんな心配しなくても大丈夫だって」
敷地に入る前に一度役割を斥候に自己定義し、物陰に潜んで気配を必死に探る俺に対して怪訝な視線を向ける静。
そんな幼馴染に対し俺は冷や汗を隠す事なく理由を告げれば、静は大袈裟だなーと言わんばかりにケラケラと笑って見せた。
「お前、あの人斬りじっちゃんから激甘だからそんな事言えるんだよ。道場辞めようとした時、マジで三途の川Take2を拝むところだったからな?」
「大袈裟極まりないなー、それにTake2って何? いつ三途の川初見を達成したの」
三途の川初見実績は多分記憶に残ってないです、とまでは流石に言えない俺は口を真一文字に結んで沈黙を選ぶ。
才能の限界を感じて俺は、静の家がやてった剣術道場を昔辞めた事があるのだが。
その時にそれはもう酷い目に遭った、思い出したくないどころか記憶が朧気になるというか思い出すと頭痛が走る程度には恐ろしい記憶になっている。
「まぁいいけどさ、それにお爺ちゃんは先週から町内の寄り合いで彦根温泉巡りに行ってるから留守だよ」
「よっしゃぁセーフ! それを早く教えてくれよ静!」
「ボクが言う前に隠れ始めたの透だと思うけどなー」
そうと決まれば話は早いと言わんばかりに足を進める俺に対し、静は何とも言えない表情をしているが見えないフリをする。
「あ、静さん押忍!」
「押忍!!」
勝手知ったる我が家な道場にそのまま足を踏み入れる静に対し、訓練に励んでいた道場生達がすぐに声をかけ。
その後に入ってきた俺を見て視線の種類を変える。
きょとんとしているのは俺が剣術道場を辞めた後に入ったので、忌々しそうな顔や苦虫を噛み潰したような顔をしてるのは俺が辞めた時からいる連中だな。
「ちょっと透と試合したいから、場所空けてもらっていい?」
「え……賽目と、ですか?」
「何か問題?」
「い、いえ! すぐに空けます!」
道場の中央付近で訓練をしていた道場生に声をかける静に対し、心の底から怪訝そうな顔を浮かべるも。
その後にかけられた圧力に背筋をピンと伸ばすと、逃げるようにスペースを空け始める。
刀を抜いた時と同じ圧力を道場生にかけるのは俺、よくないと思うなぁ。
思わずそんな具合に現実逃避しながら、何度転がされて見上げたか覚えていない道場の天井を見上げる。
しかしすぐに静に呼ばれることになり、俺はのそのそと歩みを進める。
「じゃあ透、あの姿になって」
「……わかった」
普通こういう特殊能力と言うか才能はもっと隠れるべきというか、変身というのは人目につかないところでやるべきでは?
そんな事を考えてしまう俺がいるが、こうなった静は梃子でも動かないからなぁ。
俺は瞑目すると意識の中に浮かぶキャラシートへ手を伸ばし、二度目の変身を行う。
周囲からどよめく声が聞こえる中、俺の体に装備の荷重がかかっていく。
そして俺はすぐにある事に気づいた。
「む、しばし待たれよ」
ワクワクを隠すことなく目を爛々とさせている静を手で制し、俺は周囲のどよめきを気にする事なくグリーブを外しプレートアーマーを外していく。
道場は畳張りだからね、土足に近いグリーブをつけてたらダメに違いない。
「すまぬ、これらはどこに置けばよろしいか?」
「え?あ……そこの隅当たりに……」
「忝い」
外したグリーブやプレートアーマー、それに背負っていたグレートソードを指示された箇所にまとめて置いた俺は、壁にかかっていた船の櫂のような大木刀を手に取る。
軽く振ってみれば手になじむ、どうやらレオスの体が持つファイターとしての能力がきちんと適用されているらしい。
「すまない、待たせたな」
「いいよー」
尻尾をゆらゆらと振る静もまた鍛錬用の木刀を手に持ち、肩に担ぐように構えている。
コイツ、最初からフルスロットルで来るつもりか。
俺と静は互いに相対したまま、ジリ、ジリ、と円を描くように間合いを図る。
最初に動き始めたのは静だった。
「シィッ!!」
いつもより視点が高くなった俺の足元を狙うかのように、足元を滑りながら飛び込んできた静が薙ぎ払うように木刀を振るう。
俺はソレに対し慌てる事なく大木刀を床に突き立てるようにしつつ、下から掬い上げるように振るう事で静の木刀を打ち払おうとする。
「アハッ!」
だがその行動は想定内だったのか静は木刀同士の衝突によって生まれた衝撃、それに合わせて俺の剣戟を弾く事で生まれた反発力を用いてその小さな体を独楽のように回転させる。
もしかしなくても静の狙いは、回転速度を跳ね上げることで放つ胴体への横なぎによる追撃。
今までの俺ならこの一撃どころか最初の一撃で足を取られ成すすべもなくダウンしていただろうし、辛うじて凌げても二撃目で沈んでいた。
だが今は違う。
「甘い、ですな!」
気合と勇気による更なる踏み込みを行い、静が振るった木刀の根元の一撃を胴体に受けながら俺は体当たりで静を跳ね飛ばす。
ダメージレースとしては痛み分け、俺は胴体に痛みを抱える羽目になったし膂力に優れたこの体によるぶちかましは静の小さな体に与える衝撃は大きい。
だがその程度で止まる静ではない、吹き飛ばされた静は空中で体をひねると体勢を立て直して右手で木刀を掴んだまま、左手を地面に叩きつけ畳に跡を残し滑りながら着地すると。
口がまるで三日月のように見えるぐらいに口角を釣り上げた、獰猛な笑みを浮かべながら初撃よりさらに早い爆発的な踏み込み速度で俺へと向かってくる。
「楽しい!楽しいよ透ぅ!!」
「こっちは冷や汗が止まりませんが、な!」
必殺の意思が籠められた大上段の一撃、それに対して俺は大木刀を割り込ませ、静が振るう唐竹割りを真正面から……。
静の木刀の一撃が直撃する直前に膝を曲げ、腰を深く落として大木刀を盾のようにして何とか受け止める事に成功する。
「……やるじゃん!」
「お褒めに預かり光栄ですな!」
もしもあそこで迎え撃つために大木刀を振るっていたら、即座に静は太刀筋を変えて大木刀を弾きにきていたであろう。
だがそれを読んでるからと言って、最初から受けの姿勢を見せていれば今度は警戒が薄いところへの一撃にコイツなら迷う事無く切り替えていた。
「まだ続けますかな?」
「いや、やめとくー。今ので試合の形式じゃボクは勝てないってわかったから」
刀を抜いた時のような剣呑な空気ではなく、満足したのかさっぱりした顔でそんなことを静はのたまう。
こっちもまぁ生きた心地はしなかったが、変身後の能力をある程度実地試験できたからよしとしよう。
「う゛っ」
「結構派手にぶちかましましたからなぁ、しばしお待ちを」
そして俺のぶちかましによるダメージと制動の為に地面について左手が痛むのか、近付いて様子を見る。
ぶちかましの方はよくわからないが、左手は爪がはがれかけている。どれだけ本気でやってたんだコイツ。
「戦神よ汝の慈悲を以って勇敢なる者達に治癒を施したまへ」
レオスの肉体に宿る知識が導くままに俺は、この体が持つプリースト技能で使用が可能な治癒の神聖魔法を唱える。
治療対象は静と……先ほど静が振るった木刀の根元が脇腹に直撃した俺の2名だ。
詠唱と共に静かと俺の体は柔らかな燐光に包まれ、、そして光が止むころには静の傷も俺の脇腹の痛みも消えていた。
それなりに高い前衛能力に神聖魔法……感覚的に解毒や狂気を癒す神聖魔法も使えそうだし、これはかなりクロウラーとして有能と言えるかもしれない。
「わ、すごい……傷も体の痛みも消えたよ、透」
「それは何よりですな」
先ほどまでの俺と静の死闘と、その直後に行われた治療でいまだ周囲がどよめく中。
静が無邪気に凄い凄いと口にするのを横目に見つつ、俺は検証のために視界に先ほど外した装備を入れた後瞑目し元の姿へと戻る。
そして瞳を再度開いてみると、先ほど道場の隅によけておいたグレートソードやプレートアーマー等は跡形もなく姿を消していた。
どうやら装備を外した状態で変身を解除しても、装備は一緒に消えるようだ。
「なんか妙に疲れた……このまま帰る事にするわ俺」
「うん、付き合ってくれてありがとね透!」
闘争本能が大分満たされたのか満足げな静の様子に俺は苦笑いを浮かべつつ、片手をあげて道場からお暇する。
まぁ……俺もキャラシートに触れる事で行える変身で得られる力をある程度実践できたから、渡りに船だったのは間違いない。
それと自分をあさましく感じないわけではないが、俺を見下し嘲っていた道場の門下生の連中がどよめき俺を見る目が少し変わったこと。
そのことが俺の心に少しばかりスッキリとした感情を与えたのは確かだった。
その後特にハプニングも何もなく無事帰宅、というより静の家がやっている道場から割と近いから言うほど時間もかかっていない。
俺は今世ではもはや慣れ親しんだ我が家の玄関のドアを開けると、お茶の間の椅子に座ってテレビを見ている母親に声をかける。
「ただいま、母さん」
「おかえり透、静ちゃんとダンジョンに行くってメール入ってたけど大丈夫だった?」
「特に問題もなかったよ」
冷蔵庫から牛乳パックを取り出してコップに注ぐ俺に、テレビからこちらへ顔を向けた母さんが声をかけてくる。
ハプニングと言うか予想外の事態は起きたが、マイナスなことではないしダンジョンでは怪我をしてないから言葉のまま返す。
しかし母さんは何かに気づいた様子を見せる。
「透……あんた、何か良い事でもあったの?」
「え? また急に何言い出すのさ」
「いやだってあんた、凄い嬉しそうじゃない」
牛乳を注いだコップを一息に呷り中身を飲み干した俺は、母さんからの問いかけに返事をする。
そりゃ嬉しい事はあったが、そんなに露骨に態度に出ていたのか俺。
「そんなに露骨に嬉しそう?」
「何年あんたの母親やってると思ってるの、明らかに嬉しそうにしてるわよ」
「あー……」
流石は母親と言うか、妙ちきりんな息子を母さんはしっかり見ていたようだ。
俺はテーブルを挟んだ母さんの向かいにある椅子に座りつつ、何から話すべきか少しばかり考える。
「自由実習ダンジョンでドロップした宝箱から出てきたポーション飲んだら、『役割』の才能がバージョンアップした」
「待って透、大分情報量多いからもう少し刻んで話してくれると嬉しい」
自分なりに端折ったつもりだったが情報圧縮し過ぎたらしい。
「まぁいいわ、私はダンジョンとかよくわからないから」
「いいんだ、それで」
「いいのよ、あんたが昔からクロウラーになりたがってた事も知ってたしね。 ……良かったじゃない、夢が叶えられそうで」
そう言いながら母さんはテーブルの上に置いたお皿から一枚煎餅を取り。
ぼりぼりと齧りながら視線をテレビへと戻す。
クロウラーになるのが夢だったわけではないけど、でもまぁ冒険がしたかったのは事実だから結果的にはほぼイコール同じ事かもしれない。
その辺りをわざわざ訂正するのも何処かおかしな話だし、とりあえず報告は済ませたので俺は椅子から立ち上がる。
「そうだ、折角だし何か食べたいモノある?」
「エールが飲みたい」
「エール?お酒の事言ってんなら5年早いわよバカ息子」
冒険の後はエールだろ、と言わんばかりに意識の中に宿るキャラシートのレオスが主張したのか無意識に俺の口からアルコールを要求する言葉が飛び出た。
そんな俺の突然の飲酒宣言に母さんは半笑いを浮かべながら俺を見、アルコール要求宣言を鼻で笑ってあしらう。
……この才能本当に大丈夫か? 俺の意識を逆に汚染したりしないよな???
ちなみにヒロインが狐耳尻尾美少女の理由ですが。
読者の皆さんは気付いてなかったかもしれませんが、作者の趣味です。
でも自制してお胸のサイズは控えめにしました。
サイズが大きいと刀振るの大変だからね、しょうがないね。
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
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どちらでもよい
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AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
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AI絵ならいらない
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お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)