幻想交じりの現代社会をTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
なお危険物になるマジックアイテムの個人販売が可能かは別とする。
夕焼けが空を包みカラスがカァカァと鳴く中。
伯父さんの家の庭では大分アレな光景が繰り広げられていた。
「ほ、ほんまに!この作業必要なん!?」
「無論じゃ」
「透-、こっちの素材刻み終わったよー」
少しどころか大分怪しい商店街で素材を買い込んできた俺達は、伯父さん家の庭にて買い込んだ素材を砕いたり刻んだりの作業で奮闘。
晶兄さんがトンカチで砕いた頭蓋骨の破片をさらに乳鉢ですり潰し、すり潰されたソレを別に器へ移しては墨汁と少しずつ混ぜ合わせていく。
「うむうむ、思うた通りじゃ。実に良い魔力を感じるわい」
「ボクにはさっぱりだけど……」
俺と同じようにエプロンを着けた静は、満足そうな俺の手元を覗き込んで不思議そうに呟く。
まぁこれは多分感覚的なヤツだから、そんなに気にする必要もないと思う。
「ぜぇ、ぜぇ……あらかた砕いたで……!」
「じゃあ次はこの骨片を乳鉢ですり潰してほしいのじゃ」
「人使いが大分荒い!!」
とはいっても骨粉にしたすべてを墨汁を混ぜて魔力が籠ったインクにするわけでもない。
まずはある程度お試しで作れる程度の素材だけ準備して、後は追々試していくとしよう。
……改めて考えるとあそこまで買い込む必要はなかったかもしれない。
「そしてスクロールに書き込むのに使うのが、この半紙じゃ」
「魔法のスクロールって効くと羊皮紙ってイメージあるけど、半紙でもいいの?」
「この半紙は京都の陰陽師も使ってると噂の半紙じゃ、恐らく問題ないじゃろう」
本当は羊皮紙が欲しかったが流石に羊皮紙は売ってなかったのだ、故に代用品の半紙を使う事にした。
ついでに筆も陰陽師御用達のヤツだ、筆から自作するともっと良いのかもしれないけど、さすがにそういう毛筆に使える素材は無かった為苦肉の策である。
「とはいえいきなり攻撃魔法を試すのも危険じゃしのう、ここはアレを試すとするかの」
「あ、そこは安全策とるんだね」
「流石のワイも自宅で現場猫案件はお断りやで……」
魔力が籠ったインクを筆になじませると、俺は魔法を詠唱する時のように集中して筆を握る。
揺蕩う魔力で俺の長い髪がたなびく中、半紙は僅かなりとも揺らぐことはなく、ゆっくりと俺の手によって魔力が籠められたルーン文字が半紙へと書き込まれ。
魔力と親和性の高い半紙がゆっくりと力を持つ魔法のスクロールの力を帯びていく。
「おぉ……めっちゃミステリアスや……」
呆然と呟く晶兄さんの声が耳に届くが、俺の集中は途切れることなく。
そのまま二人が固唾を飲んで見守る中……俺は半トランス状態に陥りながらスクロールを一枚書き上げる事に成功する。
「……ふぅ、思った以上にくたびれたわい」
「お疲れ様」
仕上げた半紙のスクロールを両手で軽く広げ、その仕上がりに満足気に頷く俺を労う静。
そんな彼女に俺はできたばかりのスクロールを手渡す。
「小狐よ、このスクロールにはダンシングライト……任意で移動させられる光球を作り出す魔法を籠めたのじゃ、使えるかどうか試してみてもらえぬかの?」
「うん、わかったよ! ……どう使えばいいの?」
「スクロールを広げ、ダンシングライトと唱えて見るのじゃ」
さて本来ならばウィザードが作ったスクロールは同じウィザードなどの魔法使いしか使えない。
だがこの世界では向き不向きはあれど、学習したり修練すれば魔法を使う事も可能となるのだ。
……まぁソレに向いた才能とか無いと効力のある魔法使えないから、実質専業になる事が多いのが実情だけど。
「ええと……ダンシングライト!」
緊張しているのか静は尻尾をピンと立てたままスクロールを広げ、ダンシングライトと唱える。
結果は……。
「マジで?! なんか出たで!?」
「わ、わわ……!」
一つの光球が静が両手で広げたスクロールから出現し、少し薄暗くなってきた庭を明るく照らす。
魔法を使えた喜びに静は目を輝かせながら耳と尻尾をぴょこぴょこと動かすと、軽く腕を振ってすいすいと光球を動かし始める。
晶兄さんもまさかの展開に驚きを隠せないのか、マジで!?って何度も口にしている。
だが俺の内心は若干予想外と言うのが正直な感想であった。
本来ならダンシングライトは4つの光球を生み出す魔法で、スクロールでもソレは変わらない筈なのである。
考えられるとしたら、ウィザードが使わなかったことで本来は発動しないものが……この世界の人間の特性で、劣化版が発動した可能性が考えられる。
「あ、消えちゃった……わ、スクロールも崩れちゃうっ!?」
「効果時間は1分間、まぁ上々じゃの。 スクロールは使い捨てじゃからの、気にするでないわ小狐」
「め、めっちゃ凄いやん透ちゃん!」
そうしている間に時間経過で光球は消失し、静が残念そうにしたのもつかの間彼女が両手で広げていたスクロールがボロボロと崩れ落ち静が慌てふためく。
そんな静に落ち着くよう声をかけていると、晶兄さんが興奮冷めやらぬと言った様子で詰め寄ってきた。
「魔法の道具作るー言うた時は上手くいくんか不安やったけど凄いやん! 大学でも自作できる連中少ないんやで!」
「……そうなのか?」
「せやで! 市販されてるヤツは才能持ちが作る高級品か、大量生産技術が確立されたヤツしかあらへん!」
興奮したまま捲し立ててくる晶兄さんの言葉に俺は大きく深呼吸し、思わず星々が瞬き始めた夜空を見上げる。
どうやら大分、やらかしたらしい。
「……勝手に作って罰せられる法律とか、無いかの?」
「そこは安心してええで、無許可で販売せん限りは大丈夫や。 売ったりしたら流石にあかんけどな」
「作る分には大丈夫か……それなら安心じゃ」
「せやけど、透ちゃんが作るー言うたファイアボールのスクロールは大分グレーやな、危険すぎるヤツは作るにしても免許が必要なる場合あるで」
まさかのここにきてスクロール大量生産からの、リソース節約大作戦頓挫のお知らせ。
俺は思わず、大量に買い込んだ素材を見てからもう一度晶兄さんへ視線を送る。
晶兄さんは気の毒そうな顔をしながら、小さく首を横に振った。
「……妾らで使う分に留める分には?」
「大分粘るな透ちゃん、まぁ、うん、お巡りさんとかお役人にバレなければギリセーフちゃう? 知らんけど」
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その夜の夢の中という名の心象風景にて。
本日の俺の奮闘を眺めていたらしい爆乳狐巫女は腕を組みながら、開口一番こう言い放った。
「まぁ残念でもなく当然ってヤツじゃなぁ」
「ぐぬぅ」
爆乳狐巫女の言葉に、返す言葉もなく俺はただうめき声をあげるのみ。
しょうがないじゃない、テンションが上がってしまったんだのも。
「と言うかあんだけ買い込んだ素材どうするつもりじゃ?」
「……自宅に郵送で送ってもらうことにするわい」
「見事なまでに計画性皆無じゃのう」
「喧しいわ」
ケタケタ笑う爆乳狐巫女の言葉を強引に遮ると俺はソファに勢いよく腰を下ろす。
その際に勢いよく胸も弾むが、ここにいるのは俺と爆乳狐巫女だけだ。お行儀の悪さを咎める人物はいない。
「それで、借金はどのぐらい減ったかのう?」
「前置きもなく突然じゃのー……そうじゃな、今のところおおよそ-2000と言ったところじゃ」
「おお」
いつものダンジョンよりもはるかに効率が良い数字に、俺は自身の声が弾むのを感じる。
このペースで潜り続ければ……って。
「……しかしこの効率が良い稼ぎも後僅か、か」
「明日は休息になる故ダンジョンにも潜れぬからのう」
せめて長距離テレポートが可能な魔法が解禁されていたら、こっちに通い詰めてダンジョン攻略に勤しむというのに。
絶妙に出来ることを制限されているのが実に歯がゆい。
「まぁ今回の稼ぎ自体が降ってわいたもんじゃし、諦めて女体化生活エンジョイを長く楽しむのも悪くはないと思うのじゃ」
「断固拒否じゃ」
とんでもないことを抜かす爆乳狐巫女に俺は中指を突き立てながら言い返す。
だが俺の抗議の視線も言葉もなんら痛痒に感じないのか、爆乳狐巫女はただ愉快そうに笑うのみだ。
「しかしお主、なんか見落としとる事に気づいておらぬか?」
「なんじゃ? 特に心当たりはないが……」
「仮に男に戻れるようになったからと言って、その姿を捨てれるとは限らぬぞ?」
爆乳狐巫女の言葉に俺は凍り付く。
だが言われてみれば当然と言うか、何故今この時に至るまでその事に思い至らなかったのか案件だ。
既に地元ではそれなりに顔が売れた学生クロウラーになっており、今後も必要とあらば使わない選択肢は正直言ってない程に優秀なキャラクター。
そんなキャラクターを、男に戻れるようになったとして捨てれるかと言えば……答えはNOだ。
「あ、ああ……」
「お主はディーヴァに、そしてこの後に続く性癖女体キャラクターからは決して逃れられぬという事じゃ」
無慈悲とも思える宣告を突き付けられた俺は、心象風景の中でただ崩れ落ちるのであった。
ただでさえ愛着があるキャラクターでもあるのに、捨てられるワケないじゃん……!!
危険なマジックアイテムの自作はグレーゾーン、無免許販売はお巡りさんにお叱りを受ける案件。
残念でもなく当然かもしれない、万人に魔法使いの可能性があるこの世界ではなおさらと言える。
そして今更、「お前男に戻れるようになったからといって、便利で優秀なディーヴァの姿捨てれるん???」と言う質問を突き付けられ。
愛着もあり捨てられるわけがないと突き付けられた透であった。
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
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どちらでもよい
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AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
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AI絵ならいらない
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お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)