幻想交じりの現代社会をTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
結論:目先の欲望に釣られると碌なことにならない。
伯父さんの家に来てから五日目の夜。
俺と静がべらぼうに食べるのに合わせて、伯母さんが用意してくれた食事を味わっていた時の事である。
「ただいま帰ったで~!」
お昼に東京から来た学者先生と一緒に出掛けたままになっていた伯父さんが、非常に上機嫌そうな声と共に帰宅した。
その声の調子から何か非常に良い事があったことが簡単に伺い知れる中、俺と静は互いに何があったのだろうと顔を見合わせる。
なお俺も静も当初は割と遠慮がちに伯父さんの家では飯を食っていたのだが、伯母さんより遠慮何てするなと強く言われた為。
俺達は常識の範囲内でもりもりと白米を頂いていたりする。
「あなたお帰りなさい、何か良い事でもあったん?」
「聞いてくれや君枝! ダンジョンの問題がまるっと解決できそうになったで!」
リビングに入ってきた伯父さんに対し台所から顔を出した伯母さんが声をかけると、伯父さんは酒が入ってない様子なのに。
酒が入っている時と変わらないぐらいのテンションで、満面の笑みでその疑問に答える。
伯父さんの言葉に思わず俺達の食事の手が止まり、リビングのソファに座ってテレビを見ていた晶兄さんも振り返った。
「ソレほんまなんか親父、まぁあの教授が騙すようなことせえへんとは思うけど。ほんまに大丈夫なん?」
「お前達に、ほんでもって透ちゃんと静ちゃんにも苦労かけてもうたけど。マジの大マジやで!」
ガハハと心の底から上機嫌そうで笑う伯父さんは、長らくの悩みの種がようやく解決したような非常に快活とした笑顔をしていた。
その笑顔や雰囲気は遺産問題で母さんとかとの仲がひりつくようになる前の、朗らかで陽気な伯父さんを思い出させる雰囲気だった。
「まずあの土地とダンジョンやけどな、お上で管理してもらうことになった! それに伴って業者に払う違約金は全部チャラや!」
「ほんまか親父!?」
「マジやで!」
伯父さんの発言に心底驚いたのか、晶兄さんもソファから勢いよく立ち上がり伯父さんに詰め寄る。
晶兄さんからしたら家の大きな問題にも程があったから、その問題が解決する目途が立った情報は有難いのだろう。
「兄さんらしゅうないやん、透から聞いたで? 個人運営すれば儲かるなら兄さんならそうする思うたんやけどな」
「洋子の言う通りやし、そう言われて当然やしソレも考えたのは事実や」
一方で母さんは煎餅を齧りながら冷ややかな目を伯父さんに向けながら、その真意を問い詰める。
ソレが出来るなら最初からしておけという母さんの内心が、その視線からありありと読み取れる。
だが伯父さんはその言葉に頷き否定することなく受け止め、言葉を続ける。
「その理由は学者先生にも見てもろた、2層以降で出る鉱石が原因でな。ちょっと個人の手には余る判断したんや」
「……兄さんがそう言うっちゅー事は大分アレな代物みたいやね、まぁそこで正気に戻ってくれて何よりやわ」
伯父さんの言葉に母さんはしばらく疑うような目を向けるも、ふっと笑うと態度を軟化させて笑みを浮かべながらそう言葉を締め括った。
どうやら母さんの中で心理的に解決したらしいようで、ホッとした俺は静と共にもぐもぐ作業を再開する。
「透ちゃんと静ちゃんにはほんと感謝してもしきれへん、おっちゃんの伝手だけじゃそこまで調査できひんかったはずやしな!」
「むぐ……買い被り過ぎじゃ、シゲ殿にジョー殿、それと晶兄上の実力なら時間はかかっても同じ結果は出せた筈じゃて」
そして急にこっちに会話のボールが飛んできたので俺は口の中身を呑み込むと、伯父さんの言葉に苦笑いを浮かべながら応じる。
静も無言で俺の隣で頷いて同意を示しているが、伯父さん的には違うらしい。
「いーやそんな事ないで! 確かにそうかもわからんけど、二人がおらんかったらどれだけ進んだかもわからへん!ホンマに二人は救いの女神やで!」
「……いや妾は今はこんな姿じゃが、元々は伯父上も知っての通りの男子じゃぞ?」
「言葉の綾や!」
伯父さんが力強く言い切ると共に、伯母さんがそっと差し出した缶ビールのプルタブを勢いよく開けてその中身を一気に呷る。
一方で何か気になったのか、晶兄さんが口を開く。
「なぁ親父、そういう話になったって事はもうあのダンジョンに潜れへんのか? そうやとすると、わざわざ二人呼びつけておいてこっちの都合でもう潜れませんゆーんは、余りに不義理とちゃうか?」
俺、そして多分静も気にしていたであろう言葉を晶兄さんが伯父さんに問いかける。
思わず俺と静も伯父さんへ視線を向けると、伯父さんはビールの缶をテーブルの上にゆっくり置き……。
ニカッと笑みを浮かべた。
「そこは大丈夫や! 土地の所有者の名義はこっちのままで、その上で東京の学者先生が管理は国がやってくれるよう上手い事やってくれるようしてくれたで!」
「つまり、どういう事や親父」
「所有者が許可出せば問題ないって事や!」
「それでええんか親父」
大分グレーゾーンな法適用してる気がするが、ちゃんとブレーンが付いているから多分大丈夫なのだろう。
秩序を重視する気性が強い今の姿、ディーヴァの性格的には若干眉をひそめてしまうが、まぁここで無理に口を挟むも野暮だと思うのでおとなしく紅生姜揚げを頬張る。
「と言うわけで透ちゃんに静ちゃん、それと晶! 明日からバンバン潜ってもろてええで!……せやけど、ダンジョンの核壊すのは無しで頼むわ!」
「わかりました」
丁度おかずを頬張ったばかりで返事できない俺の代わりにと、麦茶を飲んでいた静がグラスを置いて伯父さんの言葉に応じた。
さりげなくついでに酷使されることが決定されている晶兄さんが、何かもの言いたげに伯父さんを半眼で睨んでるけど伯父さんはその抗議の視線については無視を決め込んだ。
・
・
・
・
・
そうして迎えた6日目のダンジョン探検の時間。
シゲさんとジョーさんの伯父さんから話を聞いていたのか、二人とも苦笑いしながら合流した俺達を迎えてくれ……。
一日の休養日を挟んだ影響か、連日潜っていた時に比べ非常に順調にダンジョン探検が進む。
そんな中、2層から3層に下りる手前でシゲさんが口を開いた。
「卓のやつも悪運強いというかなんと言うか、振り回されて二人とも難儀やったなぁ」
「まぁ大変と言えばそうじゃが、妾にも利益がある話じゃしの。良しとするのじゃ」
「透ちゃんは大人やなぁ。いや体付きとかそういう意味で言ったんちゃうで?」
「ジョーさんソレ言うた時点で大分語るに落ちとると思うで」
そして二人ともある意味相変わらずであった。
二人の口ぶりからするに、伯父さんに大分振り回されて慣れているのだろう。
「しかし気を抜く理由にはならぬ、そうじゃな?」
「お、透ちゃんも言うようになったやんけ。その通りやで! 五体満足健康に帰ってこそのクロウラーやからな!」
「せやせや、退けない時ならともかくこんな探検で命賭ける必要あらへんからなー」
だがそれでも、二人の言葉に対して尊大な物言いになってしまったが油断せず進むことを宣言すると。
二人ともニヤリと笑うと、その精神が大事やと教えてくれる。
「ワイはむしろ大学戻ってからが大変やわ……透ちゃんと静ちゃん、ついでにおっちゃんらの居る探検がド安定過ぎるのがアカンて」
「男が泣き言言うもんちゃうで晶のボン」
「せやせや、男が泣き言言うてええのはお馬さんの馬券外した時と外れのふうぞくじょ」
「ソレ以上はコンプラ的にアウトやでジョー!!」
一方で晶兄さんが今のメンバーが快適過ぎるのか、東京に戻った後が不安だとボヤくような呟きを漏らす。
そんな情けない大学生男子に喝を入れるかのようにシゲさんがゲラゲラ笑いながら突っ込みをいれ、ジョーさんが女子が居る中で言うには大分不適切な内容を口走ると。
ソレ以上は言わせへんでとばかりにシゲさんの突っ込み貫手が、ジョーさんの脇腹に突き刺さった。
ちなみに俺は馬券外したの辺りから嫌な予感を感じ、静の耳を両手で塞いでいる。
「はぐぉぅっ!? し、シゲ……お前の馬鹿力でそれは、アカンて……!」
体が横からくの字に曲がる勢いで叩き込まれたその一撃にジョーさんは脇腹を押さえながら崩れ落ち、震える声で抗議の声を上げる。
だが無慈悲なことに、その発言に対して擁護したり気遣うような発言が出る事はないのであった。
なんだろう、今日を含めて後二日間しかダンジョンに潜れないのに最終日もこんなノリ繰り広げる気がする。
段々と近付く……愉快な関西のおっちゃん共&愉快な従兄との別れ
こう書くと若干切ない気もするが、多分離れたら離れたで愉快な面々は元気にやってる気がする。
ちなみに当初は伯父さんが家族経営でダンジョン経営に乗り出す展開も考えたのですが。
どう考えても次のトラブルを引き起こし、また透達が呼ばれるというヘイト誘発装置になる未来しか見えなかったので、この展開にしたというどうでもよい裏事情があります。
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
-
どちらでもよい
-
AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
-
AI絵ならいらない
-
お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)