幻想交じりの現代社会をTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
果たして透達は、最後にダンジョンボス撃破まで走り抜けられるのでしょうか。
6日目のダンジョン探検を終えた翌日の7日目。
明日の午前中には新幹線で帰るため、今日が伯父さんの土地に沸いたダンジョンに潜れる最終日である。
「透ちゃんも静ちゃんも随分慣れたもんやな」
「せやで、テキトーしとる高校生クロウラーなんか目じゃないかもしれへんな」
「そんなおだてないで下さいよー」
俺達は今日も順調に進み、現在三層目を進行中であり。
出現した宝箱の開錠を晶兄さんに任せ、少し離れたところで談笑中である。
「いやいやお世辞でも何でもないで、特に静ちゃんなんてこの短期間でアイアンゴーレムの攻撃ほぼ確実に完封出来るようになったやん」
「うむ、見事じゃぞ小狐や」
「そう? えへへ……」
静の謙遜に対してシゲさんがその発言を否定しながら被せるように、静の成長を称える。
俺もシゲさんの言葉に、先ほど静が2体のアイアンゴーレムの一時囲まれる事態になりながらも傷を負う事なく攻撃をいなしきった光景を思い出し、静の腕前を褒める。
すると静は満更でもない様子で耳をぴょこぴょこ動かし、尻尾を振りながら照れ臭そうにはにかんだ。
「しかし不思議よな、魔物を倒す事で少しずつ肉体が増強されていくというのは」
「そう言えば透ちゃんは、特殊な才能でその姿に変身しとるんやったな。おっちゃんから見るとそっちのが不思議に感じるもんやけど」
「ワシらは長年そういうもんやと思っとるからなー、疑問に感じた事もあらへんかったわ」
俺の言葉にベテランの二人はそんなもんやろか、と不思議そうに首を傾げる。
何と言うかこうレベルアップ的な概念とも違う、魔物を撃破するたびにじんわりじんわり能力が上昇するとかそういう感覚なのだろう。
前世のゲームで言うと熟練度システムとか能力値成長とかそんな感じ。
「開いたでー」
「お、晶のボンの仕事も無事終わったみたいやな」
「透ちゃん頼むで」
「うむ」
そうやって話してる間に宝箱の開錠が終わった晶兄さんから声がかかったため、俺はドラゴンスピリットをのしのしと前進させる。
彼?もしくは彼女かはいまだにわからないが、両手で抱えるようにドラゴンスピリットは鉱石を入れる用の籠を持っており……。
晶兄さんは手慣れた調子で、宝箱から出現したと思われる鉱石をその籠の中へ格納した。
これはベテランおっちゃんsの提案で導入された、荷物運搬ドラゴンスピリットくんちゃんである。
戦闘に突入する前に籠を地面に置いて前進させ、戦闘が終わればまた籠を持たせて進ませる。
戦いにも荷物運搬にも使える、万能ねぎより万能な運用方法と言えよう。
「さて残るは最奥のボスのみ、如何するかの?」
「せやなぁ、透ちゃんに静ちゃん次第やで」
「ワシらは余裕のよっちゃんやで、晶のボンも元気百倍や言うとる」
「言うてへんわ、まぁ余裕あるんは事実やけど」
俺の問いかけにベテラン二人と晶兄さんはまだまだいけると意思表示を見せ、静に視線を送れば闘志を目に宿して力強く頷いて返す。
俺も今回は道中ドラゴンスピリットの召喚とファイアボールを2回使用しただけなので、まだリソースは残っている。
具体的にはLv3スロットが1とLv4スロットが3、そしてLv5スロットが1。
Lv1スロットとLv2スロットはほぼ撃ち切ったが……これはかなり節約出来てると言っても過言ではないだろう。
ちなみに余談であるが、ジョーさんが口にした元気百倍と言うフレーズからわかる通り……。
この世界にもお腹を減らせた人に駆けつけるヒーローの作品は存在する、空腹を無くすというのは不変である善の価値観なんだなぁと実感したものだ。
「妾も余力は十分にある、万が一撤退する場合でも抜かりは無いのじゃ」
「ほないこか、皆気張るで!」
「うん、頑張ります……!」
俺の言葉にシゲさんが音頭を取ると、静は軽く拳を握り耳をピンと立てて力強い意志表明。
ジョーさんと晶兄さんもまた同様で、俺達は最奥のボス部屋の手前の部屋にドラゴンスピリットが抱えていた籠を下ろさせて突入を開始する。
そして突入したボス部屋に存在するゴーレム、それは前回偵察した時と同じゴーレムで。
アイアンゴーレムとも異なる色と光沢感を持つ、金属で構成されたゴーレムを中心にアイアンゴーレムが隊列を成していた。
「やはり編成に変化は無しかの、まずは範囲で薙ぎ払うのじゃ」
「任せたでぇ!」
侵入者である俺達を認識したボスゴーレムは、まるで隊列を進ませるかのように腕を振ると前列の腕が盾のようになっているアイアンゴーレムを前進させようとしてくる。
だが、そんな見るからに重装甲だと主張しているゴーレムを相手に、真正面からぶち当たる必要などあるわけがない。
俺は攻撃魔法の発動を宣言するとともに詠唱を行い、レベル4スロットを一つ使用してファイアボールを展開。
作り出した業火の火球を敵全体を巻き込める位置へ叩き込み、着弾と同時に爆裂した火球はすさまじい熱と共に破壊を巻き散らす。
そしてファイアボールの業火が収まる直前ぐらいのタイミングで、静と晶兄さんがそれぞれ両サイドから敵集団に回り込むように移動を開始し。
「どっせぇぇい!!」
ファイアボールの一撃を生き延びて、それでもあちこちを融解させながら突進してきたアイアンゴーレムの先頭に居る一体をシゲさんが雄叫びと共に両手槌で粉砕。
その破壊力はアイアンゴーレムを一撃で四散させたばかりか、その体を散弾のように散らばらせ後続のアイアンゴーレムに次々と着弾させる。
「ストラーイクってヤツや!」
「アホたれ何匹か残っとるで」
シゲさんが誇らしげに笑うが、ジョーさんが言うように生き延びたアイアンゴーレムは数多い。
ジョーさんはそいつら目掛けセミオートのスコープが取り付けられていないライフルを構えると、次々と弾丸を撃ち込みトドメを刺していく。
「先制攻撃は大成功と言ったところかのう」
「せやな!」
「こっからが本番やけどな」
火球で大半が壊滅しながらも、それでも機能停止していない後衛の遠距離攻撃を想定しているであろう見た目をしたアイアンゴーレムを睨みながら俺が呟くと。
シゲさんは獰猛に笑みを浮かべてえっちらおっちら走り始め、ジョーさんはファイアボールの一撃でも損傷が少ないボスゴーレムを油断なく見つめている。
そうしている間に回り込み移動していた静と晶兄さんが後衛ゴーレムに接敵し、攻撃を開始する。
「狙い、澄まして……こう!」
「やるやん静ちゃん、ワイも負けてられへんな! ……あかん失敗した!」
静は尻尾を翻しながら両手で握りしめた太刀を水平に構え、一瞬の精神集中と共に火球で装甲が崩れた後衛アイアンゴーレムの核を刺し貫いて機能停止に追い込み。
その活躍を見た晶兄さんも負けてはいられないと双剣を振るうが、装甲の貫通に失敗し慌ててアイアンゴーレムから距離を取る。
「何しとるんや晶のボン! 『貫通』の才能が泣いとるで!」
「無茶言わんといてや!」
ボスゴーレムめがけ両手槌を振り下ろし、そのまま力比べに持ち込んだシゲさんが晶兄さんを叱咤激励。
一方晶兄さんは、運任せなんやからしゃーないやんと若干情けない悲鳴を上げながら、腕を振り回すアイアンゴーレムの一撃を避けている。
「……そう言えば今更であるが、熟練のお二方と晶兄上の才能を気にした事無かったのう」
「普通ダンジョンに潜る初回に確認し合うからな、今更そこに気づくとか透ちゃんは抜けとるな。説明しとらんかったワシらの責任やけど」
後方から戦況を判断しつつ、ファイアボルトを敵めがけて投げ込みながら今更なことを呟いてみれば。
ジョーさんはシゲさんに当てる事なく、数発の弾丸をボスゴーレムに撃ち込みながら俺の言葉に相槌を打つ。
なおボスゴーレムの装甲は想定以上に硬いのか、ジョーさんのライフルでは撃ち抜く事は適わなかった模様。
「ふんぬぅぅぅ!ジョー!お前アレ、アレ……ええと、虎の子言うとった弾薬使えや! 阪神優勝記念のノリで買ったヤツ!!」
「それしかあらへんかぁ、アレ一発でアホみたいに金かかるから使いたないんやけどなぁ」
ボスゴーレムと一進一退の力比べを繰り広げているシゲさんの叫びに、ジョーさんはボヤきながらライフルのマガジンを外すと。
黒と黄色のテープで装飾されたマガジンをセットし、チャンバーに弾薬を送り込む。
俺はその間に今のところ敵増援が無いので、射線確保のためにドラゴンスピリットの体をよじのぼり。
高い視点を確保して杖を構える、狙いはボスゴーレムただ一体だ。
「シゲ殿、雷撃で支援する。何とか距離を取ってほしいのじゃ」
「別嬪さんのお願いなら応えにゃ男が廃ってまうなぁ!」
俺の言葉にシゲさんは意気揚々と応じ、力比べの真っ最中でありながら器用に両手槌を振るうと組み合った姿勢から離脱に成功。
勿論ボスゴーレムはそんなシゲさんに追撃をするべく、その装甲に包まれた腕を振るうが複数回の銃声と共にジョーさんのライフルから放たれた弾丸が、ボスゴーレムの腕と胴体と頭に連続で着弾。
その衝撃は先ほどまでの弾丸とは桁違いなのか、ボスゴーレムの動きを怯ませるには十分だったようだ。
「見事じゃ……!」
ベテランの連携を見届けた俺はレベル3魔法の攻撃魔法、ライトニングボルトの詠唱を始め……。
高度を確保したことでシゲさんを巻き込む心配のない状態から、直線範囲攻撃魔法のライトニングボルトをレベル4スロットを使用して発動する。
空気が焦げるような匂いとオゾン臭を巻き散らしながら発射された、雷撃の光線は即座にボスゴーレムと背後にいたアイアンゴーレムたちに着弾を確認。
その一撃によって巻き込まれたアイアンゴーレムは吹き飛び、ボスゴーレムにも少なくない損傷を与える事に成功した。
これでメイン火力に使える魔法の使用スロットは3,4,5レベルそれぞれが残り1つ。
万が一撤退するためにフォースウォールを展開する事を考えると、レベル3と4のスロットが1つずつと考えるのが妥当だろう。
「めっちゃタフやんけ自分……」
「加勢します!」
「お待たせやでシゲさん!」
だが損傷を与えたとは言え、ボスゴーレムは未だ健在。
周囲のアイアンゴーレムは先ほどのライトニングボルトと、静と晶兄さんの各個撃破でほぼ殲滅しているとはいえここからが本番と言えるだろう。
ドラゴンスピリットまで突っ込ませると、さすがに前衛が囲んで殴るには聊か邪魔になりそうな状態なので精霊は留守番だ。
後は適時ファイアボルトを、仲間の背中を撃たないよう注意しながら撃ち続けるくらいしか出来ないと言える。
強力な魔法は仲間巻き込むからね、しょうがないね。
「なんやコイツ硬すぎるやろ!?」
「アカンてシゲさん、ワイの貫通もろくに通じひん!発動しとる筈やのに!」
「……ってことはほかのゴーレムと違うて、体力も十分にあるっちゅー事やな。こいつは大分骨が折れるで」
だがこのボスゴーレムがとにかく硬い。
どのぐらい硬いかと言うと、俺のファイアボルトくらいしかまともな有効打にならないくらいだ。
前衛3人で囲んでから大分時間が過ぎ、ジョーさんの虎の子弾薬も尽きた以上再度距離を取ってのライトニングボルトと言うのも厳しい状態となっている。
しかしその時である。
「シゲさん、晶さん……少しだけ、お願いしていいですか?」
「なんや考えあるんか静ちゃん。 ええで!」
「よっしゃやったるで!」
シゲさんが攻撃を受け止め、静がボスゴーレムの攻撃を逸らす事とで対応していたのだが。
静が何かを思いついたのかシゲさん達に声をかけ、その様子から何か考えを読み取ったのかシゲさんと晶兄さんがその言葉に快く応じて敵の攻撃を受け止め始める。
既にシゲさんが纏っている防具もべこべこに凹んでいる、決して楽じゃない筈だがそれだけ何かを感じ取ったのだろう。
「すぅー………」
数ステップ分静はボスゴーレムから間合いを取ると、太刀を八相に構えて大きく深呼吸して瞑目する。
それはまるで、精神を統一して大技を放とうとするかのような、そんな予備動作だったが……静は瞳を開くと、俺に一瞬だけ視線を送る。
静の意図を察した俺は杖を構えると、残ったレベル4スロットを消費してとある魔法の詠唱を開始。
今から使用するのはレベル1の攻撃魔法であり、確実な攻撃を狙いたい時に便利な単体攻撃魔法のマジックミサイルだ。
「今じゃ、小狐!」
静のゆらゆらと振られていた尻尾の動きがゆっくりと遅くなり、尻尾がピンと立った瞬間に俺はマジックミサイルを発動しながら叫ぶ。
俺の言葉、そしてマジックミサイルがボスゴーレムに着弾する衝撃によって動きが止まったその瞬間、それを狙い済ましたかのように。
「せぇいやぁぁぁっ!!」
普段の静からは考えられないほどの裂帛の気合が籠った雄叫びと共に静の太刀が大上段から勢いよく振り下ろされ。
その刃は恐ろしいほどに、まるで豆腐に良く研がれた包丁を差し込んだかのようにするりと、ボスゴーレムを両断した。
いや何か考えがあるとは思ったけど、そこまでするとは思ってなかった。
ちなみにこの世界ではRPG的な遊びが発達してないので、レベルアップとかそういう単語が一般的じゃなかったりします。
(どうでもよい世界観情報)
電子ゲームもあるにはあるけど、アクションゲームとかいわゆるゲーセンで遊ぶタイプのゲームが主流な感じです。
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
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どちらでもよい
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AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
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AI絵ならいらない
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お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)