幻想交じりの現代社会でTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
その為魔物を解体して食べたり素材で防具というのは出来ないですが……なぜかドロップ品で魔物肉(そのまま)や鱗や骨はドロップする事があります。
不思議ですね。
山間のすそ野に位置するダンジョンこと、巷では古戦場跡ダンジョンと呼ばれるこのダンジョンには大きな特徴がある。
それは入り口に近い浅い領域では動物系の魔物が多く出るのだが、ある一定の領域を超えた瞬間に出現する魔物の種類が大きく変わるというものだ。
そして、基本的に領域を超えない限りは奥に出現する魔物が出てくる事はない。
しかし、領域を超えた瞬間にこのダンジョンはクロウラー達に対して殺意に満ちた牙を剥く。
まるで現世に生きる者達を妬み、自分達と同じ側に引きずり込むかのように。
「クソが……クソがクソがクソがぁぁ!!」
「すまねぇ、亮太……」
「クソが! 詫び入れてるぐらいなら早く立て直しやがれ!」
俺と静が駆けつけた先、木々がまばらにある少し開けた空間。
その中心にある宝箱の近くで蹲る四辻と、友人を庇うように立つ五条は……夥しい数の亡者や、朽ち果てた甲冑を身に着けた骸骨武者たちに取り囲まれていた。
見ると四辻の片足に何本もの矢が突き刺さっており、それがアイツが態勢を立て直すのを阻害しているらしい。
そして五条はそんな状態で奮闘を続けていたのか胸当ては砕け、全身傷まみれになりながらも亡者たちを睨みつけていた。
「今加勢しますぞ!」
声を発することなく抜刀しながら駆け出した静を横目に見ながら、俺は体の記憶が導くままに詠唱を行う。
俺の声に気づいた五条と四辻がこちらに視線を向け、若干ホっとした感情を滲ませた後忌々しそうな顔を浮かべた。
「戦神よ現世を彷徨う魂に安らかなる安寧を授けたまへ……」
亡者たちから見て敵の増援となる俺達に対し、弓を構えた亡者達が矢を放ってくる。
静はそれを速度を落とすことなく軽やかに回避し、俺は詠唱を続けながら僅かに身を動かしてプレートアーマーで鏃を滑らせてダメージを抑えた。
近接戦闘能力が高いと見られる、骸骨甲冑の一団もこちらに向かってきそうになっているが……既に遅い。
詠唱は完成した。
「鎮魂……破ァァァァァァァァァァッ!」
戦神への祈りと信仰によって発現したアンデッド達を昇華し強制的に成仏させる神聖魔法、それによって放たれて光を突き出した左手から亡者達の一団へ向ける。
生きる者には眩しい程度の光だが、現世を彷徨うアンデッドにとっては必殺の光となる。
範囲を薙ぎ払うように放った鎮魂の光は包囲を敷いていた亡者達の一角を食い破り、敵の動きの足並みが崩れる。
「よく持ち堪えましたな!」
「うるせぇよクソが!」
「イッテェ!? もう少し丁寧に扱えボケ……!」
亡者達の包囲網の圧力が弱まり、最前線で静が亡者達を切り捨てまくって時間を稼いでいる間に俺は四辻達の下に駆け寄ると。
悪態をつく程度には元気な二人の反骨心に呆れるのを通り越して、もはや関心しつつ有無を言わせない勢いで四辻を担ぎ上げる。
その際に足に刺さった矢が宝箱に当たったのか四辻が悶絶し呪詛の声を上げるが、緊急事態だし命の恩人なのだから見逃してほしい。
「五条殿、走れますかな?」
「あん?誰に口きいてやがる、余裕に決まってんだろクソが!」
「元気そうで何より若者はこうでないといけませんな! 静嬢、こちらは何時でも撤退できますぞ!」
「わかったよ!」
撤退準備が整うと同時に、この瞬間にも甲冑骸骨の錆び塗れの刀による一撃を弾いた上で頸を切り飛ばした静は元気に返事をすると。
背後から大上段に刀を振り下ろしてきた敵の一撃を躱し、相手の腕続いて肩と軽業のように足場にして飛び越えるとこちらへ人並み外れた身のこなしで合流してくる。
その後やることなど決まっている。
「それでは、撤退!」
俺が腹から声を出して宣言するとともに全速力ダッシュを始め、静もまたその動きに追従。
さらにソレに少し遅れながらも五条も何か文句を言いたそうにしながら、乱暴な足音を立てながら来た道を戻るように逃げだすのであった。
そして走り続け背後からの気配が消えたところで、ようやく俺達は足を止める。
高難易度のダンジョンによってはえげつないくらい追尾してくると聞いたが、古戦場跡ダンジョンでは一定の領域を超えると奥の魔物は追いかけてこないからそういう意味では安心と言えるだろう。
「四辻殿、下ろして治療を始めますぞ」
「……ああ」
先ほど担ぎ上げた時と違い、慎重に四辻を地面に下ろすと俺は四辻の足に刺さった矢を掴む。
幸い矢は貫通しておらず、流れる血の様子から重要な血管を傷つけている様子もなさそうだ。
「五条殿、すまないが四辻殿の足を押さえて下され」
「おい、何をどうするつもりだ賽目」
「クソが、なんで俺が手伝わなきゃ……ああくそわかったよ」
「亮太? ちょっと待ってく……イテェェェェ!?」
俺が治療のために五条に助力を頼むも、非常に不服そうな様子で一度断られそうになるが……。
俺の後ろの方へ視線を向けると言葉を濁し、舌打ちをしながら四辻の足を抑えるのを手伝う。
俺の後ろには静がいるだけだが……いや考えるのはやめておこう、一瞬鯉口を切るような音が聞こえたのも気のせいだ。
なお四辻が口元を強張らせながら苦情と疑問をぶつけてくるが、何も答えず黙殺して一気に四辻の足に刺さった矢を次々と引き抜く。
その際に痛みで四辻が絶叫をあげて暴れるが、流石は筋力増強の才能を持つ五条と言うべきか抑えられた四辻の足はがっちりと固定されていた。
「戦神よ汝の慈悲を以って勇敢なる者達に治癒を施したまへ」
そして即座に治癒の神聖魔法を唱える事で、四辻と五条の傷を癒す。
突然自身の体を覆う燐光に戸惑う二人であるが、光が晴れると二人の傷は奇麗さっぱり消えていた。
「……ありがとよ」
色々と含むところがある様子を見せながらも、四辻はバツが悪そうに目を合わせないようにしながら礼を述べる。
一方で五条はと言うと……。
「ケッ、俺達のピンチに駆け付けて更には治療までしてご満悦か?」
「そういう言い方は軽蔑するかな、ボクは」
「うるせぇよ、カス無能の事だ! どうせインチキか何かしてんだろうがよ!」
自分のプライドを踏み躙られたと言わんばかりに、歯軋りすると五条は大分お門違いな八つ当たりを俺に対してぶつけてくる。
その余りにも理不尽すぎる言い分に対し、静は五条へ冷ややかな視線を向けながら言葉をかけるが……五条は感情が昂っているのかソレに構う事無く、俺に対して大股で近付きながら喚き始める。
五条からしてみたら見下す対象でしか無く、ソレなのに自分に対して従うような真似をしていなかった俺という存在。
そんな存在が新たな才能を得た事で、自分を凌駕しかねない実力になったという事が感情で理解する事が出来ないのだろう。
異世界流入によって社会や情勢が大きく変化しているこの世界において、才能という分かり易い判断指標による評価。
そして資源調達やアイテム回収、時には危険なダンジョン攻略と活躍できれば花形職業になるクロウラーとして生きていくのに役立つ才能というものは、麻薬のような全能感を与えかねない。
肥大化したエゴによって、性根を簡単に捻じ曲げるほどに。
「何黙ってんだクソが、何か言ってみろや!」
レオスとしての俺はそんな五条に対して憐れみを覚え、中学に入ってコイツに目をつけられてから大分ストレスがたまっていた透としての俺は怒りを覚える。
そしてレオスの考えと俺の感情は、至近距離で俺に向かってガンをつける五条の顔面に鉄拳を叩き込むという……奇跡的に一致した結論を行動に移した。
「ふんっ!」
「あがぁっ!?」
レオスの剛腕から放たれる鉄拳が頬にめり込み、勢いよく吹っ飛ばされる五条。
だがすぐに五条は立ち上がると、口の端から流れる血を手の甲で拭いながら俺を視線で射殺す勢いで睨みつけてくる。
「てめぇ、やりやがったな……!」
「先ほどからみっともないな、不満があるなら直接訴えればよいだろう。拳は漢の共通言語なのだからな」
「上等だゴルァ!!」
俺の言葉に五条は激昂し、お返しとばかりに俺の顔面に腰の入って右フックを叩き込んでくる。
その思った以上にキレの良い一撃は俺の顔面に直撃、想定以上の衝撃を与えてくるが構う事無く反撃のショートアッパーを五条の顎に叩き込む。
「力が有り余っているな! 思った以上に効いたぞ」
「うるせぇ何様のつもりだボケぇ! 殴り殺してやるから覚悟しろやクソがぁ!!」
筋力増強の才能にあぐらをかいていただけではない、そう感じ取れるだけの拳を振るってくる五条とひたすら殴り合いを続ける。
「なんだ、その、悪いな亮太が」
「……まー、透が納得してるようだしボクは気にしないけどね」
そんな俺達を眺めているであろう静と四辻の声が耳に届くが、今俺の意識は目の前の五条を拳で沈める事に集中していた。
レオスは道を踏み外しそうな若者を導けそうなことに満足してる感じがするが、それとこれとは話が別だ。
俺に感謝しないのは別に構わないが、救出の時に危ない役を買って出た静に礼の一つも口にしないコイツは一回ギャフンと言わせてやらないと気が済まない。
しかし体力というのは有限であり、無限に殴り合えるわけでもない。
「お前達、何をしている!」
俺と五条の殴り合いの決着は、現場に響き渡る蜥蜴先生の怒声と共に俺の鉄拳が五条の顔面に突き刺さったことで終わりを告げた。
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「クロウラーになろうという若者の血の気が多い事は事実だ、だがその粗暴さが無条件に肯定されるわけではないぞ!」
「はっ! 承知しております教官殿!」
「……ケッ」
駆けつけた蜥蜴先生に凄まじい勢いで叱られる俺と五条。
反省はしているが割とスッキリしているし後悔はしていない。
「そもそもだな、殴り合いや暴力による衝突は様々な危険を孕んでいるから避けろと……」
「発言よろしいでしょうか教官殿!」
しかし一向に蜥蜴先生のお説教が終わらないため、俺は敢えて発言を試みる。
「……なんだ?」
「衝突ではなく、拳で本音を語り合う交流であります!」
そして蜥蜴先生が発言を許可してくれたので、俺は自信満々に発言を行う。
ソレに対する蜥蜴先生の返答は、無言で脳天に振り下ろされる拳骨であった。
「暴力を伴ったらソレは世間一般では衝突と言うんだ、覚えておけ賽目」
「ざまぁ見やがれ」
五条との殴り合いとは比べ物にならない破壊力の拳骨に、俺は頭を押さえて思わず蹲る。
そんな俺に対し蜥蜴先生は呆れながら言葉をかけ、隣で説教を共に受けていた五条はせせら笑いながら呟いた。
「五条、それに四辻。お前はアンデッド系の魔物が出る領域にいる事を理解しながら宝箱を開けようとしたそうだな?」
「……そうだけど、何か問題あるのかよ」
「……うっす」
蜥蜴先生は退避した生徒たちから聞いたらしい情報を元に、事実の確認を五条と四辻の二人に行う。
その質問に対して二人は否定するでもなく、肯定して見せた。
「四辻……お前の授業態度はお世辞にも褒められたものではないが、それでもお前の盗賊技術は優れている。警報を見抜きながら何故解除に踏み切った」
「出来ると思ったからっす」
「その結果お前は足を負傷して動けなくなり、パーティメンバーである五条も危険に巻き込んだ。その事を理解しているのか?」
「それは……」
蜥蜴先生の厳しい詰問に四辻ははぐらかす事なく、しかし歯切れが悪そうに答え。
ダンジョンに関する授業では……致死性の高い罠や警報、そしてテレポーターなどの非常に危険性が高い罠と判断したら開けないよう教えられている。
機会損失と命を天秤にかけ、判断を間違えないようにするためだ。
「ち、ちげぇよ先生! 俺が浩二なら問題ねえって言ったんだ」
「……そうなのか? 四辻」
「言われたのは確かだけど、やるって決めたのは俺だ。 それに才能でも構造は解ってたし余裕だと思ったんだよ」
「お前の才能は解析だったな四辻、確かにそれなら慢心するのもわかるが……」
咄嗟に蜥蜴先生の詰問を遮るように叫んだ五条の言葉に、蜥蜴先生は四辻にそうなのかと確認する。
一方で四辻はそうだけど決めたのは自分だと譲らない、こいつら何のかんの言ってチンピラコンビなのに仲良いよな……。
しかし四辻の才能は解析だったのか、詳しくは知らんけど罠の構造が丸見えってことになるのか? そりゃ慢心するわ。
「……五条、四辻」
蜥蜴先生は大きくため息を吐くと、一際厳しい視線を二人へ向ける。
茶化したりはぐらかしたりすることを許さないその眼光に、二人は身を震わせた。
「お前達、自分達が死なないとでも思っているんじゃないのか?」
有無を言わせない蜥蜴先生の口調に場の空気が凍る。
ソレは先生に叱られている二人だけではなく、この光景を見守っている俺達もまた同様であった。
「な、なに言ってんだよ先生。そうならない為にアンタがいるんだろ?」
突然の先生の言葉に、声を震わせながら五条は抗弁する。
他の同級生にも五条と同じ意見の持ち主が居るのか、五条の言葉に頷いている生徒が見える。
一方で静はそんな五条の発言に心底呆れた様子を見せていた、お前やっぱ修羅だわ。
「勿論そのつもりだ、だがな五条。その事に甘えて危険な行為に進んで良い理由にはならないぞ」
今日のところはこれ以上話すつもりはないと、蜥蜴先生は話を打ち切ると集まっている生徒たちを見回して声をかける。
「今日のダンジョン実習は少し時間は早いがここで切り上げとする、全員制服に着替えてバス前に集合しなさい」
蜥蜴先生の言葉に同級生達は我に返ると駆け足で更衣室へ走り出す。
俺は四辻に肩を叩かれ手何か言葉を交わしている五条達を視界の隅にとらえながら、変身解除をするために更衣室へ向かうのであった。
そして全員バスに乗り込み学校へと戻る事になるのだが。
いつもなら会話でにぎやかなバスの中も、どこか重苦しい空気に包まれていた。
授業では命の危険がある事、毎年死者が出ていることも知ってはいたが改めて……ダンジョン探索は命の危機と隣り合わせであることを思い知らされたのが大きな原因だろう。
「なぁ、賽目……」
「ん、どうした?」
バスで隣の席となった同級生の男子が、躊躇いがちに俺へ話しかけてくる。
その顔はどこか思いつめた様子をしている。
「やっぱり、その、覚悟とかって必要なのかな」
「は?」
中学に入ってから本格的に授業に組み込まれるようになったダンジョン教育。
それを受け続け、三年生に上がったばかりの同級生の言葉に思わず何言ってんのコイツ?という感情が頭をよぎる。
「いや、だってよ、その……」
「別にいらねーんじゃねえの? ガチガチにやるならともかく」
俺の反応に戸惑った同級生は口ごもりながら何か言おうとするが、俺はあくびをしながら言葉を返す。
静なら殺してるんだから殺されもするくらい言いそうだけど、流石に俺もそこまで修羅極まった事を言う気はない。
「安全マージンとってダンジョン探索を摘まむ程度なら気にする必要ないと思うけどな、進路でクロウラー以外を選ぶヤツだって多いそうだし」
クロウラー育成に力を入れてる高校や、その手の高校へ進学させるための中学ならともかく。
普通の中学校のカリキュラムは命大事にがモットーなのは、そういう進路を選ぶ余地を作る為らしいしな。
実際俺の両親も義務教育レベルでダンジョン関係は終わらせ、普通に進学して普通に就職した口だし。
「……ああ、なるほどそう言う事か」
「なんだよ、一人で納得して」
一定領域から先に進むと途端に殺しに来る命の危険がある古戦場跡ダンジョン。
そんなダンジョンの実習なのに、蜥蜴先生が中に入らず入り口にいた理由がようやくわかった。
今日の実習の一番の目的は、ダンジョンの危険性に対する感覚が麻痺してきた学生への荒療治だ。
流石に今回の警報罠発動からの魔物殺到は……想定外だったろうけどもな。
「いや、大した事じゃねーよ。つか俺も疲れたから少し寝るわ」
「お、おう……」
五条との殴り合いによる怪我は元の姿に戻る前に神聖魔法で治したけど、魔法の使用によって精神的な何かが消耗している。
俺はまだ何か言いたそうな同級生の視線を感じながらも椅子に深く座り、その瞼を閉じるのであった。
静「修羅扱いとか大変遺憾である」
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
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どちらでもよい
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AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
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AI絵ならいらない
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お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)