幻想交じりの現代社会でTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
ソレはパッションと勢いでごり押す道であった。
予定通り19:00に投稿する予定ですが、とにかく反応が欲しいので始業前に投稿かます無法ムーブします。
勢いでやった、今は反省している。
ゆっくりと意識が沈む、バスの走行に伴って体を走る揺れが入眠を加速させていく。
そのまま俺の意識はぷつりとスイッチを切れるように。
「……なんだぁ? コレ」
途切れなかった。
上も下もあやふやな空間、そんな場所に俺は立つというか一人浮かんでいた。
明晰夢のような、しかし夢というには実感が強すぎる不思議な感覚。
だけど何処かから俺を呼ぶ声、それも一つや二つじゃない沢山の声で構成されたかのような何かが俺を呼んでいる。
俺の足は自然と導かれるままに、しかし行かなければいけないという使命感に突き動かされるまま動いていた。
「扉……いや、この扉は見覚えがある」
不思議空間にはふさわしくない普通の扉、どこの家庭でもありそうな普通のドアだ。
こういう空間にありそうな彫刻がされてるワケでもないし、なんか悪魔が見下ろしているような飾りがあるわけでもない。
この扉は前世の俺にとって最も大事だった場所。
俺が前世でひたすらTRPGに励んでいた家の扉だ。
俺は激しく鼓動する胸の音に導かれるままにその扉を開く。
開けた先は前世では慣れ親しんでいた、しかし今世では初めて足を踏み入れる事になる空間。
奇妙な懐かしさを感じながら俺は、導かれるままにそして感情の赴くままに趣味のTRPG専用部屋へと向かう。
「は、ははは……マジで変わってねえ、なんだこれ」
思わず口をついて出た変な笑いを押し殺しきれず、俺は押し殺しきれない笑みを何とか抑えながらドアノブに手をかけ。
かつてのように若干立て付けが悪いドアは軋むような音を立てながら開くと、部屋の中の光景が俺の目に飛び込んでくる。
部屋の中には大量に並べられた本棚、その本棚にはこれでもかと言わんばかりにTRPGのルールブックやサプリが詰め込まれていて。
少し視線を動かせばオフセ用の机と椅子にソファがあり、更に視線を動かせばサイコロやセッション用フィギュアにマスタースクリーンを収めた棚までが前世の記憶のままそこに存在した。
凄まじい郷愁が俺の胸をよぎる、だがしかし俺の胸中はそれどころじゃなかった。
まず一つ、本棚に収められたルルブはどれもが鎖でギチギチに縛られていた。
これはまぁ良い、いやよくないルルブに傷がついたらどうするもう手に入らない絶版ルルブもあるんだぞ、いや違うそうじゃない。
「ほーん、いやはやこのキャラ絵は情熱とへたっぴが混在した実に味のある絵じゃのう」
前世の俺のお気に入りだったソファに座りながら、キャラシートと思われる紙を手にしてケタケタと笑っている女がいた。
その女は狐耳が生えていた、そして巫女服だった、更には胸もとても大きかった。
色々と突っ込みを入れたいところだが、俺は大きく息を吸い込む。
「お前誰じゃぁぁぁぁぁぁぁ?!」
「のじゃぁー!?」
俺の渾身の雄叫びに謎の爆乳狐巫女がのじゃのじゃ叫びながらソファから転がり落ちると、俺の存在に気付いたのかその目に胡乱な感情を乗せる。
凄い大物感出してるけど、さっきお前勢いよくソファから転がり落ちたからな?
「ふむ、妾が誰かか、それは実に哲学的と言えるのう」
「いやまず名乗れよ、ついでにそのキャラシートを机の上に置くか所定の場所に仕舞えよ」
「まぁまぁそう気を急くでないわ」
太々しい態度を見せながら爆乳狐巫女がにょほほ、と胡散臭い声で笑う。
「ぶっ飛ばすぞこの野郎」
「ほーん? いいのかのう? 妾はお主の性癖ドストライクなんじゃぞぅ?」
「やめなよ」
やめなよ(震え声)
だがこの言葉の応酬で分かった事がある。
コイツ、どう考えても俺の前世を知っている……!
「まぁ妾はアレじゃ……我は汝、汝は我ってヤツじゃ」
「うっそだろお前」
「嘘じゃ」
「しばくぞ」
そして突然の爆乳狐巫女の言葉に思わず俺の頭が真っ白になる。
嘘やん……俺のペルソナ、性癖丸出し過ぎ……?!
とか思った瞬間のこの発言である、もはや物理で解決するのも手じゃなかろうか。
「と言うかなんじゃお主、ずーっと中から見ておったがお行儀は良いしおとなしいし。あのマンチキン極まりないクソPL根性はどこにやりおった」
「罵倒したいこっちの気持ちを無視して先制攻撃とか大分無法極まってない? 大丈夫? 倫理観もその爆乳に詰め込んだの?」
「にょほほ、ここに詰まっておるのは劣情と煩悩じゃて」
いかん、徹頭徹尾コイツにペースを握られている。
いつもの冷静沈着で厭世的で世間を若干舐めている賽目 透であることを思い出せ、いや待てコレはこれで大分アレだな!
「まぁアレじゃよ、半分お主であるのは事実じゃ。お主に分かり易く伝えるならサブGMみたいなもんじゃのう」
「お前の半分が俺ってだけでも割と納得しがたい事実なのに、お前がサブGMとか卓破壊待ったなしなんだが?」
「卓崩壊じゃなくて卓破壊って辺り、大分ピリついておるのう」
「誰のせいだコラ」
後いい加減その手に持ったキャラシートを戻せこの野郎。
と言うかあのキャラシート、何度も書き直した鉛筆跡にお世辞にも上手とは言えないキャラクター絵……。
「もしかしなくてもソレ、レオスのキャラシートじゃねえか!?」
「おお、やっと気付きおったか」
「おお、じゃねえよ!大分くたびれてるシートなんだから丁寧に扱え丁寧に!」
「うーん、キャラシートへの拘りは前世から変わっとらんのー」
俺の怒りの咆哮に爆乳狐巫女はしょうがないのー、などと口にしながらキャラシートをおとなしく机の上に置く。
待て、今気づいた。
性癖盛り盛りなのはいい、それは認める、だがこいつの見た目は……。
「お、お前、まさか……」
「だからさっきから言っておろうに、妾は半分お主で作られた存在であり……」
「待て、その先は言わなくていい。俺も理解したから頼む、言わないでくれ……!」
俺は前世の記憶から引っ張り出した、今世ではある意味黒歴史でありつつも前世の輝かしくも楽しかった思い出の一つに思い至り。
激しい冷や汗が顔中を伝と共に、背中も冷や汗でべったべたになる。
だが無情にも爆乳狐巫女はこちらに振り返ると、にたりと口角を釣り上げながら愉悦に満ちた表情で口を開く。
「妾はお主がオンラインセッション用に拵え、念入りにボイチェンまで使って運用していたGM用アバターじゃ」
「ノオォォォォォォォォォ!!」
爆乳狐巫女が無残に告げた言葉に俺は膝から崩れ落ちた。
ちゃうねん、最初は無難にあざらしアバターとか使ってたんや。
せやけど知り合いのイラストレーターが書いてくれるって言うから、銭を上乗せして性癖盛り盛りで描いてもろたんや……!
「あの時は絵師さんドン引きしていたのう」
「死体蹴りするのやめよう?」
崩れ落ちる俺を物理的に蹴りながらそんなことをのたまう爆乳狐巫女。
だってしょうがないじゃん、性癖には素直に胸張って生きろって言うじゃん。
「ぶっちゃけお主があの静って娘に入れ込んでるの、性癖じゃろ? 胸は大分薄いが」
「取り繕う気も起きないし否定できないけど、半分俺ならもっと言いようあるだろ?」
「半分と言っても前世の半分じゃからのー、今世のお主は管轄外じゃ」
「詭弁にもほどがある……!」
くそ、コイツに聞きたいことが山ほどあるのにさっきから話が進まねえ。
フリーダム極まりないコイツのたわごとに付き合ってたら、いつまでたっても話が進まない。
「と言うかおかしすぎるだろ、俺はバスに乗って寝入ったはずだしそろそろ学校に到着して起きてもおかしくない筈だ」
「ここと外じゃ時間の流れ違うからのー、多分外じゃ一分も経っとらんわ」
「なんつう無法空間だ」
「お主の心象世界じゃからの」
ペースに乗せられててんやわんやしていたが、明らかにおかしい状況に疑問を呈すと想定外なほどに素直に応じる爆乳狐巫女。
よく考えなくてもおかしい話というか、こんな空間があるならともかく……トンチキ爆乳狐巫女が居るのが俺の心象風景って大分認めたくない。
「お主の子じゃ、認知せい」
「DNA鑑定を所望する」
「残念ここには鑑定機関は存在せぬわ」
苦情を申し入れるが却下される、無常。
だがようやく落ち着いてきたというか、混乱し過ぎて一周回って落ち着いたというか、頭が回るようになってきた。
「答えろサブGM、あのルルブを縛っている鎖はなんだ? 最初こそ本の損傷気にしてたけど、パッと見た感じ鎖が食い込んでる様子が無いのに本棚に収まっているのは明らかに異常だろう」
「そうそうそれでこそじゃ、アレは文字通りの縛りじゃよ」
大きく深呼吸し、真正面から爆乳狐巫女の胸から若干目を反らしつつ眼を見て問いかける。
その様子に爆乳狐巫女は愉快そうに目を細めると、机の上に開いたまま置かれていたブレードワールドのルルブを手に取る。
「お主はレオス・クラインのキャラシートを解禁するのと合わせ、このルールブックが解禁された。それがどういう事かわかるかの?」
「……ルールブックを開放するたびに、使えるキャラクターシートが増える……そういう事か」
「その通りじゃ、褒美に判定達成値にボーナスを進呈しようぞ」
「やったぜ……いや何の判定だよ」
俺の言葉ににょほほと笑いながら尻尾をゆらゆら振る爆乳狐巫女。
クソ、性癖に直撃なだけに目を逸らせないのが悔しい……!
「まぁぶっちゃけて言うとじゃな、お主現世で人助けしたり魔物ぶち殺したりしたじゃろ?」
「結構大変だったけどな」
「ああいう具合に冒険したりクエスト達成したり、魔物をぶち殺せばルールブックを開放できる経験点が溜まるのじゃ」
爆乳狐巫女の言葉に俺は思わず目を見開く。
レオスは優秀な前衛でありそれなりに神聖魔法を使えるキャラクターだ、だがそれ以外にも俺が前世で使っていたキャラは大量に存在する。
カリッカリにサイバーアップしているハッカーであり、車両の運転までこなすハイテクメスガキ。
差し込み防御魔法であるプロテクトの数値をガン積みした上、相手の行動阻害や味方の支援に全振りした雌ドワーフプリースト。
ドラゴンスピリットを召喚して背中に乗りながら、更に自前で強力な魔法をぶっ放すドスケベ女体ドラゴンボーンハーフウィザード。
ゴブリンも悪魔も魔神も全て拳で叩き潰す、機動力と火力に特化した痴女めいた軽装の狐獣人モンク。
俺はここまで思い浮かべたキャラ達の存在に、思わず自ら膝をつき崩れ落ちた。
「パッと思い浮かぶ強力なキャラ、全部女キャラじゃねぇか……!」
「どうせ使うなら可愛い女子キャラ使いたい、その性癖と欲望が仇になったのう」
ここにきてまさかの障害が前世の俺の性癖とは、節穴に定評のある世紀末世界の智将どころかお天道様にも見抜けまい。
「まぁ焦るでないわ、今お主が溜めているポイントはひのふの……523ポイントじゃ、これでは新キャラの解放には程遠いからのう」
「俺はその言葉を聞いてホッとすればいいのか、残念がればいいのかどっちだ?」
「さぁ? お主が感じたい感情を感じれば良いんじゃないかのー」
俺の言葉に対しそこは管轄外じゃ、と言わんばかりの態度を示す爆乳狐巫女。
何とか俺は優秀な男キャラが居ないか、記憶を探りながら本棚の前をうろつく。
その時、俺の目に一つのルルブが飛び込んできた。
「メックファイター、メックファイターじゃないか!? 確かこれのキャンペーンで使ってたキャラはオッサンだった筈」
「オッサンで喜ぶ男子高校生というのも難儀じゃのう、必要ポイントはルールブックに触れると見れるぞい」
爆乳狐巫女の言葉に俺は逸る気持ちを隠すことなく、ルールブックへと手を触れる。
それと同時に俺の頭に情報が流れ込んできた。
カイン・ヴァイル、ロオウラ連盟領で主に活動していた傭兵団に所属しているメック乗りの男。
搭乗メックは90t級メックのベルセルク、右腕に搭載したガウスキャノンを主兵装としている他にも隙のない武装を持つ、機動力にも優れた傑作メック。
この時点で俺のテンションは鰻登りである。
そのまま俺は脳裏に表示された必要ポイントをぶつけられ、本棚の前で崩れ落ちた。
「必要ポイント5万は大分バカだろぉ!!」
「大丈夫じゃ、ゴブリンを5万匹狩ればいけるいける」
「遠いよ!」
血を吐くような俺の叫びに爆乳狐巫女は腹を抱えて笑うばかりだ。
俺は続いて、目についた大阪ダンジョンのルルブに触れる。
ホワイト・C・フロスティ、直立するホワイトタイガーのようなライカン種族の巨漢の男。
メカニッククラスとして高い射撃能力と、罠解除探知に適性を持つ。好物はコーンフレーク。
今度は頼りになるオスケモだ、この際種族はなんでもいい。
「必要ポイントは……こっちは2000、現実的に感じなくもないか」
「これで君もタイガーじゃ!」
「やかましい」
後衛職であるが射撃能力を持つというのは大きいし、レオスでは対応できない罠や警戒などを行えるのは大きい。
だがポイント以上にどでかい問題がある。
「銃とかは中学生じゃ許可下りねえ……」
「世知辛いのう」
高校に上がって専門の資格取れば許可下りるけど、無許可で使うとそりゃもうアレでそれなヤバイ事になる。
変身で使う能力だから問題ないと言い張れない事も無さそうだが、余りにもリスキーすぎる……!
「と言うかメック乗りもアウトじゃろ、常識的に考えて」
「……確かに!」
だが問題はそうなると、まっとうに使える戦力でパッと思い出せるキャラは軒並み女性キャラという点である。
こればかりはちょっとばかり都合が悪い、具体的には静の視線が怖い。
「何を気にしておる」
「サブGM……」
「お主は恥も外聞も投げ捨ててオンラインセッションでこのアバターを使い、更にはボイチェンまで駆使していた漢じゃぞ」
「畜生! 過去が墓石の下から這い出してきやがる!」
頭を抱えて叫ぶ俺、大分詰んでいる。
「まーそこまで難しく考える必要もあるまい、役割を演じてエンジョイ。ロールプレイを楽しめばいいのじゃ」
「ロールプレイ……」
「ぶっちゃけお主割とノリノリでレオスやっとるじゃろうに」
「キャラに引きずられてというか勝手に言葉が変換されてるんだけど……」
爆乳狐巫女の言葉に若干盲が開けたような気がしつつも、なんかこう釈然としない気持ちになる。
そんな事をしているうちに、俺の手がゆっくりと透け始めていく。
「む、どうやら体が覚醒し始めておるようじゃのう」
「マジか……またここに来ることは可能か? というか来れないとキャラ開放とかなんやらが出来ないワケだが」
「安心せい、寝入る時にこの家の事を思い浮かべれば呼んでやるわい」
爆乳狐巫女の言葉に俺は少し安心しながら、ゆっくりと薄れていく意識に身を委ねていく。
「それと性癖を再自覚したからと言って、幼馴染にスキンシップするのは大分アレじゃからな。自重するんじゃぞ」
「お前やっぱ今度こそぶん殴るわ」
それはそれとして俺は決意を新たにするのであった。
当初はもっと無難な5話だったんですけど。
実在性ゲマさんな知り合いから「お前はそんなんじゃないだろ!」と言われたり、創作鯖のアドバイスを受けた結果。
なんか変な方向に弾けました。
ちなみに話の中で出てきた雌キャラは全部もともとプロットに居たキャラです。
これで君もタイガーだ!な虎くんを友人TRPGプレイヤーに描いてもらいました、やったね☆
【挿絵表示】
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
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どちらでもよい
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AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
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AI絵ならいらない
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お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)