幻想交じりの現代社会でTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
本来はストッパー役って言ったら、みんな信じてくれますかね?
古戦場跡ダンジョンを舞台にしたダンジョン実習から気が付けば、早くも一週間が過ぎようとしていた。
あれから特に特別大きな変化があったというわけでもないが、それでもダンジョンに関する授業では同級生達は皆真剣に受けるようになったように見える。
それから俺にも大きな変化があった、これはあの救出事件よりもその後の心象風景が大きく影響を与えていると言える。
どのような変化かと言えば。
「ボクはいいけど……本当に今日も潜るの?」
「ああ、やりたい事が増えたからな」
「ふーん、まぁボクは透がやる気を出してくれたなら何でもいいけど」
終業のチャイムと共に帰り支度を始めていた静に、ダンジョン探索のお誘いをする俺。
静は俺の言葉に対し尻尾をゆらゆらと振りながら、この前の古戦場跡実習からダンジョン探索へのモチベが露骨に変化した俺を訝しむような視線で眺める。
あれから間に土日の休養日を挟みこそはしたが、俺と静は平日は終業後自由実習ダンジョンをひたすら潜っているからな。
我ながら劇的な変化にもほどがある。
静はダンジョン探索と闘争欲を満たせてヨシ、俺はポイントが溜められてヨシのWin-Winの関係だ。
むしろ急に俺がダンジョン探索にやる気を見せ始めたから、静の方が若干引いている。
「でも透、浮かれる余り才能の大事な仕様見落とすような事はもうしないでよ?」
「ごめんて」
静が言う俺の才能の大事な仕様、それは平たく言うと冒険中はキャラシート変身解除不能という案件だ。
隠密という概念を装備や技能的に投げ捨てたレオスから、敵を回避しながら撤退するために戻ろうとしたら……戻れないと現場で判明したのである。
あの時はマジで洒落にならんかったわ、最終的に帰りも遅い来る魔物たちを薙ぎ払いながら帰る羽目になったしな。
ちなみにその日の夜、心象風景の中で爆乳狐巫女ことサブGMに苦情を申し立てたらとんでもないアホを見る目されたのは大変遺憾である。
「……でも、うん。ボクはこっちの透の方がいいと思うな」
「なんだよ急に」
「今の透、うちの剣術道場に通ってた時のようにギラついた眼をしてるからね」
ギラついた眼というのは果たして誉め言葉にカウントして良いのだろうか。
だが静の嬉しそうな様子から、その言葉に突っ込みを入れるのは野暮に感じられたのでおとなしく黙る俺であった。
そんなこんなで一旦俺と静は解散し、自由実習ダンジョンの受付前で合流する事になったのだが。
いつもの待ち合わせ場所についても静の特徴的な狐耳は見えない、普段は静が先に待っているがどうやら俺が先に着いたらしい。
もしやと思いスマホで時間を確認してみると、約束の時間より30分早い。
5分前行動を心掛けている静が居ないワケだ、思った以上に俺は浮かれているらしい。
「とりあえず、何か先に依頼でもないかチェックしておくかね……」
ぼんやりと呟きつつスマホのクロウラーアプリを立ち上げ、依頼がないか確認を行う。
このアプリは登録済みの受付や窓口に届けられた、様々な依頼をまとめて確認できる優れものなのだ。
ちなみに早い者勝ちで美味しい依頼は、アップロードされた瞬間消し飛ぶのでリロードしながら待機する修羅勢もいる。
「ふむ、今日は鉱石採取に間引きがあるな。静が来た時も残ってたら打ち合わせでも……」
ゴブリンなどのまぁ、こう言っては何だが一撃で屠れる低級魔物はキャラシート開放用ポイントが1。
だがしかし、何かしらの依頼を行えば依頼によってポイントが出るのだ。
ちなみに今のところの傾向としては、採取や間引きが50ポイントである。
サブGMの話によると人助けでも入るって言っていたから、五条と四辻を救助した時にもしかするとがっつりポイントが入ったのかもしれない。
これはもしかして、ピンチな人間を探せば……いや止めとこう、少なくとも俺がサブGMの立場ならそういう狡い事やった時はポイントを出す事はないな。
「あのー……ちょっと、いいですか?」
そんな感じに夢がライフリングしていた俺だが、不意にかけられた声に我に返り声がした方へ視線を向ける。
そこには3人の男女で構成されたチームが立っていた、着ている制服から俺達の中学とは別の隣町の中学生っぽい。
「どした? ああ独り言がキモかったのなら見逃してくれ、ちょっと色々テンション上がってた」
「いえ、そこは別に……」
「や、やめとかない? この人もどこかおかしいよ」
俺の返事に声をかけてきたと思われる、魔法使い用の両手杖を持った女子が若干強張った笑みを浮かべながらも応じる。
一方でパーティメンバーと思われるもう一人の女子は、大分失礼なことを言いながら魔法使い女子の裾を引っ張っている。
「あの、プレートアーマー着た戦士に変身できる人って、あなたの事ですよね?」
「え? あ~~……」
女子からの言葉に対し俺は彼女達の目的をぼんやりと察する。
パッと見た感じ、声をかけてきている魔法使いの女子に俺を変な人呼ばわりした斥候系っぽい女子……それに前衛っぽい男子の編成だ。
なお変身能力については特別隠していない、だがコレ対策と言うか今後色々考えた方が良いかもしれないな。
レオスや他の男キャラだけ使うならともかく、その……性癖全開女子キャラ変身も俺とイコールで結び付けられるのは、なんかこう世間体的にマズイ気がする。
だがしかし、レオス=俺というのは特別隠している情報でもないし更衣室で変身解除する姿を男子クロウラー達にも見られている事から……。
このダンジョンに出入りしている学生で、少し情報通なら簡単に辿り着ける情報でもある。
「まぁ、そうだけど」
「良かったぁ、実はうちのメンバー急に一人欠員出ちゃったんです。おひとりなら良ければ……」
俺の言葉に魔法使い女子はホっとした様子を見せると、上目遣いに俺を見上げながら予想通りの言葉をかけてくる。
この娘、女の武器の使い方を心得てやがる。
もしかすると他に思惑があるかもしれないが、俺がソロで潜っているなら別に申し出を受け入れても問題ないっちゃない。
しかしまぁ、今回は俺から誘った手前流石に静との約束を反故にするのは、人として無い。
「悪い、友人待ちなんだわ」
「それなら良ければ、その友人と一緒に潜らない?」
ごめん、と片手をあげて断ると今度は柔和な笑みを浮かべた前衛ポジの男子が参戦してきた。
く、やるなこいつら……そんなに重装甲重火力で回復までこなせる前衛が欲しいか!
ごめん、俺がこの3人の立場なら欲しいわ。
だがそれはそれとして、別に無理な勧誘ってわけじゃないし、静がOKするならそれもありかもしれない。
前衛男子、レオス(俺)、静で前衛を張りながら……後衛の斥候と魔法使いから支援を受ける、実に盤石な構成だ。
「そうだな、友人がOK出したら俺からも頼みたいよ……あ、来た来た」
「ちょうどよかっ、た……え゛?」
話し込んでいたら思った以上に時間が過ぎていたのか、3人組の向こうに見慣れた狐耳をぴょこぴょこさせながら歩いてくる静の姿が見える。
俺がこっちこっちと言わんばかりに手を振ると3人組の前衛男子が振り返り、大分強張った声を上げた。
え? 君らと静、何かあったん???
「あのちんまい狐っ娘が待ってた友人」
「そ、そういえばいつも二人でつるんでるって……ごめん、やっぱさっきの話ナシで!!」
静を視線で示すと前衛男子はがたがたと震え始め、一目散に二人の女子を伴ってその場から遁走した。
悲報、賽目 透……状況についていけてない模様。
「さっきの人達って隣町の中学の制服着てたよね、知り合い?」
すたこらさっさ、と言わんばかりに遁走する3人組の姿を眺めて不思議そうにしている静、お前も知らんのかーい。
「うんにゃさっき会ったばかり、お前の姿見た瞬間凄まじい勢いで怯えてたけど何かやったか? 前科があるなら出頭に付き添うぞ」
「大分酷い事言ってるよ透、ボクが誰彼構わずぶった斬るような血狂いに見える?」
「割と……まぁ待て冗談だ、その眼だけ笑ってない笑顔をやめたまえ」
絶対コイツ何かやってるという確信をもって静かに問いかけるが、マジで心当たりがないのか心外だと言わんばかりに尻尾を膨らませて抗議する静。
だがぶっちゃけ、刀抜いてる時のコイツの理性はたまに信用ならん瞬間あるので俺は思わず本音を口にした。
そして即座に前言撤回して即詫びを入れた。
「んー……あ、思い出した」
「聞かせたまえ被告人」
「前科が前提な言い方やめない? ソロで潜ってる時に誘われたから組んだだけだよ、その時の探検終わったら清算終わらせてそそくさと居なくなったけど」
記憶の底から何かを掘り出したらしい静に対し、疑惑に満ちた視線を向ける俺。
その視線と俺の物言いに異議申し立てした静は、かつてあったらしい不幸な事故を特に気にすることなく口にした。
「お、おう……ちなみに聞くが、その時どんぐらいテンション上がってた?」
「そうだねー、頭数多くてどんどん奥に進めてたから凄い楽しかったよ」
思い出したら組みたくなってきたなー、と呑気に微笑む静の姿に……。
俺は思わず3人組が遁走した方角を向くと、静や周囲の奇異な視線を全力で無視しながら腰を直角に折り曲げて頭を下げる。
うちの幼馴染がやらかしてほんっとすんませんでしたぁぁぁぁ!!
勢いに任せてまさかの二段重ね更新です。
行儀のよいフリはもうやめだって、作者の中のホーラ・ルーおじさんも言っている。
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
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どちらでもよい
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AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
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AI絵ならいらない
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お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)