幻想交じりの現代社会でTRPGの能力で生き抜いていく 作:一般通過きなこ餅
しかし幸運があるという事は、不運もあるという事です。
果たしてその時彼はどうするでしょうか。
うっかり静に才能による変身の詳細をバラしかける大ポカをしたが、だからと言って大きな変化が起こる事もなく。
あれから後日……昼ご飯を食べて眠気が強くなる昼下がり、俺を含む同級生が座る教室の中では蜥蜴先生が講師を務めるダンジョンについての座学の授業が行われていた。
あの先生基本的に歴史の先生の筈なのに、絶対職務上乗せされてるよな……。
「既に皆も知っているとは思うが、ダンジョンには様々な魔物が出現する」
蜥蜴先生はそう告げると共に、黒板に大きい文字で様々な魔物の名前を記載していく。
ゴブリン、スケルトン、ファングウルフ、スライムと様々な名前が並んでいる。
「ただし注意が必要なのは同じ種類だからと言って、同一の能力とは限らんところだ。四辻、ゴブリンの亜種を三つ挙げてみろ」
「うす。ええと……ゴブリンアーチャー、ゴブリンメイジ、ホブゴブリンっす」
「惜しいな四辻、ホブゴブリンは明確には別種とされていて分類としてはオーガの下位種だ。この場合その位置に該当するのはゴブリンチャンピオンなどが正しい」
ここはテストに出るからなと言いつつ蜥蜴先生は黒板にチョークで亜種について書き、四辻に着席するよう促す。
「自由実習ダンジョンに出てくるゴブリンは知能が低いが、高難易度に出現するゴブリンは戦術や罠に毒まで使う。ゴブリンだからと言って侮らないようにな」
蜥蜴先生の視線が気のせいか、毎日のようにダンジョンに潜っている俺と静に向いているような気がしたので慌ててノートに黒板の内容を書き記す。
実際気が緩んでいたのは確かだ、何か不思議なファンブルじみた不運で戦術を介するゴブリンの群れなんて来たら洒落にならん、肝に銘じねば。
「まだ時間はあるな、テスト範囲から離れるがダンジョンに出現する魔物の分布についても話しておくか」
蜥蜴先生は時間を確認すると思ったより授業のペースが速く進んだのか、折角だからと違う部分の解説の準備を始める。
折角だから自習にしてくれても良いのだが、蜥蜴先生にそのことを言い出す生徒は誰もいない。
ソレは果たしてダンジョンに対する熱意か、それとも言っても受け入れてくれないという切ない諦観によるものか俺にもわからない。
「例えばお前達が良く足を運んでいる自由実習ダンジョン、正式名称は市立単層式低難易度ダンジョンだが……」
そう言えばそんな名前だったなあのダンジョン。
結構前に試験にも出たっきりだし、普段は自由実習ダンジョンとしか呼ばないから忘れてたわ。
「基本的にあのダンジョンには、ゴブリンとホブゴブリンしか出ないとされている」
「せんせー、質問いいっすか?」
「うむ」
「出ないとされているって言いますけど、ほかに何が出るんですか?」
同級生のダンジョン探検に熱心な同級生男子が挙手して先生に質問をぶつけると、蜥蜴先生は良い質問だと言わんばかりに満足げに頷いて振り返り。
黒板に書かれた魔物の名前の中の一つ、スライムに大きく丸を付けた。
「目撃事例は殆どないが、非常に稀にスライムが出現するとされている。五条、スライムの特徴と注意点を挙げろ」
「っす……物理的な攻撃は殆ど効かねーし、肌や装備を酸で溶かしてくる」
「その通りだ五条、お前達の中には魔法が使えるのもいるが。万が一いない場合スライムに遭遇したら、迷わず撤退しろ」
蜥蜴先生は丸を付けたスライムの横に、注意喚起するかのように物理無効・酸性腐食などの特徴を書いていく。
「万が一不安なら受付があるダンジョンの窓口の物販で火炎瓶が買える、傷薬などと一緒に常備しておくのも推奨しておくぞ」
蜥蜴先生が補足するかのように魔法がない場合の手段を口にしたところでチャイムが鳴り、授業は終了となる。
それと共に短い休み時間が始まり、次の授業に向けてテキストの準備を始める同級生や友人との雑談を始める動きで教室の中が賑やかになり始めた。
静は雑談組、と思いきや尻尾をゆらゆらと振りながらこっちに近づいてくる。
「先生ああ言ってたし、今日のダンジョンは念のため用意する?」
「あー、そうだな……」
静が気にしていたのはスライムが出た場合の対処法であった。
まぁスライムなんて、静にしてみたら自身をメタり倒してるかのような魔物だ。
稀にしか出ないとはいえ、そんなのが出ると聞いては心中穏やかでないのは想像に難くない。
「帰りのヌケド我慢すれば火炎瓶2本ずつぐらいは用意出来るし、いいんじゃないか?」
「うーん……背に腹は代えられないかぁ」
俺の提案に対し静はいやそうな顔をして耳をぺたんと倒しながら、苦渋に満ちた決断をするかのような声を絞り出す。
「別に無理に我慢しなくてもよいだろ、食べたかったらポイント交換すればいいし」
「やだよ、欲しいモノあるもん」
静が何かを目的にポイントを溜めているのは知っていたが、買い食いを我慢する程度にはかなり決意が固いらしい。
でもなぜだろう、こいつの事だから服とかお洒落用品とかそういうものではない気がする。
「ちなみに何が欲しいか聞いても?」
「えへへ……お爺ちゃんの伝手で名工の人が打った太刀が安く買えそうなんだぁ」
そしてその予想は的中していた。
「新しい太刀って、お前が今愛用してるヤツも結構いいやつだろ?」
「何言ってるんだよ透! あれに比べたら今ボクが使ってる太刀なんてなまくらなんだよ!?」
「お、おう……」
どうやらわかる人にしかわからないこだわりらしい。
信じられないとばかりに耳と尻尾をピンと立てながら力説する静の姿に、俺は思わず周囲の同級生に視線で助けを求める。
「武器って大事だよな……」
「防具も大事なのはわかるけど、やっぱりな……」
「亮太、そう言えばお前……この前武器ぶっ壊してたけど新調できたのか?」
「クソが、思い出させんじゃねぇぞ浩二。しばらくは鉛詰めた鉄パイプで我慢するしかねえよ」
静の発言に触発されるかのように男子たちは頷きながら武器について語り合い始める。
ついでにチンピラコンビの暴力担当の方は悲惨な事故で現在、大分世紀末な武器振り回してるらしい。
結局その後俺は、次の授業が始まるまでの間静が熱心に語る優れた刀の魅力についてそれはもう熱心に布教されるのであった。
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「それじゃぁ、今日も張り切っていくよー!」
「慎重に安全重視で、ですな」
そしてあっという間に時間は放課後のいつものダンジョン突入タイムである。
今日は蜥蜴先生の言葉もあり、俺と静はそれぞれダンジョン受付でポイント購入できる火炎瓶を2本ずつ携えていた。
ちなみにダンジョンから出る時は窓口に提出し、購入時の半額で引き取ってもらう決まりだ。
昔はそのまま持ち帰ってよかったらしいが、管理不行き届きで失火する事故が多発してそうするよう法律海底されたらしい。
まぁそんな世知辛い社会のうっかりさんの話はさておき、俺達は慣れつつも警戒は絶やさないようダンジョンを進んでいくワケだが。
「ゴブリンしか出ないね」
「そうですな、吾輩らの構成を考えるとスライムは出ない方が有難いですが」
「それもそうか」
もはや流れ作業気味にゴブリン達を処理する俺と静。
蜥蜴先生が言っていたように戦術を駆使する個体も出てこないので、今のところ緊張感が欠片もない。
だがこのペースでゴブリンを狩って間引き依頼も達成できれば、得られるキャラシート開放用ポイントが1000に到達する。
今のところこのポイントで解禁できるのは思いつく範囲では特に居ないが……今夜心象空間で確認し直して、候補を洗いなおすのも悪くない。
「なんかすごい上機嫌だけど、何かあったの?」
「む? ああいえ、次の変身先を開放する為のポイントも溜まっておりましてな」
「あー、前に言ってたアレね」
そんな俺の内心が見抜かれたのか、静が俺を見上げながら不思議そうに問いかけてくる。
レオスの角ばった顔でも見抜かれるぐらい浮かれていたという事実に、俺は少し気を引き締めながら応じる。
その言葉に対して静はまだ少し慣れないのか、何とも言えない顔を浮かべた。
まぁ静からしたらようやく慣れてきた、レオスとかいう濃いキャラとは別に追加されると言われれば穏やかじゃなかろう。
そんな具合に若干緩いやり取りを挟みながら到達した、もはや見慣れたチェックポイントと化した最奥2個手前の部屋。
いつものようにボス部屋を覗きこむ俺と静だが……。
「いないね」
「いませんなぁ」
そこにはいつも屯しているホブゴブリンを中心とした、ゴブリンの群れが影も形も存在していなかった。
なんだろう、胸騒ぎがする。
「……透、奥から帰ってくるパーティと擦れ違った?」
「いえ、誰とも擦れ違っておりませんな。幾つかルートがある故会わなかったという可能性も無いわけでは、ありませぬが……」
緩んでいた空気がいつしか張り詰めた空気に変わり、ゆらりゆらりと尻尾を揺らす静の言葉に俺は首を横に振って応じる。
背中が泡立つような緊張感、それに突き動かされるように俺達はダンジョンから脱出するために踵を返す。
だが、俺達の判断はあと一歩遅かった。
「透!!」
「静嬢!!」
どちらが先に気づいたかはわからない。
俺達二人は部屋から出る為の入り口の手前で上から降り注ぐ液状の何かを察知し、急いで後方へ向かって飛び退る。
粘着質な音を立てながら落ちてきたのは、うごうごと形を変えながら蠢く粘性の悪臭を放つ物体であった。
「……今回のダンジョンのボスはどうやら、スライムだったようですな」
「それも大分大物、どうする?」
退路であるダンジョンの出口へ向かうための唯一の入り口をふさがれた俺達は、落ちてきたボススライムに追従するように更に落ちてくるスライムの圧力に押されるように後退る。
ここまで順調だった俺と静のダンジョン探検であったが……。
今この時、俺達はおそらく今までで経験がないほどの窮地に立たされていた。
物理で殴る透(レオス)、物理で叩き斬る静。
この二人と致命的に相性が悪いのは物理無効系モンスターだって、はっきりわかんだね。
AIのケツ引っ叩いて描かせるキャライメージ絵は必要ですか?
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どちらでもよい
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AI絵じゃないのが好ましいがないよりマシ
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AI絵ならいらない
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お前の財布を酷使しろ(断固たる決意)