「顔60点、体100点」と評価されている幼馴染と同棲することになった俺。彼女は無防備なうえに甘やかしてくるので、毎日が刺激的すぎるんだが…!   作:白井ムク

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第13話 彼女の水着選び

 昼前、二人は近所の大型ショッピングモールを訪れた。夏休み最初の休日ということもあり、館内は家族連れや学生で混雑している。

 

「ねえ律くん、手繋ぐ?」

「繋がない」

「迷子になるかも」

「高校生だろ」

「じゃあ腕組む?」

「組まない」

 

 小晴は諦めたように見せかけ、律のシャツの裾を摑んだ。

 

「これならいい?」

「……まあ、それくらいなら」

「やった♪」

 

 ——まったく……。

 

 自分が好きになるタイプの女の子とは違う。それなのに、この小晴の可愛げは、いったいどこからくるのだろうか。律がそんなことを考えていると、

 

「着いた!」

 

 小晴が足を止めたのは、女性用の水着が並ぶ店だった。入口には色鮮やかなビキニを着たマネキンが立っていて、いかにも男は入ってはいけない領域のように感じられた。

 

「やっぱ俺、外で待ってるから」

「ダーメ。選んでくれる約束でしょ?」

「やっぱ嫌になった」

「まあまあ、ちょっとだけでいいから〜♪」

 

 律は小晴に押し込められるように、渋々入店した。女性用の水着に囲まれると一気に落ち着かなくなる。周囲の目がどうしても気になってしまうからだろう。

 そんな律をよそに、小晴は楽しそうに水着を選び始めた。

 

「ん〜……ねえ、律くん。こっちとこっち、どっちがいいと思う?」

 

 小晴が二着の水着を交互に身体へ当てる。白いフリルのついたビキニと、胸元が大きく開いた黒いセパレートタイプ。

 

「黒はやめとけ」

「即答だね」

「小晴には大人っぽすぎる」

「私だって大人の女だよ?」

「中身が追いついてないだろ」

「ひっど〜……じゃあ白?」

「そっちのほうが似合いそうだ」

 

 答えると、小晴が嬉しそうに目を細めた。

 

「それじゃ、試着してみるから待ってて」

「え……俺に見せるの?」

「そのために連れてきたんだよ? ——じゃ、ちょっと待っててね〜♪」

 

 小晴は白いビキニを持ち、試着室へ入っていった。カーテンが閉まる。衣類が擦れる音が聞こえ、律はどこを見て待てばいいのかわからなくなった。

 

 

 そして数分後——。

 

「律くん、ちょっと来て」

 

 カーテンの隙間から小晴に手招きされ、律は試着室の前へ立った。

 

「じゃーん!」

 

 カーテンが開いた瞬間、律は息を呑んだ。

 白を基調としたフリル付きのビキニ。可愛らしいデザインのはずなのに、小晴が着ると、最初に目へ飛び込んでくるのはその豊かすぎる胸だった。小さなフリルが胸元のボリュームによって持ち上げられ、その下には深い谷間ができている。

 

 そこから視線を下ろせば、驚くほど細いウエストと丸みを帯びた腰のライン。健康的な太腿まで、ほとんど隠すものがない。

 

 ——いや、ウエストッ……!?

 

 律は思わず二度見した。北海道で全体的にむっちり成長したと思っていたのだが、そのウエストはしっかりと引き締まっている。だからこそ、大きい胸とお尻が余計に強調して見えるのだった。

 

「どう? 似合ってる?」

 

 小晴が少し照れ臭そうに訊く。

 

「可愛い? それとも〜、エロい?」

「ま、まあ……両方」

 

 律が正直に答えると、小晴の頬がわずかに赤くなった。いつものように律をからかうつもりだったのだろう。予想以上に真っ直ぐ答えられ、逆に照れたらしい。

 

「そ、そっか」

「似合ってるよ。もうその白でいいんじゃないか?」

 

 律は恥ずかしさを誤魔化すように、やっつけで言った。

 

「……うん。なら、白がいいかな」

 

 小晴は胸元のフリルを指先で摘みながら、嬉しそうに笑った。

 

 その表情を見て、律は少し不思議な気持ちになった。小晴の顔立ちは、律がこれまで理想としてきた華やかな美少女とは違う。少し垂れた目も、笑うと形が崩れる口元も、どちらかといえば親しみやすい。それなのに、今の小晴を素直に可愛いと思った。

 

「じゃあ、これにしようかな」

 

 小晴が決めかけると、律は急に不安になった。

 

「ほかは試さなくていいのか?」

「もう決めた。律くんが似合うって言ってくれたから」

「いや、自分で気に入ったものを選べよ」

「私もこれが好きだよ」

 

 そう言って、小晴は水着の胸元へ手を当てた。

 

「その上で、律くんにも可愛いって思ってもらえたから、これにするの」

「……そう」

「ついでにエロいって言われたから♪」

「お、おいっ!」

「じゃ、脱ぐから待ってて〜」

 

 再びカーテンが閉まると、律は大きなため息を吐いた。

 

 再会してからずっと小晴に感情をぐらんぐらんと揺らされる。振り回されてばかりだというのに、なぜだか懐かしいと思ってしまった。

 

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