「顔60点、体100点」と評価されている幼馴染と同棲することになった俺。彼女は無防備なうえに甘やかしてくるので、毎日が刺激的すぎるんだが…! 作:白井ムク
予約投稿の設定がうまくいってなかったらしく、
連載がストップしておりました。すみません。
本日からしばらく毎日投稿していきますので、
引き続き本作をよろしくお願いいたします。
本日は2話投稿です。
白井ムク
律の部屋を訪れたあと、小晴は逃げるように自分の部屋へ戻った。
扉を閉め、バスタオルを外し、パジャマに着替え、ベッドへ顔から倒れ込む。
「ふぅううう〜〜〜〜〜〜……」
胸の奥に溜め込んでいた息を、枕へ全部吐き出した。
心臓が、まだドクドクとうるさい。小晴はのろのろと顔を上げ、律の部屋があるほうの壁を見る。たった一枚隔てた向こう側に律がいる。そう考えただけで、頬がまた熱くなった。
「ちょっと、やりすぎちゃったかな……」
今日だけで、二度も抱きついてしまった。
一度目は再会できた勢いで。二度目は、元気のない律を慰めるため――なんていうのは、半分嘘だ。
もちろん、律に元気になってほしかった。あんな寂しそうな顔をしてほしくなかった。
けれど、それ以上に——
「私が、抱きつきたかっただけだよね……」
口にした途端、枕に顔を埋め直し、両脚をばたばたさせる。
昔は、もっと気軽に触れられた。手をつなぐのも、隣に座るのも、ごく当たり前だった。
でも、今日会った律は、記憶の中の男の子よりずっと背が高く、声も低くなっていた。腕の中に飛び込んだ瞬間、知らない男の人みたいで、それなのに間違いなく律だった。
そのことが、どうしようもなく嬉しかった。
しばらく悶えたあと、小晴は身体を起こした。机の引き出しから日記帳を取り出し、今日の日付を書く。
ペン先を紙の上で迷わせてから、ゆっくりと言葉を綴り始めた——
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【七月十九日】
律くんと再会した。
背が伸びて、声も低くなって、髪型も格好よくなっていた。昔より大人しくて、優等生っぽくなっていたけど、私を見た瞬間の顔は昔とあまり変わっていなかった。
覚えていてくれて、すごく嬉しかった。
本当はもっと喜びたかった。抱きついて、これから一緒に暮らせることを自慢して、離れていたぶんまでたくさん話したかった。
でも、律くんはときどき無理に笑っていた。
なにかあったのかと訊いても、なんでもないと言われた。
私の知らないあいだに、律くんにもいろいろなことがあったんだと思う。
少し寂しい。
だけど、また会えたことは、やっぱり嬉しい。
今日の私、七十五点。
再会してすぐ抱きついたのでマイナス十点。
律くんが困っているのに、少しはしゃぎすぎたのでマイナス十五点。
でも、最後にはちょっと笑ってくれたので、七十五点のままでよし!
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書き終わると、小晴はしばらく日記を見つめた。
七十五点の自分。
まだまだ足りない。
やがてぱたんと閉じ、壁の向こうへ届かないくらいの小さな声でささやく。
「おやすみ、律くん」
返事はない。
それでも小晴は少しだけ笑い、日記帳を大切に引き出しへ戻した。