そんな今回の話ではあのキャラが登場します!
投稿する頻度ですが、恐らく1週間に1、2話くらいになりそうなので予め連絡しておきます。
デラックスの予選が終わって決勝トーナメントまでの僅かな時間、ハジメはいつも通りの日常を送れるものだと思っていた。
しかし現実はそうならなかった。
「スゲェじゃん新導!」
「全勝で予選を突破するなんてな! しかも次の対戦相手があの廻間ミチルなんてマジでスゲェよ!」
「お、おう」
いつも通り学ランの制服を着て学校へ登校すると学校はデラックスの話題で持ちきりだった事もあってハジメはクラスメイトの男子達から声をかけられまくっていた。
「(まさかデラックスがここまで注目されてたとはなぁ)」
ハジメ自身もデラックスがここまで注目されていたとは予想外で内心ではとても驚いていた。
「なぁ
「悪い。デラックスって何だ?」
「何だよ知らないのか? デラックスっていうのは最近話題になってるヴァンガードの大会の事だよ! テレビや配信で活躍するようなプロの人から新導のような一般人までとにかく強い人達を集めて最強を決める大会。それがデラックスなんだよ!」
「へぇ、何か凄そうだな!」
「だから凄いんだって! その中でも新導は予選を全勝で勝ち抜くぐらいめちゃくちゃ凄いファイターなんだよ!」
1人の男子生徒がデラックスについて熱く語っていた。
それを聞いていたのはハジメの同級生でクラスメイトの【
ハジメ自身はアキナとそこまで親しくはないのだが、犬猿の仲というわけでもない。何かあれば普通に話をするし、困った事があればお互いに協力する事もある。
なので2人の関係を言葉にするなら他人ではないが友達と呼べるほど親しくもないといった感じだろう。
しかしデラックスで勝ち上がるという事の本当の意味をハジメはまだ理解していなかった。
「頼む新導! ヴァンガード部に入ってくれ! 俺達にはお前が必要なんだ!」
「断る」
「そこを何とか! 頼むよ新導!」
他のクラスにいるヴァンガード部の部長をしている同級生の男子生徒がしつこくハジメの事を勧誘してきたのだ。
何でもチーム戦で行われるヴァンガードの大会に部活のメンバーで出場するらしいのだが、大会で勝ち抜く為にハジメの力が必要らしい。まぁ、デラックスで勝ち抜けるような即戦力が近くにいたら勧誘したくなるのも無理はないが、ハジメにはそのつもりが全くなかった。
それから色々と理由をつけて何とか部長には諦めてもらえたのだが…
「スゲェじゃん新導!」
「デラックスのファイト配信で見たぜ!」
「まさかあの霧島モンドさんに勝つなんてなぁ!」
「お前って実はめちゃくちゃ凄い奴だったんだなぁ!」
気分転換にストレイキャットでファイトしようと思って来てみたらここでも知り合いからデラックスの話題で引っ張りだこだった。
「(勘弁してくれ…)」
朝から夕方までデラックスに振り回されっぱなしのハジメが帰宅して部屋に戻った時には身体よりも精神の方が疲れ切っていた。
それから数日が経過して、最初と比べるとデラックスによる騒ぎは静かになってきてはいるもののまだ一部のファイター達からは注目されていたり、なんなら突然ファイトを申し込まれる事もあったりして今ではすっかり有名人扱いされてしまい、ハジメはそういう扱いをされるのに慣れていないから疲れる一方だった。
プルルルルル〜〜〜ッ
そんな時、ハジメのスマホの着信音が鳴った。
「ん? メグミさん?」
電話の相手は大倉メグミだった。
「もしもし?」
『あっ、ハジメ? いま大丈夫?』
「はい。大丈夫ですよ」
先日の予選最終日の朝以降、ハジメはメグミやユウユ達と普通に話が出来るくらい仲良くなった。
『ありがとう。当然で悪いんだけどさ、今日の夜って時間ある?』
「今日ですか? はい。大丈夫ですけど、どうかしたんですか?」
『あのね、実はハジメに会いたいって人がいてさ。それで悪いんだけど今日の夜ワンダヒルに来てくれない?』
メグミがハジメに連絡してきた理由はハジメに会いたい人がいるから彼女達ブラックアウトの活動拠点になってる。今は誰にも使われていない遊園地【ワンダヒル】へ来てほしいというものだった。
「それは良いですけど、俺はワンダヒルの場所知らないですよ?」
『大丈夫。近くまできてくれたらアタシが迎えに行くから』
「いや、それは流石に悪いですよ」
『良いから良いから。行き方についてはこの後メッセージで送るからよろしくね。それじゃ!』
「あっ、ちょっと!? …切れちゃった」
メグミはハジメに有無を言わさずに自分の言いたい事を言い終えるとそのまま電話を切ってしまった。
ピコン!
「あっ、きた」
それからすぐにメグミからメッセージが届くと道中の移動の仕方についての説明が書いてある文章が送られてきた。
「ハァ…行くか」
ハジメは一度マンションの部屋に戻り、私服に着替えてデッキを持って出発して、メグミから送られてきた文章の通りに移動してバスから降りた事で待ち合わせ場所となる【月ノ森前】のバス停に到着した。
「ここで良いんだよな?」
ハジメは周りを見渡すが見事に何もないからここであっているのか少し不安になっていた。
「あっ、いたいた!」
そこへデラックスの時とは違い、髪を下ろした制服姿のメグミがやってきて合流すると早速移動を始めた。
「ごめんね。当然呼び付ける形になっちゃって」
「いえ、それは大丈夫なんですけど…」
「ん? どうかした?」
「いえ、メグミさん。デラックスの時と雰囲気が違うからちょっと驚いちゃって」
「あぁ、アタシファイターの時は男装するようにしてるからその所為かも」
「そうなんですね」
ハジメはメグミが何故男装しているのか気になったが、深入りするのは彼女に悪いと判断してそれ以上は何も聞かなかった。
「ほら、見えてきたよ」
そうこうしているうちにハジメはワンダヒルの入口に辿り着いた。
「ここが、ワンダヒル」
「そうだよ。あっ、着替えてくるからちょっとだけ待っててね」
「わかりました」
そう言ってメグミは着替える為に近くの小屋へ入っていくとハジメは入口の近くを色々と見て回っていた。
「(今は使われてないって言ってたけど、所々壊れているものを修理した跡がある。きっとみんなで直して大事にしてるんだろうなぁ)」
ハジメは所々にボロボロな壁や遊具が修理された痕跡を見つけると恐らくブラックアウトのメンバー達で直して大事にしているのだろうと感じていた。
「お待たせ! それじゃあ行こっか」
「はい!」
そこへハジメが知るボーイッシュな格好をしたメグミがやって来るとハジメは彼女に連れられて中へと入っていった。
するとそこには暗い夜の中に一際目立つ明るさを灯すメリーゴーランドがあり、既にそこではファイトが行われていた。
「ようこそ! 夢の広場、ワンダヒルへ!」
「ユウユさん!」
そこへブラックアウトのリーダーを務めているユウユがハジメに声をかけて出迎えてくれた。
「こんばんはハジメ君。突然の連絡になっちゃってごめんね」
「いえいえ俺は大丈夫ですよ。ここにも一度来てみたかったですし」
「そう言ってもらえると助かるよ」
「それで、俺に会いたい人っていうのは…「俺だよ」…えっ? トウヤさん!?」
ハジメ達の話に割り込んできたのはハジメがデラックスの予選でファイトしたトウヤだった。
「トウヤさんが俺に会いたかった人? でもどうして…」
「それは勿論。ファイトする為だ!」
「はい?」
「頼む! 俺とファイトしてくれ!」
「ええっ!?」
ハジメはトウヤから突然ファイトを申し込まれて驚いていた。
「でも俺もトウヤさんも決勝トーナメントに進んでるじゃないですか。ここでファイトしなくてもお互いに勝ち上がった時にファイトすれば…」
「それまで待てない。俺は今すぐハジメとファイトしたいんだ! 頼む!」
「マジか…」
「トウヤさん。僕達がハジメ君と親しくしてるのを知って君とまたファイトしたいから連絡してほしいって頼んできたんだ」
「それでアタシが連絡してここまで来てもらったってわけ。ホント、ファイトの事になるとそれ以外何も考えられなくなる所は変わらないわよね」
「ありがとうメグミ」
「褒めてないから!」
「(トウヤさんってこういう人だったんだ)」
ハジメはユウユとメグミから何故自分が呼ばれたのか理由を聞きながら彼らの会話の内容を聞く中でトウヤがどういう人物なのか何となくだが分かってきたのだった。
「…ハァ、わかりました。またファイトするって約束しましたもんね」
「っ!? それじゃあ!」
「はい。トウヤさん。俺とファイトしましょう」
「ありがとう! 感謝する!」
こうしてハジメがファイトを承諾した事でトウヤのリターンマッチが行われる事になった。
「おい! トウヤがファイトするらしいぞ!」
「相手はあのギアクロニクル使いか。これは見逃せないな!」
メリーゴーランド周辺ではブラックアウトのメンバー達がちょっとだけ騒いでいた。
こうしてメリーゴーランドでハジメとトウヤによるスペシャルマッチが行われると結果はトウヤの勝利で幕を下ろした。
しかしその後ハジメはブラックアウトのメンバー達から【自分ともファイトしてほしい】とか【ギアクロニクルのカードを見せてほしい】とか色々な理由で絡まれたが、何故かハジメはそれが嫌にはならなかった。
その理由はブラックアウトのメンバー達の表情がとても楽しそうでハジメとギアクロニクルに興味津々なのが強く伝わってきたからだった。
「(この人達は本当にヴァンガードが大好きなんだなぁ)」
ハジメはヴァンガードが大好きだ。前世でも今世でもそれは変わらない。そしてブラックアウトのメンバー達からもそんなハジメと同じヴァンガードが大好きだという気持ちがとても強く伝わってきた。
だからこそハジメは彼らとの交流が苦になる事はなく寧ろもっと仲良くなりたいと思う気持ちが強くなり、気がついたら自分から声をかけたり、ファイトを申し込んだりするようになっていた。
それからハジメはデラックス決勝トーナメントが始まるまでの間、時間がある時にはブラックアウトに顔を出しては色々な人とファイトした。
しかもメグミとユウユ、ウララに関しても大会期間中ではあるものの3人ともファイトして、楽しみつつ互いに全力でぶつかり合い、お互いに勝ったり負けたらを繰り返しながらカードの話で盛り上がったりした。
そしてあっという間に1週間が経過していよいよ決勝トーナメント当日を迎えるのだった。
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それでは次回もお楽しみ!