「今日から3年生か。」
山の上の隔離校舎まで歩きながら十六夜咲夜は愚痴をこぼしながら登校していた。この山道が通学に加算されるため本校舎に登校していた時間よりも早く家を出る必要がある。今後この時間に出るのに慣れないといけないな。
まあ、最悪時間を止めれば遅刻はしないだろう。私は時間を止めることが出来る。この能力は幼稚園の頃に目覚めた能力で数十秒程、最大だと約一分止められる。能力の連続使用も出来るが、止めている時間の合計も一分程である。10分くらい休憩すれば再使用出来る万能な能力だ。
時間が止まった世界は従来の物理法則が効かない。電化製品は動かなくなり、ボールを投げたら一定の距離まで飛び空中で静止する。液体は固体のように固まるが、手に持ったコップに入った水は変化しないなど不思議が多い能力だ。
両親に相談して似たような存在が居ないか神社やお寺を回った事があったが、手掛かりなく終わってしまった。月が爆発したように不思議な存在は実在すると思うのだが、一般家庭が調べて知ることができる程度の場所には隠れていないのだろう。この能力について詳しい存在がもしいたら色々と教えてもらいたいな。
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「初めまして。私が月を爆った犯人です。来年には地球も爆る予定です。皆さんの担任になったのでどうぞよろしく。」
……どこからツッコんでいいのかしら?黄色いタコのような生物についてか、そのタコの発言についてか、それとも学校では見たことない初対面の3人からかしら。
そう考えながら3人のうちの1人が真面目な顔で話し始めた。
「防衛省の烏間という者だ。まずはここらかの話は国家機密だと理解して頂きたい。単刀直入に言う、この怪物を君達に殺して欲しい!!」
……
簡単にまとめるとマッハ20の怪物の気まぐれで私たちの教師になりたいのか。一瞬私以外のクラスメイトも能力者だったのかと思った。明らかに人間ではないけど『生まれも育ちも地球』て言ってたし私のような能力に対する知識もあるかもしれない。能力を持っていることを隠してそれとなく質問してみよう。
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「何度もお話しするように、すみませんが私の正体については教育に悪いので教えることはできません。」
先日名前をもらった殺せんせーに何度目かの質問しているのだが、一向に正体について教えてくれない。教師になりたいなら生徒の質問くらい答えてやったらどうなんだ。
「しかし気になりますよ。マッハ20で飛んで月を破壊することができるのに、ゴムナイフとBB弾にやられる黄色いタコなんておもしろ生物は。同族とかいないんですか?」
「私以外に同族が何人もいれば月がいくつあっても足りないですよ。触手持ちは私一人で十分です。」
「それもそうですね。」
こう何度も質問しても適当にはぐからされるから殺せんせーから情報を得るのはあきらめようかと考えている。暗殺に成功するだけで成功報酬100億円が入るからそれを元手にすれば調べることができなかった場所も調べることができるかもしれない。幸い超生物を知っている防衛省に縁ができたし、この路線から調べてもらおうか。
そうと決まったら早速殺せんせーを暗殺しよう。能力使って30秒も止めれば殺せるくらいのダメージは与えることができるはずだ。時間停止した前後で体の位置がズレるのが目撃されると面倒だから廊下で殺してみるか。
「殺せんせー、ちょっと廊下に来てくださーい。」
「おや、先生呼ばれたので少し十六夜さんのところに行ってきますね。」
殺せんせーは茅野と話していたがこっちに来てくれた。せっかくだから茅野に証人になってもらうため会話が聞こえる程度のところで暗殺してみよう。
「何でしょうか十六夜さん。今度こそ暗殺してくれますか?」
「はい、少し暗殺をしようかと。少しの間止まっていてください。」
そう言って私は能力を発動させる。その瞬間教室から聞こえてた話し声が聞こえなくなった。私以外の時間を止めてナイフを刺そうと思ったが……
「……なんで動けるんですか?」
そこには驚いた表情で周囲を確認する殺せんせーの姿があった。