「今日から新しい先生が来るけどどんな先生かしらね。」
五月に入っても殺せんせーはまだ暗殺に成功していない。一度は出席中に触手を一本破壊できたが、手加減していたのか次の日からスピードが二段階ほど上がった。触手を破壊した日の団結力は良かったが、次の日スピードが上がった先生を見てみんな萎えてたぞ。
「え、そうなの狭間さん。どこに書いてたの?」
「烏間先生からクラスメール来てたわよ。」
「あ、ホントだ。『外国語の臨時教師』ね。英語の教科を担当するのかしら。」
「そうじゃない?……多分殺し屋のね。」
そうだろう。烏間先生も暗殺をたまに行っているが防衛省と体育教師の仕事があるため、あまり出来ていない。殺し屋が送り込まれるのも時間の問題だったんだろう。
「烏間先生は多忙だからね。暗殺に専念できる殺し屋が来るのはいいけど……授業できるのかしら?」
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「イリーナ・イエラビッチと申します。皆さんよろしく!」
綺麗な人、それが第一印象だ。ただ……なんで殺せんせーにベタベタなんだろ?そして殺せんせーもピンクになってデレデレだ。殺し屋という予想を立てていたが、烏間先生よりも弱そうで殺し屋には見えない。殺し屋なんて見たことないけどこれが普通なのか?
「ああ……とっても素敵なお体。正露丸みたいなつぶらな瞳。曖昧な関節。とりこになってしまいそう。」
「いやぁお恥ずかしい。」
違うから!そこがツボな女なんていないから!……これは暗殺の為の手段なのか?国家機密の場に簡単に一般人を入れるわけないから間違いなく裏があるはずだがどんな人だ?分からないまま一時間目の授業が始まった。
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「なービッチ姉さん。授業してくれよー。」
「そーだよ、ビッチ姉さん。」
ビッチ姉さんは殺せんせーが居なくなると直ぐ教師役をやめた。授業は自習、情報は無理やり聞き取り、暗殺の邪魔を許さないと断言した。
「あー!!ビッチビッチうるさいわね!!正しい『V』の発音を教えてあげるわ。まず歯で下唇を軽く噛む!……そう。じゃ、そのまま一時間過ごしていれば静かでいいわ。」
なんだこの授業!私たちのことを全く考えてないじゃないか!……どうやら自習を撤回する気はないようだ。私たちは仕方なく自習を行った。
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「烏間先生、いくら地球の為とはいえあの人が先生だと授業になりません。」
体育の授業中、ビッチ姉さんの文句がクラス中から出てきた。授業もそうだが私たちが集めた情報など勝手に奪って自分勝手すぎる。
「すまない。プロの彼女に一任しろとの国の指示でな。ただ、殺し屋として一流なのは確かだろう。」
確かに殺せんせーを人気のない体育倉庫に今二人きりで入り込んで暗殺をしようとしている。チョロすぎだぞ殺せんせー。私達でも赴任してくる前から殺し屋と予想できたのにその人と二人きりになるなんて。
……急に倉庫から銃声が!!みんなも驚いてる。……暗殺できたのか?
「いやあああああ!!」
「な、今度はビッチ姉さんの悲鳴が!」
……暗殺は失敗したのか。今手入れの最中なんだろうが……倉庫からヌルヌル聞こえるぞ。どう反応したらいいのか分からない。
「めっちゃ執拗にヌルヌルされてるぞ!行ってみようぜ!」
ヌルヌルが終わったのか、殺せんせーが出てきた。
「いやぁ……もう少し楽しみたかったのですが、皆さんとの授業のほうが楽しみですから。六時間目の小テストは手強いですよ。」
やった、やっとまともな授業になれる。……気づいたらビッチ姉さんが手入れされて出てきた。
「肩と腰のこりをほぐされ、オイルと小顔とリンパのマッサージされて……早着替えさせられて……。その上まさか……触手とヌルヌルであんな事を……。」
どんな事だ!?殺せんせーはすっ呆けた顔で何も語らなかった。
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今は殺せんせーが無理やりねじ込んだ英語の臨時授業だ。午前中の授業が殺せんせーの耳に入って溝を埋めるために特別に設けたが……むしろ溝が深くなってないか?相変わらずビッチ姉さんは授業してくれないし。
「先生、授業してくれないなら殺せんせーと交代してくれませんか?一応俺ら今年受験なんで……。」
「はん!地球の危機に比べてガキは平和でいいわね~。聞けばあんた達E組はこの学校の落ちこぼれだそうじゃない。今更勉強しても意味ないでしょ。」
……。
「そうだ!じゃあ私が暗殺に成功したら一人五百万円分けてあげる!あんたたちが一生目にする事ない大金よ!」
「……出てけよ。」
「出てけくそビッチ!!」
「殺せんせーと変わってよ!」
「巨乳なんていらない!」
「そうよ!」
ふざけるな!馬鹿にしすぎだ!私はビッチの胸に投げナイフを十回ほど投げた。うち三回は岡島君の頭にクリーンヒットした。その後、もっと投げたかったがビッチ姉さんが逃げて行った。
「やめだやめだ、もーサボろうぜ。」
「さんせー。校庭で訓練しようぜ。」
何人かは出て行ったが、一応授業中なので大半はまだ教室にいる。私は岡島君に謝りに行った。
「岡島君、さっき投げナイフしたんだけど三回頭に当たったの。ごめんなさい。」
「いいよ、大丈夫だ。……三回だったか?俺の頭には合計十回ほど当たったんだが。」
「そんなに投げてないわよ。……角度的にカルマ君かしら?」
カルマ君がそれほどコントロールが悪いとも思わないし……わざとかな?悪戯好きなキャラしてるし。私は席に戻って狭間さんに声をかけた。
「狭間さんは何か投げた?」
「投げてないわよ、暗殺の成績悪いし。よくあの騒動の中、最後列から教卓までナイフが届いたわね。」
「投げナイフは得意だからね。……岡島君の頭にもあたったけど。」
「いいじゃない、あいつにとってはご褒美みたいなもんでしょ。」
「その認識はどうかと思うけど……。」
確かにクラス一エロに敏感で、エロ本拾っていて、SMとは何か熱弁していて……やばい、否定できる根拠がない。それなら謝らなくてもよかったのではないか?
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クラスで駄弁っていると校庭で訓練していた組が殺せんせーに連れてこられた。その後ビッチ姉さんが帰ってきた。……そして黒板に英文を書いた。
「you're incredible in bed! 言って!」
「……ユ、ユーアーインクレディブルインベッド。」
「アメリカで暗殺したときボディーガードに色仕掛けで接近したわ。その時彼が私に言った言葉よ。意味は『ベッドでの君はスゴイよ♡』よ。」
何てこと教えるんだこのビッチは!
「外国語を短い時間で習得するにはその国の恋人を作るのが手っ取り早いわ。私は仕事上必要な時その方法で新たな言語を身につけてきた。だから私の授業では、外人の口説き方を教えてあげる。」
……そういえばビッチ姉さんは外人なのに日本語ペラペラだな。
「プロの暗殺者直伝の仲良くなる会話のコツ。受験に必要な勉強はあのタコに教わりなさい。私は教えられるのは実践的な会話術だけ。もし……それでも私を先生と認めないなら、その時は暗殺を諦めて出ていくわ。……そ、それなら文句ないでしょ?」
……よかった、これからは普通に授業してくれるようだ。
「ビッチ姉さんから呼び方変えないとね。」
「じゃ、ビッチ先生で。」
「よろしくビッチ先生!」
「授業始めようぜビッチ先生!」
「キーッ!!やっぱりキライよあんた達!!」
どうやらビッチ先生は弄られキャラに落ち着いたようだ。