オバロ世界をマスターピースで冒険だ!   作:Revak

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第6話

 

 空を飛び、周囲を視認しながら死柄木は飛ぶ。

 目的地は分かっている。サーチで既にンフィーレア・バレアレは登録済みだ。

 この様な事態を想定していた訳ではない。単にタレントが有能だったのでいつか奪いたいと思い登録だけしていただけだが今この場では登録しといてよかったと感じる。

 あくまでサーチでは居場所がわかるだけ。具体的な座標などは分からない。ただただンフィーレアに向かって真っすぐに進む。

 

「──あ?」

 

 空を飛んでいれば同じように飛んで飛来するモノを目にする。

 

「ドラゴン?」

 

 大きさとしては死柄木より二回り以上大きい。下手な家程──三メートルはある巨体。

 その巨体に対し中身は実に軽そうであり、体の全てが骨──しかも人骨で形成されている。

 翼もあるにはあるが骨だけでありその翼で何をどうすれば飛べているのだと疑問を抱く翼。

 ドラゴン。東洋の龍ではなく西洋の竜。トカゲにコウモリの翼を付けた空想上の怪物を人骨で形成した上位アンデッドとこの世界では称され──実際には中位アンデッドだが──る厄災。

 骸の竜(スケリトル・ドラゴン)。魔法への絶対耐性を持つとされる魔法では絶対に対処できないとされるアンデッド。

 

 保有する能力は第六位階以下の魔法の無効化とスケルトン系モンスターが有する能力全般。

 電撃と冷気に対する完全耐性と炎と聖属性に対する脆弱性。刺突の無効化に斬撃の耐性。殴打への脆弱性。魔法耐性は無効化能力に頼りっきりであり一切無い。ぱっと上げればこんな所である。

 

 その弱点を凡そサーチで確認した死柄木は真っすぐ跳ぶ。エアウォークで空を蹴り、骸の竜(スケリトル・ドラゴン)に肉薄する。

 そして──殴る。

 

 構えは多少なっている。だがそれ以外は特に強化しない殴打だ。

 強肩や膂力増強等も使わない完成された体(マスターピース)の身体能力。

 当然、天候をも変え得る超パワーで殴れば。相手は死ぬ。

 

 断末魔を上げることなく。骸の竜(スケリトル・ドラゴン)はその偽りの生命力を一撃で削られ、ただの骸となり果てた。

 空の上から骸の竜の残骸が地上に降り注ぐ。

 それを一瞥する事無く。死柄木は目的地へ飛んだ。

 

 

 

 

 

 

「何故だ! 何故、アンデッドに成れん!」

 

 

 共同墓地。

 エ・ランテルの共同墓地は他の都市と比べても非常に大きい。

 理由は幾つかあるが最も大きい理由はやはり毎年のように行われる帝国と王国の戦争だろう。

 単に軍と軍が睨み合うだけの戦だが死者が出ない訳ではない。餓死者や行軍に耐えれない者もいる。それに帝国が進軍した際には多数の死者を出したこともある。

 そういった理由や冒険者が多い事から冒険者の死体を埋葬するためにもエ・ランテルの外周部の城壁の四分の一を使った広大な墓地となっている。

 奥地には霊廟があり、死者に祈ったりするためにある。

 その様な神聖かつ、人が寄り付かないはずの霊廟に一人の男が居た。

 

 剃った頭部に体を隠し体格をわからなくするローブ。捻じ曲がった木製の杖。

 肌からは生気を感じられず。老人の様に老け込んでいる男。恰好からして魔法詠唱者だと主張している。

 名をカジット・バタンデール。死霊術師で構成された犯罪組織ズーラーノーンに所属する者であり、十二高弟という幹部に位置する者だ。

 幹部と言っても実態は大したことが無い。犯罪組織とはいうがこれといった犯罪を集団で行う者達ではない。ーー罪を犯さないという訳ではないが。

 正確に言えば寄り合い所帯の様なモノだ。それぞれ勝手に行動し何かあれば各自幹部間で交渉したり取引をしている。

 一応の頭目はいるが顔を出さず、精々が幹部任命時等に顔を見せ合う程度。

 横の繋がりも縦の繋がりも殆どない。組織とは名ばかりである。

 

 それに所属しているカジットがこれだけの──都市一つを攻め落としうるアンデッドの軍勢を召喚できたのには勿論種がある。

 

 それこそがンフィーレア・バレアレ。そして彼に装備させたのが十二高弟であるクレマンティーヌから貰い受けた叡者の額冠。

 着用者の自我を封じ高位の魔法を発動させる媒介にするという強力無比なるアイテム。

 当然強力なアイテムには制限がある。適応する人間が凡そ百万人に一人かつ、女性でないと装備出来ないという制限が。

 

 だが、ンフィーレア・バレアレのタレントならばその様な制限無視して装備出来る。だからこそカジットはこそこそと動き攫ったのだ。

 

 

 計画は順調だった。己が元から所持している死の宝珠を使い自身の部下であり弟子である者たちと合わせ儀式を行い第七位階魔法<不死の軍勢>(アンデス・アーミー)を発動した。

 呼び出されたのは下級アンデッドばかり。だがそれでも自分が集め、作り出したゾンビ等を含めれば戦力としては充分以上。

 流石に何百、何千というアンデッドを操る事はカジットでも不可能。だが誘導程度ならば出来る。

 

 だからこそ、アンデッドの軍勢を街に向かわせたのだ。

 

 道中、共同墓地と街の間の障壁はクレマンティーヌが赴くことで解消。

 アンデッドが移動するより早く、クレマンティーヌが赴き門にいる衛兵を殺害。扉を開けた。

 結果碌な抵抗も街に知らせる事も出来ず、街中に不死の軍勢が現れたという訳なのだが──

 

「何故だ!」

 

(何が足りん? 死か? それともワシ自身の実力? あるいは叡者の額冠を使ったのがいけなかった? 何故、アンデッドに成れない──)

 

 

 ──そもそもとしてこの儀式。無数のアンデッドを呼び出すという死の螺旋自体が間違っている。

 結論から言えば死の螺旋は街一つ死の都市に変えれるし、強大なるアンデッドを湧き出す事も出来る。初期対応さえさせなければカッツェ平野の様な常にアンデッドが湧き出る終わった大地に変えれる。

 だが、あくまでもそれだけだ。どれだけ死を撒き散らそうと、弟子を殺そうと。■■■■を願い続けようと。アンデッドに成る事は出来ない。

 人間が後天的にアンデッドになるにはもっと別の手段とアイテムがいる。街に死を撒き散らし、死の宝珠を使った所で意味は無い。

 だから、最初からこれは破綻している。最初から間違った手段を取っている。途中で間違えた訳でも無い。最初から不可能だったという、ただそれだけ。

 

 

 ズドン、とカジットの意識を遮る音が響いた。

 

「随分と暗いな、ここは。明かりの一つも付けれない程貧乏なのか?」

 

 

 若い男だ。一目見ただけで鍛え上げられているとわかる肉体。

 鎧は着けておらず、村人が着ているのと同じの、チェインシャツですらないただの服。

 靴は履いておらず素足。一応足ふまずを守る為か布程度は巻いてあるだけ。

 白い髪に赤い瞳。暴力的なまでの生命力に溢れた存在。

 

 死柄木弔。

 

「何者だ!ワシの儀式を邪魔するなど、ただでは済まんぞ!!」

 

 それと同時に。自身の中の繋がりが一つ減っている事を実感した。

 召喚、あるいは創造したモンスターは術者と魔法的な繋がりを有する。

 自らが製造し使役していた骸の竜(スケリトル・ドラゴン)が消えたことを把握する。

 

 

 ──死柄木弔が冒険者組合からこの霊廟に来るまで実に十秒程度。骸の竜(スケリトル・ドラゴン)を倒すのに一秒もかかっていない。

 超越者である死柄木は移動速度も当然人の域を超えている。散歩程度の気軽さで何百メートルを移動できる。

 

「ンフィーレア・バレアレは何処にいる?」

 

 その台詞にカジットは事態を解決しに来た冒険者だと察する。

 だが胸元に光る銅のプレートにたかが銅級が何故、という疑問を抱く。

 

(いや。関係ない。邪魔するならば殺すだけ)

 

 空から来たという事は<飛行>(フライ)を使ったのか。あるいはマジックアイテムか。

 可能性は幾らでもあるがどうせ殺すだけだと思考を辞め、儀式に戻す。

 

「ふん。それを知っていたとしても、ワシが教えると思っているのか?」

 

「教えるさ。もう一度聞こう。"ンフィーレア・バレアレは何処にいる?」

 

「"ンフィーレア・バレアレは霊廟の隠し通路の先。地下にいる"──なんだと?!」

 

 思わず。自分が何を言ったのかわからずカジットは口を押える。

 

(よーしよし。真実吐きは効いてるな)

 

 真実吐き。問いかけた相手に本心を話させる個性。

 これでこの世界の住人にも精神操作は有効だと、死柄木は一安心する。

 それと同時に自分にも精神操作が通じる可能性に思い至り新秩序で耐性を作っておいて良かったと胸をなでおろす。

 

「さて、じゃあ──何でこんなことをしたんだ?」

 

「ぐ、──"ワシがアンデッドに成る為の儀式。死の螺旋。その第一段階こそが不死の軍勢を召喚する事"──クソ! 何故、口が勝手に!」

 

「アンデッドに……後天的に意図的になれるのか? まぁ、それさえわかれば良いわ、死ね」

 

 右腕を突き出し、これ見よがしに蒼炎を発動する。

 

「させん! させぬ! このような所で、終わって成るものか! ──死の宝珠よ!」

 

 カジットは左手に持つ道端に転がって居そうな、それこそ川にでも行けば何百と転がっていそうな外見の石を掲げる。

 なんだ、と死柄木が疑問を抱く暇無く周囲から負のエネルギーをより多く吸収する。

 

 得たエネルギーは莫大。この事件を起こしたのが夜中であり、気づかれる事無く墓地からアンデッドがはい出たおかげで多数の──三桁に届く死者が既に出ている。

 その死から得た負のエネルギーは膨大。それを使い、死霊術を行使する。

 

「ぐ、ぬおおおお!」

 

 更に死の宝珠はカジット自身からも負のエネルギーを、生命力を吸収する。

 行使される術は不死者創造。生み出されるアンデッドは。

 

 ──オオオオオオ!

 

 

 恐怖の雄たけびが挙げられた。

 地面からはい出る様に出現するは新しきアンデッド。

 

 二メートルを超える巨体。その巨体を隠す程に大きいタワーシールド。

 漆黒の全身鎧には真紅に輝く血管の様な物が表面を這っている。右腕には人の血管のように脈打つフランベルジュを携えている。

 漆黒のマントを持ち、鎧には棘が突き出ている。

 がらんどうの頭には真っ赤に輝き揺らめく死へ誘う瞳が浮かぶ。暴力的な雰囲気を携える怪物。

 肉など無いはずの体には超越的な力を発揮し、大地を踏みしめ沈ませる。

 

「死の騎士(デス・ナイト)! 奴を殺せ!」

 

 

 死の騎士(デス・ナイト)。カジット程度では決して召喚も使役も出来やしない、英雄達が決死の覚悟で挑むべき怪物を生み出した。

 このせいで死の宝珠に蓄えた負のエネルギーは空になり、カジット自身癒せぬ傷を負った。だが、それをしてでも召喚する価値があるアンデッド。

 

 サーチを使い死柄木は死の騎士(デス・ナイト)と呼ばれたアンデッドの能力を把握する。

 能力は戦士系。弱点は聖属性。それ以外の弱点、無し。

 

「へぇ」

 

 この世界に来てから初めての強敵に成り得るモノ。

 

 死の騎士(デス・ナイト)の特徴としてアンデッドの弱点である炎が無い、というのがある。

 無効化や完全耐性を持っている訳ではない。普通に通じはするが、それだけ。

 死柄木が使える属性攻撃は炎と氷と酸等の、物質的にあり得る物だけ。聖属性や負属性等のエネルギーは扱えない。つまり死柄木はデスナイトに対する有効打を持たない。

 

 

「オオオオオオ!」

 

 デスナイトが叫び、フランベルジュ片手に突撃する。

 精々が四、五メートル程度の距離など無いも同然。瞬く間も無く距離を詰めれる。

 それは死柄木も同じ。接近するデスナイトを迎え撃ち、拳を構え、放つ。

 

 咄嗟の判断。防御能力に優れたデスナイトだからこそ、咄嗟の防御が間に合った。

 タワーシールドを間に挟み、防御を成功するも──吹き飛ばされる。

 

「は?」

 

 がシャンという、異様に大きな音を立ててデスナイトが霊廟にぶつかる。

 ほんの数センチ隣をデスナイトが横切ったという事実を認識できていないカジットはあっけに取られる。

 

「まだ、生きてるのか?」

 

 ボロボロ──タワーシールドがへし折られ、左腕を拉げ曲げられようとデスナイトは己の存在を維持していた。

 これぞデスナイトが持つ能力の一つ。どのような攻撃を受けようと一度だけ耐えれる力。

 これならば例え死柄木が崩壊を使おうと一瞬ならば耐えることが出来るというこの世界では強力無比なる力である。

 

 音をたてながらデスナイトは立ち上がる。タワーシールドを折られ、腕を歪まされ、胸にも大ダメージを受けている。上記の能力が無ければ既に消滅していたダメージ量。

 

 だが、デスナイトには関係ない。召喚主の命令に従い眼前の男を殺す。それだけが──召喚・創造されたモンスターの宿命。

 

「オオオオオオ!」

 

 もう一度雄たけびを上げる。生者ならば震えあがり恐怖に竦む声。それを聞きながらも死柄木は不敵に笑うのみ。

 成程確かに。自身の攻撃を受けて耐えるというのは驚異だ。だが、それだけだ。

 再生能力の類が無いのならば、死ぬまで殺せばいいだけ。

 

 指先を変形する。発動する個性は鋲突+刃+音波。

 鋼鉄やステンレスだろうが紙のように切れる鋭さを付与した指先で薙ぎ払い、霊廟を破壊し、デスナイトを破壊した。

 

「あ、ありえ──」

 

「は、今有り得てんだろ」

 

 ずぶり、と死柄木はカジットの胸を素手で貫く。

 

 

「あ、が……お──ー」

 

 カジット・デイル・バタンデールは瞼を閉じ、二度と開く事は無かった。

 

「さて、と」

 

 死柄木は腕を引き抜く。

 どさり、と音を立ててカジットの死体が大地に転がる。

 引き抜き、血で汚れた腕に水の個性を使い新鮮な水を作り出して洗う。

 洗った後は温風を出して乾かし、それが終わると死柄木はカジットの死体を漁る。

 

「これか?」

 

 そうして取り出したのは死の宝珠とカジットが故障していた石ころ。それを手にした途端。死の宝珠が輝く。

 

 そして──死柄木の精神を汚染する。

 だが、死柄木弔にそれが通じるはずもなく。弾く。

 

『なんだと?』

 

「へぇ。成程、所有者の精神を汚染するタイプのアイテムか」

 

(こんな恐ろしいアイテムもあるとか、ほんと怖いな異世界は)

 

 警戒しておいて正解だった、と死柄木は安心する。

 そして、このアイテムをどうするか悩む。

 常識的に考えれば普通に組合長に提出すべきアイテムだろう。勿論所有者の精神を汚染するという事は隠さず伝えた上で。

 だが、それは勿体無いと死柄木は思う。

 

 アンデッド。不死者。死して尚動く屍。

 

 食事は要らず、睡眠も要らず。無限の体力を持つ正に理想的な兵隊。

 

 トブの大森林を支配するにしても、個性研究をするにしても雑用係は必須だ。一人では出来ることに限りがある。──分身は置いといて。

 ならば雑用係としてこの死の宝珠を使えないかと、死柄木は思案する。

 

「おい、お前。俺の部下に成らないか?」

『断る。我は汝如きに使えるモノではない』

「じゃあ、何であの男に使われていたんだ?」

『あの男の願いと我が願いは一致していた。ただそれだけの事よ』

「なら、俺の部下に成るのも利害の一致に成らないか?」

『あり得んな。我は世界の死を撒き散らす為に存在している。汝と対極に位置するモノだ』

「世界に死を? じゃあ、お前はそのあとにどうするんだ?」

『何だと? どういう意味だ?』

「世界に死を撒き散らした後、だよ。というかそもそも死を撒き散らすってなんだよ。人間だろうが何だろうが殺せば終わり。

 そうして殺して周った後には何がある? ──何も無いだろ。だが俺の部下に成れば未来永劫死を与え続ける事が出来る。生を俺が与えて、お前が死を与えるんだ、いいだろう?」

『それは──』

 

 死の宝珠は死柄木の提案に悩む。

 元よりあらゆる生命に死を与える為だけに創られた存在である死の宝珠は己の存在意義である死を撒き散らせれば別にいいのだ。カジットの目的と一致していたから使役させていたが。

 だが、そうして全てに死を与えれば自分はどうなるのだろうか。残るのは不死者蠢く死の大地。それ自体は歓迎する。それこそが目的なのだから。

 だが、だが、死の大地の後に何があるのだろう。死を与える為だけに生まれた自分は、死者しかいない世界で何をすればいいのか。

 思わず、ぞっと──恐怖等感じないはずの死の宝珠が恐怖を感じる。

 

 創れた存在である死の宝珠にとっては死を与えるという行為こそが己の存在意義であり全て。それが出来なく成るというのは──

 

『いいだろう。お前に使役されてやる』

 

「契約成立、だな」

 

 体内に死の宝珠を格納し死柄木は霊廟へと進む。格納するときに死の宝珠は喚いたが無視する。

 

 暗い。月の明かりも届かず、松明等の明かりも一切ないため足元に気を付けねばならぬだろう場所を死柄木は感知系の個性を使い昼間と変わらぬ視界を確保する。

 

(ここに隠し通路があるという話だが──)

 

 具体的に隠し通路がどう開かれるのかわからない。当然だ、隠されていなかったら隠し通路でも何でもない。

 何かしらの仕掛けか、あるいは魔法的手段を持ってのみ通行が可能なのだろうと死柄木はあたりをつける。

 

「仕方ないな」

 

 腰を曲げ、素手で床に触れる。発動する個性は勿論崩壊。

 威力と範囲を調整し、上部分だけが崩れるようにする。

 霊廟が崩れ去り棺が崩れ塵となり、床が崩れて隠し通路が露わになる。

 

 これでよし。死柄木は先へ先へと進む。

 

 らせん状の階段だ。壁には頭蓋骨に<永続光>(コンティニュアル・ライト)がかけられた明かりがかけられており視界には不自由しない。

 ぺたぺたと降りていき、サーチに映るンフィーレア・バレアレを探す。

 

「こりゃどういうことだ?」

 

 そして見つけたのは薄い、娼婦でも来そうなペールに包まれ、頭にはティアラを付けたンフィーレア・バレアレだ。

 この距離で何の反応も無いのは精神操作でも受けているからか、と死柄木は判断する。

 

「おい。死の宝珠。これは何だ?」

『──確か叡者の額冠成るアイテムを装備した状態だな。着用者の自我を封じ込めるとカジットの協力者が言っていた』

 

「まじか……どうするか」

 

 精神操作能力は持っているがそれを解除する術は持っていない。

 

「──仕方ない。やるか」

 

 動かないンフィーレアの頭に触れてAFOを使い、タレントを奪う。

 それでもンフィーレア・バレアレは何も動かない。装備可能能力を奪っただけ。既に装備している状態のアイテムはどうにもならない。

 

 そして、巻き戻しを使う。

 

 生体実験など殆どしていない個性だ。使えばどうなるか正直死柄木自体もよくわかっていない力を使う。

 

 光り輝くエネルギーが迸り、ンフィーレアの体を覆う。

 

 光に覆われて凡そ十秒後に力を解除。倒れるンフィーレアを支える。

 

「あれ……? ここは……」

 

「無事だったか。良かった」

 

 

「え、僕、この格好は──え?」

 

 巻き戻しした結果、叡者の額冠を装備する前までンフィーレアは戻った。

 更にンフィーレアのタレントも奪った結果、ンフィーレアは頭に叡者の額冠を付けているが装備・使用判定にはならずただの飾りと化している。

 

「とるぞ」

 

 一言声をかけ、ンフィーレアの頭から叡者の額冠を取り外す。

 塵にでもしようか悩んだがやめて置き、ポケットにしまい込む。

 そしてAFOでンフィーレアにタレントを返す。このまま奪った状態が一番いいが、殺す訳でもないのに奪ったままだと後々問題が出そうなので。

 

「これにて一件落着、てところか」

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