好きなテーマのレッドデーモンズがめちゃくちゃ強くてなって嬉しい限りですが、使いこなせない自分に嫌気が指します。以前はセンチュリオンと混ぜてた遊んでいたのですが回し方や動画を見るに混ぜ物をしている余裕が自分の技量では使いこなせないのでなるべく純構築で回しております。
よければメッセージの方でアドバイスお待ちしてます。
第四話 トニーとジャンク屋
世の中には、まだ使えるにもかかわらず捨てられてしまうものが数多く存在する。
壊れたテレビ、古くなった冷蔵庫、動かなくなった自動車。持ち主にとっては役目を終えた廃品でも、分解してみれば再利用できる部品が残っていることは珍しくない。
モーター、歯車、電子基板、配線、金属製のフレーム。どれも単体では大した価値がないかもしれないが、組み合わせ方次第で新しい機械を生み出すことができる。
俺は、そういうものを作るのが好きだった。
「……よし、これでいい」
作業台に置かれた小さなロボットの背中を閉じ、最後のネジを締める。電源を入れると、丸みを帯びた頭部のランプが点灯し、小さな身体がゆっくりと起き上がった。
ロボットは周囲を見回すように頭を動かし、作業台の端まで歩いていく。そこで一度立ち止まると、床までの距離を測定し、危険だと判断したのか引き返してきた。
「歩行制御は問題なし。障害物の認識も正常だな」
手元の端末で診断結果を確認する。関節駆動、姿勢制御、周辺環境の認識。いずれも許容範囲内だった。
「ジャンク、検査用のブロックを持ってきてくれ」
声をかけると、足元にいた別の小型ロボットが顔を上げた。
丸い頭部に大きな目を思わせる意匠。小柄な身体には青や橙色を基調とした装甲が取り付けられ、背中には小さな機械部品が収められている。
ジャンク・シンクロン。
俺が製作した自律稼働型ロボットであり、この工房のマスコットでもある。
ジャンクは俺の指示を理解すると、小さく頷いて棚へ向かった。しばらくして、両手に検査用のブロックを抱えて戻ってくる。
「ありがとう」
ブロックを受け取ると、ジャンクは嬉しそうに両腕を上げた。
もっとも、こいつは喋らない。
音声認識機能も、自律行動を可能にするAIも搭載しているが、人間の言葉を話す機能は意図的に制限している。
理由は単純だ。
俺が作っているのは、基本的に子供向けの玩具だからである。
子供が玩具に愛着を持つこと自体は悪いことではない。むしろ、長く大切に使ってもらえるなら製作者として嬉しい。
だが、その愛着が原因で子供自身が危険な目に遭うことは避けたい。
例えば、道路に飛び出した玩具が「助けて」と叫んだらどうなるだろう。持ち主の子供が、車の接近にも気づかず飛び出してしまうかもしれない。
もちろん、喋らなければそうした事故が起こらないというわけではない。だから、危険な場所からの自律退避や、持ち主を危険区域へ誘導しないための制御も組み込んである。
できることと、させるべきことは違う。
少なくとも、俺はそう考えていた。
「さて、次は……」
作業台の上に並べた部品へ視線を向ける。
今日の仕事は、修理依頼を受けたシンクロンの最終検査と、新しく回収した廃品の選別。それから、注文を受けているハンドメイド玩具の組み立てだった。
仕事は山ほどある。
もっとも、仕事があるのはありがたいことだ。
俺の名前はフドウ。
テネシー州の小さな町で廃品回収業を営みながら、回収した部品を利用して玩具や小型ロボットを製作している。
工房の名前は『FUDO JUNK WORKS』。
名前から分かるとおり、廃品回収と機械工作を組み合わせた小さな会社だ。会社といっても従業員は俺一人で、ほかにいるのはジャンクをはじめとした自作のロボットたちだけだが。
近所の人間からは、なぜかジャックと呼ばれている。
最初は訂正していたのだが、いつの間にか定着してしまった。今では本名よりそちらで呼ばれることの方が多いくらいだ。
「……まあ、呼びやすいならそれでいいか」
独り言を呟きながら、作業台の端に置いてあったコーヒーを口に運ぶ。
すっかり冷めていた。
「……まずい」
思わず顔をしかめると、ジャンクがこちらを見上げた。
「いや、お前のせいじゃない」
そう答えると、ジャンクは首を傾げた。
相変わらず、よくできた奴だ。
◇
昼過ぎ。
工房の前に、一台の古びたピックアップトラックが停まった。
荷台には、町の修理工場から引き取ってきた廃品が積まれている。壊れた発電機、古いモーター、使い物にならなくなった電子機器。それらを工房の敷地へ運び込んでいると、背後から聞き慣れた声が響いた。
「ジャック!」
振り返ると、一人の少年がこちらへ駆け寄ってきていた。
ハーレー・キーナー。
近所に住む、機械いじりが好きな少年だ。
以前、壊れた玩具を修理してやったことがきっかけで知り合い、それ以来、時々この工房へ遊びに来るようになった。
「ハーレーか。学校は終わったのか?」
「とっくに終わったよ。それより、今日は何を拾ってきたの?」
少年は興味津々といった様子でトラックの荷台を覗き込んだ。
「発電機とモーターが中心だな。使える部品がどれくらい残っているかは、これから調べるところだ」
「へえ……あ、このモーター、まだ動きそうじゃない?」
「よく分かったな。軸受けは交換する必要があるが、巻線は生きている」
「じゃあ、何か作れる?」
「もちろんだ」
そう答えると、ハーレーは嬉しそうに笑った。
俺は荷台から小型のモーターを取り出し、少年へ手渡した。
「ただし、使う前に絶縁状態を確認すること。電源をつなぐのは、その後だ」
「分かってるって!」
「前にも同じことを言っていたな」
「……あれはちょっと失敗しただけだよ」
「作業台を焦がしたのを、ちょっととは言わない」
ハーレーは気まずそうに視線を逸らした。
まったく。
好奇心が旺盛なのはいいが、もう少し慎重になってほしいものだ。
「ところで、ジャンクは?」
「あそこだ」
工房の入口を指差す。
そこではジャンク・シンクロンが、台車に載せられた部品箱を押していた。
ハーレーが手を振ると、ジャンクも片手を上げて応える。
「相変わらずかわいいなあ」
少年は駆け寄ると、ジャンクの頭を軽く撫でた。
ジャンクは嫌がる様子もなく、両腕を上げて喜んでいる。
「そういえば、僕のシンクロンも調子いいよ。昨日なんて、なくしたネジを見つけてくれたんだ」
「それはよかった。定期的な点検は忘れるなよ」
「分かってるって」
ハーレーはそう答えると、ふと思い出したようにこちらを見た。
「ねえ、ジャック。新しいシンクロンは作らないの?」
「新しい型か?」
「うん。もっと速く動くやつとか、空を飛べるやつとか!」
「空を飛ぶ玩具は、安全性を考えると難しいな」
「えー」
「屋外で飛ばせば、道路や電線に接近する可能性もある。まずは安全に使えるものを作らないと」
「ジャックって、そういうところ厳しいよね」
「子供向けの商品だからな」
俺がそう答えると、ハーレーは少し不満そうな顔をした。
だが、すぐに別のことへ興味が移ったらしい。
「そうだ! 奥の大きなロボット、もう完成した?」
その言葉に、俺は思わず手を止めた。
「……あれか」
工房の奥。
普段は立ち入りを制限している作業区画に、現在製作中の大型機械が置かれている。
ハーレーには何度か外装の一部を見られているが、詳しい説明はしていなかった。
「まだ調整中だ」
「でも、もう動くんでしょ?」
「どうだろうな」
「絶対動くやつじゃん!」
ハーレーは目を輝かせた。
俺は苦笑しながら、荷台から最後の部品箱を下ろす。
「完成したら見せてやる。それまでは秘密だ」
「約束だからね!」
「ああ」
そう答えると、ハーレーは満足したように頷いた。
その後も少年はしばらく工房に残り、俺の作業を眺めたり、ジャンクと遊んだりしていた。
いつもと変わらない、平穏な午後だった。
少なくとも、そのときの俺はそう思っていた。
◇
夕方になり、ハーレーが帰った後。
俺は工房の奥にある作業区画へ足を運んだ。
そこには、人間の背丈を超える大型の装甲が固定台に収められていた。
青と銀を基調とした外装。頑丈な胸部装甲に、特徴的な両腕の大型機構。全身には複数の駆動装置が組み込まれ、背面には推進用の機構が取り付けられている。
ジャンク・ウォリアー。
俺が設計し、製作を続けているパワードスーツだ。
もっとも、これは一般販売するための玩具ではない。
人間が装着し、身体能力を大幅に補助するための装備である。
「……右腕の出力が、まだ安定しないか」
端末に表示された試験結果を確認する。
駆動機構そのものに問題はない。だが、瞬間的に高い出力を要求すると、一部の部品に負荷が集中する傾向があった。
材料を交換すれば改善できるだろう。
ただし、都合よく必要な部品が手に入るとは限らない。
何しろ、基本的には廃品を再利用して製作しているのだ。
「……もう少し、調整が必要だな」
そう呟きながら、装甲の表面へ手を触れる。
世間では、アイアンマンと呼ばれるヒーローが活躍している。
トニー・スターク。
世界有数の大企業を率いる天才発明家であり、自ら開発したパワードスーツを装着して戦う男だ。
彼の技術力については、同じ機械技術者として興味がある。
もっとも、俺と彼とでは使える設備も資金もまるで違う。比較すること自体、あまり意味はないだろう。
「……俺は俺のやり方でやるだけだ」
そう呟くと、作業台に置かれた工具を手に取った。
そのとき、工房の壁に取り付けられたテレビからニュースキャスターの声が聞こえてきた。
『続いてのニュースです。マンダリンを名乗る人物による一連の爆破事件について、新たな情報が入りました――』
俺は手を止め、テレビへ視線を向けた。
画面には、爆発によって破壊された建物の映像が映し出されている。
最近、アメリカ国内では原因不明の爆破事件が相次いでいた。
マンダリン。
そう名乗る人物が犯行声明を出しているらしい。
『また、トニー・スターク氏は今回の事件を受け、マンダリンに対して強い言葉で非難を表明しており――』
「……トニー・スタークか」
テレビに映し出された男を見つめる。
相変わらず、ずいぶん派手な人物だ。
だが、彼の表情には、どこか余裕のないものが感じられた。
「……嫌な事件だな」
そう呟き、俺は再び作業へ戻った。
このときはまだ、テレビの向こう側の出来事が自分の生活に関わってくるなど、考えてもいなかった。
◇
それから数日後。
深夜の工房で、俺は修理中の電子基板を眺めていた。
時刻は既に日付を回っている。
ジャンクは作業台の端に座り、こちらをじっと見つめていた。
「……なんだ?」
声をかけると、ジャンクは壁の時計を指差した。
「まだ大丈夫だ」
すると、今度は工房の奥にある休憩室を指差す。
「……分かった。これが終わったら休む」
ジャンクはしばらくこちらを見つめていたが、やがて小さく頷いた。
まったく、誰に似たのやら。
そんなことを考えていると、作業台の端末が小さな電子音を鳴らした。
ニュースの通知だった。
画面には、カリフォルニア州マリブで発生した大規模な襲撃事件についての記事が表示されている。
「……スタークの自宅が襲撃された?」
思わず眉をひそめた。
記事によれば、トニー・スタークの自宅が武装ヘリコプターによる攻撃を受け、建物が大きく損壊したという。
本人の安否については、まだ確かな情報がないらしい。
「……物騒な話だ」
テレビで見たマンダリンへの宣戦布告。
そして、今回の襲撃事件。
どうやら、事態は想像以上に深刻なものになっているようだった。
俺はしばらく画面を見つめていたが、やがて端末を閉じた。
今の自分にできることはない。
それよりも、目の前の仕事を終わらせることが先だ。
「……さて」
作業を再開しようとしたところで、ジャンクが再び時計を指差した。
「……分かったよ」
俺は苦笑しながら工具を置いた。
「今日はここまでにしよう」
ジャンクは満足そうに両腕を上げた。
◇
同じ頃。
テネシー州の夜空を、一つの赤い影が飛んでいた。
いや、正確には飛んでいるというより、どうにか空中を移動しているといった方が近かった。
赤と金の装甲。
アイアンマン、マーク42。
その内部には、トニー・スタークが搭乗していた。
『サー、残存エネルギーが低下しています』
「分かってる、ジャービス。何度も言わなくていい」
トニーは疲れ切った声で答えた。
マリブの自宅が襲撃され、ペッパーとも離れ離れになった。
そのうえ、頼みの綱であるマーク42も損傷している。
お世辞にも、順調な状況とは言えなかった。
『目的地への到着まで、現在の出力を維持することは困難です』
「……そうか。だったら、せめて柔らかい場所に落としてくれ」
『努力します、サー』
「頼もしい返事だ」
そう呟いた直後、装甲の推進機構が停止した。
「……おい」
重力が身体を引っ張る。
「ジャービス?」
返事はない。
「……冗談だろ」
次の瞬間、赤と金の装甲は夜空から落下していった。
◇
翌日。
工房の開店準備をしていた俺の耳に、外から車のエンジン音が聞こえてきた。
顔を上げると、見慣れた車が敷地へ入ってくるところだった。
ハーレーの家で使われている車だ。
もっとも、運転しているのはハーレーではない。
車が停まり、助手席から少年が飛び出してきた。
「ジャック!」
「ハーレー? どうした、こんな朝早く」
少年は興奮した様子でこちらへ駆け寄ってきた。
「すごい人を連れてきたんだ!」
「……すごい人?」
「ああ! 絶対びっくりするよ!」
そう言って、ハーレーは車の方を振り返った。
そこから、一人の男が降りてくる。
黒い服を着た、どこか疲れた様子の中年男性。
顔には傷があり、歩き方にも疲労が滲んでいた。
だが、その顔には見覚えがあった。
「……まさか」
思わず呟く。
テレビや新聞で何度も見た顔だ。
世界的な大企業の経営者。
天才発明家。
そして、鋼鉄のヒーロー。
「……トニー・スターク?」
男は俺の言葉を聞くと、軽く片手を上げた。
「正解。サインなら後でな」
「……」
思わず黙り込む。
なぜ、こんな田舎町の廃品回収業者の前に、世界的な大富豪が立っているのだろうか。
しかも、昨日のニュースでは自宅が襲撃され、安否不明と報じられていたはずだ。
そんな俺の疑問などお構いなしに、ハーレーが嬉しそうに口を開いた。
「ジャック! この人、壊れたロボットを直したいんだって!」
「……ロボット?」
「ああ。ちょっとばかり高価な玩具でね」
トニーは肩をすくめた。
「修理に必要な設備と部品を探している。そこの少年が、君なら何とかしてくれると言うものだから」
「……なるほど」
俺はハーレーへ視線を向けた。
少年は自信満々に頷いている。
どうやら、また随分と大きな仕事を持ち込んできたらしい。
「とりあえず、現物を見せてもらえますか?」
「ああ。そのつもりだ」
トニーはそう答えると、工房の入口へ視線を向けた。
ちょうどそのとき、ジャンク・シンクロンが小さな工具箱を抱えて姿を現した。
「……ん?」
トニーの足が止まる。
ジャンクは突然現れた客を見上げると、ぺこりと頭を下げた。
そして、工具箱を抱えたまま工房の奥へ歩いていく。
その姿を、トニーは無言で見つめていた。
「……今のは?」
「ジャンク・シンクロンです」
「ロボットか?」
「ええ。うちで作っている玩具の一つですよ」
「……玩具?」
トニーは眉を上げた。
「今の動き、誰かが操作していたのか?」
「いいえ。自律制御です」
「……ほう」
その一言で、トニーの表情が変わった。
先ほどまでの疲れ切った様子が、ほんの少しだけ薄れる。
「ちょっと待て。あのサイズで自律制御?」
「ええ」
「音声認識も?」
「搭載しています」
「障害物の回避は?」
「もちろん」
「……なるほど」
トニーは興味深そうに工房の中を覗き込んだ。
そして、俺へ向き直る。
「君、名前は?」
「フドウです。知り合いからはジャックと呼ばれています」
「フドウか。トニー・スタークだ。」
「存じています」
「だろうな」
トニーは小さく笑った。
「それで、フドウ。少し工房を見せてもらっても?」
「構いませんが……修理の方は?」
「もちろん、それもあるが・・・」
そう言いながら、トニーは再びジャンクへ視線を向けた。
「ただ、その前に少し気になるものを見つけてしまった」
「……?」
「君のロボットだよ」
トニーは興味深そうに目を細めた。
「これだけの技術があるなら、俺の玩具も直せるかもしれない」
その言葉に、俺は小さく息を吐いた。
どうやら、今日も忙しい一日になりそうだ。
「……分かりました。とりあえず、中へどうぞ」
工房の扉を開く。
ジャンクが工具箱を置き、来客用の椅子を運び始めた。
その様子を見たトニーが、また何かを言いかける。
だが、俺は先に口を開いた。
「質問は後でお願いします。まずは、修理したいものを確認させてください」
「……ははっ!」
トニーは楽しそうに笑った。
「いいね。気に入ったよ、フドウ」
そう言って、彼は工房へ足を踏み入れた。
世界有数の天才発明家、トニー・スターク。
そして、廃品回収業者である俺。
本来なら接点などないはずの二人が、こうして出会うことになった。
このときの俺は、まだ知らなかった。
彼が持ち込んできた壊れた装甲が、やがて俺自身を大きな事件へ巻き込むことになるということを。
そして、工房の奥で眠っているジャンク・ウォリアーが、近いうちに実戦へ投入されることになるということも。
すべては、この日から始まったのだった。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございます。ドゥームズデイの公開まで1ヶ月をきろうとしていることを考えると時間が過ぎるのは早いなと思います。
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