上位存在のイケニエとして差し出された穀潰しの少年、なぜかめちゃくちゃ溺愛される   作:茨木野

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第7話 隠しレアアイテムも余裕ゲット

 レベル2神器、槍。魔力を溜め込み、エネルギーとして再利用できる武器だ。

 こいつはとりあえず、背中に回して背負っておくことにする。ルシエラの馬鹿でかい魔力を、いい具合に吸い込んでくれるからな。

 

「ほんとにありがとうございました」

 

 助けた娘たちが、俺に深々と頭を下げてくる。うーむ。不思議なもんだ。つい数日前まで、村で穀潰しと罵られ続けた俺。まさか、人から感謝されるような日が来るなんて。

 

 なんだか感慨深い。悪くはない。

 

「気にすんな。誰だって、魔物に食われて死ぬのはごめんだろうからな」

 

 昔、俺の親が魔物に食われて死んだ時、ズタボロになった遺体が送られてきて、なんとも悲しい気持ちになったものだ。それを、この子らの親に味合わせずに済んでよかったよ。

 

「か、かっこいい」

 

「あぁ?」

 

 ルシエラがさっと俺の前に立ち塞がり、娘たちを鋭い紅い目で睨みつける。

 

「調子に乗らないことね、下民。あいたっ」

 

 俺はルシエラの銀色の頭に、軽くチョップを落としておく。

 

「威嚇しないの」

 

「ちっ」

 

 ちっ、って。おまえ。

 

「そうだ、おまえらこんなとこでなにしてんだ?」

 

「あ、わたしたち冒険者なんです」

 

「ぼーけんしゃ? ああ。そういや、聞いたことある。金貰って、魔物倒したり、アイテム取ってくる奴らだろ?」

 

「はい。我々は薬草拾いのクエストを受けて森までやって来たのです」

 

 娘さんの片方が答える。ふむふむ。そして運悪く魔物に襲われたわけだ。

 なるほど、冒険者。金を稼ぐ手段ね。必要だったわ。すっかり忘れていたぜ。

 

 生きていく以上、金がいる。金を稼がないといけない。だが俺にはその術を知らない。なら。冒険者はちょうど良い職業じゃあないだろうか。

 

「ね、聞きたいんだけどさ。冒険者ってどうやったらなれるの?」

 

「ギルドへ行き、試験に受かればなれますよ」

 

 うーむ。試験か。

 

「まずいな。俺、通るかな?」

 

 田舎の穀潰しだしなぁ。

 

「さすがっ!」

 

 と、もう一人の娘さんが声を弾ませて答える。ほえ?

 

「真に強いお方は、謙遜するのですねっ。たとえすごい力を持っていたとしてもっ」

 

「は、はぁ」

 

 別に謙遜しているわけではないのだが。

 まあいいや。

 

「よかったら街まで案内しましょうか?」

 

 と、娘さん。

 

「おお、助かるよ」

 

「これくらい、命を助けて貰ったお礼にしては、安いもので申し訳ないですけど」

 

「いやいや、十分だから」

 

 よし、とりあえず金を稼ぐめどは立ったぞ。さあ街へ。って、そうだ。

 

「おまえらクエストの途中なんだっけ。終わるの待つよ」

 

 娘さんの一人は「それが」と不安げに眉を下げる。

 

「私たちの探してる薬草、全然見つからなくって」

 

「ふぅん、どんなの?」

 

「『隠れ草』っていう、魔力回復薬に使われる薬草なんです」

 

 娘さんが図鑑のようなものをカバンから取り出して、俺に見せる。

 ほーん。見た目はただの草だけど、青い色をしていた。

 

「独特の魔力を放出し、人から見えなくしているっていう特性を持ってるのです」

 

「へー。そりゃ面倒だ」

 

 探すの大変そうだ。って、ん?

 俺は視界の端に、何かを捕らえる。

 

 きら、と茂みの奥で何かが光っていた。

 

「あれ?」

 

 俺はその光のほうへと歩み寄る。淡く、青く発光しているこれは。

 

「これ、隠れ草じゃない?」

 

 俺がしゃがみ込んで指を差す。娘さんたちが近づいてくるも、小首をかしげていた。

 あ、そうか。人から見えなくなるんだったか。

 

 俺は薬草をつまんで、すっと持ち上げる。

 

「「っ!?」」

 

 二人とも目を丸くして驚いている。草は摘めば、見えるようになるのか。てゆーか。足元に、そこら中に生えているじゃないか。

 

「す、すごい。よく見つけましたね」

 

「いや、そこら中に生えてるしさ」

 

 俺はテキトーにつまんで、ぽいぽいと引き抜く。大量の隠れ草が、あっという間に山と積まれていく。

 

「しかしなぜ俺にだけ見えたんだろうか」

 

「反魔力の力でしょ」

 

 と、ルシエラ。あ、そういやこいつ、ずっと俺の腕にひっついていた。

 

「どういうこと?」

 

「反魔力は魔力を、魔法を打ち消すわ。だから、この草にかかっていた隠しの魔法を打ち消し、姿を見えるようになったってわけ」

 

 はーんなるほど。俺にそういう姿をくらます魔法は効かないってわけね。

 

「すごい。あなたは、本当にすごいお方ですっ」

 

 娘さんが尊敬の眼差しで目を輝かせる。うーん、俺がすごいって言うか、反魔力がすごいだけのような気がするがねえ。

 

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