あの後、結局ごねたがダメだった。
クソっ! 魔法少女になんてならなければ! 私は今頃、性癖を満たしながら、社会貢献もできる一石二鳥のお仕事を出来たというのに……。
水っ! 飲まずにはいられないっ!
──ふぅ……。
水を飲んだら幾分か落ち着いたな。
やはり、肉(ヤヤミミに対象が変わってしまった)を裂くには酒よりも水の方がいい。
スッキリする。
「──―ぷ?」
私がこいつの方を向いた瞬間、何してんだこいつって感じでこっちを向いて首を傾げてきた。
やはりこいつをバラしたい。
約2時間後、私とマスコットは魔法少女協会(略称:協会)に来た。
だが、決してあと一歩を進まなかった。
私が陰の者だから魔法少女とかいう陽の集団の場に入るのが怖いとかそんなことは考えてないよ全くうん!
早口になってしまった。
そりゃ怖いですよ。
だって、相手はあの魔法少女たちですよ!
テレビにバンバン写って、金たくさんもらって、数多の老若男女を侍らせてるんだよ絶対! (偏見)
そんな集団の中に入りたくないよ〜。
ちなみに魔法少女の姿は返り血を浴びてるから絶対不審がられると思ったでしょ?
大丈夫。
マスコット……いや、元凶だから心の中だけでは蔑称で呼びたいな。
コイツがいなかったら仕事にありつけたわけだし……望んでいた仕事に……ね。
まぁ、バカなぬいぐるみみたいな熊のみたいなこいつに解除方法を聞き出したら、何でも斧を首をめり込ませればよかったらしい。
する時に、「怖いぷ? w怖いぷねーwだってあんな命を簡単に狩れる斧を自分の首に刺すなんて……ぷw」
……今すぐバラしたいな。
だが、我慢だ。少なくとも中に入って辞表を出すまでは……。
やったかって? もちろんやりましたよ。
他人を解体したいやつが自分の命だけ特別に扱うようなことなんて……………………するわ。
うん、全然する。
でも、やる時に恐怖とかそんなものはなかった。
ただ、なんか入ってくるなー。
とか、そんぐらいしか感じなかった。
だから、今の私の見た目はただの黒髪の女性。
少し大きくて目元が隠れてる根っからの陰の者。
よし、行くぞ。
私が受付に携わってきて、来て早々に辞表を出した人は初めてかもしれない。
「え?」
「あの…………、…………その………………魔法少女を…………やめたい……ン……デスガ…………」
しかも少しカタコトにまでなってる。
ここに来るのは、魔法少女への志願者か、魔法少女に選ばれた人かしか入ってこない。
いや、入れない。
魔法少女協会の出入り口となる正面扉は、入ってきた者がどちらかではない場合、空間がまるでゴムのようになり、入ってくれば入ってくるほど、より遠くに飛ばされるようになっている。
だから、この人はその内のどちらかのだが、志願者ならば全く逆のことをするだろう。
「魔法少女になりに来ました!」と言うのが普通だ。
だが、彼女は辞めたがっている。
ということは選ばれた側の魔法少女なのだろう。
選ばれた魔法少女はその才能、強さ、能力といった全てが最初からある程度ある。
だから、半永久的に魔法少女に就くことになる。
それは60を過ぎても、実力があれば後輩育成、戦場に立たされる日々なのだろう。
「あの……魔法少女……ヤメタクテ……」
少し考えすぎてしまっていたようだ。
少し待たせてしまい、目の前の方はモゾモゾと必死にアピールをしている。
「申し訳ありません。今までの方々は皆魔法少女になりに来た方々だったので混乱してしまいました。それでお聞きしておきたいのですが、あなた様は過去に志願したのでしょうか? それとも選ばれた方なのでしょうか?」
「え……えと…………オット…………アッ……」
答えられず、固まっている。
こんなことも初めてだ。
皆意志を決めてここにいるのでこのような自体は前代未聞といっても過言ではないだろう。
私はまた目の前の方を待たすまいと、もう少し簡略化して伝えた。
「志願者? 選ばれた方?」
「……え……え……ハイ……一応選ばれた側……デス」
「大変申し訳ないのですが、選ばれた側の方々は魔法少女をお辞めになることができないんです。協会の方針で」
私がそう伝えると、彼女は石よりも硬く固まった。
「もしもーし」
聞きながら目元で手を振ってみるが、瞬き一つしない。
まるで屍のようだ。
そうしていると、意識が戻ったようで( ゚д゚)ハッ! となっていた。
「あの……魔法少女を…………辞められないって…………どういうことですか!?」
「はい、ご説明させていただきますね」
そうして、私は辞められない理由を簡単に彼女に教えた。
彼女は絶望してしまったようで、今では端っこの方で死んだ目をしながらブツブツと何かをボヤいてる。
その様子に周りも彼女に注目し始めたようだ。
人が集まるに連れ、彼女はどんどんと小さくなっていった。
協会に100人ぐらい居て、ほとんどが彼女を見ている時、彼女からは魂が抜けているように見えた。
さよなら、私のHappySugarLife……。
そして、さよなら、私の仕事場。
ただ熊カスの首を絞めながら、少し意識を飛ばしていると、ベルの警報が鳴り響き、建物中に鳴り響いた。
無論、この音で意識の8割以上気絶した。
その際、力を込めすぎていたようで、次目が覚めたときには熊カスが泡を吹いて両手足を力なく垂れ下げていた。
その後、意識が戻るように壁に叩きつけたり、首を絞めたまま思いっきり揺さぶったりして起こした。
時々、「もう起きてるぷ!!!」「ちょっ!? mっ!!!」「タンmッ!!!」などと聞こえてきたのは私の幻聴だ。多分。
後なんか少しだけスッキリした。
スッキリした私は、熊カスをバレーボールのスパイクの勢いで、地面に叩きつけ、完全にトドm……ゲフンゲフンッ……起こした。
「おいマスコット! なんか誰も人いないじゃないか!?」
「知らないぷ! 君が堕ちる前に首絞められて意識途切れ途切れだったぷ。でもその時警報なってたし、外でヤバいヤツでも出てきたんじゃないかぷ? さっきまでいた子たちほとんどペーペーだったしぷ」
「私もペーペーだ。っていま外見たけど、もしかして……あれ?」
私が外出見たものはまるで宇宙艦隊みたいな大きさで触手のような黒い鞭を持ち、禍々しいオーラを放っていた。
形は宇宙戦艦とイカを混ぜてさらにたくさんの目を入れて、かき混ぜたものを1で割ったような見た目をしていた。
1で割るんなら別に割らなくてもよかったな。
「あれは……ヤバいぷ。めっちゃヤバいぷ!? この星のピンチかもしれないぷ!?」
「…………あれが? あのイカみたいなあれが?」
「見た目からヤバさを感じてないなんてやっぱ只者じゃないぷ」
「いや只者だよ!? ただの解体好きな!!!」
「言っていることの恐ろしさを知った方がいいぷ」
ツッコまれた。こんなやつに……何度も……クソっ!!!
俺がうずくまっていると、熊カスは「なにしてるぷ?」とか言ってきやがった。
テメェから受けた屈辱を忘れようとしてたんだよっ!!!
「……ハァぁぁ……おい」
「何ぷ?」
「魔法少女のなり方は?」
「君の場合はほぼ一体化しちゃったぷ。だから、『変身』ととなえればいつでも成れるはずぷ」
──そうか。
そう言葉を返し、私は考える。
今ここで変身しても誰も私の魔法少女としての姿を知らない。
それはすなわち、私がヤツを解体しても誰がやったかまではバレない。
そう! バレなきゃ犯罪じゃない! ならばやるだけ得だよな!
いっちょ大型解体やっちまうか!
負けるだろって?
私は転生者だぞ。
転生者系の魔法少女はどの作品もオリ主も、理不尽な強さを持っている……か、対応できる……か、対応できない……かもしれない。
まぁ、ここは私のチート能力を見せてやるとするか!
……あるかは知らんが……。
突然町に現れたヤヤミミ。
それは、7段階中上から3番目に強いヤヤミミだった。
禍々しいオーラを纏いながら異形系の姿をしている。
通常のヤヤミミとは全く異なるレベルのバケモノ。
ヤツの一振りで町が両断された。
ヤツの二振りで立ち向かっていた魔法少女の7割が墜とされた。
ヤツの三振りで選ばれた側の魔法少女2人が彼方まで飛ばされた。
強すぎる
あまりのデカさから攻撃が全く通じず、変身した際に各一人ずつ持っている武器を用いて能力を使っても、触手に少しダメージを与えただけで大した攻撃にも時間稼ぎにもならなかった。
町を守るため、戦える魔法少女は立ち、絶望しても立ち、恐怖で足がすくんでも立つ。
死ぬと分かっていても、敵わないとわかっていても立つ。
だって、それが魔法少女だから。
魔法少女はどんな状況だって諦めない。
絶望しても最期まで粘るし、死んでも離さない。
だって、大切な人々を守りたいから。
お母さん、お父さん、お姉ちゃん、お兄ちゃん、弟、妹、いとこに友達……みんな挙げればキリがないほど大切なものを背負っている。
だから、どんなに辛くても、絶望でも戦うの。
だけど、そんな心が折られるのはあまりにも容易かった。
やつが第二形態を保持していた。
第二形態は上から三番目ではなく、上から
判断を誤った。
三番目ならば、私たちが死のうとも、選ばれた側の魔法少女が5人以上いれば対処ができる。
最強と呼ばれている魔法少女や、魔法少女から見た魔法少女と呼ばれるバケモノのような強さを誇る魔法少女ならば一人で相手取れるのだろうが……。
だが、二番目以上は無理だ。
二番目ならば、一人で倒せる魔法少女一人で撃退ならば、どうにか出来るだろう。
普通の選ばれた側の魔法少女ならば、最低でも10人以上は必要になる。
だが、今ここにそんな実力を持つ魔法少女も、選ばれた側の魔法少女もいない。
ただ、愛したこの町が凌辱されるのを、黙って殺されるのをただ傍観しておくしかない。
だってこんなのどうにもなれないから。
「──え?」
そんな時、現れたのは見たこともない魔法少女だった。
顔は見えず、その手に持つ武器は白く淡い光で輝く斧で、彼女自身もまた、斧と同じように淡い光で輝いていた。
ただ、私が驚愕したことはそんなことではない。
だって、
「あなたは折れてないの? もう無理だって思わないの?」
ここにいるみんなは、魔法少女協会にいた魔法少女だ。
弱くてもその意志を抱いた少女たちだ。
守ると誓った少女たちだ。
勝つと誓った少女たちだ。
ただ、愛する人たちのために己の命を賭けて戦っている。
そんな私たちでも、折れたのだ。
弱いから折れたのかもしれない、二番目以上だと理解してしまったから折れたのかもしれない、勝てないと悟ってしまったから折れたのかもしれない。
でも、間違いなく折れてしまったのだ。
心がポキっと。
勝てない相手に来るかも分からない援軍を頼みの綱にしているのだ。
なのに、彼女は折れていない。
戦う意思を見せている。
ただ一人だけ立っている。
どんな精神をしているのだろう?
どんな気持ちでいるのだろう?
分からない、いや、
理解してしまったらきっと、今以上に……絶望なんかよりも惨めで自分がおかしくなってしまいそうだ。
だから、理解なんてしたくない。
ただ、
ただ、あったかい布団で寝て、大切な人と笑い合って、好きな人と結婚して幸せな生活を送る日を
だから、死にたくないし、絶望もしたくない。
だけれど、現実のことが嫌でも目に入ってくる。
あぁ……私の心は一体どこまで穢れるの?
──大丈夫。
彼女から聞こえた声だった。
ただひたすらに優しい声だった。
まるでこれから奇跡が起こるから心配しないでって言っているように見えた。
あぁ、そんな奇跡が見られたらどんなにいいだろう。
そして、私はそんな奇跡が起きた後を想像しながら、気を失った。
今はいつだろう。
分からない。
ただ、目を開けることが怖くて、怖くて、絶対に目を閉じでいたい。
──
私は恐る恐ると目を開けた。
そこは見覚えがある屋根だった。
魔法少女を専門とした病院の天井だった。
私は気が付くとガバっと身体を起こし、辺りを見渡した。そこには、共に戦った魔法少女たちがいた。
もう意識を取り戻している者も、未だに意識を取り戻していない者もいた。
そんな時、病院の先生が来た。
「目覚めたようだね。良かったよ」
先生はそれ以上は言わず、ただ私の頭に手を乗せ、撫でた。
あの言葉のように、この手には魔法でも宿っていたのだろうか?
とても暖かった。
気が付けば涙をポロポロと流しているのに気が付いた。
先生も気が付いたようで、「辛かったんだね。たまには感情を発散させてあげないとダメだよ」と言ってくれた。
その言葉は救いだった。
私は病院だから声はなるべく殺したものの殺しきれなかったんだろう。
後日、「あんた泣いてたねー」って揶揄われた。
私が泣き終わると先生は私を安静にさせるためにベッドに寝かせてきた。
そのタイミングで私は質問した。
「先生、淡い白色の光で包まれた斧を武器にしてる魔法少女を見たことある?」
「いや、ないよ」
「じゃあ、見つけたら教えて。お礼言わなきゃ」
「そっか。じゃあ探さなきゃね」
「うん」
そして、私は泣き疲れたこともあってすぐに眠った。
「──変身……」
そう言葉にした瞬間、私はまるで何かの入れ物であったかのように、縦に腹が裂けた。
そこから右足が出てき、次に右腕が出てきた。
右半身が出終わると、次は左半身が右半身と同じ様に、足、手の順番で出てきた。
首から下が出終わると、私の元の身体はまるで空気の抜けた風船のように萎み、頭の部分を残して髪に隠れた。
その終わった姿を正面扉の反射を利用して確認すると、顔はまるで被り物をしたかのように二重の層になり、首から下は元の身体とは似つかわしくない白い光を弱々しくはなっていた。
身体の形も少し異なっていたようで、少し変化を見た限り、ただ肉弾戦に主とするのか、動きやすい形になっていた。
言わば細マッチョというに値するだろうこの身体を見て、これじゃ誰も気付かないなと思いながら、戦いへ赴いた。
と思ったが、熊カスから待ったがかけられた。
「なんだ?」
「君は能力使わないのかい?」
「能力〜? 初耳だぜそりゃ」
「え、じゃあどうやって使うかもわからないの?」
「知らねぇよ! というよりそれを教えるのが! お前の! 役目だろうが!」
その後煽りを食らわせてきたので踏みつけて血反吐を吐かせてやった。
時間がないことも含め手短な使い方を聞いたが、どうやら能力というものは強く念じることで使い方が分るようになるらしい。
私は強く念じたが、何も起きなかったのがムカついて頭の中で脅してやった。
そしたら出てきてビビりながら使い方を脳に叩き込んでくれた。
なるほどな。
私は脳に伝えられた情報通りに使うと、その通りに使えた。
やっぱ脅しっていうのは最高の道具ですね! (クズ)
そんな私が出てきたのはある魔法少女の目の前だった。
なんかポカーンとしてたが、そんなことは関係ない。
今の私にはあのイカ……いや、タコだったかもしれねぇ。
姿が変わってやがる。
まぁ変化は置いといて、あのタコを解体することしか頭にはない。
さぁShow Timeだ!
タコ……あまりにもタコすぎた。
触手は刃物でめっちゃ切れるし(斧が切れ過ぎなだけ)、墨吐いてきたし(猛毒)、拳を眉間にねじ込ませて、神経締めやったら死んだし(馬鹿力)……。
というか、それ抜きにしても多分魔法で殺れてた。
弱すぎる。
いや、しっかり強かったが……。
でも、タコだぞ!!! この大きさだぞ!!! クラーケンンンンンン!!!!!
ちなみにこいつも消えかけてたから、解体をするだけして楽しんだ。
触手の先から、頭の中まで、心臓3個も全部♡。
でも、流石に機械部品のところまではよくわからなかったからそこは放置した。
よろしければ、次はもっと解体できるお相手がいいな。
人体も勉強できるし、人型の方が来てくれてもいいのよ♡ウッフ~ン
「オエッ……」
流石に攻めすぎた。
私自らやっておきながら、気持ち悪い。
紗連 甲枚(され こうめ)
・コウメは自身の姿を理解した!
・コウメは能力『瞬間ワープゲート』を覚えた!
柴田 香子(しばた かこ)
年齢:27
・受付の人
・美人だった!
永夜 朽璃(えいや きゅうり)
年齢:16
・絶望してた子
・この子は絶望に屈し、魔法少女を引退するのからそれともお礼を言うために魔法少女として探し続けるのか
境 創英(さかい そうえい)
年齢:33
・お医者さん
・めっちゃいい人!