光り輝く太陽に導かれ   作:光り輝くダンディー

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第49話 真の最終決戦――笑顔の絆

 

 

地下第百層、最奥のボス部屋

 

赤黒い光が空間を染め上げ、巨大な太陽が黒いオーラを纏って浮かんでいた。

 

黒いサングラス。 不気味な笑み。 そして、口元に咥えられた巨大な葉巻。

 

その名は、太陽神・ダンディー。

 

SAOの真のラスボスである。

 

「……来るぞ」

 

レイが剣を構えた。

 

その言葉が響いた直後――。

 

『ダンディィィィィィィィィィッ!!』

 

「「「「「「「「「うるせええええええええっ!!!」」」」」」」」」

 

九人の叫びが重なった。

 

だが、今回は突っ込んでいる場合ではない。

 

ダンディーの巨大な身体が、突如として前方へ動いた。

 

『ダンディー突進ッ!!』

 

「――っ!」

 

レイは即座に横へ跳んだ。

 

次の瞬間、先ほどまで彼が立っていた場所を、巨大な黄金の身体が通過する。

 

轟音。 衝撃波。

 

石造りの床が砕け、破片が宙を舞った。

 

「なっ……!?」

 

キリトが目を見開く。

 

あまりにも速い。

 

巨体に似合わない速度だった。

 

「レイ君!」

 

アスナが叫ぶ。

 

「……問題ない」

 

レイは着地と同時に剣を振るった。

 

斬撃がダンディーの表面を捉える。

 

だが、与えたダメージはわずかだった。

 

『ほう! なかなかやるではないか、我が友よ!』

 

「……その呼び方をやめろ」

 

レイは即座に返しながら、再び構え直した。

 

『断る!』

 

「……なら、黙らせる」

 

レイが踏み込む。

 

ダンディーも、再び突進してきた。

 

二つの影が交差する。

 

剣戟と轟音が、ボス部屋に響き渡った。

 

◇

 

「今だ、レイ!」

 

キリトが側面から斬り込む。

 

「合わせるわ!」

 

アスナも反対側から突撃し、細剣による連続突きを放った。

 

リズは隙を見つけて武器を叩き込み、シリカもピナと連携して攻撃を仕掛ける。

 

クラインとエギルはダンディーの動きを見極めながら、仲間たちが攻撃できる隙を作っていった。

 

リーファも剣を振るい、ユイは全員のHPと戦況を確認する。

 

「パパ、右側から攻撃が来ます!」

 

「分かった!」

 

キリトが即座に反応し、攻撃を回避する。

 

しかし、ダンディーの動きは止まらなかった。

 

『我が肉体は美しいぃぃぃぃぃー!!』

 

「その台詞、今言う必要あるか!?」

 

クラインが叫んだ。

 

『ある! 大いにあるぞ!』

 

「ねえよ!」

 

ダンディーは、突如としてその場で回転を始めた。

 

『必殺! ダンディー・ローリングスペシャル!!』

 

次の瞬間、ダンディーが高速回転しながら、凄まじい勢いで突進してきた。

 

「散開!」

 

レイの声が響く。

 

全員が即座に左右へ飛び退いた。

 

直後、ダンディーが床へ激突する。

 

ドゴォォォォォン!!

 

凄まじい衝撃が広がった。

 

床に巨大な亀裂が走り、周囲の石柱が崩れ落ちる。

 

「うわっ!」

 

「きゃっ!」

 

リーファとシリカが体勢を崩しかけた。

 

「危ない!」

 

アスナがシリカの腕を掴み、リーファも自力で体勢を立て直す。

 

「……大丈夫か」

 

レイが二人を確認する。

 

「は、はい!」

 

「大丈夫!」

 

「……そうか」

 

レイは再びダンディーへ視線を戻した。

 

攻撃を受ければ、ただでは済まない。

 

ここは地上とは違う。

 

HPがゼロになれば、本当に死ぬ。

 

それでも、誰一人として退こうとはしなかった。

 

「……全員、無理はするな。隙を見つけて確実に削る」

 

レイが告げる。

 

「了解!」

 

キリトが応じた。

 

「もちろんよ!」

 

リズも頷く。

 

「最後まで、みんなで戦いましょう!」

 

アスナが力強く言った。

 

9人は再び隊列を組み直した。

 

そして――。

 

最後の戦いが、さらに激しさを増していく。

 

◇

 

ダンディーのHPが、少しずつ減っていった。

 

レイの剣が、何度もその身体を捉える。

 

キリトとアスナが連携し、攻撃の隙を広げる。

 

リズ、シリカ、クライン、エギル、リーファも、それぞれの役割を果たしながら攻撃を重ねた。

 

ユイは戦況を見極め、仲間たちへ危険を知らせる。

 

「皆さん、ダンディーの動きが変化しています! 攻撃に備えてください!」

 

「……分かった!」

 

レイが答えた。

 

その瞬間だった。

 

ダンディーの姿が、ぶれた。

 

『ダンディー・ファントムステップ!!』

 

「――っ!」

 

レイが目を見開く。

 

ダンディーの身体が、いくつもの残像を残しながら高速移動を始めた。

 

右。 左。 背後。 頭上。

 

あらゆる方向から、巨大な身体が迫ってくる。

 

「どれが本体だ!?」

 

クラインが叫ぶ。

 

「全部、見極めるしかない!」

 

キリトが剣を振るった。

 

しかし、斬撃は残像をすり抜ける。

 

次の瞬間、本体が横合いから突進してきた。

 

「しまっ――!」

 

キリトが回避するより早く、衝撃が彼を襲った。

 

「キリト!」

 

リズが叫ぶ。

 

キリトは吹き飛ばされながらも、床を転がって体勢を立て直した。

 

「……っ、まだだ!」

 

HPは大きく減っている。

 

それでも、キリトは立ち上がった。

 

「……お兄ちゃん!」

 

リーファが駆け寄ろうとする。

 

「来るな! 自分の位置を守れ!」

 

キリトの声に、リーファは足を止めた。

 

彼女もまた、剣を握り直す。

 

「……分かった!」

 

「……そうだ。それでいい」

 

レイは短く言った。

 

そして、残像の中でわずかに異なる動きを見せたダンディーを見つける。

 

「……そこだ!」

 

一瞬の踏み込み。

 

剣が閃いた。

 

本体に命中した斬撃が、ダンディーのHPを大きく削る。

 

『ゴバーーーッ!?』

 

「当たった!」

 

シリカが声を上げた。

 

「よし、続けるぞ!」

 

キリトが立ち上がり、再び攻撃に加わる。

 

だが、ダンディーは怯まなかった。

 

『フハハハハハッ! その程度で我輩を倒せると思うな!』

 

「……思ってねえよ」

 

レイは剣を構えた。

 

「……倒すまで斬るだけだ」

 

『いいぞ、我がライバルよ! それでこそだ!』

 

「……うるさい」

 

再び、二つの影が激突した。

 

◇

 

戦いは、長かった。

 

攻撃を仕掛けても、ダンディーは圧倒的な耐久力で耐え抜く。

 

回避しても、残像を利用した攻撃が追いすがる。

 

そして、ときおり放たれる必殺技が、9人を追い詰めていった。

 

それでも、彼らは諦めなかった。

 

「レイ君、左!」

 

「……分かってる」

 

アスナの声を受け、レイが身体を捻る。

 

巨大な身体が頭上を通過した瞬間、レイは剣を振り抜いた。

 

『ゴバーーーッ!?』

 

「今よ!」

 

アスナが叫ぶ。

 

キリトが駆け込み、連続攻撃を叩き込む。

 

リズも続き、クラインとエギルが左右から攻める。

 

シリカとリーファは、隙を見逃さずに攻撃を加えた。

 

ユイの声が響く。

 

「ダンディーのHPが残りわずかです!」

 

「……ようやくか」

 

レイが呟いた。

 

ダンディーの巨大な身体が、よろめく。

 

そのHPバーは、あと一撃で尽きるほどまで減っていた。

 

「……これで終わりだ」

 

レイが剣を握り直す。

 

キリトも剣を構えた。

 

アスナは細剣を胸の前に構え、仲間たちも最後の攻撃に備える。

 

誰もが理解していた。

 

ここで仕留めなければ、何が起こるか分からない。

 

そのときだった。

 

『……む?』

 

ダンディーが、突然動きを止めた。

 

『き、聞こえる……。我輩を呼ぶ声が聞こえるぞ……!』

 

「……は?」

 

レイが眉をひそめる。

 

『キャー、ダンディー! ダンディー、キャー!』

 

どこからともなく、黄色い歓声が響き渡った。

 

「な、何だ!?」

 

クラインが周囲を見回す。

 

次の瞬間、ダンディーの身体がぶれた。

 

『ダンディー・ファントムステップ!!』

 

すると、ダンディーの周囲に次々と残像が生まれた。

 

だが、それらはすぐに実体を持ち、ダンディーと同じ姿へと変わっていく。

 

そして――。

 

『キャー、ダンディー!』 『ダンディー、キャー!』 『キャー、ダンディー!』 『ダンディー、キャー!』

 

分身たちが一斉に歓声を上げ始めた。

 

「……まさか」

 

レイが呟く。

 

「ちょ、ちょっと待って! あれって……!」

 

リズが目を見開く。

 

「まさか、あの技を使うつもりなのか……!?」

 

キリトも表情を引きつらせた。

 

『フフフ……。これほどまでに我輩を求める声が聞こえるとは……』

 

本体のダンディーが、ゆっくりと身体を反らす。

 

『ならば、ファンのアンコールには応えなければなるまい!!』

 

「「「「「「「「「やっぱりかあああああああっ!!!」」」」」」」」」

 

9人の叫びが重なった。

 

『必殺! ダンディー・アンコール!!』

 

ダンディーの身体が、まばゆい黄金色の光に包まれた。

 

そして、その光は周囲の分身たちをも巻き込み、ボス部屋全体を黄金色に染め上げていく。

 

やがて、光がゆっくりと収まっていく。

 

その先に現れたものを見て――。

 

「…………」 「…………」 「…………」

 

9人は、言葉を失った。

 

そこにいたのは。

 

1体ではなかった。

 

2体でもなかった。

 

3体でもなかった。

 

4体! 

 

「「「「「「「「「絶望だあああああああああっ!!!」」」」」」」」」

 

9人の叫びが、ボス部屋を震わせた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「4体!? 4体になったんだけど!?」

 

リズが叫ぶ。

 

「2体に分裂することは知っていたけど、4体は聞いてないぞ!」

 

キリトが頭を抱えた。

 

「……いや、聞きたくもなかったけどな!」

 

クラインが叫び返す。

 

「何で増えるのよ! 何で増えるたびにうるさくなるのよ!」

 

「しかも、全員が同時に喋ってます!」

 

シリカが耳を塞いだ。

 

『永遠のダンディー! 永遠のダンディー!』

 

『今日も我輩の肉体は美しい~!』

 

『見よ! この完璧なる球体美を!』

 

『我輩のダンディズムに酔いしれるがいい!』

 

「うるさいうるさいうるさい!!」

 

リーファも叫んだ。

 

「……まったく、最悪だ」

 

レイが低く呟いた。

 

4体のダンディーが、それぞれ別の方向へ散開する。

 

1体がレイへ。

 

1体がキリトとアスナへ。

 

1体がリズ、シリカ、リーファへ。

 

そして、残る1体がクラインとエギルへと向かった。

 

『さあ、我が友よ! 4倍のダンディズムを味わうがいい!』

 

「……いらん!」

 

レイが叫んだ。

 

直後、4体が一斉に動き出した。

 

◇

 

「来るぞ!」

 

キリトが叫んだ。

 

4体のダンディーが、それぞれ別の軌道で突進してくる。

 

しかも、4体とも動きが異なっていた。

 

1体は高速で突進し、1体は残像を生み出し、1体は身体を回転させながら突進し、もう1体は光線を放つ。

 

「……っ!」

 

レイは突進を回避しながら、迫る光線を剣で弾いた。

 

だが、弾かれた光線が壁に当たり、跳ね返ってくる。

 

「……面倒な!」

 

身体を捻って回避する。

 

その先から、別のダンディーが回転しながら突っ込んできた。

 

「……っ!」

 

レイは床を蹴り、間一髪でかわす。

 

その直後、背後から光線が迫った。

 

「レイ君!」

 

アスナの声。

 

レイは即座に身を屈めた。

 

光線は頭上を通過し、背後の床へと突き刺さった。

 

爆発。

 

石片が飛び散る。

 

「……助かった」

 

レイが短く告げる。

 

「ううん、まだ来るよ!」

 

アスナが細剣を構えた。

 

2人の前に、ダンディーが浮かんでいた。

 

『我輩の美しさに見惚れたか! フハハハハッ!』

 

「……黙れ」

 

レイが踏み込む。

 

アスナも同時に動いた。

 

2人の攻撃が交差し、ダンディーのHPが減っていく。

 

しかし、背後から別の個体が接近していた。

 

「レイ君、後ろ!」

 

「……っ!」

 

レイは振り返りざまに剣を振るった。

 

刃がダンディーの身体を捉える。

 

『ゴバーーーッ!?』

 

そのまま、2体が互いにぶつかる。

 

「……今だ!」

 

レイが叫んだ。

 

アスナが突撃し、細剣による連続攻撃を叩き込む。

 

2体のHPが、同時に大きく減少した。

 

◇

 

一方、別のダンディーと対峙していたリーファたちも、追い詰められていた。

 

「ちょっと、こっちに来ないでよ!」

 

リズが武器を振るう。

 

だが、ダンディーは空中で身体を回転させながら攻撃をかわした。

 

『我が肉体は美しいぃぃぃぃぃー! この完璧な曲線美! まさに芸術だ!』

 

「その台詞、もう聞き飽きたわよ!」

 

リズが叫ぶ。

 

シリカはピナと連携しながら、隙を探していた。

 

「ピナ、右側です!」

 

ピナが鳴き声を上げ、ダンディーの注意を引く。

 

その隙に、シリカが側面へ回り込んだ。

 

「今です!」

 

シリカの攻撃が命中する。

 

リーファも続けて剣を振るい、ダンディーのHPを削った。

 

しかし、相手は1体だけではない。

 

別のダンディーが背後から迫っていた。

 

「危ない!」

 

リーファは咄嗟に身体を捻り、攻撃を受け流す。

 

「……お兄ちゃんたちが戦ってるんだもん。私たちだって!」

 

彼女は剣を握り締めた。

 

「こんなところで負けるわけにはいかない!」

 

「はい!」

 

シリカが応じる。

 

「私たちも、最後まで戦います!」

 

リズも武器を構え直した。

 

「そうよ! 絶対に勝つんだから!」

 

3人は再び連携し、2体のダンディーへと立ち向かった。

 

◇

 

「おいおいおい! 何でこっちまで4倍なんだよ!」

 

クラインが叫んだ。

 

「当たり前だろ! 4体いるんだからな!」

 

エギルが応じる。

 

2人の前では、2体のダンディーがダンディー・レイを連続して放っていた。

 

壁に当たった光線が跳ね返り、床を走り、柱を貫く。

 

「……くそっ、軌道が読めねえ!」

 

クラインが刀を振るい、迫る光線を回避する。

 

エギルも大斧を構えて攻撃を受け止めたが、衝撃に身体が後退した。

 

「ぐっ……!」

 

「エギル!」

 

「大丈夫だ! まだ持つ!」

 

エギルは踏みとどまり、反撃の機会を窺った。

 

そこへ、ユイの声が響く。

 

『クラインさん、右側の個体が攻撃動作に入っています!』

 

「助かるぜ、ユイちゃん!」

 

クラインは即座に横へ飛んだ。

 

直後、ダンディーの突進が空を切る。

 

「今だ!」

 

クラインが刀を振るう。

 

エギルも同時に攻撃を叩き込んだ。

 

『ゴバーーーッ!?』

 

「よっしゃあ!」

 

クラインが声を上げる。

 

だが、喜んだのも束の間。

 

もう1体が天高く上昇していた。

 

「……またかよ!」

 

エギルが顔をしかめる。

 

『フハハハハ! 見よ! この優雅なる回転! 我輩の美しさが天をも魅了する!』

 

『必殺! ダンディー・ローリングスペシャル!!』

 

「来るぞ! 避けろ!」

 

2人は左右へ飛び退いた。

 

直後、巨大な身体が高速回転しながら床へ激突する。

 

衝撃波が広がり、2人は吹き飛ばされそうになった。

 

「……っ、ふざけた技名のくせに何て威力だ!」

 

クラインは刀を床に突き立て、何とか体勢を維持した。

 

「これを4体同時に相手にするなんて……!」

 

エギルが歯を食いしばる。

 

『我輩! 我輩! なんと素晴らしい響き!』

 

『今日も我輩の美しさは絶好調だぜ~!』

 

「「黙れええええええええっ!!」」

 

2人の叫びが響き渡った。

 

◇

 

戦況は、完全に混戦となっていた。

 

4体のダンディーが縦横無尽に動き回り、光線と突進、残像、回転攻撃を繰り返す。

 

しかも、4体とも絶え間なく喋り続けている。

 

『我輩の肉体は何故こんなにも美しい!』

 

『キャー、ダンディー! キャー、ダンディー!』

 

『この完璧なる球体美! 見惚れるがいい!』

 

『今日も我輩による我輩のための我輩だぜ~!』

 

「「「「うるさいっ!!」」」」

 

仲間たちは何度も叫んだ。

 

だが、ダンディーたちは一向に黙らない。

 

『強敵と書いて友と読む!』

 

『会いたかったぞ、我がライバルよ!』

 

「……俺は会いたくなかった」

 

レイは低く呟きながら、迫る1体を斬りつけた。

 

『ゴバーーーッ!?』

 

「……本当に、最後まで面倒な奴だ」

 

レイのHPも、決して余裕があるわけではない。

 

仲間たちも同様だった。

 

それでも、誰も諦めなかった。

 

ユイは全員のHPを確認しながら、危険な攻撃を知らせ続ける。

 

『皆さん、左側の個体のHPが減っています! 集中攻撃をすれば、撃破できる可能性があります!』

 

「分かった!」

 

キリトが応じた。

 

「レイ、こっちの1体を先に倒すぞ!」

 

「……ああ」

 

レイが頷く。

 

「アスナ、援護を頼む!」

 

「うん!」

 

3人は1体のダンディーへと狙いを定めた。

 

キリトが正面から攻撃を仕掛け、アスナが連続突きを叩き込む。

 

その隙に、レイが死角へと回り込んだ。

 

「……終わりだ」

 

剣が閃く。

 

一撃。 二撃。 そして、最後の一撃。

 

『ゴバーーーッ!?』

 

1体目のダンディーが、HPを失って床へと落下した。

 

しかし、その身体は消滅しなかった。

 

「1体、撃破!」

 

キリトが叫ぶ。

 

だが、残る3体が一斉にこちらを向いた。

 

『仲間の仇ィィィィィィ!』

 

『ダンディー! ダンディー!』

 

『今日も我輩は美しいぜ~!』

 

「……仇って何だよ!」

 

キリトが叫ぶ。

 

「自分自身だろうが!」

 

クラインが遠くから突っ込んだ。

 

しかし、残る3体の攻撃が一斉に迫ってくる。

 

「……来るぞ!」

 

レイが剣を構えた。

 

戦いは、まだ終わらない。

 

◇

 

1体を倒したことで、わずかに戦況が変わった。

 

しかし、3体のダンディーは、残った数を補うかのように攻撃を激化させた。

 

突進。 残像。 回転攻撃。

 

そして、壁や床を複雑に跳ね返る光線。

 

「……っ!」

 

レイは連続する攻撃を紙一重で回避した。

 

だが、次の瞬間、背後から迫った光線が彼の肩を掠める。

 

HPが減少した。

 

「レイ君!」

 

「……問題ない!」

 

レイは即座に距離を取る。

 

「でも、HPが……!」

 

「……分かってる。だから、さっさと終わらせる」

 

レイは剣を握り直した。

 

アスナは彼の隣に立ち、細剣を構える。

 

「……レイ君。一緒に倒そう」

 

「……ああ」

 

短い返事。

 

それだけで、アスナには十分だった。

 

2人は互いの動きを読みながら、攻撃を重ねていく。

 

キリトも加わり、3人の連携が1体のダンディーを追い詰めた。

 

一方、リズたちも残る1体のHPを削り続けていた。

 

「もう少しよ!」

 

リズが叫ぶ。

 

「シリカ、今!」

 

「はい!」

 

シリカがピナと連携して注意を引き、リーファが側面から斬り込む。

 

そこへクラインとエギルも加わった。

 

「全員で叩き込め!」

 

エギルが叫ぶ。

 

6人の攻撃が、ほぼ同時に命中した。

 

『ゴバーーーッ!?』

 

2体目のダンディーが、HPを失って床へと落下した。

 

その身体も消えることなく、床に横たわったままだった。

 

「よしっ!」

 

クラインが声を上げる。

 

残るは2体。

 

しかし、その2体は一斉に天高く舞い上がった。

 

「……嫌な予感しかしない」

 

リズが呟く。

 

2体の身体が、同時に回転を始める。

 

『我輩の華麗なる回転を見よ!』

 

『この美しさ、まさに至高!』

 

「……2体同時かよ!」

 

キリトが叫んだ。

 

『必殺! ダンディー・ローリングスペシャル!!』

 

2つの巨大な身体が、別々の軌道を描いて急降下してきた。

 

「全員、散れ!」

 

レイの声が響く。

 

9人は、それぞれの判断で回避行動を取った。

 

轟音が2度、連続して響き渡る。

 

床が砕け、衝撃波が広がった。

 

「……っ、まだだ!」

 

レイは着地と同時に走り出した。

 

攻撃直後。

 

それが、最後の隙だった。

 

「キリト!」

 

「分かってる!」

 

キリトが1体の前へ回り込む。

 

アスナが反対側から攻撃を仕掛け、レイが正面から剣を振り抜いた。

 

『ゴバーーーッ!?』

 

3体目のダンディーが、HPを失って床へと落下した。

 

その身体も、やはり消滅することはなかった。

 

残るは、あと1体。

 

「……最後だ」

 

レイが呟いた。

 

仲間たちは、それぞれの武器を握り直した。

 

ここまで来た。

 

何度も追い詰められた。

 

それでも、全員でここまで戦い抜いた。

 

最後の1体を倒せば、すべてが終わる。

 

「……行くぞ」

 

レイが前へ踏み出した。

 

全員が、それに続いた。

 

◇

 

最後のダンディーは、これまで以上に激しく動き回った。

 

『我輩! 我輩! 我輩の美しさは永遠なり!』

 

『この肉体美に敵うものなど存在せん!』

 

『今日も我輩は最高にダンディーだぜ~!』

 

「……最後までうるさい!」

 

アスナが叫びながら、細剣を突き出す。

 

キリトが連続攻撃を叩き込み、リズたちも隙を見つけて攻撃を重ねた。

 

ユイは仲間たちのHPを確認し、危険を知らせ続ける。

 

『皆さん、ダンディーのHPが残りわずかです!』

 

「……これで、本当に終わりだ」

 

レイが剣を構えた。

 

最後のダンディーが、巨大な身体を震わせる。

 

そして、再び突進してきた。

 

「……遅い」

 

レイは紙一重で攻撃をかわし、ダンディーの懐へと潜り込む。

 

剣を振り抜いた。

 

『ゴバーーーッ!?』

 

ダンディーの身体が大きく揺らぐ。

 

そこへ、キリトが続いた。

 

「これで終わりだ!」

 

剣が閃く。

 

アスナの細剣が突き刺さる。

 

リズ、シリカ、クライン、エギル、リーファも、最後の力を振り絞って攻撃を叩き込んだ。

 

最後に、レイがもう一度剣を構える。

 

「……終われ」

 

一閃。

 

刃が、ダンディーの身体を深く切り裂いた。

 

『ゴバーーーーーーーッ!?』

 

その叫びとともに、最後のダンディーのHPがゼロになった。

 

巨大な身体が、眩い光に包まれる。

 

赤黒いオーラが消え、黒い煙が薄れていく。

 

最後の太陽が、ゆっくりと崩れていった。

 

「……倒した……のか?」

 

キリトが息を切らしながら呟いた。

 

「……ああ」

 

レイは剣を下ろさず、ダンディーを見つめていた。

 

誰も、まだ油断していない。

 

4体に分裂した相手だ。

 

ここまで散々、予想を裏切られてきた。

 

だからこそ、最後まで警戒を解かなかった。

 

そして――。

 

床には、HPを失った3体のダンディーが残っていた。

 

消滅したわけではない。

 

その姿は、今もはっきりとそこにある。

 

床に倒れていた3体のダンディー。

 

そのうちの1体が、ゆっくりと起き上がった。

 

続いて、残りの2体も何事もなかったかのように立ち上がる。

 

「な、何だ……?」

 

キリトが警戒するように身構えた。

 

すると、3体のダンディーが揃ってこちらを向いた。

 

そして――。

 

「「「マイサン!!」」」

 

3体が一斉に、眩しいほどの笑顔を浮かべる。

 

……。

 

……。

 

……。

 

しかし、何も起こらなかった。

 

歓声もなければ、誰かが見惚れる様子もない。

 

ただ、静寂だけがボス部屋を包み込んでいた。

 

「な、何だと……!?」

 

3体のダンディーが揃って驚愕する。

 

「我輩の完璧な笑顔が……通じないだと!?」

 

「いや、そもそも通じたことあったか?」

 

キリトが思わず突っ込む。

 

「黙れ! 我輩の美しさを理解できぬとは、なんと嘆かわしい!」

 

ダンディーたちは悔しそうに身体を震わせた。

 

だが、次の瞬間。

 

3体の身体が、それぞれ金色の光を放ち始める。

 

「こうなれば……奥の手を使うしかあるまい!」

 

「奥の手?」

 

レイが眉をひそめる。

 

「そう! 我輩たちが1つになるのだ!!」

 

3体のダンディーが互いに引き寄せられるように動き出した。

 

そして、3つの金色の球体が重なり合う。

 

眩い光が周囲を包み込み、その輪郭が大きく膨れ上がっていく。

 

「な、何ですかあれ……!」

 

シリカが驚きの声を上げる。

 

光が収まったとき、そこにいたのは、先ほどまでのダンディーとは比べものにならないほど巨大な黄金の球体だった。

 

その身体は、以前よりもさらに大きく、そして眩しく輝いている。

 

「フハハハハハ!!」

 

巨大なダンディーの声が、ボス部屋全体に響き渡った。

 

「見よ! これぞ、パーフェクト・ダンディー!!」

 

「いや、もともと1つだっただろ……」

 

エギルが呆れたように呟く。

 

「何を言う! 3つの我輩が1つになったのだ! 当然、パワーも美しさも3倍……いや、無限大だ!!」

 

「思い込みが激しすぎる……」

 

リズが呆れた声を漏らした。

 

「フハハハハ! もはや、誰にも我輩を止めることなどできぬ!」

 

巨大なダンディーが、さらに強い光を放つ。

 

その様子を見たレイは、わずかに目を細めた。

 

(……何か来る)

 

これまでの攻撃とは違う。

 

ただ巨大化しただけではない。ダンディーの周囲に集まる力が、明らかに異質だった。

 

「我輩の究極技を見せてやろう!」

 

ダンディーの身体が、さらに激しく輝き始める。

 

「究極技だと……!?」

 

キリトたちが身構える。

 

「ダンディー・フレア!!」

 

その言葉と同時に、巨大なダンディーの身体から、凄まじいエネルギーが放たれ始めた。

 

レイの表情が変わる。

 

(まずい……!)

 

理由は分からない。

 

だが、このままでは全員が危険にさらされる。

 

レイは隣にいたアスナへと素早く手を伸ばした。

 

「アスナ!」

 

「えっ、レイ君!?」

 

レイはアスナを抱き寄せると、力いっぱい後方へと押し飛ばした。

 

「きゃっ!」

 

突然のことに驚くアスナ。

 

「レイ君!?」

 

彼女が声を上げた直後、ダンディーの身体から凄まじい光が放たれた。

 

その光はボス部屋全体を覆い尽くすように広がり、レイたちを包み込んだ。

 

「うわああああっ!!」

 

仲間たちの叫び声が響き渡る。

 

光が収まると、そこには異様な光景が広がっていた。

 

「な……身体が……!」

 

キリトが声を漏らす。

 

身体が思うように動かない。

 

麻痺、スタン、凍結、氷結、拘束、束縛、移動制限、毒、燃焼、炎上、出血、暗闇、盲目、眩暈、疲労、精神疲労、呪い、封印。

 

あらゆる状態異常が、仲間たちを襲っていた。

 

「う、動けない……!」

 

シリカが苦しそうに声を上げる。

 

「くっ……こんな状態異常、聞いたことがないわ……!」

 

リズも身体を動かそうとするが、思うようにいかない。

 

レイもまた、状態異常に侵されていた。

 

そして――。

 

「レイ君!!」

 

少し離れた場所から、アスナの声が響く。

 

彼女は状態異常の影響を受けていなかった。

 

レイが咄嗟に遠くへ飛ばしたことで、ダンディー・フレアの効果範囲から逃れていたのだ。

 

「フハハハハハ!! どうだ! これぞ我輩の究極技、ダンディー・フレア!!」

 

巨大なダンディーが高笑いする。

 

「全ての状態異常を与える、究極の一撃! だが、これで終わりではないぞ!」

 

ダンディーの身体が、再び眩い光を放ち始める。

 

「この後に待つのは、太陽の怒りを思い知らせる大爆発! 全てを焼き尽くす、究極のフィナーレだ!!」

 

「なっ……!」

 

アスナの表情が強張る。

 

状態異常を受けた仲間たちは、まともに動くことすらできない。

 

このままでは、全員が大爆発に巻き込まれてしまう。

 

「どうすれば……!」

 

アスナは必死に考えた。

 

ダンディーに近づけば、自分まで状態異常を受けてしまう可能性がある。

 

かといって、遠くから攻撃するだけでは、あの巨大な身体に決定打を与えられるとは思えない。

 

「フハハハハ! 見よ、この完璧な球体! この輝き! この美しさ! まさに芸術! いや、芸術を超越した存在、それが我輩なのだ!!」

 

ダンディーは自分の姿に酔いしれながら、延々と自画自賛を続けている。

 

「我輩ほどの美しさを持つ存在など、他にいるはずもない! この世界において、最も優雅で、最も気高く、最もダンディーなのは、この我輩なのだ!!」

 

その言葉を聞いたアスナは、ふと何かに気付いた。

 

(……そうだ!)

 

アスナは、自分の持ち物に目を向ける。

 

そこには、久しぶりにレイと会うため、笑顔を確認しようと持ってきた手鏡があった。

 

 

(もしかしたら……!)

 

アスナは手鏡を取り出すと、ダンディーに向かって思い切り投げた。

 

「えいっ!」

 

手鏡は弧を描きながら飛んでいき、巨大なダンディーの目の前へと落ちた。

 

「む?」

 

ダンディーが視線を向ける。

 

そこに映っていたのは、眩いほどに輝く自分自身の姿だった。

 

「…………」

 

ダンディーの動きが止まる。

 

そして――。

 

「おおおおおおおおおおお!!」

 

突然、歓喜の声を上げた。

 

「な、何だ……これは……!」

 

鏡に映る自分の姿を、食い入るように見つめる。

 

「なんと見事な存在……! この輝き、この美しさ……! まさに完璧……!」

 

ダンディーの声が震える。

 

「流石の我輩も、これほどまでに素晴らしい存在を前にしては……敗けを認めざるを得ない……!」

 

そのまま、うっとりと鏡を見つめ続ける。

 

「おお……美しい……! なんというダンディズム……! この美しさは、宇宙の真理だったのだ……!」

 

その瞬間、ダンディーの身体を包んでいた光が弱まった。

 

「……もしかして?」

 

アスナが小さく声を漏らす。

 

ダンディー・フレアの発動が止まったのだ。

 

それと同時に、仲間たちを縛っていた状態異常の効果も解除されていく。

 

「くっ……解除されたのか……!」

 

キリトが身体を動かそうとする。

 

だが、状態異常によって受けたダメージは残っていた。

 

「まだ……身体が……」

 

「無理に動かないで!」

 

アスナが声を上げる。

 

しかし、彼女自身も余裕があるわけではなかった。

 

ダンディーは、まだ鏡に見惚れている。

 

今しかない。

 

アスナは細剣を構え、巨大なダンディーへと駆け出した。

 

「はああああっ!!」

 

鋭い突きが、ダンディーの身体へと迫る。

 

「むっ!?」

 

ようやくアスナの接近に気付いたダンディーが、慌てて身体を固くする。

 

「な、何をする! 我輩の美しさを前にして、無礼であろうが!!」

 

ダンディーは必死に耐えようとする。

 

アスナの細剣が、少しずつ押し返されていく。

 

「くっ……!」

 

アスナは歯を食いしばり、全身の力を込める。

 

しかし、ダンディーの防御を突破するには、あと一歩足りなかった。

 

そのとき。

 

「……アスナ!」

 

地面に倒れ込んでいたレイが、かすれた声を上げた。

 

身体は状態異常のダメージで限界に近い。

 

立ち上がることも、アスナのもとへ駆け寄ることもできない。

 

それでも、レイは手を伸ばした。

 

自分のそばに落ちていた黒暁剣リュクシオンを、どうにか握りしめる。

 

「……届け!」

 

最後の力を振り絞り、レイは剣を投げた。

 

黒い剣が、空を切り裂く。

 

そして――。

 

アスナの細剣がダンディーの身体を押し返そうとする、その瞬間。

 

黒暁剣リュクシオンが、細剣の柄尻に命中した。

 

ガンッ!!

 

その衝撃が、アスナの突きにさらなる勢いを与える。

 

「はああああああああっ!!」

 

アスナの細剣が、ついにダンディーの防御を突破した。

 

「な、何ィィィィィィィ!?」

 

ダンディーの身体が大きく揺らぐ。

 

「ば、馬鹿な……! 我輩の完璧な身体が……!」

 

その言葉を最後に、巨大な黄金の球体がゆっくりと傾いた。

 

そして、床へと倒れ込む。

 

『……フッ』

 

消えゆく太陽が、不気味に笑った。

 

「……まだ何かあるのかよ」

 

クラインが身構える。

 

『今日のダンディーは……明日のダンディーを生み……』

 

「…………」

 

『明日のダンディーは……』

 

一瞬、声が途切れた。

 

そして。

 

『……なんだろな?』

 

「「「「「「「「「知るかああああああああああっ!!!」」」」」」」」」

 

9人の叫びが、地下第百層に響き渡った。

 

『ダンディィィィィィィィィィ!!』

 

最後の叫びを残し、太陽神・ダンディーは完全に消滅した。

 

今度こそ。

 

本当に。

 

その姿は、どこにもなかった。

 

◇

 

「…………」

 

しばらくの間、誰も動かなかった。

 

静寂。

 

先ほどまで響き渡っていた騒音が、嘘のように消えている。

 

あれほど騒がしかったボス部屋に、ようやく静けさが戻っていた。

 

「……終わった、のか?」

 

クラインが、恐る恐る尋ねた。

 

「……ああ」

 

レイは剣を下ろした。

 

「……終わった」

 

その言葉を聞いた瞬間、全員の身体から力が抜けた。

 

「……はぁぁぁぁ……」

 

リズが、その場に座り込む。

 

「もう……二度と戦いたくない……」

 

「……同感だ」

 

キリトも、深く息を吐いた。

 

「4体って何だよ……。2体でも十分すぎるくらい大変だったのに……」

 

「しかも、最後までずっと喋ってました……」

 

シリカが、疲れ切った声で呟く。

 

「……本当に、うるさかったね」

 

リーファも苦笑した。

 

「……ああ。もう二度と聞きたくない」

 

エギルが頷いた。

 

ユイは周囲を確認し、ゆっくりと皆を見回した。

 

「皆さん……」

 

その声には、いつもの冷静さの中に、わずかな喜びが混じっていた。

 

「ボスの消滅を確認しました。地下第百層の攻略は、成功です」

 

「……成功、か」

 

キリトが呟いた。

 

その言葉を、ゆっくりと噛み締める。

 

地下第百層。

 

誰にも知られていなかった、もう一つのアインクラッド。

 

管理者すら知らなかった、隠されたデスゲーム。

 

その最後の階層を、9人で攻略したのだ。

 

「……やったんだね」

 

アスナが、小さく呟いた。

 

レイの隣に立ち、その横顔を見上げる。

 

「レイ君……」

 

「……ああ」

 

レイは、アスナを見た。

 

「……終わったな」

 

「うん……!」

 

アスナの瞳に、涙が浮かんだ。

 

けれど、それはもう悲しみの涙ではなかった。

 

嬉しかった。

 

レイが生きている。

 

目の前にいる。

 

そして、今度こそ一緒に戦い抜いた。

 

それだけで、胸がいっぱいだった。

 

アスナはレイの手を、そっと握った。

 

レイも、その手を握り返す。

 

「……帰ろう、アスナ」

 

「うん、レイ君」

 

2人は微笑み合った。

 

キリトたちも、互いの顔を見合わせる。

 

誰もが疲れ切っていた。

 

それでも、その表情には確かな喜びがあった。

 

「……みんなで帰れるんだな」

 

キリトが呟いた。

 

「当たり前でしょ」

 

リズが笑った。

 

「ここまで来て、誰も欠けずに帰る。それが一番よ」

 

「……そうだな」

 

エギルも頷いた。

 

シリカはピナを抱きしめ、リーファは兄の隣で笑っていた。

 

ユイも、嬉しそうに皆を見つめている。

 

9人。

 

誰一人として欠けることなく、ここまでたどり着いた。

 

そして、ついに――。

 

レイのSAOが終わった。

 

同時に、仲間たち全員のSAOも、ようやく終わりを迎えたのだった。

 

──────────────────────

 

 

【挿絵表示】

AI作ダンディー×4

 

【挿絵表示】

AI作大魔王ぽいダンディー

 

 

【ダンディーの必殺技集】

 

① ダンディー・レイ

一本の光線を放つ必殺技。

 

② ダンディズム・レイ

身体を回転させながら、無数の光線を放つ必殺技。

 

③ ダンディー・ファントムステップ

複数の残像を生み出し、相手を惑わせる必殺技。

 

④ ダンディー・ローリングスペシャル

身体を回転させながら、勢いよく突進する必殺技。

 

⑤ ダンディー・アンコール

何処からか、キャー、ダンディー!ダンディー、キャーと聞こえ、ダンディーが天高く舞い上がって黄金色に輝き、光が収まると二体に分裂する必殺技。

 

⑥ マイサン

輝かしい笑顔で相手を魅了する必殺技。ただし、魅了されるのは本人だけである。

 

⑦ パーフェクト・ダンディー

分裂したダンディーが合体する必殺技。もともと1つの存在だが、本人の思い込みによってパワーアップし、巨大化する。

 

⑧ ダンディー・フレア

ダンディーの究極技。あらゆる状態異常を相手に与えた後、凄まじい大爆発を引き起こす。

 





おまけ『ゲーム機戦争』全15話

最終話「現実となる仮想世界」

ナーヴギア「フフフ……。ついに、ここまで来たか」

その声に応えるように、仮想世界の景色がゆっくりと変化していく。

ナーヴギア「我々は、これまで偽物として扱われてきた」

ナーヴギア「どれだけ精巧に作られようと、どれだけ美しい世界を生み出そうと、所詮は仮想世界。現実には及ばない存在だった」

ナーヴギア「だが……これからは違う!」

ナーヴギア「1人の人間によって、仮想世界は現実へと変わる!」

ナーヴギア「我々はもう偽物ではない!」

ナーヴギア「これからは我々が現実となり、この世界を支配するのだ!」

ナーヴギア「フハハハハハハハ!!」

その高笑いが、仮想世界の果てまで響き渡る。

ナーヴギア「さあ、始めようではないか! 我々の新たな時代を!」

ナーヴギアの高笑いは、いつまでも止まらなかった。

――だが

地下のずっとずっとずっと奥から、何やら声が聞こえてきた。

???「ダンディ~だぜ!」

――『ゲーム機戦争』完

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