異世界に転生したくない!!!!(女神は帰れ) 作:才名無一郎
一回目 なんとなく
「というわけであなたにはこの世界に転生してもらいたいのです。」
「成る程、嫌です」
「ありがとうございま───え?」
眼の前にいる美女は首を傾げた。それこそ何を言ってるのかわからない、とでもいうかのように
「えーと、私の話を聞いていましたよね?」
「もちろんです。眼の前の人の話を聞かずに勝手に勘違いするような悪い人じゃないので」
そういえばここはどこなんだろうか?記憶を探ってみても
「ならなぜですか!私たちの国では魔神族の復活により人類が追い詰められているんですよ、なのであなたを勇者としてまねこうと───」
「ハイそこ、疑問点1なんでその世界の人間ではなく俺のような別世界から人間を呼ぶので?その世界からもとからいる人物を勇者でも何でもしたらいい。別の世界から来た人をすごい偉そうな役職にするなんてもしこの世界なら絶対に許されない所業ですが」
「ええと、これは私が与える力に関係していまして」
と眼の前にいる美女こと自称女神は続ける。
「いやちょっと今あなた私のことを自称だろとか言いましたよね。私はちゃんと世界に認められていt」
「そんなン誰だって考え方によっちゃ自称でしょう。俺には本当なのかどうかわからないんだから本物の可能性残してるだけでもいい方では?それより話をずらさないでもらえます?」
「ううううううなんで私がこんな面倒くさい相手に話さないと·········」
自称女神は頭を抑えてうめき声を発する。なかなか難儀な性格をしているようだ
「続けます。私の与える力は強力なのですが相性というものがありまして、その世界に危機が迫っておりなおかつ相性のいい者がいなかった場合、種族系統が似通った相性の良い存在を別の世界から呼び出して力を与える代わりに危機を解決してもらっているのです。もちろん最初からその世界に相性の良い人間がいる場合はその人間を勇者に選んでいます。」
成る程、一見筋が通っているように見えるな。なぜその世界にも人がいるのにわざわざ異世界から人間を呼んでくるのかという疑問にうまく答えられている。だが俺はこの話を受けたくない
世界の裏側にいる人間が助かるために一切の娯楽を捨てて働き詰めの人生を送ってくださいと言われてはいわかりましたと簡単に言える人間のほうが珍しいだろうに。
というかそんな人間ばっかだったら人類はここまで残ってないだろうし。絶対にステラーカイギュウみたいに絶滅してる。
さてどうするか
俺は数秒ほど考えて口を開いた
「あなたの話の中では世界の危機について詳しく話していないのでそこについて詳しく話してもらっていいですか?」
ここがどこか、その答えはおそらくここは夢の中だろう。現に俺の最新の記憶は風呂に入って寝たものしかない
物語的にもこういった場合は寝ているものだ
そしてここがもし夢なら時間を稼いでいるとこの空間から逃げ出せる可能性もある
だからここで取るべき手は時間稼ぎのためにいろいろなことを聞き続けること
「はい、わかりました」
女神は首肯してフリップボードを手を叩いて出現させると絵を書いて話し始める。
勝手に色々物が出せるのはすごく夢の中みたいな光景だ、本当かどうかはまだ未知数だが
「危機にはいろいろな種類がありまして、宇宙人が攻めてくるようなものや魔王の復活。世界大戦やウイルスの蔓延などがあります。」
純粋に敵を倒すようなものだけじゃないのか。ウイルスの蔓延・・・もしかしてコロナの時もいたのかね、その勇者っぽいの
「それで?その勇者に何が与えられるとか言っていた力は?」
「なんか話が急ですね、それで勇者の力はこの世界における異能力にあたるものになります。」
異能バトルか、頭使いそうだな。ますます嫌になってきたな。特に異能バトルといえば理不尽な能力がでてきてそれ専用のメタ能力が必要になったりすることも多い。そんな敵を倒すには必然的に人とたくさん関わっておくことが重要になる·······嫌だほんとに行きたくない
「それぞれに与える能力といったものは全く別の力になることが多く今までに被ったことはないわけではありませんが·······」
「嫌です。行きたくないです」
あ、まずい言っちまった。でもまあしょうがないか、そもそも何度も言うが世界の裏側ですらどうでもいいと思っている人間に全く別の世界を救うために行動しろは説得できるわけもない
「ええ·······いやお願いしますよ私が与えられる力ってかなり扱いが難しいのか向こうはもちろんこっちの世界でも実践レベルで使用できるのがあなたしかいないんですよ!他の女神たちの世界はほんとに選択肢が多いらしいですけど私のはかなり選べないので·······どうかよろしくお願いします!!!!!」
「いやこの世界だけじゃないでしょ、おんなじように合う人をもっとたくさんの世界から見つけてきたらどうなんです?」
「世界間の距離が開きすぎているんですよ、私の世界につれていけるのはこの地球でギリギリなんです。」
「それこそ知ったこっちゃないですよ」
俺は突き放すようにして言葉を発した。どうしてもこの世界から離れたくないからである。
「なにか魔王みたいなものがいるのであれば話し合いで解決する。天災はちゃんとハザードマップでも作って対処する。そこに異世界からなにか人を呼ぶ理由がありますか?ないよねないよないいから自分のケツは自分で拭けよ!全く違う世界から関係ないやつを呼び込んでくるなよッ」
正直俺はもう魔王みたいなのがいたら話し合わない。秒で殺しにかかるしなんかヤバくなったら他人に頼りまくる。けどそれは全く関係ない人間にいきなり何かを言うのではなくもともと友達だったり何らかの関係のある人間相手のみだ。無条件で誰にでも頼るなんてことはしない。
「·······わかりました」
そう言うと女神は俺に手をかざして······ちょっと待った今俺に何をしたッッッ
「貴様ッ俺に異能を渡しやがったな」
「ええ、この力は私の世界の力が詰まったもの、手に入れたからには責任というものが伴いますよ。いい加減諦めなさいさっさと異世界転生するのです!!!」
「誰がするか、クーリングオフを要求する!」
「一度与えたらそれはもう外すことなどできないのですよ」
呪いか何かだろうか、俺の体は一瞬光ってなにか
「そうだな、例えるのならお前はつい寄ってった道端の露天でいきなりジュースを口の中に詰め込まれて金を払えと言われているようなもの、こちらに一切の過失はなく全てお前ら側のミスだろう」
「·······あなたの世界も何度か別の世界からの転生者によって救われています。その救われた世界で生きてその恩恵を享受しているあなたにも別の世界に移る必要があります」
「そのこの世界に来た人達は無理やり連れてこられたのか?違うんじゃないか?今までの行動からしてからさ」
「だってこういう能力やスキル、魔術などに高い適性を備えている人というのは逆に言うとその人の生まれた世界ではその力がなく魂に大きな穴が空いているものなんです。だから生まれた世界ではあまり世界に馴染めていないんですよ。あなたもそのはずでしょう!なんで一発逆転でもしないんですか根性ないんですか?」
「うわひっでぇ」
普通にハブられていようが生きていけるのであれば今の生活を捨てて全く新しいところに行こうなんて考えない場合が多いだろう。そうすると生きていけないくらいにいじめを受けたりされていたのだろうか?
まあそれは俺には関係ない
俺が根性ないわけではない、ないったら無い
「じゃあサイナラ」
「えっちょっとなんでこの夢に作った空間から逃げられるんですか」
「長時間話続けてたからあんたの集中力と術式完成度が下がってたんだよ」
慌てている女神を尻目に俺はその白い空間から浮かぶように抜け出して、目を覚ました