予想外にUA数があって驚いています。
さらにお気に入りしてくださった6名の方、ありがとうございます。
みなさんの期待に添えるように頑張って書きたいと思います。
それでは第二話をご覧下さい。
入学最初の授業はISに関する条約や歴史、ISの基礎情報など。普通の高校で言うところの現代社会に技術分野を足したような物だった。
「――であるからして、ISの基本的な運用は 現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は刑法によって罰せられ――」
静かな教室内に指示棒を持った山田先生の声とノートを取るシャーペンを走らせるだけが響く。
流石、入試倍率50倍という異様な数字を出している学校と言うべきだろう。
しかし学ぶことは所詮基礎情報。既にそれを理解しているのか、ノートを取らず、話を聞いているだけの人も所々に見られる。
「ここまでで何かわからないことはありますか?織斑君。」
「え…あ…その…」
一夏は山田先生の質問に対して何故
か答えづらそうに言葉を濁している。
「わからないことがあるなら遠慮しないで聞いてくださいね!何せ私は先生ですら!」
先生、笑顔が眩しいです。
「先生…」
「はい、織斑君。」
「ほとんど全然分かりません!」
恐る恐るといった感じに手を挙げた一夏がとんでもない爆弾発言をした。しかもそれ聞いた山田先生焦ってるし。
「う、雨月君は大丈夫ですよね!?」
「当たり前です。狼騎の技術者ですからこれくらいなら大丈夫です。」
そう言った俺を見た山田先生は胸をなで下ろしていた。
「織斑、入学に当たっての参考書はどうした。必読と書いてあった奴だ。」
「古い電話帳と間違えて捨てました。」
一夏が言い終わるとほぼ同時に千冬さんの出席簿が再び火を吹いた。
「再発行してやるから一週間以内に覚えろ。」
「ちょ…一週間であの量はキツー「いいな?」ーハイ…。」
すげぇ…眼力だけで一夏が怯んだ…。やはり世界最強の名は伊達じゃないか。
「おい雨月。一応お前もここの男子生徒だ、織斑に教えてくれ。」
「了解です。千冬さん。」
「せめて先生と付けろ。いいな?」
「分かりました、織斑先生。」
「…やっぱり止めろ、お前に先生と呼ばれるとむず痒い。」
「え…。」
「さて、山田先生、授業を続けてください。」
千冬さんはそう言うと何もなかったように授業の再開を促した。
お、俺はどうすれば…?と、とりあえず授業を聞こう。
その後、問題はなく授業は終わった。
…一夏が頭を抱えていたこと以外は。
「ちょっとよろしくて?」
「あ?」
「ん?」
一時間目の授業の終了後、一夏と話していると声を掛けられる。声のした方を向くと、そこには見た目からもお嬢様といった風貌の生徒がいた。俺らを見る目は女尊男卑を体現していると言っても過言ではないだろう。
…何故だろう、この少女はなにか気を張りすぎているような感じがする。
「まぁ!なんですのそのお返事は!私に話しかけられるだけで光栄なのですから、それ相応の態度ってものがあるのではなくって?」
「いや、俺あんたのことよく知らないんだけど…」
「わ、私を知らない!?イギリス代表候補生にして入試主席の"セシリア・オルコット"を!?」
セシリアと名乗った少女は一夏が自分のことを知らないと言ったことが気に食わなかったのか声を荒げ、机に両手を突いて一夏に詰め寄った。
うわぁ…大変そうだなぁ…と他人事のように見ていると、オルコットさんがこっちを見る。…やな予感しかしない。
「あ、貴方は分かりますわよね!」
「入試主席は知らないけど代表候補生っていうのは知ってた。最近の常識だし。」
俺がそう言うとオルコットさんは気分を良くしたのか、当然だとばかりに胸を張った。
「それが当然ですわ!」
というか実際に言った。
ちなみに、代表候補生はIS操縦者の各国家代表の候補となる人達で、その中の何人かは機体のテストパイロットとして専用機を貰っている。専用機を持つ人は国から補助金も出るらしい。
「更に詳しく言うと、イギリス生まれイギリス育ちの生粋のお嬢様。専用機は"
一夏に説明するために詳しい情報を話そうとしたのにオルコットさんに慌てたように遮られた。…何で?
「え…?あれ、詳しく紹介するためなんだけど…だめだった?」
「説明するにしてもここで出す情報じゃないでしょう!?それは!」
「な、なぁ、質問していいか?」
俺とオルコットさんが言い合っていると、一夏が手を挙げ、話に入ってきた。
「今はそれどころじゃ…いえ、いいでしょう。それで、質問とはなんですの?」
「…代表候補生って…何?」
…は?驚きのあまり固まるクラスメートたち。もちろん俺も含めて。
「あ、貴方はそれは本気で言っていますの!?」
「あぁ、本気で知らん。」
「きょ、極東というのはここまで未開の土地なのでしょうか…。ですが何故狼騎は私のことを知っているの…?」
なんか呟いてるし…。あと未開の土地って何だよ。
「一夏、代表候補生ってのは国家代表の候補の生徒のこと。聞いたら何となくわかるだろ?」
「あぁ、なるほど。」
「そう言うことですわ。そう、いわゆるエリートなのですわ!」
俺の説明にオルコットさんが割り込んでくる。というか、代表候補生って必ずしもエリートである訳じゃない気が…。
「そんな私とクラスを同じくするだけでも幸運なんですわよ?それを自覚してくださる?」
「そうか、それはラッキーだ。」
「馬鹿にしていますの…?」
一夏の反応に軽く苛立ったようで声音が低くなった。というか俺今蚊帳の外…?
「まぁでも?私は優秀ですから、あなたのような方にも優しくしてあげますわよ?」
あるぇ?完全にオルコットさんと一夏の会話になってる…。なんで?最初は俺も会話の相手だったのに…。
「ISに関してわからないことが有れば、泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ?なにせ私は入試で唯一教官に勝利したエリート中のエリートなのですから!」
「入試…ってあれか?ISを動かして戦うやつ。」
「それ以外に入試はありませんわよ?」
「あれ?俺も倒したぞ?教官。」
…は?
「はい…?」
「い、一夏…今なんて…?」
「いや、だから、俺も倒したんだって。」
一夏の顔に『そんなに凄いのか…?』って書いてるように見える…。こいつ、ホントに倒したんだ…。
「わ、私だけと聞きましたが…?」
「女子では、ってオチじゃないのか?」
一夏に言われたオルコットさんは何かを耐えるように震えている。
「つ、つまり私だけではない…と…?」
「多分そうなんだろうな」
そんな一夏の返答に我慢の限界だったのか机を叩きつけ、声を荒げる。
「あ、貴方!貴方も教官を倒したですって!!?」
「お、落ち着けって、な?」
「これが落ち着いてられますか!其方の貴方はどうなんですか!?」
「え…?俺?条件はクリアしたけど無理だったね。」
「そうでしょう!教官に勝てるわけが…」
「相手が千冬さんじゃあ出来るわけないよ。」
人の言葉の最中に発言しだしたオルコットさんの言葉に被せて言う。
「そ、それは確かに無理ですわね…。」
話の途中で三時間目のチャイムが鳴る。
「と、とりあえず、話はまた後で。よろしいですわね!」
そう言ってオルコットさんは自身の席に戻っていった。そして三時間目の授業が始まった。