ベイブレードNEO Season5   作:マツザキ蓮

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新・根尾中学校編
ベイブレードNEO・5 第1話 革命


根尾町――それはベイブレードが盛んな世界の中にある一つの町。

 

そこに校舎を構える根尾中学校には今や「伝説」と呼ばれる者達がいた。 

 

その名も「根尾中学校ベイブレード部」。

 

古代から甦りし厄災・ソラナキを打ち倒した後も様々なブレーダー達とのバトルを通じて更なる高みを目指していった……。

 

それから10年の歳月が流れ、根尾町も都市開発が進められた。 

 

そんな中、BSC(ベイブレード運営委員会)から新たなる時代の幕開けが宣言されるのであった――。

 

「皆様、本日はお忙しい中、弊社の最新システム発表会にお集まりいただき誠にありがとうございます。進行はBSC代表・牛輪大地(うしわ だいち)が務めさせていただきます」

 

ある家庭の一室に置かれたテレビに映し出された映像。

 

BSC代表の牛輪大地という男にフラッシュが点滅し、記者達の注目が画面越しに伝わる。

 

「本日皆様にお披露目いたしますのは、弊社が3年間の開発期間を経て完成させた新システム、その名も……」

「『フュージョンブレード』でございます!」

 

「フュージョンブレード」という言葉とともに彼は2つのベイを取り出す。

 

その2つのベイはブレードチップにバイソンがデザインされており、どちらも形は全く同じであった。

 

一体そのベイにはどんな秘密が隠されているのか……「フュージョンブレード」とは何なのか……記者達からの注目のフラッシュが絶たない中、牛輪は言葉を続ける。

 

「このフュージョンブレードには今のベイブレード界にとって大きな革命となる機能を搭載しております」

「例として今私が持っているこのベイ、アースバイソンで試してみましょう」

 

「!!」

 

その直後のことだった。

 

彼はブレードをプラパーツとメタルに分解し、メタル同士を合体させた。

 

「メタル同士の融合!! これによりベイ全体の重量増加はもちろん、ブレーダー同士の戦略の拡張に大いに貢献する……。まさに革命と呼ぶべき機能の誕生です!!」

 

BSCより発表された新機能「フュージョンブレード」。

 

それはブレード同士の合体によってベイの重量増加だけでなく戦略の拡張をもたらす革命的な機能であった。

 

更に激しいフラッシュと盛大な拍手を受けた後、会見は終了。  

 

「これが、新しいベイ……!」

 

そんな中、テレビで会見を見ていた少年が新たなる時代への期待と緊張感を瞳に宿した。

 

――根尾中学校――

 

「よぉ、竜斗! 今日も元気に来てくれて嬉しいぜ」

 

「ダイキ……」

 

「なぁ、聞いたか? フュージョンブレードってのが発表されたらしいぜ」

「いやぁ、聞いただけでもワクワクするよな!」

 

「相変わらず君はグイグイ来るな。まぁ、僕も気になってはいるけど……」

 

互いに言葉を交わす2人の少年。

 

彼らの名は赤城竜斗と鳥羽ダイキ。

 

竜斗はダイキの明るさに相変わらずと言いつつも、「フュージョンブレード」について気になっている様子を見せていた。

 

そんな中、ダイキが言葉を続ける。

 

「お前の物静かなところも変わらないな。でも、俺は知ってるんだぜ? 10年前、お前が蒼龍ソウタ選手に助けられたってこと」

 

「それはそうだけどさ……」

 

赤城竜斗には秘密があった。

 

それは10年前のベイブレードカップのこと……。

 

神世学園のメンバーである皇龍の暴走事件にて彼の使用するボルトドラゴによって会場が破壊される事態が発生した。

 

会場の崩落に当時4歳の竜斗は巻き込まれそうになり、そこへ駆けつけた蒼龍ソウタが身を挺して彼を助けたのは有名な話だ。

 

「いいよなぁ。俺も憧れの人が欲しいぜ……」

「『鳥羽グループの息子』ってだけで羨望の眼差しを向けられるのは正直疲れるんだ……俺は」

 

その一方で、竜斗の話し相手である鳥羽ダイキは日本の企業の中でも特に経済への強い影響力を持つテクノロジー企業「鳥羽グループ」の一人息子。

 

その生まれ故に周囲から羨望の眼差しを向けられることは多いが本人はそれに対し、疲れを感じていた。

 

「おっと、話が長くなっちまったな。1校時目は体育だ。あんまり門守先生を待たせるわけにはいかないからな。早めに着替えとこうぜ」

 

「そうだね」

(門守先生はソウタ選手と『チームメイト』だったってのは有名な話だ……。時間がある時に聞いてみよう)

 

暫くして……。

 

――放課後――

 

チャイムが鳴り、廊下は家へ帰る生徒、部活をしに行く生徒で溢れかえった。  

 

竜斗もそのまま家へ帰ろうとしたところ……。

 

「ゴー……シュート!」

 

「ん?」

(あれは確かベイブレード部の部室……。もう練習している人が……。あれ……?)

 

ふとベイブレード部の部室を覗いた瞬間、彼は目を大きく見開いた。

 

(なんだあのベイ……!)

 

その瞳に映っていたのは「自分と同じくらいの少女」と「引っかかりの少ない円形0枚刃に近いブレードを持つベイ」だった。

(少なくとも見たことがない……。けど……)

(もっと見たい……!)

 

湧き立った興味は竜斗の手をドアノブにかけるまで至り、そして動かしていく。

 

「!!」

 

ドアが動かされた瞬間、その少女は振り向き、互いに目が合う。

 

「えっ……!?」

 

「……あっ! すっ、すみません! すぐ出ていくのでそれでは……!」

 

いきなりドアを開けてしまったことに申し訳なさを感じたのか出ていこうとする。

 

しかし……。

 

「ちょっといい? さっきから視線を感じてたんだけどそれって君?」

 

少女に止められ、更には自分が見ていたことまで見透かされていた。

 

「……はい。ゴーシュートって聞こえたのでベイブレード部がどんな練習をしているのか気になって……」

「それに……そのベイも見たことがない気がしたので」

 

大人しい性格の竜斗にとって異性との会話は緊張してしまうぐらい苦手だった。

 

「そっか、次からは気をつけてね」

 

「はい……」

 

「まぁ、私のベイが気になってここへ来たわけだし教えてあげる」

 

幸いにも少女からは許してもらい、更にはベイの情報まで教えてもらうこととなった。

 

「その前に自己紹介をさせてもらうね。私の名前は時渡ユイ。ベイブレード部の部長をしてるよ。そして、このベイの名前は『ホロウクロノス』。フュージョンブレード機構のスタミナタイプだよ」

 

(フュージョンブレード……! 昨日発表されたばかりの新機構がいつの間に……!)

 

その少女は時渡ユイと名乗り、ベイブレード部の部長という。

 

更には彼女の持つベイ「ホロウクロノス」は「フュージョンブレード」を搭載したベイであった。

 

「そういえば君の名前を聞いてなかったね。同学年ぐらい?に見えるけど」

 

「僕は赤城竜斗……根尾中学校2年生です」

 

「おっ、同学年じゃん。君もベイをやってるの?」

 

「はい……。このベイを使ってます」

「アルティメットドラグニルを」

 

「それって蒼龍ソウタ選手が使ってた伝説のベイじゃん! どこで入手したの?」

 

「入手したというより、作ったんです」

 

「作った!?」

 

「僕は10年前に起こったベイブレードカップ事件の時、蒼龍ソウタ選手に助けられました。それ以来、僕はずっと彼を憧れの存在……そして目標としています」

「それで歴代のドラグニルをクラフトマシーンで作って、ともに戦ってきました」

 

ユイのフランクな性格に竜斗は話しやすさを感じたのか少しだけ表情を明るくし、これまでのことを彼女に打ち明ける。

 

「そっかぁ……。じゃあ折角来たんだしバトルでもしてみる?」

 

「……! よろしくお願いします」

 

「Ready……Set!」

 

3・2・1  ゴーシュート!

 

部室のスタジアムにシュートされた2つのベイ。

 

ホロウクロノスはスタジアム中央を陣取り、アルティメットドラグニルはスタジアム外周を旋回する。

 

「ホロウクロノスはスタミナタイプ……なら、最初から仕掛けていく……!」  

 

開始早々、ドラグニルとクロノスは激突。 絶え間なく攻撃を仕掛けていくが……。     

 

「!」

 

クロノスのブレードに当たった瞬間、ドラグニルは大きく逸れていってしまった。  

 

「ドラグニル!」

 

「今の受け流しはまさか……!」

 

「ご名答。ホロウクロノスのブレードは円形0枚刃に近い形状。真正面からの攻撃を受け流しつつ、自身は高い遠心力で回り続けられるってわけ」

 

「あぁっ……」

 

ホロウクロノスの特徴的な形状はベイが長く回り続けるための最適解。

 

息をするようにドラグニルの攻撃をいなし続け、勝利した。

 

「私の勝ちだね」

 

「ドラグニルが全く攻撃出来なかった……。強い……」 「ソウタ選手みたいにもっと熱い戦いになるはずだったのに……!」

 

竜斗は何も出来ずに敗北したことを強く悔やむ。

 

そんな中、ユイが彼に更なる言葉をかける。

 

「……私から少し話したいんだけどいいかな?」

 

「?  はい」

 

「さっき『ソウタ選手みたいにもっと熱い戦いになるはずだったのに……!』って言ってたよね」

「そんな君に一つだけ質問」

「ソウタ選手は『完璧なブレーダー』だと思う。◯か✕か?」

 

「えっ……? もちろんそれはま……る」

 

突如として彼女から投げかけられた質問。

 

竜斗は迷い気味に「◯」と言うが……。

 

「うーん、ちょっと違うかな?」

 

やんわりとその答えは違うと返された。

 

「えっ……?」

 

「確かにソウタ選手は色んなブレーダー達と戦って成長してきたし、仲間達との絆を何よりも重んじていて、根尾町の危機も救った。今のブレーダー達にとって憧れのブレーダーではあるね」

「でも彼もまた一人の人間。長所と短所が表裏一体なのは私達と一緒だよ」

 

「……!」

(確かにそうだ……。ソウタ選手は今のブレーダー達にとって憧れの存在ではある。けど……だからといって欠点がないってわけじゃない……。僕はいつの間にか彼を盲信していたんだな)

 

竜斗はその憧れが盲信へ変わりつつあったことに気づき、徐々に顔を下に向ける。

 

「顔……上げたほうがいいよ」

 

「!」

 

しかし、すぐさまユイから注意を受け、その行動が過ちであったことを察する。

 

「竜斗。憧れることに良し悪しはないけどいずれ変わらなきゃいけない時は来るよ。『相手を理解して超えたい』と思うならね」

 

「理解して超えたい……」

 

その瞬間、彼は穏やかな笑みを浮かべて決意を宿す。

 

「ありがとうございます、ユイさん。少しずつ僕なりの答えを探して……見つけた時にはあなたとのリベンジをさせてもらいます」

 

「楽しみにしてるよ」

 

自分なりの答えを探し、果てにはリベンジまで宣言。

 

彼女と約束を交わし、部室を後にした。

 

そんな中……。

 

「聞いたぞ、竜斗。さっそくフュージョンブレードを体験したんだってな」

 

「ダイキ……! いつからそこに!?」

 

廊下の柱から鳥羽ダイキが姿を現す。

 

「いつからって……上手いこと廊下にあった柱に隠れて聞いてたんだよ。お前が部室に入ってきた時点でな」

 

「全部聞かれてたってこと……? 恥ずかしいな……」

 

「そんなことはないぜ。俺もフュージョンブレード機構には興味を持ってたからな。俺でよければ協力するぜ?」

 

「ダイキ……いいの? 本当に」

 

「ああ。男に二言はないって言うだろ? ダチとしてお前を導いてやる」

 

「……! 分かった、よろしく頼むよ」

 

ダイキの言葉に嘘はなかった。

 

竜斗はその言葉を信じ、ともに学校を後にした。

 

蒼龍ソウタに憧れを抱く少年・赤城竜斗。

 

その感情は確かであると同時に「超える」という感情も芽生えた今、彼が目指す道とは――。




__イメージCAST__

根尾中学校  

赤城竜斗:伊藤節生
(髪型:外ハネのある赤色のマッシュウルフ/瞳の色:水色/トップス:黒色のフード付きパーカー/ボトムス:黒色のジーンズ/靴:スニーカー)
(主人公)  

時渡ユイ:瀬戸麻沙美
(髪型:焦げ茶のヨシンモリヘア/瞳の色:紫色/トップス:黒色のブレザー+白色のYシャツ+赤色のリボン/ボトムス:黒色のスカート+靴下/靴:黒色のローファー)

鳥羽ダイキ:古川慎
(髪型:紺色のフェザーパーマ/瞳の色:緑色/トップス:青色と黒のチェック柄のTシャツ/ボトムス:グレーのスラックス/靴:スニーカー)

BSC(ベイブレード運営委員会)

牛輪大地:三宅健太
(髪型:黒色のオールバック/瞳の色:青緑/トップス:うぐいす色のスーツ+白色の襟付きシャツ+ネイビーのネクタイ/ボトムス:うぐいす色のスラックス+黒色のベルト/靴:茶色のローファー/その他:鼻ピアス)

ナレーション:森川智之

新規登場ベイ

ホロウクロノス.C0.MO
(サークルゼロ・メタルオーブ) 
(クロノスモチーフのスタミナタイプ。)

アースバイソン.EWl6.GS
(エターナルウォールシックス・ガードスパイク)
(バイソンモチーフのディフェンスタイプ。) 
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