ベイブレードNEO Season5 受け継がれし心   作:マツザキ蓮

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ベイブレードNEO・5 第4話 栄光の天使

父親からの命を受け、自分だけのフュージョンブレード機構のベイ「イレイズシグナス」を作り上げた鳥羽ダイキ。

 

自身の心に迷いが生じていた中、竜斗とのベイバトルを通じてベイを楽しみたいという思いを見つけるのだった。

 

――根尾中学校(教室)――

 

竜斗とダイキのバトルから翌日、根尾中学校に再び新たな風が吹こうとしていた。

 

「皆、おはよう。今日は全員揃っているな」

「早速だが話がある。今日、この教室に転校生がやってきた」

 

「えぇっ……!?」

 

「先生ー! その転校生ってのは男子ですか?」

 

「それとも……女子ですか!?」

 

「待て、落ち着けお前達。すぐに分かるから離れてくれ……」 

 

転校生が来るという話を聞いた途端、多くの生徒達は波のように担任教師へ向かって押し寄せてきた。

 

それでもなんとかその場を収め、少しだけ開いていたドアの方へ向かって言う。

 

「それでは入ってこい」

 

「はい」

 

その一言と同時にドアが更に開かれた。

 

「天城ユウキです。よろしくお願いします」

 

「天城ユウキ……!?」

 

転校生の名前を聞いた瞬間、教室内は一気に騒然とし、今の状況が現実ではないような様子へ様変わりした。

 

「『1年前に姿を消した』天才ブレーダーがなんでこの学校に……!?」

 

竜斗やダイキを除いた殆どの男子生徒は、彼がこの学校へ転校してきたという事実に驚きを隠せていなかった。

 

暫くして……。

 

――放課後――

 

「あれ?」

 

「どうかしたか? 竜斗」

 

チャイムが鳴り、学校内に放課後となったことが知らされる。

 

2人は帰宅しようといつもの廊下を通る中、あるものを目撃した。

 

「おっ?」

 

彼らの視界には人集りが映っていた。

 

それもかなりの大人数だった。

 

そこで何が起こっているのか気にならないはずもなく、人集りを押し分けて進んでいく。

 

そこには……。

 

「なぁ教えてくれ! 何故あんたは1年前に姿を消したんだ?」

 

「ここへ来た理由は何なんだ!?」

 

「……」

 

学校へ転校してきたばかりの天城ユウキが居たのだ。

 

大勢の生徒に囲まれ、質問攻めに遭いながらも黙り込んでいた。

 

「答える義理はない。俺の機嫌が損なわれない内に帰った方がいい」

 

「そんなぁ……教えてくれてもいいんじゃんかよ」

 

「……」

 

彼がようやく発した言葉……それは鋭い目つきとともに突き放すようなものであった。

 

簡単には話してはくれないと思ったのか生徒達は次々とユウキのもとから離れていった。

 

そんな中……。

 

「あっ……!」

 

竜斗とユウキ……2人の目が偶然にも合い、どことなく気まずさを感じてしまった。

 

「俺に何か用か?」

 

「ああ……色んな人達に囲まれていたからなんだろうなぁって……」

 

「そうか……」

 

(どうしよう……話すにも話しづらい……。ここは一つ話題を作らないと……!)

 

ユウキの素っ気ない態度に、竜斗はどうすれば良いのか分からずにいた。

 

「そうだ……! ユウキ君もブレーダーなんだよね?」

「今もベイをやっているのかな――」

 

必死に言葉を絞り出して彼が今もベイをしているのかを聞く中、覆いかぶさるようにユウキの言葉が僅かながらに聞こえた。

 

「……た」

 

「え?」

 

「そんなものとっくの昔に『辞めた』」

 

「え……?」

 

しかし、竜斗の耳が拾い上げた言葉は彼の体が固まってしまうぐらい衝撃的なものだった。

 

「ベイを辞めた……?」

 

「言葉の通りだ。そこに深い意味は何もない」

 

「……ベイを辞めたというのは受け止めるよ。1年前のことを問い詰める気もない。でも……君の言葉はどんどん周りを遠ざけてしまう気がするんだ」

 

「周りが遠ざかろうと俺には何の問題にもならない」

 

「……!」

 

一貫して冷たい言葉に竜斗は次第に心が落ち着かなくなっていく。

 

「どうして……どうして君はそこまでして……! 僕達は同じブレーダーとして仲良くしたいだけなのに……!」

 

「竜斗……」

 

「……!」

 

彼の感情は完全にごっちゃとなり、無意識にポケットに手を突っ込む。

 

そこからプロミネンスイフリートを手に取り始めた。

 

本人含めて誰一人その真意は分からなかったが、思いが暴走しかけているのは確かだった。

 

「仲良くしたい……か。これ以上引く気がないというのなら仕方がない」

「俺の意思はもう決まっていることをここで示す。このグローリーラファエルでな……」

 

流石にユウキも堪えられなくなったのか一度だけベイを手に取り、勝負を仕掛けてきた。

 

「……!」

(これが彼のベイ……。ブレードの刃が繋ぎ合わさっている……!)

 

竜斗も自らの瞳でそれを捉え、グローリーラファエルの特徴をすぐに理解するのだった。

 

「審判は俺が務めさせてもらうぜ。Ready……Set!」

 

ダイキが審判を名乗り出て、合図を開始。

 

互いにランチャーを手に取り、ベイをそこにセットした。

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

スタジアムへ放たれた2つのベイ。

 

グローリーラファエルは中央でどっしりと構える一方、プロミネンスイフリートはすぐにそこへ迫っていく。

 

「最初から仕掛けさせてもらうよ。イフリート!」

 

斬りつけるような攻撃をラファエルにぶつけていくが……。

 

「な……ッ!?」

 

金属同士が小突き合うような音がするだけで相手はピンピンしていた。

 

それどころか攻撃を仕掛けたはずのイフリートがあっという間にスタミナを消費してしまっていることが明確に表れていた。

 

「グローリーラファエルの刃は骨組みのように繋ぎ合わさった円形16枚刃。相手の攻撃を分散し、確実に守り抜く……」

 

グローリーラファエルの最大の特徴……それは「円形16枚刃による攻撃の分散」。

 

攻撃を分散することによってブレードに伝わるダメージを最小限に抑え、姿勢制御をサポートする「理想的な防御」へと昇華させていたのだ。

 

「終わらせろ! グローリーラファエル!」  

 

ユウキの声に共鳴し、ラファエルのオーラが現れ……。

 

「リング・オブ・グローリー!!」

 

スタジアムから一切動くことなくイフリートをスタジアム外へ叩き出した。

 

「あぁっ……」

 

「グローリーラファエル、オーバーフィニッシュ。天城ユウキの勝利」

 

「俺の気分は満ちた。後は他を当たれ」

 

「待っ……!」 

 

早歩きで廊下を後にする彼を追おうとする中、竜斗は誰かの手が肩に触れた感覚を覚える。

 

後ろを振り返ってみるとその手の持ち主はダイキであった。

 

彼は竜斗に対し、首を横に振り「これ以上は……」と言わんばかりの表情を見せる。

 

「……」

 

2人にとって放課後の廊下は「居心地の悪い空気」が流れ込んでいるような気さえした。

 

「……とりあえず帰るか」

 

「そうだね……」

 

彼らの心には「いつまで経っても晴れることのない霧」のような思いが立ち込めていた。

 

それを抱えつつも、再びカバンを手に取り、校舎を後にするのだった。

 

(一体何なんだろうな。この気持ちは……)

 

いつもと変わらない足取り……それが今の彼にはとても鈍く感じられた。

 

――根尾中学校・教室(翌日)――

 

ユウキとのバトルから翌日、教室の様子はこれといって変わりはなかった。

 

一部の者を除いて――。

 

「……い」

 

「うん」

 

「おい!」

 

「はっ……!」

「ダイキ……!」

 

竜斗が机の上に視線をやる中、ずっとその側に呼びかける声が彼の耳を通過する。

 

それでも返されるのは空返事だけで、その声は鼓膜を揺さぶるほどの大きさにまで変わった。

 

「全く……かれこれ4回はお前に話しかけてたぞ。お前がそんなに上の空な感じになるのも珍しいが」

 

「ごめん……ちょっと考え事をしてたんだ」

 

やっと反応を示し、ダイキが先程からずっと声をかけてきたことに気づいた。

 

「考え事って……そのノートのことか?」

 

彼のノートをよく見ると、そこにはグローリーラファエルの外見、ディスクフレームとギアが徹底的に模写されていた。

 

更には各パーツの特徴までノートの隅から隅までびっしりと書かれており、打倒したいという意思を紙面上から感じさせた。

 

「そう。天城ユウキ……彼に勝つにはどうすれば良いのかって」

 

「おいおい、まだあいつについて考えたのかよ……」

 

ダイキは半ば困惑気味に言うが……。

 

「まだって……」

 

自身にとっては真剣な問題なのか少しだけムッとしながらダイキに言い返す。

 

「おいおい、そんな怒るな。お前の悔しいって気持ちは分かる。だが俺からも一つ言わせてほしい」

「『ベイを辞めた』って言葉自体、それがあいつにとって全ての気持ちなんじゃないか?」

 

「……」

 

「もうちょっと簡単に言うか。お前がソウタ選手を馬鹿にされたらイラッと来る……それと同じだ」

 

「あぁ……」

 

例えとはいえダイキの言葉は核心を突いていた。

 

自身の行動が本当に正しかったのかという疑念と恥が体を伝う。

 

「どうやら本人もここで見ているらしい」

 

「ユウキ君……!」

 

親友の指が指し示す先には昨日戦ったばかりの彼が居た。

 

「……昨日はごめん。ベイを辞めたって話を聞いたばかりなのにバトルまでさせてしまって……」

 

「それは別に気にしていない」

 

「……!」

 

「今の内に言っておく。あと一度だけだ」

「あと一度だけお前とバトルをする。時間は問わない」

 

早速、ユウキのもとへ向かって彼に謝罪をする。

 

それに対し、返ってきた言葉は「気にしていない」という旨と「あと一度だけバトル」をするという意外なものだった。

 

「本当に良いの?」

 

「……あくまでバトルでの消化不良を学校生活に持ち込みたくないだけだ。それが済んだらあとは終わりだ」

 

「分かった。この約束は必ず守るよ」

 

未だに信じられない気持ちでいっぱいだったがそれは心の奥に仕舞うことにし、交わされた約束に従うことを選んだ。

 

(今は彼に勝つことが第一じゃない……自分の気持ちに決着をつけることが最優先だ)

 

その思いとともに竜斗の右目には水色の炎が灯る。

 

高い実力を持つ転校生・天城ユウキ。

 

謎を秘めた彼との再戦の時は近い――。




__イメージCAST__

赤城竜斗:伊藤節生

鳥羽ダイキ:古川慎

天城ユウキ:室元気
(髪型:銀色のフェザーパーマ/瞳の色:緑色/トップス:白色のYシャツ/ボトムス:青緑のラインが入った、黒色のスラックス+白色のベルト/靴:スニーカー)

担任教師:野島健児

ナレーション:森川智之

新規登場ベイ

グローリーラファエル.Cn0.HN
(セントラルゼロ・ハイニードル)
(ラファエルモチーフのディフェンスタイプ。)
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