量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
デバスからスクエニーへと名付けを行ったその日のうちに、ボクは隊長に体が変化したことを伝えに行くと……、
「あ、隊長も体が変化してたんですね?」
「その声はバーンか?」
サキー隊長も名前が定着したのか、体つきが変化していた。
まず前までは手と翼が一体化していたのだが、それが手と翼が分離して、翼は背中から生えている。
それに毛色が黒に変色し、翼の色も黒くなっていた。
〈ハーピーから烏天狗へと種族が変化したっぽいな。まぁ大枠の種族はハーピーのまんまだけど……この世界だとエリートハーピーってなるのか? 〉
「ふふん、どうだい? バーン! 見てくれよ! 人間みたいな手が生えた。これで書類仕事も楽に行える!」
「おめでとうございます!」
身長やおっぱいとかも全体的に大きくなって、女性らしい体つきに成長している。
《オレ》が凄い興奮しているけど……どこにそんな興奮する要素が?
おっぱいやお尻が大きいだけじゃん。
〈チンコが手に入ったらバーンもわかるようになるよ〉
(なんかムカつく)
きざったらしいイメージをボクに送り込んできたので、若干ムッとするけど、顔には出さないで、隊長にデバスをスクエニーという名前を与えた事について説明をする。
「あー、仲良かったもんね。直ぐに名前を与えるとは思わなかったけど……そっかそっか……まぁ特に問題は無いけど、やたらめったら名付けを行うのは辞めてくれよ」
「わかりました」
「あとウルフ達は私が名付けるから」
「了解です。ウルフさん達は今のボクの治癒魔法なら完全に回復させることが可能かと」
「うん、ウルフ達を治療するのを優先して欲しいんだけど、他の部隊の魔族も治療してくれないか? 勿論対価は支払わせるから」
「え? いいんですか?」
「ガンガンやってく。ただし絶対に対価は取ることを忘れないように……なんなら治療が終わったウルフ達も貸し出すから」
「わかりました! やってみます!」
〈とりあえず無差別にやるのは無しだ。隊長に言われた人を治すのに留めておけ〉
(なんで? 皆治した方が魔王軍の戦力的には良いんじゃないの?)
《オレ》に質問すると、理性の乏しい魔王軍で治療の対価が払えなかったり、順番をしっかり守ると思うかって言われてしまった。
訪問治療って体裁を取らないと、治癒して欲し奴が群がってくるぞと警告された。
スクエニーと一緒の時間も削られるのは嫌だから《オレ》の警告は素直に聞いておく。
「隊長、治療する人は隊長が選んでもらえませんか? 無差別にやると揉め事が起こりそうなので」
「うん、わかった。こっちで治癒して欲しい人は選んでおくよ」
隊長と話すことも終わったので、ボクは隊長のいるテントを出るのだった。
「おお! 失った腕が生えてきた……すげぇ」
「ふう……しっかり治癒することができてよかったです」
隊長と話終わってから直ぐに、ウルフさんのテントを訪ねて、負傷者3名に治癒魔法をかけると、欠損部分が治ったり、顔色が目に見えて良くなった。
「流石に力は弱まっちまってるか」
「でもまた大剣を振り回せるようになりますから」
「そうか? フハハ! それだといいな! それにバーンは名前が与えられて良いな」
「はい、運よく名づけてもらえましたが、ウルフさん達も隊長が名前をつけるって言ってましたよ」
「お、そうか! それならいいな! あとバーン」
「はい!」
「もう敬語は無しだ。隊長から名前が与えられたとしても、お前はそれよりも上の人に名前が与えられているし、隊長からバーンを副官にするって言われたからな。副官が部下に敬語使っていたら示しがつかねぇだろ」
「そうだぜバーン。俺達はお前に治療してもらった恩もある。呼び捨てで構わねぇから」
「俺ら馬鹿だからよ、しっかり指示してくれよな副官殿」
「わかりました……いや、わかった! これから気をつける!」
「おう、それでいい。それよりもデバスちゃんとはもう寝たのか?」
「寝た?」
〈セックスしたのかって聞いてるな。まぁ無性だから今はできないが〉
ボクは慌てて、自分は無性で交わることができないって伝えたが、彼女はボクが責任を持ちたいとスクエニーという名前を付けたと説明した。
「ヒューやるなぁ」
「チンコがないのがもったいねぇーぜ」
「あのオッパイちゃんを部下にするとは副官殿はスケベ野郎だ」
「だから無性なんですって!」
皆元気になっていつもの調子に戻ってきた。
3人は治癒してもらったら腹が減ったと飯を貰いに行き、ボクも一緒に付いていくのだった。
「い、色々仕入れてきたよ!」
「スクエニーありがとう!」
デバスことスクエニーの居るボクらのテントに入ると、スクエニーが商人達と交渉してボクが頼んでいた物を集めてくれた。
「ごめん魔道書は1冊しか手に入れられなかった」
「ちなみにどんな魔道書?」
「汚れを綺麗にする魔法全般が書かれている魔道書」
「凄い! 便利な魔法だ! ありがとうねスクエニー!」
「えへへ……」
《オレ》も幸先が良いなって言ってくれた。
汚れを落とす魔法は体の汚れから衣服や毛布……鉄鍋にこびりついた肉汁とかも何でも綺麗に落としてくれる。
武器に使うと錆びとか血痕とかも落としてくれるので、継戦能力や武器の耐久性にも関わる初歩的な魔法。
人間側は結構覚えている人が多いが、魔王軍のほとんどは覚えてない魔法である。
隊長も女性だから綺麗に成れる魔法でもあるし、覚えたら教えてあげよう。
「簡単な魔法だから僕も直ぐに覚えられたよ」
「お、じゃあボクにも教えてよ」
「えっとねー」
スクエニーの説明は分かりやすくて、簡潔に教えてくれた。
直ぐに覚えることができて、体の汚れを一瞬で綺麗にすることができた。
「おお! 体が軽くてピカピカだ!」
魔王軍だと体の汚れを洗うとなったら、川で水浴びがほとんどだった。
上位の人はこの魔法を使えるか部下に覚えさせていて、綺麗にしていたっぽいし、多分そういう人から魔道書が流れてきたんじゃないだろうか?
他にスクエニーが持ってきてくれた物は、頼んでいたミートスライム2匹に鉄鍋。
あと調理道具一式にライススライムや風船エビとかを集めてくれた。
ライススライムは体が米に似た物質でできていて、水を与えると、米の塊をゴロッと体からこぼれ落ちる。
そのまんまだと食べれないので、一旦水でふやかす必要があったりするけど、米とほぼ同じ味や食感で、基地だとパンを焼くのに砕いて粉末にし、それをライ麦粉と混ぜて焼いていた。
食べるとしても粥にするので、《オレ》がイメージするような炊きたてご飯みたいにして食べることは魔王軍は無い。
風船エビは普段は小さな瓶とか水瓶で飼育されている魔物で、空気に触れると一気に大きくなるのである。
元の大きさが大豆1粒と同じくらいなのに、空気に数十秒触れると手のひらと同じくらいに膨らむ。
飼育の際は綺麗な水に入れて、肉片を少し入れておけば勝手に個体数が増えていく。
〈見た目は大きくなった姿はエビでもウシエビ……ブラックタイガー(エビの品種)に似ているな〉
《オレ》の言うエビの品種はよくわからないけど、とにかく大きなエビになる。
それに今のボクは隊長から教わって水を生み出す魔法を覚えているので、飼育は容易だ。
最後に油カエル。
食べ物を与えておくと、体内で油に変えて、絞ると油が出てくる魔物。
油に変えるとのダジャレだって《オレ》が言っていた。
ダジャレってなんだろうか?
とにかくミートスライムの肉片や水をしっかり与えておけば毎日数リットルの油を生み出してくれる二の腕くらいの大きさの巨大なカエル。
〈ミートスライムの肉、ライススライムの米、風船エビの海老、油カエルの油……あと卵があればチャーハンできるじゃん〉
(チャーハンって?)
〈めっちゃ美味い料理だ。お前も気に入ると思うぞ〉