量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
チャーハンについては一旦置いておいて、禁術の方の魔道書の解読はあとどれぐらいかかりそうかスクエニーに聞いてみると、
「そうだね……あと1週間くらい。僕が覚えて、バーンに教えるとなると更にもう1週間くらいかかるかも」
って言われた。
スクエニーの体に名前が馴染むのも数日かかるだろうし、無理しないでやっていこうってボクは彼女に伝えた。
スクエニーは嬉しそうに頷いて、
「頑張るから!」
って返答してくれる。
可愛らしい。
とりあえずその日は今さっき覚えた洗浄の魔法で、持ち物や衣服、毛布とかを片っ端から洗浄していって、綺麗になった毛布に包まって眠るのであった。
翌日、隊長が生き残った部隊員であるウルフさん含めた3人に名付けを行っていく。
「とりあえずウルフはウルフのままの方が分かりやすいからウルフね」
「おう! これからはウルフベアーの略称じゃなくて、固有名としてウルフって名乗るぜ!」
他2人は豚の魔族であるポークと猿の魔族であるモンキーとそれぞれ種族にちなんだ名前が付けられた。
〈サキー隊長は名付けのセンスは無さそうだな〉
(本人達は喜んでいるし、それはそれで良いんじゃない?)
〈そ、そうか……〉
《オレ》は複雑そうな表情を浮かべていたが、とりあえずスクエニーを加えて新生サキー隊を結成。
「で、隊長。新兵はどうしていくんだ?」
「とりあえず数合わせの兵は順次加入させていくけど、今バーンとスクエニーの2人が人間を魔族にする魔法を開発しているからそれで兵を補充していこうと思う」
「吸血鬼の奴らが眷属作るみたいな感じか?」
「ウルフの言うようにそれに近いね」
とりあえず隊の方針はスクエニーが魔族にする魔法が使えるようになってから本格始動って感じ。
それまでボクは隊長に言われた人の治癒をしていき、スクエニーは魔道書の解読と魔法の習得。
他3人は衰えた肉体のリハビリ。
それぞれやることをやり始めるのだった。
数日後……朝、体操をするために起きると、ベッドで寝ているスクエニーの体が一回り大きくなっているのに気がついた。
「あ、多分スクエニーも名前が馴染んだんだろうな」
〈おお、ゲームで知ってるスクエニーの姿にだいぶ近づいた。あとはもっと堂々とした大人の女性になれば……〉
(スクエニーの性格で堂々ってだいぶきびしいんじゃ……)
〈まぁ現状だと性格は《オレ》の知ってるのとは違うけどな……豊満ボディで全シリーズ人気投票でも25位だったし〉
(人気投票ってのが何かわからないけど、25位ってことは上にもっと沢山の人物がいるってこと?)
〈その話は追々な〉
なんか……はぐらかされた感じがするけど、ボクは体操をして、軽く筋トレをするのだった。
筋トレをしていると、スクエニーが起きたらしく、ピギャーという声にならない悲鳴が上がった。
何事かと思ってテントを確認すると、スクエニーが水瓶で自分の姿を確認しながら……、
「これ……僕?」
「成長おめでとう!」
成長した姿に驚いていた。
茶髪の髪に漆黒の人差し指程の角、目の下の隈は相変わらずだけど、青白い肌の色はなんかツヤツヤしている。
あと相変わらず大きなおっぱい。
本当に人間とデビルのハーフなのだろうか……サキュバスの血が入ってるって周りから言われるのわかる気がする。
「おお~おっきくなった!」
スクエニーも名前が定着するまでは人間で言うところの10歳から12歳くらいの小さい姿だったのに、今は15から18歳くらいの青年期の姿になっていた。
可愛いらしい。
「ちょっとは女の子らしく魅力的になったかな〜?」
「女性らしくなったねスクエニー! よかったね!」
「うん! 今までよりも強い魔法が使えそう! これなら禁術習得も早そうだよ!」
成長して、ずいぶんと自信がついたっぽい。
喜びでボクに抱きついてきて、胸がムニムニって当たってるけど《オレ》が鼻血出してぶっ倒れるイメージ送ってきた。
何なんだろうか……。
とりあえずスクエニーが名前が定着したってことは、ウルフ達も名前が定着したころだろうと、成長したスクエニーを見せる為に、スクエニーを連れてウルフのテントに入ると……
「ウルフいる?」
「あ……バーン……」
そこにいたのは屈強な男だったウルフやポーク、モンキーではなく、ショタ〜ってなんか幼い少年の姿をしたウルフやポーク、モンキーの容姿を一部引き継いだ魔族達だった。
「え? ウルフ?」
「そうだよ! 今日起きたら縮んでいたんだよ!」
小さくなった手で顔を覆って、どうしたもんか……って3人共嘆いている。
とりあえずボクは隊長を呼んでくると、サキー隊長はあちゃ~って顔をしながら、
「成長によって寿命が伸びた分、幼い姿になっちゃったみたいだね。ただ成長した分、能力は上がっているはずだよ」
とのことで、流石にウルフ達は本当かよって疑問に思いながらも大剣に手を伸ばす。
「隊長、こんな貧相な体じゃあ大剣振れねぇ……あれ?」
今までウルフが両手で持っていた大剣を片手で軽々と持ち上げると、ブンブンと軽く振っただけで、前よりも鋭く、風を切り裂く音が周りに響く。
「ね、身体は幼くなったけど、能力は大幅に向上しているし……」
ウルフの振るう大剣に隊長は近づくと、刃先を片手で掴んで大剣を止めてみせた。
「「「おお!」」」
「今まで私もこんなことはできなかったけど、できるようになったんだよ。パワーもスピードも段違いだ」
「「「おお!」」」
ショタ集団になってしまった3人は隊長のその言葉に目を輝かせて、喜んでいた。
〈隊長としては名付けで成長して頭が回るようになったのが一番うれしいんじゃないだろうか? 多分今なら文字の読み書きも覚えようと思えば覚えられるんじゃないか? 〉
(伝えてみるね)
「隊長、ウルフ達は今なら文字の読み書きとか覚えられるのでは? 隊長並みとはいかなくても、作戦の意図を読み取れればできる作戦の幅が広がりますよ」
「それもそうだ! よし! ウルフ、ポーク、モンキー! 今日から私と特訓だ!」
「うわ! バーン余計なこと言うなよ!」
「「そうだそうだ!」」
「ウルフ達に良いことを……強くなればモテるらしいですよ。強くなれば美味い飯や1人用のテントで贅沢もできますよ!」
「てめぇ! それ前に俺が言ったことじゃねぇか!」
「ウルフ、あなたが今度は努力する番ってことだよ」
それをボクに言われたらやるしかない。
嬉しそうな隊長に引きづられて3人は勉強に精を出すのだった。
〈そうそう、その調子〉
ある日のこと、《オレ》に言われてボクはチャーハンなるものを作っていた。
尻尾の上に鉄鍋を置いて、ハーピー族からミートスライムの肉や風船エビを卵と交換してもらって、ライススライムの米と卵、ぶつ切りにした風船エビとミートスライムの肉片を混ぜて、塩で味をつける。
〈醤油があればもっと味に深みを出すことができるんだがな〉
(醤油って何?)
〈大豆からできる調味料だよ……作り方知ってる奴いないかな〜〉
そんなことを《オレ》と脳内で会話しながら鉄鍋をシャカシャカと動かして、お米を卵と混ぜて黄色くパラパラに仕上げると、塩をかけて味付け。
「おお、美味しそう」
〈だろ? ほら、皆も食べたそうにしているぞ〉
ボクの周りにはいつもみたく肉を焼くんじゃなくて、鉄鍋で米や卵を混ぜてチャーハンを作り始めたボクに興味津々のウルフ達と目をキラキラしているスクエニー、それにサキー隊長の姿も。
「はーい、できましたよ」
「「「おお!」」」
お玉で皿にチャーハンをよそって、スプーンを渡すと、ショタ集団3人は美味い美味いって食べ始める。
「これはたまらないねぇ!」
「よくこんなこと思いつきますね」
サキー隊長とスクエニーも大喜び。
手軽に作れるし、定期的に作ってもいいかもしれない。
なおボクは知らなかったが、美味しい料理を食べると魔族も人間もゲームだと経験値が入って強く成れるらしく、《オレ》が他にも作れそうな料理のイメージを送ってくるのだった。